漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之のブログ 女性詩、漢詩・建安六朝・唐詩・李白詩 1000首:李白集校注に基づき時系列に訳注解説

李白の詩を紹介。青年期の放浪時代。朝廷に上がった時期。失意して、再び放浪。李白の安史の乱。再び長江を下る。そして臨終の歌。李白1000という意味は、目安として1000首以上掲載し、その後、系統別、時系列に整理するということ。 古詩、謝霊運、三曹の詩は既掲載済。女性詩。六朝詩。文選、玉臺新詠など、李白詩に影響を与えた六朝詩のおもなものは既掲載している2015.7月から李白を再掲載開始、(掲載約3~4年の予定)。作品の作時期との関係なく掲載漏れの作品も掲載するつもり。李白詩は、時期設定は大まかにとらえる必要があるので、従来の整理と異なる場合もある。現在400首以上、掲載した。今、李白詩全詩訳注掲載中。

2012年12月

▼絶句・律詩など短詩をだけ読んでいたのではその詩人の良さは分からないもの。▼長詩、シリーズを割席しては理解は深まらない。▼漢詩は、諸々の決まりで作られている。日本人が読む漢詩の良さはそういう決まり事ではない中国人の自然に対する、人に対する、生きていくことに対する、愛することに対する理想を述べているのをくみ取ることにあると思う。▼詩人の長詩の中にその詩人の性格、技量が表れる。▼李白詩からよこみちにそれているが、途中で孟浩然を45首程度(掲載済)、謝霊運を80首程度(掲載済み)。そして、女性古詩。六朝、有名な賦、その後、李白詩全詩訳注を約4~5年かけて掲載する予定で整理している。
その後ブログ掲載予定順は、王維、白居易、の順で掲載予定。▼このほか同時に、Ⅲ杜甫詩のブログ3年の予定http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/、唐宋詩人のブログ(Ⅱ李商隠、韓愈グループ。)も掲載中である。http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/,Ⅴ晩唐五代宋詞・花間集・玉臺新詠http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/▼また漢詩理解のためにHPもいくつかサイトがある。≪ kanbuniinkai ≫[検索]で、「漢詩・唐詩」理解を深めるものになっている。
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Author:漢文委員会 紀 頌之です。
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ずいぶん回復してきました。(12/10)
訪問ありがとうございます。いつもありがとうございます。
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ただ、コメント頂いたても、こちらからの返礼対応ができません。というのも、
毎日、6 BLOG,20000字以上活字にしているからです。
漢詩、唐詩は、日本の詩人に大きな影響を残しました。
だからこそ、漢詩をできるだけ正確に、出来るだけ日本人の感覚で、解釈して,紹介しています。
体の続く限り、広げ、深めていきたいと思っています。掲載文について、いまのところ、すべて自由に使ってもらって結構ですが、節度あるものにして下さい。
どうぞよろしくお願いします。

善哉行 曹丕(魏文帝) 魏詩<9-#1>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻五 630 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1737

善哉行二首 曹丕(魏文帝)

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善哉行 曹丕(魏文帝) 魏詩<9-#1>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻五 630 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1737


 
善哉行二首
其一 #1
上山採薇,薄暮苦饑。 谿谷多風,霜露沾衣。
野雉群雊,猿猴相追。 還望故鄉,鬱合壘壘!
高山有崖,林木有枝。 憂來無方,人莫之知。
#2
人生如寄,多憂何為? 今我不樂,歲月如馳。
湯湯川流,中有行舟。 隨波轉薄,有似客遊。
策我良馬,被我輕裘。 載馳載驅,聊以忘憂。


其二 #1
有美一人,婉如清揚。 妍姿巧笑,和媚心腸。
知音識曲,善為樂方。 哀絃微妙,清氣含芳。
流鄭激楚,度宮中商。
#2
感心動耳,綺麗難忘。 離鳥夕宿,在彼中洲。
延頸鼓翼,悲鳴相求。眷然顧之,使我心愁。
嗟爾昔人,何以忘憂?


その一
山に上り薇を采り、薄暮【はくぼ】饑【う】えに苦しむ。
谿谷【けいこく】風多く、霜露衣を霑す。
野雉【やち】羣【むらが】り雊【な】き、猿猴【えんこう】相い追う。
還りて故郷を望むに、鬱として何ぞ壘壘【るいるい】たる。
高山に崖有り、林木に枝有る。
憂い来たりて方を無くし、人の之を知ること莫れ。

人生は寄るが如く、多く憂えるも何をか為さん。
今我楽しまずんば、歳月馳するが如しなり。
湯湯たる川の流れ、中【なかほど】に舟をして行くもの有り。
波に随って轉薄【てんぱく】し、客遊に似たる有り。
我が良馬に策【むちう】ち、我が軽裘【けいきゅう】を被【こうむ】る。
戴【すなわ】ち馳せ戴ち驅【か】る、聊【いささ】か以って憂いを忘れん。


善哉行二首
其一 #1
上山採薇,薄暮苦饑。
日暮れになっておなかがすきすぎて苦しむというので山に登ってわらびを取ることにする。
谿谷多風,霜露沾衣。
渓谷にはいると風が多く吹き着物を巻き上げる、暫くすると霜や露がおりてきて衣を濡らすほどになる。
野雉群雊,猿猴相追。
野生の雉は鳴き声で群れをなしているようだ。猿と手長猿たちは追いかけあって戯れている。
還望故鄉,鬱合壘壘!
わたしは独り他国から故郷の空をかえり見ると、そこにはただ樹木の鬱蒼たる山がはてしなく重なり合っているのである。
高山有崖,林木有枝。
高い山には常に崖があるものであり、林の木には必ず枝があるものである。
憂來無方,人莫之知。

それが当たり前というのに、人に憂いに思うことが来るというのは法則もなければ方策もない、だからひとは誰でもそれを予知することなどしても仕方がないのだ。
#2
人生如寄,多憂何為? 今我不樂,歲月如馳。
湯湯川流,中有行舟。 隨波轉薄,有似客遊。
策我良馬,被我輕裘。 載馳載驅,聊以忘憂。


『善哉行二首 其一』 現代語訳と訳註
(本文)
善哉行二首
其一 #1
上山採薇,薄暮苦饑。 谿谷多風,霜露沾衣。
野雉群雊,猿猴相追。 還望故鄉,鬱合壘壘!
高山有崖,林木有枝。 憂來無方,人莫之知。
#2
人生如寄,多憂何為? 今我不樂,歲月如馳。
湯湯川流,中有行舟。 隨波轉薄,有似客遊。
策我良馬,被我輕裘。 載馳載驅,聊以忘憂。


(下し文)その一
山に上り薇を采り、薄暮【はくぼ】饑【う】えに苦しむ。
谿谷【けいこく】風多く、霜露衣を霑す。
野雉【やち】羣【むらが】り雊【な】き、猿猴【えんこう】相い追う。
還りて故郷を望むに、鬱として何ぞ壘壘【るいるい】たる。
高山に崖有り、林木に枝有る。
憂い来たりて方を無くし、人の之を知ること莫れ。


(現代語訳)
日暮れになっておなかがすきすぎて苦しむというので山に登ってわらびを取ることにする。
渓谷にはいると風が多く吹き着物を巻き上げる、暫くすると霜や露がおりてきて衣を濡らすほどになる。
野生の雉は鳴き声で群れをなしているようだ。猿と手長猿たちは追いかけあって戯れている。
わたしは独り他国から故郷の空をかえり見ると、そこにはただ樹木の鬱蒼たる山がはてしなく重なり合っているのである。
高い山には常に崖があるものであり、林の木には必ず枝があるものである。
それが当たり前というのに、人に憂いに思うことが来るというのは法則もなければ方策もない、だからひとは誰でもそれを予知することなどしても仕方がないのだ。


(訳注)
善哉行二首其一
 #1
「古詩源巻三 漢詩 楽府歌辭『善哉行』文末に掲載。貧困の士太夫が盛宴に列して感じる所を述べたもの。」を踏まえて作る。


上山採薇,薄暮苦饑。
日暮れになっておなかがすきすぎて苦しむというので山に登ってわらびを取ることにする。
・二句は倒句で読む。


谿谷多風,霜露沾衣。
渓谷にはいると風が多く吹き着物を巻き上げる、暫くすると霜や露がおりてきて衣を濡らすほどになる。


野雉群雊,猿猴相追。
野生の雉は鳴き声で群れをなしているようだ。猿と手長猿たちは追いかけあって戯れている。


還望故鄉,鬱合壘壘!
わたしは独り他国から故郷の空をかえり見ると、そこにはただ樹木の鬱蒼たる山がはてしなく重なり合っているのである。


高山有崖,林木有枝。
高い山には常に崖があるものであり、林の木には必ず枝があるものである。
・二句 平坦で楽なものばかりではない。突然崖のような苦しみがあっても当然のこととしてとらえよ。「高山之有崖,林木之有枝,愚智同知之。今憂來仍無定方,而人皆莫能知之。《說苑》曰:「莊辛謂襄成君曰:『昔《越人之歌》曰:「山有木兮木有枝,心悅君兮君不知。」


憂來無方,人莫之知。
それが当たり前というのに、人に憂いに思うことが来るというのは法則もなければ方策もない、だからひとは誰でもそれを予知することなどしても仕方がないのだ。
・二句 先のことを憂いて沈んでいるより今を愉しめということに繋いでゆくものである。論語孟子 諺有之曰:「人莫知其子之惡,莫知其苗之碩。」に基づく。



尚、曹丕が参考にしたと思われる同名の詩をあげる。
古詩源巻二漢詩 楽府歌辭『善哉行』
善哉行                                  
來日大難,口燥唇乾。今日相樂,皆當喜歡。
經歷名山,芝草翻翻。仙人王喬、奉藥一丸。
自惜袖短,內手知寒。慚無靈輒,以報趙宣。
月沒參橫,北斗闌干。親交在門,饑不及餐。
歡日尚少,戚日苦多。以何忘憂,彈箏酒歌。 
淮南八公,要道不煩,參駕六龍,遊戲雲端。

至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩<8-#2>古詩源 巻五 女性詩629 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1733

◆◆◆2012年12月26日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆   

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集  
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩  
至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩<8-#2>古詩源 巻五 女性詩629 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1733
      
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Ⅱ.中唐詩・晩唐詩  
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ  
秋懐詩十一首(7) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<107>Ⅱ中唐詩542 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1734 
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Ⅲ.杜甫詩1000詩集  
"●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 
●理想の地を求めて旅をする
●全詩1/3を掲載済。"  
成都(1)浣花渓の草堂(4) 蕭八明府實處覓桃栽 杜甫 <355>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1735 杜甫詩 700- 533 
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Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集  
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#15> (12/30) http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-583.html 
  
Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩  
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。  
『南歌子七首』(一) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-30-5-#8 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1736
       
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21534541.html
 
  
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 
謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。

孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 
盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 
古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。

孟郊詩  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 
「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。

李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首



至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩<8-#2>古詩源 巻五 女性詩629 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1733


至廣陵於馬上作
作者:曹丕 曹魏
外編云:廣陵觀兵。魏誌:225年黃初六年十月,行幸す廣陵故城,臨江觀兵,戎卒十餘萬,旌旗數百裏,帝於馬上為詩。この歲大寒波到来し冰結。舟は入江できず,乃ち引き還えす。
本作品收錄於:魏文帝集、古詩源巻五
先王曹操が没したのち、曹丕の戦争に対する基本姿勢を詩にしたものとして、高く評価できるものである。



至廣陵於馬上作 #1
<江陵に至って馬上で作る>詩
觀兵臨江水,水流何湯湯。
兵戈を呉国に示すということで長江のほとりに隊列を整え臨んだのである。長江の流れはなんと滔滔と流れてゆくのであろうか。
戈矛成山林,玄甲耀日光。
鋒は山林のように立ち並んでいる、鉄の鎧は日光にきらめき耀いている。
猛將懷暴怒,膽氣正縱橫。
勇猛の将は息を荒立て恐々の気持ちを内にふくんで居並ぶ、その胸に秘めた気魄はまさに縦横に覆われて盛んである。
誰雲江水廣,一葦可以航。
誰もが言っていることではあるが長江の水は広大であるというけれども、この意気をもってすれば一腹の小舟ででも渡航できるというものだ。
不戰屈敵虜,戢兵稱賢良。

しかし戦わずして敵を屈服させられるに越したことはない。そうやって兵力、武器をおさめるのが賢良の策といぅものだ。
#2
古公宅岐邑,實始剪殷商。
古代、周の古公亶父は岐山の下に建国した。その国の人々はみなこれに帰し国を強大にし、ついに商殷を滅ぼした。
孟獻營虎牢,鄭人俱稽顙。
魯の孟献子は㐮公が晋とともに鄭を伐ったとき、要害の地虎牢に成皐城を営み、鄭人は恐怖に陥れ、降伏させた。
克國務耕殖,先零自破亡。
羌族先零は出兵のため疲弊した種族をまとめて反乱を起こしたが漢の趙克國は屯田の策によってを破滅せしめその叛乱を平定した。これみな戦わずして敵をくだしたものである。
興農淮泗間,築室都徐方。
これにならって魏王曹操のさくをさらにすすめ、准洒の地方の農業を興し、家を築いて徐州の地方に都を定めたのだ。
量宜運權略,六軍鹹悅康。
そして、時を合わせて兵力と策略を講じることによって、全軍の将卒をもってことごとくこの国を安寧・安息となるようにするのだ。
豈如東山詩,悠悠多憂傷。

何も『詩経』「東山詩」に歌われたように征戦を事とすることはないのだ。戦というものは多くの愁いと傷みを国に残し、それが考えられないくらいに永くおよぶのだ。

(廣陵に至る馬上に於いての作) #1
觀兵して江水に臨み,水流 何んぞ湯湯たり。
戈矛【かぼう】山林を成し,玄甲 日光に耀く。
猛將 暴怒【ぼうど】懷【いだ】き,膽氣【たんき】正に縱橫。
誰か雲う江水廣【ひろ】く,一葦【いちい】以って航す可し。
戰わずして敵虜を屈し,兵を戢【おさ】めて賢良を稱す。
#2
古公【ここう】岐邑【きゆう】に宅【お】り,實に始めて殷商【いんしょう】を剪る。
孟獻【もうけん】虎牢に營み,鄭の人俱【おそ】れて稽顙【けいそう】す。
克國【こくこく】耕殖【こうしょく】を務むるに,先零 自ら破亡せしむ。
農を淮泗【わいし】の間に興し,築室して徐方【じょほう】に都す。
宜を量りて權略【けんりゃく】を運【めぐ】らし,六軍【りくぐん】鹹【ことごと】く悅康【えつこう】せん。
豈に東山詩の如く,悠悠として多く憂傷せん。


『至廣陵於馬上作』 現代語訳と訳註
(本文)
#2
古公宅岐邑,實始剪殷商。
孟獻營虎牢,鄭人俱稽顙。
克國務耕殖,先零自破亡。
興農淮泗間,築室都徐方。
量宜運權略,六軍鹹悅康。
豈如東山詩,悠悠多憂傷。


(下し文) #2
古公【ここう】岐邑【きゆう】に宅【お】り,實に始めて殷商【いんしょう】を剪る。
孟獻【もうけん】虎牢に營み,鄭の人俱【おそ】れて稽顙【けいそう】す。
克國【こくこく】耕殖【こうしょく】を務むるに,先零 自ら破亡せしむ。
農を淮泗【わいし】の間に興し,築室して徐方【じょほう】に都す。
宜を量りて權略【けんりゃく】を運【めぐ】らし,六軍【りくぐん】鹹【ことごと】く悅康【えつこう】せん。
豈に東山詩の如く,悠悠として多く憂傷せん。


(現代語訳)
古代、周の古公亶父は岐山の下に建国した。その国の人々はみなこれに帰し国を強大にし、ついに商殷を滅ぼした。
魯の孟献子は㐮公が晋とともに鄭を伐ったとき、要害の地虎牢に成皐城を営み、鄭人は恐怖に陥れ、降伏させた。
羌族先零は出兵のため疲弊した種族をまとめて反乱を起こしたが漢の趙克國は屯田の策によってを破滅せしめその叛乱を平定した。これみな戦わずして敵をくだしたものである。
これにならって魏王曹操のさくをさらにすすめ、准洒の地方の農業を興し、家を築いて徐州の地方に都を定めたのだ。
そして、時を合わせて兵力と策略を講じることによって、全軍の将卒をもってことごとくこの国を安寧・安息となるようにするのだ。
何も『詩経』「東山詩」に歌われたように征戦を事とすることはないのだ。戦というものは多くの愁いと傷みを国に残し、それが考えられないくらいに永くおよぶのだ。


(訳注)#2
古公宅岐邑,實始剪殷商。

古代、周の古公亶父は岐山の下に建国した。その国の人々はみなこれに帰し国を強大にし、ついに商殷を滅ぼした。
・古公 古公亶父、周の文王三世の祖。初め豳(ひん)にあったが、岐山(きざん)のふもとに移り、周を建てたといわれる。太王と諡号(しごう)。生没年未詳。詩経の大雅の緜編には、姜族の妻と共に岐山の麓へやってきたこと、住むべき洞窟すらない岐山の麓で古公が一から国を建国する様子、その後の繁栄などがうたわれている。-
・殷商 「殷」とは周などによって使われた他称であり、『史記』では一貫して殷である。一方、商が自称であるという見方も成り立つことから、現在の中国ではほぼ「商」もしくは「商殷」と呼ばれる。最終的に紀元前11世紀に周に滅ぼされた。
 
孟獻營虎牢,鄭人俱稽顙。
魯の孟献子は㐮公が晋とともに鄭を伐ったとき、要害の地虎牢に成皐城を営み、鄭人は恐怖に陥れ、降伏させた。
・孟献 魯の孟献子(もうけんし。春秋時代の魯の三桓の一、孟孫氏の一族)は戦車百台を抱える大貴族であった。
・虎牢 成皐ともいう。鄭の邑で、唐の時代に現在の河南省鄭州市の西北に置かれた関所のあるところ。『虎牢』という地名は西周の穆王がこの地で虎を飼っていたことに由来する。戦国時代に秦によって、この地に要塞が置かれたとされる。この地は険しく防衛に適していたため、歴代王朝はこの地に防衛施設を建設した。また、防衛の要所であったため、古来より数々の戦いの舞台となった。時に晋の有となっていた地域、要害の地である。今の河南省氾水県に当たり、ともいった。
・稽頼 街を地につけること、降服の意。


克國務耕殖,先零自破亡。
羌族先零は出兵のため疲弊した種族をまとめて反乱を起こしたが漢の趙克國は屯田の策によってを破滅せしめその叛乱を平定した。これみな戦わずして敵をくだしたものである。
・克國国 趙克國、漢の宣帝の時の将軍。漢書•趙克國傳。
・務耕殖 耕作に務めること、屯田の制(兵士が要害の地を守りながら農業に従事する)を行なったこと。曹操の屯田制は、戦乱で荒廃し田畑の持ち主がいなくなった土地に、同じく戦乱で土地を失った流民や降民を募って、必要であれば牛や農具を貸し与え、農耕に従事させるという政策であった。
・先零 羌族先零、羌族は西戎種族の名。東西両漢を通じて最も勢力のあった羌の部種。 河西四郡の設置後は三河(黄河・湟河・賜支河)方面に退いたものの、三河を漢と争って金城郡を寇掠し、趙克國に討破された。
 
興農淮泗間,築室都徐方。
これにならって魏王曹操のさくをさらにすすめ、准洒の地方の農業を興し、家を築いて徐州の地方に都を定めたのだ。
・興農 曹操の屯田制によるもの。
・淮泗間 今の江蘇地方。
・徐方 安徽地方。


量宜運權略,六軍鹹悅康。
そして、時を合わせて兵力と策略を講じることによって、全軍の将卒をもってことごとくこの国を安寧・安息となるようにするのだ。
量宜 時機の宜しきを量ること。


豈如東山詩,悠悠多憂傷。
何も『詩経』「東山詩」に歌われたように征戦を事とすることはないのだ。戦というものは多くの愁いと傷みを国に残し、それが考えられないくらいに永くおよぶのだ。
・東山詩 詩経・豳風東山篇、周公東征し三年にして帰り、士を慰労したのをたたえて、時の大夫が作ったのだと伝える。
詩経・豳風東山篇
我徂東山、慆慆不歸。
我來自東、零雨其濛。
我東曰歸、我心西悲。
制彼裳衣、勿士行枚。
蜎蜎者蠋、烝在桑野。
敦彼獨宿、亦在車下。

我徂東山、慆慆不歸。
我來自東、零雨其濛。
果臝之實、亦施于宇。
伊威在室、蠨蛸在戶。
町曈鹿場、熠燿宵行。
不可畏也、伊可懷也。

我徂東山、慆慆不歸。

我來自東、零雨其濛。
鸛鳴于垤、婦歎于室。
洒掃穹窒、我征聿至。
有敦瓜苦、烝在栗薪。
自我不見、于今三年。

我徂東山、慆慆不歸。
我來自東、零雨其濛。
倉庚于飛、熠燿其羽。
之子于歸、皇駁其馬。
親結其縭、九十其儀。
其新孔嘉、其舊如之何。

至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩<8-#1>古詩源 巻五 女性詩628 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1729

至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩

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至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩<8-#1>古詩源 巻五 巻一 女性詩628 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1729


至廣陵於馬上作
作者:曹丕 曹魏 
外編云:廣陵觀兵。魏誌:225年黃初六年十月,行幸す廣陵故城,臨江觀兵,戎卒十餘萬,旌旗數百裏,帝於馬上為詩。この歲大寒波到来し冰結。舟は入江できず,乃ち引き還えす。
本作品收錄於:魏文帝集、古詩源巻五

先王曹操が没したのち、曹丕の戦争に対する基本姿勢を詩にしたものとして、高く評価できるものである。


至廣陵於馬上作 #1
<江陵に至って馬上で作る>詩
觀兵臨江水,水流何湯湯。
兵戈を呉国に示すということで長江のほとりに隊列を整え臨んだのである。長江の流れはなんと滔滔と流れてゆくのであろうか。
戈矛成山林,玄甲耀日光。
鋒は山林のように立ち並んでいる、鉄の鎧は日光にきらめき耀いている。
猛將懷暴怒,膽氣正縱橫。
勇猛の将は息を荒立て恐々の気持ちを内にふくんで居並ぶ、その胸に秘めた気魄はまさに縦横に覆われて盛んである。
誰雲江水廣,一葦可以航。
誰もが言っていることではあるが長江の水は広大であるというけれども、この意気をもってすれば一腹の小舟ででも渡航できるというものだ。
不戰屈敵虜,戢兵稱賢良。

しかし戦わずして敵を屈服させられるに越したことはない。そうやって兵力、武器をおさめるのが賢良の策といぅものだ。
#2
古公宅岐邑,實始剪殷商。
孟獻營虎牢,鄭人俱稽顙。
克國務耕殖,先零自破亡。
興農淮泗間,築室都徐方。
量宜運權略,六軍鹹悅康。
豈如東山詩,悠悠多憂傷。

(廣陵に至る馬上に於いての作) #1
觀兵して江水に臨み,水流 何んぞ湯湯たり。
戈矛【かぼう】山林を成し,玄甲 日光に耀く。
猛將 暴怒【ぼうど】懷【いだ】き,膽氣【たんき】正に縱橫。
誰か雲う江水廣【ひろ】く,一葦【いちい】以って航す可し。
戰わずして敵虜を屈し,兵を戢【おさ】めて賢良を稱す。

#2
古公【ここう】岐邑【きゆう】に宅【お】り,實に始めて殷商【いんしょう】を剪る。
孟獻【もうけん】虎牢に營み,鄭の人俱【おそ】れて稽顙【けいそう】す。
克國【こくこく】耕殖【こうしょく】を務むるに,先零 自ら破亡せしむ。
農を淮泗【わいし】の間に興し,築室して徐方【じょほう】に都す。
宜を量りて權略【けんりゃく】を運【めぐ】らし,六軍【りくぐん】鹹【ことごと】く悅康【えつこう】せん。
豈に東山詩の如く,悠悠として多く憂傷せん。


『至廣陵於馬上作』 現代語訳と訳註
(本文)
至廣陵於馬上作 #1
觀兵臨江水,水流何湯湯。
戈矛成山林,玄甲耀日光。
猛將懷暴怒,膽氣正縱橫。
誰雲江水廣,一葦可以航。
不戰屈敵虜,戢兵稱賢良。


(下し文)
(廣陵に至る馬上に於いての作) #1
觀兵して江水に臨み,水流 何んぞ湯湯たり。
戈矛【かぼう】山林を成し,玄甲 日光に耀く。
猛將 暴怒【ぼうど】懷【いだ】き,膽氣【たんき】正に縱橫。
誰か雲う江水廣【ひろ】く,一葦【いちい】以って航す可し。
戰わずして敵虜を屈し,兵を戢【おさ】めて賢良を稱す。


(現代語訳)
<江陵に至って馬上で作る>詩
兵戈を呉国に示すということで長江のほとりに隊列を整え臨んだのである。長江の流れはなんと滔滔と流れてゆくのであろうか。
鋒は山林のように立ち並んでいる、鉄の鎧は日光にきらめき耀いている。
勇猛の将は息を荒立て恐々の気持ちを内にふくんで居並ぶ、その胸に秘めた気魄はまさに縦横に覆われて盛んである。
誰もが言っていることではあるが長江の水は広大であるというけれども、この意気をもってすれば一腹の小舟ででも渡航できるというものだ。
しかし戦わずして敵を屈服させられるに越したことはない。そうやって兵力、武器をおさめるのが賢良の策といぅものだ。


(訳注)#1
至広陵於馬上作 

<江陵に至って馬上で作る>詩
広陵は江蘇省江都県の東北。貌志によれば225年黄初六年文帝広陵の故城に幸し、江に臨んで兵を観した。時に戊卒十余万、旌旗数百里におよんだ。帝が馬上に於て賦したのがこの詩であると。意は千戈を廃して敵を帰服させようとするにあるものである。
・観兵 観は示の意、兵威を敵に示すこと。
 

觀兵臨江水,水流何湯湯。
兵戈を呉国に示すということで長江のほとりに隊列を整え臨んだのである。長江の流れはなんと滔滔と流れてゆくのであろうか。
・湯湯 水の流れるさま、また波の動揺するさま。


戈矛成山林,玄甲耀日光。
鋒は山林のように立ち並んでいる、鉄の鎧は日光にきらめき耀いている。
・戈矛 共にほこ。矛は柄長く、戈は枝の旁出した両刃の剣を長い柄の先につけたもの。単枝を戈となし、双枝を戟という。
・玄甲 鉄の鎧。黒色であるからいう。
・縦横 縦横無尽。旺盛なる意。


猛將懷暴怒,膽氣正縱橫。
勇猛の将は息を荒立て恐々の気持ちを内にふくんで居並ぶ、その胸に秘めた気魄はまさに縦横に覆われて盛んである。


誰雲江水廣,一葦可以航。
誰もが言っていることではあるが長江の水は広大であるというけれども、この意気をもってすれば一腹の小舟ででも渡航できるというものだ。
誰云の二句 呉の孫権を伐つことの容易なるということをいうと同時に、長江によって攻め難いことを謂っているのである。


不戰屈敵虜,戢兵稱賢良。
しかし戦わずして敵を屈服させられるに越したことはない。そうやって兵力、武器をおさめるのが賢良の策といぅものだ。
・敵虜 敵とは孫権を指していう。

雑詩二首(二) 曹丕(魏文帝) 魏詩<7>文選 雑詩 上 627 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1725

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古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩

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雑詩二首(二) 曹丕(魏文帝) 魏詩<7>文選 雑詩 上 627 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1725



雑詩二首 其一
漫漫秋夜長、烈烈北風涼。
展転不能寐、披衣起彷徨。
彷徨忽已久、白露霑我裳。
俯視清水波、仰看明月光。

天漢廻西流、三五正縦横。
草蟲鳴何悲、孤鴈獨南翔。
鬱鬱多悲思、緜緜思故郷。
願飛安得翼、欲済河無梁。
向風長嘆息、断絶我中腸。

雑詩二首 其二
西北有浮雲、亭亭如車蓋。
惜哉時不遇、適與飄風會。
吹我東南行、行行至呉會。
呉會非我郷、安得久留滯。
棄置勿複陳、客子常畏人。



雑詩二首 其一
#1
漫漫秋夜長、烈烈北風涼。
広々と果てしないこの地に来て秋の夜長は愁いに沈むと辛い、そのうえすでに北風が猛烈に吹き始めて涼しさが肌に挿すようである。
展転不能寐、披衣起彷徨。
父の思いに憂いはつのり、寝らねぬままに寝返りをうつのである。こんどは、起きて上着を羽織り歩き廻るのである。
彷徨忽已久、白露霑我裳。
しかしそれもさまよい歩くうち、忽ち時が久しく立っていることに気付く、知らぬ間に白露が私の衣裳を霑しているのである。
俯視清水波、仰看明月光。
そこにたたずみ、目をしたにむければ清らかな水と強い風によるさざ波を視るのであり、目を挙げれば仲秋の明月の光が蚊が気照らすのを見るのである。
#2
天漢廻西流、三五正縦横。
天の河は廻って、西の方に流れて行き季節は秋も深まってくる。あれだけよく見えていた天の川も星が三つ、五つとまさに日暮れの南北の流れはもう東西の流れになっている。
草蟲鳴何悲、孤鴈獨南翔。
それにしても秋の草虫の鳴く音は何と悲しいことであろうか、群を離れた一羽の鴈が独り南に翔けてとんでゆく。
鬱鬱多悲思、緜緜思故郷。
私の気持ちはとても沈んでいてずっと悲しい思いがさらに多くなるのである。絶えず南にむかって飛んでいる鴈のようには私に似て故郷を離れて南征しつづけているのだ。
願飛安得翼、欲済河無梁。
願うことなら飛んで帰りたいがどうしたら翼を手にいれられるのだろうということであり、河を渡ろうと思ってみたけれど橋が無いということだ。
向風長嘆息、断絶我中腸。

季節も変わりかけてきて北風が吹くようになり、故郷の方から吹く風に向って長い嘆息を吐くのである、そして私は心配のあまり腸が絶ち切れそうになるのである。


雑詩二首 其二
西北有浮雲、亭亭如車蓋。
それにしても都許都の方角が気になり見上げてみれば浮浪雲がうかんでいる。高い所にありまるでそこに車の蓋いから見られているかのようだ。
惜哉時不遇、適與飄風會。
惜しいこととおもうのはわたしは時の運が悪く、たまたま吹き起こったつむじ風のように父の威光に吹き飛ばされてしまうことがあるのだ。
吹我東南行、行行至呉會。
私に命が下って呉を攻めよと東南方向の行軍を続けるうち、とうとう呉・会稽の地まで攻め落とせということである。
呉會非我郷、安得久留滯。
しかし、呉・会稽は我々の故郷ではないのである。どうして長く攻め続けていることができようか。
棄置勿複陳、客子常畏人。
この事は聞かなかったことと捨て置かれよ、そのようなことに度とふたたびいうことはない。戦線を維持するものとして『論語』でいう「君子に三畏有り」で常に油断してはならないということだ。

#1
漫漫とするは秋の夜長【よなが】、烈烈とする北風の涼【りょう】。
展転として寐【い】ぬる能はず、衣を披【き】て起って彷徨す。
彷徨【ほうこう】忽【たちま】ち已に久しく、白露我が裳【しょう】を霑【うるお】す。
俯して清水の波を視て、仰ぎて明月の光を看る。
#2
天漢【あまのかわ】廻り西に流れ、三五【さんご】正に縦横たり。
草蟲【そうちゅう】鳴いて何ぞ悲しき、孤鴈獨り南に翔【かけ】る。
鬱鬱【うつうつ】として悲思多く、緜緜【めんめん】として故郷を思う。
飛ばんことを願へども安んぞ翼を得ん、済【わた】らんと欲するも河に梁無し。
風に向かい長く嘆息し、我が中腸を断絶す。



雑詩二首 其二
西北 浮雲有り、亭亭 車蓋の如し。
惜しい哉 時遇うことなく、適與するに飄風に會う。
我に吹くこと 東南行なり、行き行きて呉會に至る。
呉會 我が郷に非ず、安んぞ久しく留滯するを得ん。
棄置して複た陳ぶる勿れ、客子 人を畏るるを常とするなり。




『雑詩二首』 其二 現代語訳と訳註
(本文)
雑詩二首 其二
西北有浮雲、亭亭如車蓋。
惜哉時不遇、適與飄風會。
吹我東南行、行行至呉會。
呉會非我郷、安得久留滯。
棄置勿複陳、客子常畏人。


(下し文)
雑詩二首 其二
西北 浮雲有り、亭亭 車蓋の如し。
惜しい哉 時遇うことなく、適與するに飄風に會う。
我に吹くこと 東南行なり、行き行きて呉會に至る。
呉會 我が郷に非ず、安んぞ久しく留滯するを得ん。
棄置して複た陳ぶる勿れ、客子 人を畏るるを常とす


(現代語訳)
それにしても都許都の方角が気になり見上げてみれば浮浪雲がうかんでいる。高い所にありまるでそこに車の蓋いから見られているかのようだ。
惜しいこととおもうのはわたしは時の運が悪く、たまたま吹き起こったつむじ風のように父の威光に吹き飛ばされてしまうことがあるのだ。
私に命が下って呉を攻めよと東南方向の行軍を続けるうち、とうとう呉・会稽の地まで攻め落とせということである。
しかし、呉・会稽は我々の故郷ではないのである。どうして長く攻め続けていることができようか。
この事は聞かなかったことと捨て置かれよ、そのようなことに度とふたたびいうことはない。戦線を維持するものとして『論語』でいう「君子に三畏有り」で常に油断してはならないということだ。


(訳注) 雑詩二首 其二
西北有浮雲、亭亭如車蓋。

それにしても都許都の方角が気になり見上げてみれば浮浪雲がうかんでいる。高い所にありまるでそこに車の蓋いから見られているかのようだ。
・亭亭 高くそびえているさま。 
・車蓋 車の蓋い。父曹操の事が気になって父の馬車が来ていてそこから自分の様子を監視されているのかということ。


惜哉時不遇、適與飄風會。
惜しいこととおもうのはわたしは時の運が悪く、たまたま吹き起こったつむじ風のように父の威光に吹き飛ばされてしまうことがあるのだ。
・時不遇 適時が悪い。幸運にめぐりあわせなかった。
・適與 適与。たまたま。
・飄風 つむじ風。
・呉會 呉会。呉郡と会稽郡。現江蘇・浙江一帯。


吹我東南行、行行至呉會。
私に命が下って呉を攻めよと東南方向の行軍を続けるうち、とうとう呉・会稽の地まで攻め落とせということである。


呉會非我郷、安得久留滯。
しかし、呉・会稽は我々の故郷ではないのである。どうして長く攻め続けていることができようか。
・安 いずくんぞ。どうして~できようか。 
・留滯 滞在。ここでは自分の国魏から遠くなれば救援物資から何からして維持できるものではない。呉の孫権を懲らしめる程度でよいのではないかということ。


棄置勿複陳、客子常畏人。
この事は聞かなかったことと捨て置かれよ、そのようなことに度とふたたびいうことはない。戦線を維持するものとして『論語』でいう「君子に三畏有り」で常に油断してはならないということだ。
棄置勿複陳 捨て置かれよ、そのようなことに度とふたたびいうものではない。慣用句。
・客子 旅人。よそ者。普通の旅人ではなく戦線を戦うもの。
『論語•季氏篇』 孔子曰 君子有三畏。畏天命,畏大人,畏聖人之言。
こうして、父曹操は戦に大敗することも多くあったが、曹丕は負けないのである。

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雑詩二首 其一
漫漫秋夜長、烈烈北風涼。
展転不能寐、披衣起彷徨。
彷徨忽已久、白露霑我裳。
俯視清水波、仰看明月光。

天漢廻西流、三五正縦横。
草蟲鳴何悲、孤鴈獨南翔。
鬱鬱多悲思、緜緜思故郷。
願飛安得翼、欲済河無梁。
向風長嘆息、断絶我中腸。


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雑詩二首 其一
#1
漫漫秋夜長、烈烈北風涼。
広々と果てしないこの地に来て秋の夜長は愁いに沈むと辛い、そのうえすでに北風が猛烈に吹き始めて涼しさが肌に挿すようである。
展転不能寐、披衣起彷徨。
父の思いに憂いはつのり、寝らねぬままに寝返りをうつのである。こんどは、起きて上着を羽織り歩き廻るのである。
彷徨忽已久、白露霑我裳。
しかしそれもさまよい歩くうち、忽ち時が久しく立っていることに気付く、知らぬ間に白露が私の衣裳を霑しているのである。
俯視清水波、仰看明月光。

そこにたたずみ、目をしたにむければ清らかな水と強い風によるさざ波を視るのであり、目を挙げれば仲秋の明月の光が蚊が気照らすのを見るのである。
#2
天漢廻西流、三五正縦横。
天の河は廻って、西の方に流れて行き季節は秋も深まってくる。あれだけよく見えていた天の川も星が三つ、五つとまさに日暮れの南北の流れはもう東西の流れになっている。
草蟲鳴何悲、孤鴈獨南翔。
それにしても秋の草虫の鳴く音は何と悲しいことであろうか、群を離れた一羽の鴈が独り南に翔けてとんでゆく。
鬱鬱多悲思、緜緜思故郷。
私の気持ちはとても沈んでいてずっと悲しい思いがさらに多くなるのである。絶えず南にむかって飛んでいる鴈のようには私に似て故郷を離れて南征しつづけているのだ。
願飛安得翼、欲済河無梁。
願うことなら飛んで帰りたいがどうしたら翼を手にいれられるのだろうということであり、河を渡ろうと思ってみたけれど橋が無いということだ。
向風長嘆息、断絶我中腸。
季節も変わりかけてきて北風が吹くようになり、故郷の方から吹く風に向って長い嘆息を吐くのである、そして私は心配のあまり腸が絶ち切れそうになるのである。
#1
漫漫とするは秋の夜長【よなが】、烈烈とする北風の涼【りょう】。
展転として寐【い】ぬる能はず、衣を披【き】て起って彷徨す。
彷徨【ほうこう】忽【たちま】ち已に久しく、白露我が裳【しょう】を霑【うるお】す。
俯して清水の波を視て、仰ぎて明月の光を看る。
#2
天漢【あまのかわ】廻り西に流れ、三五【さんご】正に縦横たり。
草蟲【そうちゅう】鳴いて何ぞ悲しき、孤鴈獨り南に翔【かけ】る。
鬱鬱【うつうつ】として悲思多く、緜緜【めんめん】として故郷を思う。
飛ばんことを願へども安んぞ翼を得ん、済【わた】らんと欲するも河に梁無し。
風に向かい長く嘆息し、我が中腸を断絶す。

銀河002

『雑詩二首』 其一 現代語訳と訳註
(本文)

天漢廻西流、三五正縦横。
草蟲鳴何悲、孤鴈獨南翔。
鬱鬱多悲思、緜緜思故郷。
願飛安得翼、欲済河無梁。
向風長嘆息、断絶我中腸。


(下し文)
#2
天漢【あまのかわ】廻り西に流れ、三五【さんご】正に縦横たり。
草蟲【そうちゅう】鳴いて何ぞ悲しき、孤鴈獨り南に翔【かけ】る。
鬱鬱【うつうつ】として悲思多く、緜緜【めんめん】として故郷を思う。
飛ばんことを願へども安んぞ翼を得ん、済【わた】らんと欲するも河に梁無し。
風に向かい長く嘆息し、我が中腸を断絶す。


(現代語訳)
天の河は廻って、西の方に流れて行き季節は秋も深まってくる。あれだけよく見えていた天の川も星が三つ、五つとまさに日暮れの南北の流れはもう東西の流れになっている。
それにしても秋の草虫の鳴く音は何と悲しいことであろうか、群を離れた一羽の鴈が独り南に翔けてとんでゆく。
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(訳注)
天漢廻西流、三五正縦横。

天の河は廻って、西の方に流れて行き季節は秋も深まってくる。あれだけよく見えていた天の川も星が三つ、五つとまさに日暮れの南北の流れはもう東西の流れになっている。
天漢 あまのがわ。天河・銀河・経河・河漢・銀漢・雲漢・星漢・天津・漢津等はみなその異名である。
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燕臺詩四首 其二 夏#1 李商隠130 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 130-#1


草蟲鳴何悲、孤鴈獨南翔。
それにしても秋の草虫の鳴く音は何と悲しいことであろうか、群を離れた一羽の鴈が独り南に翔けてとんでゆく。


鬱鬱多悲思、緜緜思故郷。
私の気持ちはとても沈んでいてずっと悲しい思いがさらに多くなるのである。絶えず南にむかって飛んでいる鴈のようには私に似て故郷を離れて南征しつづけているのだ。
・鬱鬱【うつうつ】1 心の中に不安や心配があって思い沈むさま。2 草木がよく茂っているさま。
緜緜 緻密な平絹がほどかれて行く様に絶えずやむなく続くこと。。


願飛安得翼、欲済河無梁。
願うことなら飛んで帰りたいがどうしたら翼を手にいれられるのだろうということであり、河を渡ろうと思ってみたけれど橋が無いということだ。


向風長嘆息、断絶我中腸。
季節も変わりかけてきて北風が吹くようになり、故郷の方から吹く風に向って長い嘆息を吐くのである、そして私は心配のあまり腸が絶ち切れそうになるのである。
断絶我中腸 此の詩は曹丕が太子という地位から落されるかもしれない、曹植に対する嫉妬心が猛烈に湧いてきているのである。本来、下半身のやるせなさを意味する断腸であるが、その思いと曹植に対する嫉妬心を表現したものと解釈した方が断然面白く味わい深いものになる。

217年、正式に太子として指名される。この時、同母弟で五男の曹植と太子の座を争ったと言われている。本来なら、嫡男で長子である曹丕が後継者となるのが筋であるが、曹操が曹植を寵愛した為、「曹丕派」と「曹植派」に分かれたのである。実際には本人同士という訳でなく、その取り巻きによる権力争いと言った方が正確である。218年曹丕が呉を攻めている際、父魏王曹操が曹植を太子にするのではないかと憂愁の気持ちをこの詩に詠っているとされる。

雑詩二首(一) 曹丕(魏文帝) 魏詩<6-#1>文選 雑詩 上 625 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1717

雑詩二首(一) 曹丕(魏文帝)
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩

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 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩雑詩二首(一) 曹丕(魏文帝) 魏詩<6-#1>文選 雑詩 上 625 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1717 
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雑詩二首(一) 曹丕(魏文帝) 魏詩<6-#1>文選 雑詩 上 625 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1717


雑詩二首 其一
漫漫秋夜長、烈烈北風涼。
展転不能寐、披衣起彷徨。
彷徨忽已久、白露霑我裳。
俯視清水波、仰看明月光。

天漢廻西流、三五正縦横。
草蟲鳴何悲、孤鴈獨南翔。
鬱鬱多悲思、緜緜思故郷。
願飛安得翼、欲済河無梁。
向風長嘆息、断絶我中腸。

雑詩二首 其二
西北有浮雲、亭亭如車蓋。
惜哉時不遇、適與飄風會。
吹我東南行、行行至呉會。
呉會非我郷、安得久留滯。
棄置勿複陳、客子常畏人。



雑詩二首 其一
#1
漫漫秋夜長、烈烈北風涼。
広々と果てしないこの地に来て秋の夜長は愁いに沈むと辛い、そのうえすでに北風が猛烈に吹き始めて涼しさが肌に挿すようである。
展転不能寐、披衣起彷徨。
父の思いに憂いはつのり、寝らねぬままに寝返りをうつのである。こんどは、起きて上着を羽織り歩き廻るのである。
彷徨忽已久、白露霑我裳。
しかしそれもさまよい歩くうち、忽ち時が久しく立っていることに気付く、知らぬ間に白露が私の衣裳を霑しているのである。
俯視清水波、仰看明月光。

そこにたたずみ、目をしたにむければ清らかな水と強い風によるさざ波を視るのであり、目を挙げれば仲秋の明月の光が蚊が気照らすのを見るのである。
#2
天漢廻西流、三五正縦横。
草蟲鳴何悲、孤鴈獨南翔。
鬱鬱多悲思、緜緜思故郷。
願飛安得翼、欲済河無梁。
向風長嘆息、断絶我中腸。
#1
漫漫とするは秋の夜長【よなが】、烈烈とする北風の涼【りょう】。
展転として寐【い】ぬる能はず、衣を披【き】て起って彷徨す。
彷徨【ほうこう】忽【たちま】ち已に久しく、白露我が裳【しょう】を霑【うるお】す。
俯して清水の波を視て、仰ぎて明月の光を看る。
#2

天漢【あまのかわ】廻り西に流れ、三五【さんご】正に縦横たり。
草蟲【そうちゅう】鳴いて何ぞ悲しき、孤鴈獨り南に翔【かけ】る。
鬱鬱【うつうつ】として悲思多く、緜緜【めんめん】として故郷を思う。
飛ばんことを願へども安んぞ翼を得ん、済【わた】らんと欲するも河に梁無し。
風に向かい長く嘆息し、我が中腸を断絶す。


『雑詩二首』 其一 現代語訳と訳註
(本文)

雑詩二首 其一
#1
漫漫秋夜長、烈烈北風涼。
展転不能寐、披衣起彷徨。
彷徨忽已久、白露霑我裳。
俯視清水波、仰看明月光。


(下し文)#1
漫漫とするは秋の夜長【よなが】、烈烈とする北風の涼【りょう】。
展転として寐【い】ぬる能はず、衣を披【き】て起って彷徨す。
彷徨【ほうこう】忽【たちま】ち已に久しく、白露我が裳【しょう】を霑【うるお】す。
俯して清水の波を視て、仰ぎて明月の光を看る。


(現代語訳)
広々と果てしないこの地に来て秋の夜長は愁いに沈むと辛い、そのうえすでに北風が猛烈に吹き始めて涼しさが肌に挿すようである。
父の思いに憂いはつのり、寝らねぬままに寝返りをうつのである。こんどは、起きて上着を羽織り歩き廻るのである。
しかしそれもさまよい歩くうち、忽ち時が久しく立っていることに気付く、知らぬ間に白露が私の衣裳を霑しているのである。
そこにたたずみ、目をしたにむければ清らかな水と強い風によるさざ波を視るのであり、目を挙げれば仲秋の明月の光が蚊が気照らすのを見るのである。


(訳注)
雑詩二首 其一
217年、正式に太子として指名される。この時、同母弟で五男の曹植と太子の座を争ったと言われている。本来なら、嫡男で長子である曹丕が後継者となるのが筋であるが、曹操が曹植を寵愛した為、「曹丕派」と「曹植派」に分かれたのである。実際には本人同士という訳でなく、その取り巻きによる権力争いと言った方が正確である。218年曹丕が呉を攻めている際、父魏王曹操が曹植を太子にするのではないかと憂愁の気持ちをこの詩に詠っているとされる。

#1
漫漫秋夜長、烈烈北風涼。
広々と果てしないこの地に来て秋の夜長は愁いに沈むと辛い、そのうえすでに北風が猛烈に吹き始めて涼しさが肌に挿すようである。
漫漫 広々と果てしないさま。
夜長 昼間の時間が急速に短くなって夜の火灯し時間が長くなる。夜の寂しさ、憂える気持ちを強調するもの。
烈烈 気迫・炎などの勢いがはげしいさま。


展転不能寐、披衣起彷徨。
父の思いに憂いはつのり、寝らねぬままに寝返りをうつのである。こんどは、起きて上着を羽織り歩き廻るのである。
展転 寝返りをうつことだが、この情景は女性が大生の寵愛が受けられずに眠れぬままに寝返りを繰り返す場合の語句であり、曹丕が父曹操に対して、女子が持つ気持ちと同じものであるということである。


彷徨忽已久、白露霑我裳。
しかしそれもさまよい歩くうち、忽ち時が久しく立っていることに気付く、知らぬ間に白露が私の衣裳を霑しているのである。


俯視清水波、仰看明月光。
そこにたたずみ、目をしたにむければ清らかな水と強い風によるさざ波を視るのであり、目を挙げれば仲秋の明月の光が蚊が気照らすのを見るのである。
明月 清らかに澄んだ月。仲秋の月。満月。
古詩十九首之第七首
明月皎夜光,促織鳴東壁。
玉衡指孟冬,眾星何歷歷。
白露沾野草,時節忽復易。
秋蟬鳴樹間,玄鳥逝安適。

古詩十九首之七 (7) 漢詩<94



古詩十九首之十七 漢の無名氏 (17) 漢詩<104


 

燕歌行二首 其二 曹丕(魏文帝) 魏詩<5>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 女性詩624 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1713

古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
燕歌行二首 其二 曹丕(魏文帝)


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燕歌行二首 其二 曹丕(魏文帝) 魏詩<5>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 女性詩624 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1713



楽府 燕歌行 二首
曹丕 魏文帝 
《魏文帝集》《玉臺新詠》文選 古詩源
其一
秋風蕭瑟天氣涼 草木搖落露為霜
群燕辭歸雁南翔 念君客遊多思腸
慊慊思歸戀故鄉 君何淹留寄他方
賤妾煢煢守空房 憂來思君不敢忘
不覺淚下沾衣裳 援琴鳴弦發清商
短歌微吟不能長 明月皎皎照我床
星漢西流夜未央 牽牛織女遙相望
爾獨何辜限河梁

其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
留連顧懷不能存。


玉臺新詠 楽府 燕歌行 二首
其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
別れの日が来て別れることはどうしてこんなに容易いことなのに、会える日が来ることはこんなにも難しいのです。山や川は遙かに遠く、道は長くて遠いものなのです。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
あなたを思うことは心がふさいで晴れないことではあるがいまだにあえて言葉に出して言えないし、はぐれぐもに言付けを寄せたいと思うのですが句も入ってしまって帰ってこないのです。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
悲しくて涙が零れ落ちて雨のように顔に垂れ、化粧は崩れてしまうのです、誰が能く愁いを思い歎かれずにおれないのです。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
詩詞を展げ読み、清々しい歌を唄い自分で気を紛らわせようとするのです。樂しく過ごした時は往き過ぎ、哀しみは來たままでこころもからだも摧けてしまいそうです。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
床についても浩々とした明かりに感じるほど頭が冴えてよく眠れないのです。衣を羽織って戸外へ出て東へ西へと歩き回るのです。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
仰ぎ見ると星や月でさえも雲間にかくれ、二人の夜のことに思えるのです。眠れない夜を過ごして朝が来る、マナヅルが飛び立って鳴く声を聴くとまた憐れな気持ちになるのです。
留連顧懷不能存。
このやるせない気持ちが連綿と続き、思いを振り返ってみると、このまま生きながらえてもよくはないと思うのです。

其の二
別日何んぞ易く會日難き,山や川 遙遠 路 漫漫。
鬱陶【うつとう】君を思うて未だ敢えて言わず,聲を浮雲に寄すれば往けども還らず。
涕零ちて面に雨ふり容顏を毀つ,誰か能く憂を懷いて獨り嘆ぜざらん。
詩を展べて清歌し聊【いささ】か自ら寬【ゆる】うし,樂しみ往き哀しみ來りて肺肝を摧【くだ】く。
耿耿【こうこう】として枕に伏すも眠に能わず,衣を披【ひら】き戶を出で東西に步す。
仰いで星月を看て雲間を觀る,飛鶬【ひそう】晨に鳴いて聲憐れむ可し。
留連【りゅうれん】顧懷【こかい】存する能わず。


『燕歌行 二首』其二 現代語訳と訳註
(本文)

別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
留連顧懷不能存。


(下し文)其の二
別日何んぞ易く會日難き,山や川 遙遠 路 漫漫。
鬱陶【うつとう】君を思うて未だ敢えて言わず,聲を浮雲に寄すれば往けども還らず。
涕零ちて面に雨ふり容顏を毀つ,誰か能く憂を懷いて獨り嘆ぜざらん。
詩を展べて清歌し聊【いささ】か自ら寬【ゆる】うし,樂しみ往き哀しみ來りて肺肝を摧【くだ】く。
耿耿【こうこう】として枕に伏すも眠に能わず,衣を披【ひら】き戶を出で東西に步す。
仰いで星月を看て雲間を觀る,飛鶬【ひそう】晨に鳴いて聲憐れむ可し。
留連【りゅうれん】顧懷【こかい】存する能わず。


(現代語訳)
別れの日が来て別れることはどうしてこんなに容易いことなのに、会える日が来ることはこんなにも難しいのです。山や川は遙かに遠く、道は長くて遠いものなのです。
あなたを思うことは心がふさいで晴れないことではあるがいまだにあえて言葉に出して言えないし、はぐれぐもに言付けを寄せたいと思うのですが句も入ってしまって帰ってこないのです。
悲しくて涙が零れ落ちて雨のように顔に垂れ、化粧は崩れてしまうのです、誰が能く愁いを思い歎かれずにおれないのです。
詩詞を展げ読み、清々しい歌を唄い自分で気を紛らわせようとするのです。樂しく過ごした時は往き過ぎ、哀しみは來たままでこころもからだも摧けてしまいそうです。
床についても浩々とした明かりに感じるほど頭が冴えてよく眠れないのです。衣を羽織って戸外へ出て東へ西へと歩き回るのです。
仰ぎ見ると星や月でさえも雲間にかくれ、二人の夜のことに思えるのです。眠れない夜を過ごして朝が来る、マナヅルが飛び立って鳴く声を聴くとまた憐れな気持ちになるのです。
このやるせない気持ちが連綿と続き、思いを振り返ってみると、このまま生きながらえてもよくはないと思うのです。


(訳注) 其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
別れの日が来て別れることはどうしてこんなに容易いことなのに、会える日が来ることはこんなにも難しいのです。山や川は遙かに遠く、道は長くて遠いものなのです。
・漫漫 ひろくはるかなさま。ながくとおいさま。雲がたなびくさま。


鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
あなたを思うことは心がふさいで晴れないことではあるがいまだにあえて言葉に出して言えないし、はぐれぐもに言付けを寄せたいと思うのですが句も入ってしまって帰ってこないのです。
・鬱陶 心がふさいで晴れないこと。


涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
悲しくて涙が零れ落ちて雨のように顔に垂れ、化粧は崩れてしまうのです、誰が能く愁いを思い歎かれずにおれないのです。


展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
詩詞を展げ読み、清々しい歌を唄い自分で気を紛らわせようとするのです。樂しく過ごした時は往き過ぎ、哀しみは來たままでこころもからだも摧けてしまいそうです。
・展詩 詩詞を展げ読むこと。
・肺肝 肺と肝臓であるが、日本語でいえば心も体もというところだろう。


耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
床についても浩々とした明かりに感じるほど頭が冴えてよく眠れないのです。衣を羽織って戸外へ出て東へ西へと歩き回るのです。


仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
仰ぎ見ると星や月でさえも雲間にかくれ、二人の夜のことに思えるのです。眠れない夜を過ごして朝が来る、マナヅルが飛び立って鳴く声を聴くとまた憐れな気持ちになるのです。
・星月 星は男性、月は女性。
・雲間 仰ぎ見て雲の間に月と星が見え隠れする。その動きが性行為を象徴するものであるために、あわれを誘うのである。。


留連顧懷不能存。
このやるせない気持ちが連綿と続き、思いを振り返ってみると、このまま生きながらえてもよくはないと思うのです。


燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#2>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 623 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1709

古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝)

◆◆◆2012年12月24日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  
Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
 
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩 
燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#2>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 623 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1709
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67760860.html


Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
秋懐詩十一首(1)-#2 韓愈 韓退之(韓愈)詩<101>Ⅱ中唐詩536 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1710
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6150165.html


Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、全詩1/3を掲載済。 
”成都紀行(12)”  成都府 杜甫詩1000 <352>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1711 杜甫1500- 527
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67760765.html


Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#9> (12/24)
        http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-577.html
 
Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『酒泉子』四首(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-22-3-#2 花間集 i紀頌之の漢詩ブログ1704
        http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21272994.html
 
謝靈運詩   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html


燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#2>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 623 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1709


楽府 燕歌行 二首
曹丕 魏文帝 
《魏文帝集》《玉臺新詠》文選 古詩源
其一
秋風蕭瑟天氣涼 草木搖落露為霜
群燕辭歸雁南翔 念君客遊多思腸
慊慊思歸戀故鄉 君何淹留寄他方
賤妾煢煢守空房 憂來思君不敢忘
不覺淚下沾衣裳 援琴鳴弦發清商
短歌微吟不能長 明月皎皎照我床
星漢西流夜未央 牽牛織女遙相望
爾獨何辜限河梁

]其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
留連顧懷不能存。



燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝)
#1
秋風蕭瑟天氣涼,草木搖落露為霜,群燕辭歸雁南翔。
物寂しく秋風が瑟を奏でるように吹きはじめると冷ややかで秋の気配になる。草木の葉も紅葉し落ちてきて、夜露はやがて霜へ変わっていく。ツバメは群れをなしてここから南へと去り、雁は北から南下して飛んでくる。
念君客遊多思腸,慊慊思歸戀故鄉,君何淹留寄他方!
あなたのことを思い続けているけれどあなたは旅の空のもとのままで私ははらわたに痛みを感じる日々が続いているのです。あなたは役目柄心に満足しない思いを持ったまま故郷のことを恋しくおもっでいることでしょう。それなのにあなたは長い間逗留し続けて他国によく居続けられますね。
賤妾煢煢守空房,憂來思君不敢忘。

本当に思い焦がれているわたくしはどんなにさみしく孤独であってもあなたのいない部屋でじっと貞操を守っているのです。心配事がたくさんあり、あなたのこと思うあまり片時たりとも忘れることはありません。
#2
不覺淚下沾衣裳。
だから、何時とはなしに涙が零れ落ち、衣裳もこの通り濡れています。
援琴鳴弦發清商,短歌微吟不能長。
時に琴を引き寄せて糸をたたいて鳴らします、琴と笛の和調で澄んだ音調で秋の清々しい風にもの悲しい声調を発するのです。悲しさと涙で、長い歌も短い歌に着れてしまい、頭声の響きも震えた声になってとても長く響かせないのです。
明月皎皎照我床,星漢西流夜未央。
折からの仲秋の名月はこうこうと私の閨の床を照らしています。天の川は西の空に流れて薄くなりましたがまだ夜明けになるには早すぎます。
牽牛織女遙相望,爾獨何辜限河梁?
牽牛と織女は川を遙かに隔てて互いにのぞみ見ている。この人たちはどんな罪があって、この河と橋をいつでも渡れないことに限られたのでしょうか。(彦星と織姫はまだ7月7日にあえるのですが、罪を犯していないこの私はもう逢えないのでしょうか。)

#1
秋風蕭瑟として天気涼し、草木揺落して露、霜となり、群燕辞し帰り、雁南に翔ける。
君が客遊を念ひて思い断腸、慊慊として帰るを思い故郷を恋(した)わん、何ぞ淹留(えんりゅう)して他方に寄る。
賎妾煢煢(けいけい)として空房を守り、憂い来たりて君を思い忘れず。
#2
覚えず涙下りて衣装を沾(うるお)す。
琴を援(ひ)き絃を鳴らせば清商を発し、短歌微吟を長うするあたはず。
明月皎皎(きょうきょう)として我が牀を照らし、星漢西に流れて夜未だ央(つ)きず。
牽牛織女遙かに相望み、爾独り何の辜(つみ)ありてか河梁に限らる。


『燕歌行 二首』其一 現代語訳と訳註
(本文) #2
不覺淚下沾衣裳。
援琴鳴弦發清商,短歌微吟不能長。
明月皎皎照我床,星漢西流夜未央。
牽牛織女遙相望,爾獨何辜限河梁?


(下し文) #2
覚えず涙下りて衣装を沾(うるお)す。
琴を援(ひ)き絃を鳴らせば清商を発し、短歌微吟を長うするあたはず。
明月皎皎(きょうきょう)として我が牀を照らし、星漢西に流れて夜未だ央(つ)きず。
牽牛織女遙かに相望み、爾独り何の辜(つみ)ありてか河梁に限らる。


(現代語訳)
だから、何時とはなしに涙が零れ落ち、衣裳もこの通り濡れています。
時に琴を引き寄せて糸をたたいて鳴らします、琴と笛の和調で澄んだ音調で秋の清々しい風にもの悲しい声調を発するのです。悲しさと涙で、長い歌も短い歌に着れてしまい、頭声の響きも震えた声になってとても長く響かせないのです。
折からの仲秋の名月はこうこうと私の閨の床を照らしています。天の川は西の空に流れて薄くなりましたがまだ夜明けになるには早すぎます。
牽牛と織女は川を遙かに隔てて互いにのぞみ見ている。この人たちはどんな罪があって、この河と橋をいつでも渡れないことに限られたのでしょうか。(彦星と織姫はまだ7月7日にあえるのですが、罪を犯していないこの私はもう逢えないのでしょうか。)


(訳注) #2
不覺淚下沾衣裳。
だから、何時とはなしに涙が零れ落ち、衣裳もこの通り濡れています。


援琴鳴弦發清商,短歌微吟不能長。
時に琴を引き寄せて糸をたたいて鳴らします、琴と笛の和調で澄んだ音調で秋の清々しい風にもの悲しい声調を発するのです。悲しさと涙で、長い歌も短い歌に着れてしまい、頭声の響きも震えた声になってとても長く響かせないのです。
・清商 宮・商・角・微・羽。の五音の第2音,琴と笛の和調で澄んだ音調で秋の清々しい風にもの悲しい声調をいう。『古詩十九首 第五首』第五首「西北有高樓,上與浮雲齊。交疏結綺窗,阿閣三重階。上有弦歌聲,音響一何悲。誰能為此曲?無乃杞梁妻!清商隨風發,中曲正徘徊。一彈再三嘆,慷慨有餘哀。不惜歌者苦,但傷知音希,願為雙鴻鵠,奮翅起高飛。
杜甫『秋笛』「 清商欲盡奏,奏苦血沾衣。他日傷心極,徵人白骨歸。 相逢恐恨過,故作發聲微。不見秋雲動,悲風稍稍飛。」
・微吟 頭の上から声を出す「頭声」のことで、大きく張り上げるわけではなく、口腔でよく響かせて出す声。


明月皎皎照我床,星漢西流夜未央。
折からの仲秋の名月はこうこうと私の閨の床を照らしています。天の川は西の空に流れて薄くなりましたがまだ夜明けになるには早すぎます。
・星漢 天の川。天河・銀河・経河・銀漢・雲漢・星漢・天津・漢津等はみなその異名である。杜甫『天河』。夏に明るくなっていた天の川も秋になると光度が落ちて來るので川を渡ることが出来ないとされるもの。


牽牛織女遙相望,爾獨何辜限河梁?
牽牛と織女は川を遙かに隔てて互いにのぞみ見ている。この人たちはどんな罪があって、この河と橋をいつでも渡れないことに限られたのでしょうか。(彦星と織姫はまだ7月7日にあえるのですが、罪を犯していないこの私はもう逢えないのでしょうか。)
牽牛織女 牽牛星、織女星、この二星は七月七日の夕、一年に一回逢い会するといわれる。織女星が烏鵠のわたした橋をわたって牽牛星の方へゆくというもの。 また、「漢武内伝」に見える漢の武帝劉徹(紀元前157-87)と西王母の逢瀬を指す。承華殿に閑居していた武帝の前に、青い鳥の化身の美女が現われ、妾は墉宮の王子登というもの、七月七日に道教西の理想郷の仙女西王母が来ることをお伝えにきましたと言った。武帝は延霊台に登って待ったところ、果して七夕の夜に西王母がやって来たという。

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燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#1>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 622 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1705

古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝)




燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#1>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 622 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1705


楽府 燕歌行 二首
曹丕 魏文帝 
《魏文帝集》《玉臺新詠》文選 古詩源
其一
秋風蕭瑟天氣涼 草木搖落露為霜
群燕辭歸雁南翔 念君客遊多思腸
慊慊思歸戀故鄉 君何淹留寄他方
賤妾煢煢守空房 憂來思君不敢忘
不覺淚下沾衣裳 援琴鳴弦發清商
短歌微吟不能長 明月皎皎照我床
星漢西流夜未央 牽牛織女遙相望
爾獨何辜限河梁

]其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
留連顧懷不能存。



燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝)
#1
秋風蕭瑟天氣涼,草木搖落露為霜,群燕辭歸雁南翔。
物寂しく秋風が瑟を奏でるように吹きはじめると冷ややかで秋の気配になる。草木の葉も紅葉し落ちてきて、夜露はやがて霜へ変わっていく。ツバメは群れをなしてここから南へと去り、雁は北から南下して飛んでくる。
念君客遊多思腸,慊慊思歸戀故鄉,君何淹留寄他方!
あなたのことを思い続けているけれどあなたは旅の空のもとのままで私ははらわたに痛みを感じる日々が続いているのです。あなたは役目柄心に満足しない思いを持ったまま故郷のことを恋しくおもっでいることでしょう。それなのにあなたは長い間逗留し続けて他国によく居続けられますね。
賤妾煢煢守空房,憂來思君不敢忘。
本当に思い焦がれているわたくしはどんなにさみしく孤独であってもあなたのいない部屋でじっと貞操を守っているのです。心配事がたくさんあり、あなたの子と思うあまり片時たりとも忘れることはありません。
#2
不覺淚下沾衣裳。
援琴鳴弦發清商,短歌微吟不能長。
明月皎皎照我床,星漢西流夜未央。
牽牛織女遙相望,爾獨何辜限河梁?

#1
秋風蕭瑟として天気涼し、草木揺落して露、霜となり、群燕辞し帰り、雁南に翔ける。
君が客遊を念ひて思い断腸、慊慊として帰るを思い故郷を恋(した)わん、何ぞ淹留(えんりゅう)して他方に寄る。
賎妾煢煢(けいけい)として空房を守り、憂い来たりて君を思い忘れず。

#2
覚えず涙下りて衣装を沾(うるお)す。
琴を援(ひ)き絃を鳴らせば清商を発し、短歌微吟を長うするあたはず。
明月皎皎(きょうきょう)として我が牀を照らし、星漢西に流れて夜未だ央(つ)きず。
牽牛織女遙かに相望み、爾独り何の辜(つみ)ありてか河梁に限らる。


『燕歌行 二首』其一 現代語訳と訳註
(本文)
#1
秋風蕭瑟天氣涼,草木搖落露為霜,群燕辭歸雁南翔。念君客遊多思腸,慊慊思歸戀故鄉,君何淹留寄他方!
賤妾煢煢守空房,憂來思君不敢忘。


(下し文) #1
秋風蕭瑟として天気涼し、草木揺落して露、霜となり、群燕辞し帰り、雁南に翔ける。
君が客遊を念ひて思い断腸、慊慊として帰るを思い故郷を恋(した)わん、何ぞ淹留(えんりゅう)して他方に寄る。
賎妾煢煢(けいけい)として空房を守り、憂い来たりて君を思い忘れず。


(現代語訳)
物寂しく秋風が瑟を奏でるように吹きはじめると冷ややかで秋の気配になる。草木の葉も紅葉し落ちてきて、夜露はやがて霜へ変わっていく。ツバメは群れをなしてここから南へと去り、雁は北から南下して飛んでくる。
あなたのことを思い続けているけれどあなたは旅の空のもとのままで私ははらわたに痛みを感じる日々が続いているのです。あなたは役目柄心に満足しない思いを持ったまま故郷のことを恋しくおもっでいることでしょう。それなのにあなたは長い間逗留し続けて他国によく居続けられますね。
本当に思い焦がれているわたくしはどんなにさみしく孤独であってもあなたのいない部屋でじっと貞操を守っているのです。心配事がたくさんあり、あなたの子と思うあまり片時たりとも忘れることはありません。


(訳注)
燕歌行二首
 其一 曹丕(魏文帝)この作により、兮、而による七言ではない七言詩が出現したことにあるが、詩としては初期の稚拙感と借用感は免れない。


#1
秋風蕭瑟天氣涼,草木搖落露為霜,群燕辭歸雁南翔。

物寂しく秋風が瑟を奏でるように吹きはじめて、冷ややかで秋の気配になりました。草木の葉も紅葉し落ちてきて、夜露はやがて霜へ変わっていきます。ツバメは群れをなしてここから南へと去り、雁は北から南下して飛んでくるのです。
・蕭瑟 物寂しく秋風の吹くさま。宋玉『九辨』「悲哉秋之為氣也!蕭瑟兮草木搖落而變衰」、魏 武帝『苦寒行』「北上太行山,艱哉何巍巍! 羊腸阪詰屈,車輪為之摧。 樹木何蕭瑟,北風聲正悲!」とある。これ以降、蕭瑟、悲愁、惆悵がセットのように使われる。特に宋玉『九辨』は「悲秋」感情のバイブルのようなものである。


念君客遊多思腸,慊慊思歸戀故鄉,君何淹留寄他方!
あなたのことを思い続けているけれどあなたは旅の空のもとのままで私ははらわたに痛みを感じる日々が続いているのです。あなたは役目柄心に満足しない思いを持ったまま故郷のことを恋しくおもっでいることでしょう。それなのにあなたは長い間逗留し続けて他国によく居続けられますね。
・思腸 男とのセックスの思い。
慊慊 心に満足しない思い。
・淹留 久しくとどまり続けること。


賤妾煢煢守空房,憂來思君不敢忘。
本当に思い焦がれているわたくしはどんなにさみしく孤独であってもあなたのいない部屋でじっと貞操を守っているのです。心配事がたくさんあり、あなたの子と思うあまり片時たりとも忘れることはありません。
賤妾 自分を謙譲して云う女性の語。身分が高いほどよくみられるが、男性が好んだもの。
・煢煢 どんなにかさみしく孤独であること。
・守 女として貞操を守っている。
・空房 一人ぼっちの女の部屋。

又清河作一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<4> 女性詩621 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1701

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又清河作一首 曹丕(魏文帝)

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又清河作一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<4> 女性詩621 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1701


又清河作一首
清河にきてまた一首作る。
方舟戲長水,湛淡自浮沈。
あの男のひき船が長い川をただよっている。水は漫々と湛えて、船はひとりでに上下に動いている。
弦歌發中流,悲響有餘音。
長い川の中ほどにくると琴の音とそれに合わせて歌声が聞こえてくる。悲しい響きであり、その響きは辺りに余韻を残している。
音聲入君懷,淒愴傷人心。
そしてその余韻はあなたの胸の中にきっと入ってくる。本当にそれは傷ついた心に更に深く傷つけるものなのだ。
心傷安所念,但願恩情深。
この痛めた心をどこへ持っていけばよいのだろうか、ただ、思い願うことはあなたの恩や情けがいつまでも深いものであってほしいと思うのである。
願為晨風鳥,雙飛翔北林。

そして、わたしはこの人のためにハヤブサになってあげたいと思うのだ、そうすれば二人して遠く北の果ての林の中に飛び、翔いくことが出来るというものだ。

又 清河の作 一首
方舟 長水に戲【たわむ】れ,湛淡【たんたん】として自ら浮沈す。
弦歌【げんか】中流に發し,悲響【ひきょう】餘音【よいん】有り。
音聲【おんせい】君が懷【ふところ】に入り,淒愴【せいそう】人心を傷ましむ。
心傷安【いずく】に念う所ぞ,但 願う恩情【おんじょう】の深らんことを。
願はくば晨風【しんぷう】の鳥と為りて,雙飛して北林に翔ばん。


『又清河作一首』 現代語訳と訳註
(本文)
方舟戲長水,湛淡自浮沈。
弦歌發中流,悲響有餘音。
音聲入君懷,淒愴傷人心。
心傷安所念,但願恩情深。
願為晨風鳥,雙飛翔北林。


(下し文)
又 清河の作 一首
方舟 長水に戲【たわむ】れ,湛淡【たんたん】として自ら浮沈す。
弦歌【げんか】中流に發し,悲響【ひきょう】餘音【よいん】有り。
音聲【おんせい】君が懷【ふところ】に入り,淒愴【せいそう】人心を傷ましむ。
心傷安【いずく】に念う所ぞ,但 願う恩情【おんじょう】の深らんことを。
願はくば晨風【しんぷう】の鳥と為りて,雙飛して北林に翔ばん。


(現代語訳)
清河にきてまた一首作る。
あの男のひき船が長い川をただよっている。水は漫々と湛えて、船はひとりでに上下に動いている。
長い川の中ほどにくると琴の音とそれに合わせて歌声が聞こえてくる。悲しい響きであり、その響きは辺りに余韻を残している。
そしてその余韻はあなたの胸の中にきっと入ってくる。本当にそれは傷ついた心に更に深く傷つけるものなのだ。
この痛めた心をどこへ持っていけばよいのだろうか、ただ、思い願うことはあなたの恩や情けがいつまでも深いものであってほしいと思うのである。
そして、わたしはこの人のためにハヤブサになってあげたいと思うのだ、そうすれば二人して遠く北の果ての林の中に飛び、翔いくことが出来るというものだ。


(訳注)
又清河作一首

清河にきてまた一首作る。
『於清河見輓船士新婚與妻別一首』の言葉足らずを云うか、時間的に経過した後に改めて作ったものであろう。同じように寡婦の心情をのべたもので、この当時の権力者にとって、この女性をこの詩を以て口説くために作るのである。


方舟戲長水,湛淡自浮沈。
あの男のひき船が長い川をただよっている。水は漫々と湛えて、船はひとりでに上下に動いている。
・方舟 はこぶね。船頭も輓男もいない様子を云う。


弦歌發中流,悲響有餘音。
長い川の中ほどにくると琴の音とそれに合わせて歌声が聞こえてくる。悲しい響きであり、その響きは辺りに余韻を残している。
弦歌 琴の引き語り。あるいは琴に合わせて歌う。
悲響 聞き手が居なくて空しく響き渡ることを云う。


音聲入君懷,淒愴傷人心。
そしてその余韻はあなたの胸の中にきっと入ってくる。本当にそれは傷ついた心に更に深く傷つけるものなのだ。
音聲入君懷 この句は口説き文句である。


心傷安所念,但願恩情深。
この痛めた心をどこへ持っていけばよいのだろうか、ただ、思い願うことはあなたの恩や情けがいつまでも深いものであってほしいと思うのである。


願為晨風鳥,雙飛翔北林。
そして、わたしはこの人のためにハヤブサになってあげたいと思うのだ、そうすれば二人して遠く北の果ての林の中に飛び、翔いくことが出来るというものだ。
晨風鳥 はやぶさ。『於清河見輓船士新婚與妻別一首』では黃鵠であった。黄色は皇帝をあらわすことでもあり、曹丕自信をあらわし、この詩の晨風鳥も曹丕を示すものといえる。


この時代、文帝曹丕が声をかけると拒否はできない。特に曹丕は人妻、寡婦が好きであった。ただ手を付けるだけでなくその後の面倒もきちんと看たのであろうことは、こうした詩を残すことで残された女性の生活は完全に確保されるのである。

於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<3>玉台新詠集 女性詩620 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1697

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古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<3>玉台新詠集 女性詩620 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1697


魏文帝
於清河見輓船士新婚與妻別一首
清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
與君結新婚  宿昔當別離
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。
涼風動秋草  蟋蟀鳴相隨
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。
冽冽寒蟬吟  蟬吟抱枯枝
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
枯枝時飛揚  身體忽遷移
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。
不悲身遷移  但惜歲月馳
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。
歲月無窮極  會合安可知
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。願為雙黃鵠  比翼戲清池
せめてお願いだから、つがいの黄鶴になりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。


清河に於て船を輓【ひ】くの士、新らたに婚し、妻に別るるに見う一首

君と新婚を結び、宿昔 當に別離すべし。
涼風 秋草を動かし、蟋蟀【しつしゅつ】鳴いて相い隨う。
冽冽【れつれつ】寒蟬吟じ、蟬 吟じて枯枝を抱く。
枯枝 時に飛揚し、身體 忽ち遷移す。
身の遷移するを悲しまず、但 歲月の馳するを惜む。
歲月窮極無し、會合 安んぞ知る可けん。
願はくば雙黃鵠と為りて、翼を比べて清池に戲れんことを。


『於清河見輓船士新婚與妻別一首』 現代語訳と訳註
(本文)
於清河見輓船士新婚與妻別一首
與君結新婚 宿昔當別離
涼風動秋草 蟋蟀鳴相隨
冽冽寒蟬吟 蟬吟抱枯枝
枯枝時飛揚 身體忽遷移
不悲身遷移 但惜歲月馳
歲月無窮極 會合安可知
願為雙黃鵠 比翼戲清池


(下し文)
清河に於て船を輓【ひ】くの士、新らたに婚し、妻に別るるに見う一首

君と新婚を結び、宿昔 當に別離すべし。
涼風 秋草を動かし、蟋蟀【しつしゅつ】鳴いて相い隨う。
冽冽【れつれつ】寒蟬吟じ、蟬 吟じて枯枝を抱く。
枯枝 時に飛揚し、身體 忽ち遷移す。
身の遷移するを悲しまず、但 歲月の馳するを惜む。
歲月窮極無し、會合 安んぞ知る可けん。
願はくば雙黃鵠と為りて、翼を比べて清池に戲れんことを。


(現代語訳)
清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。せめてお願いだから、つがいの黄鶴になりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。


(訳注)
於清河見輓船士新婚與妻別一首

清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
・清河 河北省東南部の都市
・輓船士 魯や帆が使えない比較的狭い場所でひき船をして移動させる。
・新婚與妻別 若い男には兵役による別れである。


與君結新婚 宿昔當別離
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。


涼風動秋草 蟋蟀鳴相隨
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。


冽冽寒蟬吟 蟬吟抱枯枝
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
・冽冽 ひえびえしてきたこと。
・寒蟬 ひぐらしぜみ。


枯枝時飛揚 身體忽遷移
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。


不悲身遷移 但惜歲月馳
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。


歲月無窮極 會合安可知
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。


願為雙黃鵠 比翼戲清池
せめてお願いだから、つがいの黄いコウノトリになりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。
・黃鵠 白い鳥。高潔な鳥。子を授かる鳥。仙人子安(しあん)が黄鶴に乗ってこの地を過ぎた。また、三国時代の蜀の仙人費緯が黄鶴に乗って飛来してこの楼上で休んだ。
神話傳說中の雁より大きい鳥,一日、らくに一舉千里を飛ぶ。楚辭˙屈原˙卜居:「寧與黃鵠比翼乎?將與雞鶩爭食乎?此孰吉孰凶,何去何從?」

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寡婦 曹丕(魏文帝) 魏詩<1-#2>古詩源 巻三 女性詩619 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1693



寡婦    曹丕
友人阮元瑜早亡。傷其妻寡居、爲作是詩

友人の阮元瑜が早世し、その妻が独り暮らしをしているのを傷んで、この詩を作る。

霜露紛兮交下,木葉落兮淒淒。
霜と露とがかわるがわる降って落ちて混ざっています、秋も深まり木の葉は落ちつくしてしまい、さむざむとした季節となったようです。
候鴈叫兮雲中,歸燕翩兮徘徊。
侯鳥の雁は雲の中にさけびもう渡来しています、南に帰る燕は帰り仕度でひらひらと飛びまわっています。
妾心感兮惆悵,白日忽兮西頽。

雁を看たり、ツバメを見るにつけあなたの心はせつなくなることでしょう。秋の日は短く、真昼の太陽もたちまち西に傾くというものです。(秋の夜長に少しでもお助けが出来れば幸いです。)
守長夜兮思君,魂一夕兮九乖。
今、あなたは死んだ夫の後を追ってあの世に行こうとしている。いつまでもこのような愁いをいだいたままでいることが出来ようか、こんな想いはひさしく永らえるものではないのです。
秋の夜長に立派に節奏を守り、寝れないとあなたは死んだ夫のことを思っているのでしょうが、わたしの魂だけは一夜に九度もこの身を離れあなたのもとに行くのです。
悵延佇兮仰視,星月隨兮天廻。
憂いに沈んで暫し佇んで、仰いで空を見ることでしょうが、そこには星と月とが互いを互いにしたがって天空を廻っています。
徒引領兮入房,竊自憐兮孤栖。
いたずらに頸をのばして待ち侘びても帰ってほしいと望みつつ、あなたは部屋に戻るでしょう。ひそかに自分自身を哀れんでみたって一人で暮らして行くことには違いがあるません。
願從君兮終沒,愁何可兮久懷。


寡婦
友人の阮元瑜早く亡す。其の妻寡居せるを傷んで、爲に是の詩を作る。

霜露 紛として交【こもご】も 下り,木葉落ちて  淒淒たり。
候鴈 雲中に叫び,歸燕 翩【へん】として 徘徊す。
妾【しょう】が心感じて惆悵【ちょちょう】として,
白日忽【こつ】として 西に頽【くづ】る。
長夜を守りて君を思い,魂一夕に九たび 乖【はな】る。
悵として延佇【えんちょ】して仰ぎ視れば,星 月に隨いて天に廻る。
徒【いたづ】らに領を引きて房に入り,竊【ひそ】かに自ら孤栖を憐む。
願くは君に從ひて終【つひ】に 沒せん,愁ひは何ぞ  久しく懷【いだ】くべけん。


『寡婦』 現代語訳と訳註
(本文)
#2
守長夜兮思君,魂一夕兮九乖。
悵延佇兮仰視,星月隨兮天廻。
徒引領兮入房,竊自憐兮孤栖。
願從君兮終沒,愁何可兮久懷。


(下し文)
長夜を守りて君を思い,魂一夕に九たび 乖【はな】る。
悵として延佇【えんちょ】して仰ぎ視れば,星 月に隨いて天に廻る。
徒【いたづ】らに領を引きて房に入り,竊【ひそ】かに自ら孤栖を憐む。
願くは君に從ひて終【つひ】に 沒せん,愁ひは何ぞ  久しく懷【いだ】くべけん。


(現代語訳)
秋の夜長に立派に節奏を守り、寝れないとあなたは死んだ夫のことを思っているのでしょうが、わたしの魂だけは一夜に九度もこの身を離れあなたのもとに行くのです。
憂いに沈んで暫し佇んで、仰いで空を見ることでしょうが、そこには星と月とが互いを互いにしたがって天空を廻っています。
いたずらに頸をのばして待ち侘びても帰ってほしいと望みつつ、あなたは部屋に戻るでしょう。ひそかに自分自身を哀れんでみたって一人で暮らして行くことには違いがあるません。
今、あなたは死んだ夫の後を追ってあの世に行こうとしている。いつまでもこのような愁いをいだいたままでいることが出来ようか、こんな想いはひさしく永らえるものではないのです。


(訳注)
守長夜兮思君,魂一夕兮九乖。
秋の夜長に立派に節奏を守り、寝れないとあなたは死んだ夫のことを思っているのでしょうが、わたしの魂だけは一夜に九度もこの身を離れあなたのもとに行くのです。
・守 節奏を守る。
・魂一夕兮九乖 魂は、一夜に何度も離れ(愛しいあなたの許へ行く)。屈原の『楚辞・九章・抽思』の一節を使うことで、『抽思』にある求愛の情を以て、阮元瑜の寡婦にその思いを伝えたのである。「望孟夏之短夜兮,何晦明之若歳。惟郢路之遼遠兮,魂一夕而九逝。曾不知路之曲直兮,南指月與列星。願徑逝而未得兮,魂識路之營營。何靈魂之信直兮,人之心不與吾心同。理弱而媒不通兮,尚不知余之從容。」に基づいている。寡婦への熱烈なラブコールは有名な話である。・魂 生きている人間の精神活動。心。 ・一夕 一夜。・九乖 九回離れる。何度も(肉体から)離れてゆく。


悵延佇兮仰視,星月隨兮天廻。
憂いに沈んで暫し佇んで、仰いで空を見ることでしょうが、そこには星と月とが互いを互いにしたがって天空を廻っています。
延佇 長びいて(ひとり)たたずむ。・仰視見上げる。


徒引領兮入房,竊自憐兮孤栖。
いたずらに頸をのばして待ち侘びても帰ってほしいと望みつつ、あなたは部屋に戻るでしょう。ひそかに自分自身を哀れんでみたって一人で暮らして行くことには違いがあるません。
・徒 いたずらに。 
・引領 首を伸ばして(待ち望む)。首を長くして待つ。首を長くして待ち望む。
・入房 部屋に入る。家に入る。
・竊 ひそかに。そっと。こっそり。人知れず。
・自憐 自分を憐れむ。 
・孤栖 ひとりぼっちで(寂しく)住む。一人住まい。寡婦として、ひとりだけで生活している。


願從君兮終沒,愁何可兮久懷。
今、あなたは死んだ夫の後を追ってあの世に行こうとしている。いつまでもこのような愁いをいだいたままでいることが出来ようか、こんな想いはひさしく永らえるものではないのです。
 ねがわくば。以下が、願望の内容になる。 
從君 あなたにしたがう。ここでは、死んだ夫の後を追って。 
終沒 ついに死没する。そうして最期は死んでいきたい。
何 なんぞ。反語。反問。
久懷 ひさしい間の思い。長い物思い。さびしい、侘しいと夫の後を追いたいと思う心で長くいること。こんな生活を長く続けてはいけません。私が力になりますよというほどの意味になる。

寡婦 曹丕(魏文帝) 魏詩<1-#1>古詩源 巻三 女性詩618 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1689

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寡婦 曹丕(魏文帝) 魏詩<1-#1>古詩源 巻三 女性詩618 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1689



寡婦    曹丕
友人阮元瑜早亡。傷其妻寡居、爲作是詩。

友人の阮元瑜が早世し、その妻が独り暮らしをしているのを傷んで、この詩を作る。

霜露紛兮交下,木葉落兮淒淒。
霜と露とがかわるがわる降って落ちて混ざっています、秋も深まり木の葉は落ちつくしてしまい、さむざむとした季節となったようです。
候鴈叫兮雲中,歸燕翩兮徘徊。
侯鳥の雁は雲の中にさけびもう渡来しています、南に帰る燕は帰り仕度でひらひらと飛びまわっています。
妾心感兮惆悵,白日忽兮西頽。
雁を看たり、ツバメを見るにつけあなたの心はせつなくなることでしょう。秋の日は短く、真昼の太陽もたちまち西に傾くというものです。(秋の夜長に少しでもお助けが出来れば幸いです。)
守長夜兮思君,魂一夕兮九乖。
悵延佇兮仰視,星月隨兮天廻。
徒引領兮入房,竊自憐兮孤栖。
願從君兮終沒,愁何可兮久懷。

寡婦
友人の阮元瑜早く亡す。其の妻寡居せるを傷んで、爲に是の詩を作る。

霜露 紛として交【こもご】も 下り,木葉落ちて  淒淒たり。
候鴈 雲中に叫び,歸燕 翩【へん】として 徘徊す。
妾【しょう】が心感じて惆悵【ちょちょう】として,
白日忽【こつ】として 西に頽【くづ】る。

長夜を守りて君を思い,魂一夕に九たび 乖【はな】る。
悵として延佇【えんちょ】して仰ぎ視れば,星 月に隨いて天に廻る。
徒【いたづ】らに領を引きて房に入り,竊【ひそ】かに自ら孤栖を憐む。
願くは君に從ひて終【つひ】に 沒せん,愁ひは何ぞ  久しく懷【いだ】くべけん。


『寡婦』 現代語訳と訳註
(本文)
寡婦    曹丕
友人阮元瑜早亡。傷其妻寡居、爲作是詩。

霜露紛兮交下,木葉落兮淒淒。
候鴈叫兮雲中,歸燕翩兮徘徊。
妾心感兮惆悵,白日忽兮西頽。


(下し文) 寡婦
霜露 紛として交【こもご】も 下り,木葉落ちて  淒淒たり。
候鴈 雲中に叫び,歸燕 翩【へん】として 徘徊す。
妾【しょう】が心感じて惆悵【ちょちょう】として,
白日忽【こつ】として 西に頽【くづ】る。


(現代語訳)
友人の阮元瑜が早世し、その妻が独り暮らしをしているのを傷んで、この詩を作る。
霜と露とがかわるがわる降って落ちて混ざっています、秋も深まり木の葉は落ちつくしてしまい、さむざむとした季節となったようです。
侯鳥の雁は雲の中にさけびもう渡来しています、南に帰る燕は帰り仕度でひらひらと飛びまわっています。
雁を看たり、ツバメを見るにつけあなたの心はせつなくなることでしょう。秋の日は短く、真昼の太陽もたちまち西に傾くというものです。(秋の夜長に少しでもお助けが出来れば幸いです。)


(訳注)
・曹丕 曹操の子。諡は文帝。三国時代の魏の初代皇帝。在位220~226。曹操の長子。字(あざな)は子桓(しかん)。諡号(しごう)、文帝。廟号は世祖。父を継いで魏王となり、後漢の献帝の禅譲によって帝位につき、洛陽を都と定め、国号を魏と号した。九品中正法を施行。詩文を好み、楽府にすぐれた。著「典論」など。
三曹(曹操、曹丕、曹植)の一で、建安七子の庇護者でもある。
・寡婦 未亡人。夫に死別して、再婚しないでいる婦人。


友人阮元瑜早亡。傷其妻寡居、爲作是詩。
友人の阮元瑜が早世し、その妻が独り暮らしをしているのを傷んで、この詩を作る。
・阮元瑜 建安七子の一、阮瑀のこと。一夫多妻の時代、求愛の詩である。特に、屈原の『楚辞・九章・抽思』との関聯ではっきり感じさせられるのである。


霜露紛兮交下,木葉落兮淒淒。
霜と露とがかわるがわる降って落ちて混ざっています、秋も深まり木の葉は落ちつくしてしまい、さむざむとした季節となったようです。
霜露紛兮交下 (季節が移り変わってきて)露が降りる状態から、霜が降りる時が入り乱れて(だんだんと秋も深くなってきた)。 ・紛 乱れる。入り乱れる。入り交じって乱れる。以下、晩秋の季節を詠う。 ・兮:『楚辞』などの上代詩歌に使われる、リズムを取るためのことば。普通語調を整えるという謂われ方をするが、音楽的な效果をねらっている。 ・交:こもごも。交互に。 ・下:おりる。降(ふ)る。
木葉落兮淒淒 木の葉も散ってしまい、寒々しくわびしい様子である。 ・木葉 木の葉。・淒淒 寒く冷ややかなさま。寂しくいたましいさま。わびしく悲しいさま。


候鴈叫兮雲中,歸燕翩兮徘徊。
侯鳥の雁は雲の中にさけびもう渡来しています、南に帰る燕は帰り仕度でひらひらと飛びまわっています。
候鴈叫兮雲中 (冬鳥の)渡り鳥であるガンが(はやもうやって来て、)雲の中で鳴いている。・候鴈 渡り鳥のガン。「候鳥」は、渡り鳥。旅鳥。
歸燕翩兮徘徊 (夏鳥で、南の方へ)渡って帰るツバメは、ひるがえって軽くとびながら、(まだ)行ったり来たりしている。・徘徊 うろつく。ぶらぶら歩きまわる。行ったり来たりする。


妾心感兮惆悵,白日忽兮西頽。
雁を看たり、ツバメを見るにつけあなたの心はせつなくなることでしょう。秋の日は短く、真昼の太陽もたちまち西に傾くというものです。(秋の夜長に少しでもお助けが出来れば幸いです。)
妾心感兮惆悵 わたし(女性側)の心は、恨めしい思いでいっぱいで。・妾心 女性の思い。・惆悵 うらみなげくさま。失意のさま。うれえ悲しむさま。うらめしい。うらみがましい。
宋玉『九辨』「惆悵兮而私自憐。」で悲愁という語に絡んで使用され、後に多く使われている。温庭筠、韋荘の閨情詞などには特にみられる。

杜甫.『自京赴奉先縣詠懷五百字詩』「榮枯咫尺異,惆悵難再述。」

杜甫『立秋後題』「平生独往願、惆悵年半百。」

杜甫『乾元中寓居同谷縣作歌七首之二』「嗚呼二歌兮歌始放,閭里為我色惆悵。

李白『單父東樓秋夜送族弟沈之秦』「明日斗酒別。 惆悵清路塵。

韓愈『從仕』「黄昏歸私室,惆悵起歎音。」

蘇東坡の「和孔密州五言絶句 東欄梨花」にある柳絮が加わる。
梨花淡白柳深靑,柳絮飛時花滿城。
惆悵東欄一株雪,人生看得幾淸明。

韓愈『鄭羣贈簟』「日暮歸來獨惆悵,有賣直欲傾家資。」

 



為焦仲卿妻作 (まとめ-3) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会


◆◆◆2012年12月18日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  
Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の結婚感、女性感について述べる、最大長編の漢詩訳注解説(31回分割して掲載) 
為焦仲卿妻作 (まとめ-3) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67754548.html


Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#1>Ⅱ中唐詩530 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1686 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6136593.html


Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
●杜甫の全作品1141首のほとんどを取り上げて訳注解説するブログ 

●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする

●人生としては4/5前で、詩としては1/3を過ぎたあたり。 " 
”成都紀行(10)” 剣門 杜甫詩1000 <349>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1687 杜甫1500- 521 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67756362.html


Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#3> (12/18) 
http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-571.html 


Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『更漏子 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-18-2-#4 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1688 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21125318.html 





為焦仲卿妻作 (まとめ) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会

その-3


#21為焦仲卿妻作-其九場面 (9)-1
媒人下床去,諾諾複爾爾。
媒酌の使者は長椅子からおりて「すぐさま承知していただきそしてまた、そのように

三十日が吉日で、今日はもう二十七日になります、緒卿のものはさっそく行って婚儀

お返事いただいた。」といって立ち去った。
還部白府君,下官奉使命,言談大有緣 。
そして、幕府に帰って太守に申しあげていう、「拙者はお使い役をうけたまわりやり

とげてまいりました、話はうけいれられ、とても良い縁ということになりました。」
府君得聞之,心中大歡喜。
太守はこれを聞くにおよんで、心の底から大いに喜ばれたのだ。
視曆複開書,便利此月內,六合正相應。
暦を見て確かめ、書物をあけて調べている、そしていう。「今月のうちがよいとおも

われる。星のめぐりあわせも合っているようです。
良吉三十日,今已二十七,卿可去成婚

の仕度をととえてまいれ。」と。


#22(9)-2
交語速裝束,絡繹如浮雲。青雀白鵠舫,四角龍子幡。
両家の間に交わされた約束が整ったので、取り急いで仕度をすることになった。仕度の舟や馬車がまるで浮き雲のようにいきかった。
縁起物の五行思想の青雀や白鵠をかたどった舟は、四すみに竜の幡をおし立ている。

婀娜隨風轉,金車玉作輪。躑躅青驄馬,流蘇金縷鞍。
それがひらひらと風のまにまにひるがえり、金色の車台、玉をちりばめた車輪もつづく。
行きて進まない靑毛の駿馬、金絲のひねり飾りの鞍には五色の飾りふさがはなやかに垂れている。

齎錢三百萬,皆用青絲穿。雜彩三百疋,交廣市鮭珍。
支度金の銭は三百万、みな青い糸で穴を通してある。
このほかに色とりどりのあや絹三百疋、交広地方から求めためずらしい肴類も用意される。

從人四五百,鬱鬱登郡門。

おともの者は四、五百人。そのものたちが、さかんに続いて郡守邸宅の門前へと集まってくる。



#23為焦仲卿妻作-其十場面 (10)-1
阿母謂阿女,適得府君書,明日來迎汝。
母親が娘蘭芝にいう。「今まさに、太守のお手紙がとどいたところですよ。
明日はおまえを迎えにくるといわれております。

何不作衣裳,莫令事不舉。
なぜ持参衣裳を作らないというのではないでしょうね。この婚儀が運ばぬようなことにしてはいけませんよ」と。
阿女默無聲,手巾掩口啼,淚落便如瀉。
可愛い娘は無言のままじっとしている。手にしたハンカチで口もとをおさえて泣いている。涙が落ちるるのは雨がふりしきるようである。
移我琉璃榻,出置前廳下。左手持刀尺,右手執綾羅。

やがて琉璃の椅子を引き出し移動させて、前窓の下の方におきひろくした。
左手で裁ち物の刀とものさしを持ち、右手に綾の羅をとってはじめたのである。。


#24(10)-2
朝成繡夾裙,晚成單羅衫。暗暗日欲暝,愁思出門啼。
朝の間に刺繍の襦袢はかまを作り、晩方には単衣の薄絹の上着を作り上げたのだ。
だんだんと日は落ち暮れてゆく。娘の蘭芝は愁いと思いがこみ上げ、門を出てしくしくと泣くのである。

府吏聞此變,因求假暫歸。未至二三裏,摧藏馬悲哀。
府吏は女が嫁入りするというこの変事を聞きつけ、急いで役所から仮休暇をもらって、帰宅することとなった。
まだ家についていない二、三里手前のあたりで、馬が疲れてあわれな声を出して鳴いたのである。

新婦識馬聲,躡履相逢迎。悵然遙相望,知是故人來。

門を出て泣いていた娘の蘭芝が馬の声を聞き知って、履をふみしめ馬の声の方に迎えに出た。
もしやと思い遙か先を眺めると、やっぱり、彼の夫が来ていることがわかったのである。


#25(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。自君別我後,人事不可量。
馬に手をあげて鞍を打たいて落ち着かせて、ああ、と悲しさをしめし、そして本当に心が痛んでいるのだ。
「あなたとお別れしてからそのあとのわたしは、人とのからみということでは見通しがつかないのです。

果不如先願,又非君所詳。我有
親父母,逼迫兼弟兄。
お約束を果たそうとしたのですがそのようにはなりませんでした。しかし私が努力したことはとてもあなたにはわからないでしょう。
(ご承知の通り)わたしには肉親の父母があり、そのうえ兄弟までが無理にせまったのです。

以我應他人,君還何所望 。府吏謂新婦,賀君得高遷。
そうして、わたしを一人ばかりか他の人からも申しこみがあり、それに応じるようになったのです。今あなたがお帰りになって前のお約束を所望されてもどうにもならないのです。」
府吏が蘭芝にいう。「君のこの玉の輿はとてもめでたいと思います。」


#26(10)-4

磐石方且厚,可以卒千年。蒲葦一時韌,便作旦夕間。
そして、「磐石の私は四角で筋を貫きそのうえ分厚く決意も堅いのです。だから千年でも筋を曲げずに保てるものです。」
つづいていう「蒲や葦などは一時をつなぐ縄のようなもので、したがって午前中から晩までぐらいしかもたないのだ。」

卿當日勝貴,吾獨向黃泉。新婦謂府吏,何意出此言。

「あなた(元妻の蘭芝)は日が経つのつれ、おえらくなるに違いない。わたしはただひとりで黄泉の国に行くことにしましょう」と。
蘭芝は府吏にいう。「必死で努力したこの私にどんなおつもりでそんなことをおっしゃるのです。」



#27(10)-5
同是被逼迫,君爾妾亦然。黃泉下相見,勿違今日言。
わたしたち今度のことはあなたの母親に二人に無理なことを迫って引き離したからうなったのです。あなたの家はそうでしょうし、わたしの家も太守からの事でそうなったのです。
こうなれば黄泉の国に降ってお目にかかるということだけで、くれぐれも今日のおことばにはそむいてはいけません。」と。

執手分道去,各各還家門。生人作死別,恨恨那可論。
二人は手をとりあい、やがて別々の道へと分かれ、そしてそれぞれの家門に帰っていった。
生きていて死に別れの約束をするのだから、互いの恨めしい気持ちを言葉にしようもないのである。

念與世間辭,千萬不復全。

思うことは、この世に望みを捨ててしまうということだから、千や万ほど考えても生命を全うすることはできはしないのだ。



#28為焦仲卿妻作-其十一場面 (11)-1
府吏還家去,上堂拜阿母。
府吏は家へ向き直し帰っていく、奥座敷にあがり母に挨拶した。
今日大風寒,寒風摧樹木,嚴霜結庭蘭。
「今日はたいへん風が寒い日で、その寒風は樹木をくだくほどで、そのうえ厳しい霜が庭の蘭をいためています。
兒今日冥冥,令母在後單。故作不良計,勿複怨鬼神。
そんな日の今日、わたしは暗いくらい黄泉の国に参ります。母上をひとり後に残すことになります。
わざわざとこんなよくない計画をしたのですが、ふたたび神さまを怨んではくださらないでください。
命如南山石,四體康且直。阿母得聞之,零淚應聲落。

母上のお命は南山の石のように堅固で、おからだは健やかで、お腰も曲がらぬようにいのります。」
母はこのことを聞き得て、声と涙がいっしょに落ちるままで語るのである。


#29(11)-2
汝是大家子,仕宦於台閣。慎勿為婦死,貴賤情何薄。
「おまえは由緒ある名門の子です。ご先祖には台閣の大臣をお勤めしたものもあるのです。
それがたかが戻した婦のために死ぬなどと軽はずみなことを口にする。身分の貴賎で判断し嫁に行くというのは、なんという軽薄な女ですか。

東家有賢女,窈窕豔城郭。阿母為汝求,便複在旦夕。
昔からいうように東の方の家に賢い娘がいます。そのしとやかさ、上品であでやかさは城郭の内でも評判だというのです。
母はそれをおまえのためにもらってあげる。たとえ午前中や晩と間をあけず、今すぐにでも。」と。

府吏再拜還,長歎空房中,作計乃爾立。
府吏はこれはまた「東家」などとむるなこと言うと諦め再拝して、誰もいない自分の部屋に帰って長い時間なげき悲しんだが、暫くすると覚悟はできているので立ちあがったのである。
轉頭向戶裏,漸見愁煎迫 。
頭を戸口の方に向けてじっと見る。いらいらするほどの愁いにみちた心がしだいにせまり、もはやぐらぐらと煮えたぎり始めたのである。



#30為焦仲卿妻作-其十二場面 (12)
其日牛馬嘶,新婦入青廬。暗暗黃昏後,寂寂人定初。
その日折しも牛や馬がいなないた、蘭芝は婚姻の始りの禊ぎをする廬にはいった。
暮色に包まれるたそがれ時が過ぎると、ひっそりとして人々の静まりかえったころである。

我命絕今日,魂去屍長留。攬裙脫絲履,舉身赴清池。
蘭芝は今日こそ自分の命の絶えるときとして、屍こそこの世にとどまるけれど、魂は黄泉の国に去るのだと思い定めるのであった。
襦袢のすそをつまみ、絹の履をぬぎそろえ、身を跳らして池の中へと飛び込むにいたった。

府吏聞此事,心知長別離。徘徊庭樹下,自掛東南枝。

府吏もこの仔細を聞き、自分の心を長の別れだとさとるのであった。
そして、庭をさまようように歩いて大樹のもとに立った。そして自らの手で枝ぶりのしっかりした東南の枝に首をつったのである。



#31為焦仲卿妻作-其十三場面 (13)
兩家求合葬,合葬華山傍。東西植松柏,左右種梧桐。
焦・劉の両家は仲卿と蘭芝との合葬を希望し許され、両家の合葬は滞りなく華山の傍に葬られた。
墓の東には松を西にはや柏が植えられ、桟道の左右には梧桐が植えられていた。

枝枝相覆蓋,葉葉相交通。中有雙飛鳥,自名為鴛鴦。
やがて枝と枝とを互いにおおいかぶさり、かさなりあい、葉と葉とはまさに互いに入りまじりあっていった。
その墓苑の中に一つがいの飛ぶ鳥がいて、人々はそれは鴛鳶といぅ名の鳥だと名づけた。

仰頭相向鳴,夜夜達五更。行人駐足聽,寡婦起彷徨。
頭を上に向けて互いに向かいあって鳴き、夜な夜な夜明け近くまで鳴きつづけるのである。
道行く人はその鳴き声に足をとめて耳を傾け、独り身になった女はそこへ来ると起ちあがってあたりをさまようになった。

多謝後世人,戒之慎勿忘。

こんなことがあるので後の世の人々に申しあげるが、よくこの物語の教訓にして、間違っても嫁いじめをされぬよう忘れないでいただき、又戒めてほしいということであります。





為焦仲卿妻作 (まとめ) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1677

為焦仲卿妻作 (まとめ その-2) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会

◆◆◆2012年12月17日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  
Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の結婚感、女性感について述べる、最大長編の漢詩訳注解説(31回分割して掲載) 
為焦仲卿妻作 (まとめ その-2) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67755196.html
Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#8-(最終回)>Ⅱ中唐詩529 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1682 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6134505.html
Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
"●杜甫の全作品1141首のほとんどを取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、詩としては1/3を過ぎたあたり。 " 
”成都紀行(9)” 桔柏渡 杜甫詩1000 <349>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1683 杜甫1500- 520 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67755568.html
Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 幷序 韓退之(韓愈)詩<80> (12/17) 
http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-570.html 
Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『更漏子 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-17-2-#3 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1684 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21062932.html
 
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html


為焦仲卿妻作 (まとめ その-2) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会

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その-2



#13為焦仲卿妻作-其五場面 (5)-1
府吏馬在前,新婦車在後。隱隱何甸甸,俱會大道口。
ポコポコとひずめの音、ごろごろがらがらと車の音をひびかせている、二人は共に大道への出口に差し掛かったので会うことができる。
下馬入車中,低頭共耳語。誓不相隔卿,且暫還家去。
府吏は馬からおりて車の中へはいり、頭をひくめ耳へ口よせてささやきかわした。「わたしは誓う、どんなことがあってもあなたをそのまま隔てたままにはしない。それは私の出張がおわるしばらくの間、実家に帰っていてほしい。」
吾今且赴府,不久當還歸。
わたしはこれから役所の用で出張にいくけれども、永久に帰らないというのではないじきに帰ってきます。
誓天不相負,新婦謂府吏,感君區區懷。

あなたとの約束は天に誓ってたがうことはありません。」と。嫁は府吏にいう。「あなたのわたしに対する細かいお心づかいに感謝いたします。」


#14(5)-2
君既若見錄,不久望君來。君當作磐石,妾當作蒲葦。
あなたがほんとに見棄ててくださらぬなら、やがて迎えに来てくださる望みもあるということです。
あなたは盤石のようにあってほしいし、わたしはきっと蒲や葦のようになります。

蒲葦韌如絲,磐石無轉移。我有親父兄,性行暴如雷。
御存じのとおり蒲や葦はよりあわせると縄になり糸のように長く続きます、盤石は心動かぬことということであう。
わたしには肉親の父と兄がおります、その性質はいったんおこると雷のように乱暴ものなのです。

恐不任我意,逆以煎我懷。舉手長勞勞,二情同依依。

おそらくわたしの思いのままにことは任されないだろうと心配しています。それを思うと、今からこの身が煎られるような思いがいたします」と、
こうして別れに間際に手をあげていつまでもいたわり続け、二人の心は互いに依り添い、なごりを惜しむのであります。



#15為焦仲卿妻作-其六場面 (6)-1
入門上家堂,進退無顏儀。阿母大拊掌,不圖子自歸。
蘭芝は実家の門をはいり奥座敷の母のもとにあがったが、その身のこなしは、顔つきからしてさえないようすであった。母は手のひらを打たいて怒ったのだ、「おまえがこの家に自分から帰って来るなんて思いもしなかった。
十三教汝織,十四能裁衣。十五彈箜篌,十六知禮儀。
十三のとき、あなたには女の勤めの機織を教え、十四になるともう裁縫することもうまくできました。
十五で箜篌をひけるようにしました、十六では行儀作法をすべてわきまえさせたのです。

十七遣汝嫁,謂言無誓違。汝今何罪過,不迎而自歸?
だから十七でおまえを嫁入らせました。それがまさか誓いにたがうことはあるまいと思おもっておりました。
おまえは今なんの不行き届きやダメなところがあったというのですか、どうしてこちらから迎えにもゆかぬのにひとりで帰って来るということになったのですか。(こんな屈辱なことはありません)」

蘭芝慚阿母,兒實無罪過。阿母大悲摧。
蘭芝は恥入って母に答えていうのである。「わたしには実のところ何の落ち度も罪もありません」と。
母はたいへん悲しんで心がくだけるのである。



#16為焦仲卿妻作-其七場面 (7)-1
還家十餘日,縣令遣媒來。雲有第三郎,窈窕世無雙。
蘭芝が実家に還ってから十日あまり経った、すると県令が媒酌人を遣わしてきたのだ。
媒酌人が言うには「県令さまには第三男があります。美しくしとやかであり、世に二人とはないお方です。

年始十八九,便言多令才。阿母謂阿女,汝可去應之。
年はまだお若く十八、九になったばかりですが、弁舌もたっしゃで、文才も多彩でりっぱです。」
娘の母はその娘にいう。「あなたはこの申し出を承知して嫁に行くとよいとおもうけどどうでしょう。」と。

阿女含淚答,蘭芝初還時,府吏見叮嚀,結誓不別離。
可愛いい娘は涙ぐんで答える。「わたし蘭芝がはじめて帰えされるときでした。
前夫の府吏からとても親切にされ、決してこのまま別れはしないと約束して誓いました。」と。


#17(7)-2
今日違情義,恐此事非奇。自可斷來信,徐徐更謂之。
今日の段階ではその申し出を受けては情義に違うことになります。これは県令に対しよろしくないと心配をいたします。
媒酌人の来られての申し込みははっきりと自然にことわるのがよいのです。とそんなように話は徐々にさらにゆっくりとこの話を云ったのです。

阿母白媒人,貧賤有此女。始適還家門,不堪吏人婦。
娘の母親は媒人に申しあげるのである。「うちは貧乏ぐらしで、家柄も劣りるところのものなのです。」
この娘はやっとお嫁に行ったとおもったら、またこの家に還されたのです。小役人の府吏の妻となるさえたえないものだったのです。

豈合令郎君?幸可廣問訊,不得便相許。

どうして県令の若君などにあいましょうか。どうか広くほかの方をおたずねになることが幸せでございます。ということでこのお申し出をお受けするわけにはいかないのです。」と。



#18為焦仲卿妻作-其八場面 (8)-1
媒人去數日,尋遣丞請還。說有蘭家女,承籍有宦官。
県令の中立人が去って数日たつと、こんどは郡の太守が属官をつかわして、太守の意向を聞くように申しこんできた。
属官かいうのに、人の話では「蘭芝家の母親の実家について、代々高級官僚の家柄だ」ということをいっております。

雲有第五郎,嬌逸未有婚。遣丞為媒人,主簿通語言。
つづけて謂うのに、「太守さまには第五男があります。いたって好青年でりっはな方で、まだ結婚をされておりません。」
「それで下役のわたしを媒人とし、この書記役に婚姻の申しこみをさせる次第です」そこで二人がひたすらいう。

直說太守家,有此令郎君。既欲結大義,故遣來貴門。
書記役も直接いうには、「太守さまには若君がおありになります。」
「前から、婚礼の大義を結ばれたいということで、わざわざこうして貴家の御門に伺わせられてきました。」と。


#19(8)-2
阿母謝媒人,女子先有誓,老姥豈敢言。
母親は妹人にお礼を述べる。「娘はさきごろから嫁に行かないと誓ったのだといっております。この婆のわたしからは何もいうことができないのです。」と。
阿兄得聞之,悵然心中煩。舉言謂阿妹,作計何不量。
しかし、蘭芝の兄はこれを聞き及んで、とてもくやしがり、心中に不満の気持ちをいだいているようである。
それをことばに出して妹にいうのである。「なんという浅はかな考えをしているのだ。」

先嫁得府吏,後嫁得郎君。
「先には幕府の役人に嫁入りをしたというに、こんどは県令を越えて大守の若君というのではないか。」
否泰如天地,足以榮汝身。不嫁義郎體,
「それは天と地というほどの違いがあることなのだ、おまえが一身のほまれになる良縁は一族にとってもよいというものだ。」
こんなよいお方に嫁がないということは、この先、その人生をどうして生きようというのか」と。


#20(8)-3
其往欲何雲。蘭芝仰頭答,理實如兄言。
蘭芝は頭を下げ、そして兄上を見あげながら答える。「にいさんのおことばはりにかなってもっともなことです。」
謝家事夫君,中道還兄門。處分適兄意,那得自任專。
「わたしはこの家を謝して彼家の嫁になり、夫に仕えました。その中途にて兄上の家へ戻されてしまいました。」
「わたしの身のふり方は兄上の御意のままにいたします、どうして自分勝手なことなどいたすつもりはありません。」

雖與府吏約,後會永無緣。登即相許和,便可作婚姻 。
「たしかに府吏とは約束はいたしましたが、この後あの人と逢うということは永久に縁がないものとしています。」
「すぐさまおだやかに承諾いたします、そしてさっそく結婚いたしましょう。」

為焦仲卿妻作 (まとめその1) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会

◆◆◆2012年12月16日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
古代中国の結婚感、女性感について述べる、最大長編の漢詩訳注解説(31回分割して掲載)
為焦仲卿妻作 (まとめその1) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会

Ⅱ.中唐詩・晩唐詩
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#7>Ⅱ中唐詩528 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1678

Ⅲ.杜甫詩1000詩集
"●杜甫の全作品1141首のほとんどを取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、詩としては1/3を過ぎたあたり。 "
”成都紀行(9)” 桔柏渡 杜甫詩1000 <348>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1679 杜甫1500- 519

Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集
星行 韓退之(韓愈)詩<81> (12/16)


Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。
『更漏子 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-16-2-#2 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1680

謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html




為焦仲卿妻作 (まとめその1) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1677

この詩は中国に於ては比較的に少ない叙事詩の傑作で、古今稀に見る長篇である。問答体の長篇であるから、便宜上、篇を十三場面に分けて解し、ここでの掲載は通し番号#によって細分してすすめ、場面は()-枝番としている。なお詩中の登場人物を表記しておく。



登場人物00



・建安 (196―220)後漢献帝の年号
・廬江府 廬江は漢の郡名、もと安徽省廬江県西にあったが、漢未には潜山県に治を

移した。




為焦仲卿妻作其(0)

序曰:漢末建安中,廬江府小吏焦仲卿妻劉氏,
為仲卿母所遣,自誓不嫁。其家逼之,乃投水而死。

仲卿聞之,亦自縊於庭樹。時人傷之,為詩雲爾。
(前夫の)焦仲卿は、このことを伝え聞き、自分もまた庭樹の東南の枝に首を吊って
果てた。時の人は、二人のことを傷(いた)んで詩にしたと云うことである。)

とそ
の経緯が述べられている。白居易の『長恨歌』の祖型になったとも謂える。


序文にいう:後漢末の建安年間に膳江府の小役人であった焦仲卿の妻に劉氏(名は蘭芝)というものがあった。蘭芝は仲卿の母におい出された。離縁された妻・劉氏(劉蘭芝)は更なる嫁入りはしないと心に誓った。(夫の方も、必ず呼び戻すと約束した。しかし実家の方は、劉蘭芝にとって玉の輿とも謂うべき再婚を逼り、嫁入り支度も整った後、前夫に出逢って、愚痴られた。夫婦ともあの世で添い遂げようということになった。その日の夕刻、終(つい)に水に入って死んだ。





為焦仲卿妻作-其一場面 (1)-1
孔雀東南飛,五裏一徘徊。十三能織素,十四學裁衣。
孔雀か東と南に向かって分かれ飛び、互いに心をひかれ、五里行って、ときにさまよいためらいの様子である。
「わたしは十三の歳に、自絹が織れましたし、十四では着物の裁ち万も学びました。

十五彈箜篌,十六誦詩書。十七為君婦,心中常苦悲。
十五歳では、箜篌(くご)を演奏することができ、十六歳では、『詩経』や『書経』の学問をして章句を諳(そら)んじることができました。
十七のときにあなたの妻となって、心の中ではいつも苦労がたえませんでした。

君既為府吏,守節情不移。

あなたが廬江府の役人になられてからはお勤め第一にはげまれて夫婦の情にほだされることなどはありませんでした。


#2(1)-2
賤妾留空房,相見常日稀。雞鳴入機織,夜夜不得息。
わたしはあなたがいないさびしい室に留守居して、ふだんはお目にかかることもめったにないでしょう。
にわとりか鳴くと機を織りはじめ、毎晩寝ることもままならないのです。

三日斷五疋,大人故嫌遲。非為織作遲,君家婦難為。
三日間に、五疋の絹を織りあげました、母さまは故意にゆっくり織っているといって嫌われます。
しかしそれは織り方が遅いためではなく、あなたの家の嫁としての勤めが難儀なのです。

妾不堪驅使,徒留無所施。便可白公姥,及時相遣歸。
わたくしはとてもこき使われるのに堪えかねます。ただとどまっていたとて、どうにもなりません。
おしゆうと様たちに申しあげたいのです。「今のうちに里方へ帰してくださいませ。」と。



#3為焦仲卿妻作-其二場面 (2)-1#3
府吏得聞之,堂上啟阿母。兒已薄祿相,幸複得此婦。
府吏仲卿はこのことばを聞くことをえた、して、「奥座敷で母に申しあげたいことがあります。」
「わたしは不仕合せの人相をしているのでしょうが、幸いにもまたこの妻をめとることができました。」

結髮同枕席,黃泉共為友。共事二三年,始而未為久。
「髪を上に結い始めて仕官したことと同じくして枕席をともにする夫婦となって以来、黄泉のあの世までも添い遂げることにしたのです。」
そして「仕事に仕えると共に一緒の生活をした足かせ三年というもの、まだ始めたばかりで日数もたっていないのです。」

女行無偏斜,何意致不厚。
「妻の行ないに曲がったこと間違ったことがあったわけでもないのです、どういう意図があって、そんな厚情のないあっかいをなさいますか。」


#4(2)-2
阿母謂府潰何乃太區區。此婦無禮節,舉動自專由。
母は府吏が言うのを止めて謂う。「おまえはなぜまあそんなにこせこせと妻をかばうのだ。」
「この嫁は礼儀も節度もわきまえず、作法に至るや勝手気ままな振る舞いではないか。」

吾意久懷忿,汝豈得自由。東家有賢女,自名秦羅敷。
「わたしは長らく心のなかに怒りをおもっていた。おまえらの自由勝手な振舞は許しません。」
「でも、東隣には賢い女がいる。本人が自分でも秦の羅敷だというほどの器量よしなのだ。」

可憐體無比,阿母為汝求。
「その愛らしい姿は、世にもまれである。この母が、おまえのために、その娘を娶ってあげる。」


#5(2)-3
便可速遣之,遣去慎莫留。府吏長跪告,伏惟啟阿母。
「この嫁はすぐさま暇を出してしまいます。ここからおいかえしてしまうので決してとどめおいてはなりませんよ」
息子の府吏は膝まずいてうやうやしく答えるのである。「こうして謹んで母上に申しあげます。」

今若遣此婦,終老不復娶。阿母得聞之,槌床便大怒。
「今もしこの妻を出してしまうなら、わたしは生涯二度と妻をめとるということはいたしません。」
母はこれを聞きくなり、座牀をたたいてのたいへんな怒りようを示すのである。

小子無所畏,何敢助婦語。吾已失恩義,會不相從許。
「この子は親の意向を懼れる所を知らないのですか、嫁を助ける言葉ばかりをどうしていうのでしょう。
わたしはもうあの嫁に義理は持たぬばかりかお前にも恩義はない。これからはおまえに新たに添わせることなど許しはしませんよ。」



#6為焦仲卿妻作-其三場面 (3)-1
府吏默無聲,再拜還入戶。舉言謂新婦,哽咽不能語。
府吏はだまり、無言を続けたままで、お辞儀をして自分の部屋にはいっていく。
事の仔細を妻に伝えようとするが、むせび入って語ることができない。
やっと謂ったのは、

我自不驅卿,逼迫有阿母。卿但
暫還家,吾今且赴府。
「わたし自身がそなたをおい出すのではない。母にせまられたことでどうにもならないことのだ。」
府吏卿は続けて謂う「そなたはしばらく家に帰っていなさい。わたしは今から役所に
「そう長くはならずに帰宅できるはずだ。帰ればかならずそなたをよびかえす。」

#7(3)-2
以此下心意,慎勿違吾語。新婦謂府吏,勿複重紛紜。
「心をおちつけて私の言うことを理解しくれ、よく気をつけてわたしのことばどおりにして違うことをしてはいけないよ」
妻は府吏にいうのだ。「また呼び戻すなどと、そんなごたごたな面倒を重ねてはいけません。」

往昔初陽歲,謝家來貴門。奉事循公姥,進止敢自專?
「昔のことになりますが、初春の候でございました、わが家を辞してあなた様のお宅にまいりました。」
「お舅姑さまの心にそうようにとおっかえして参りました。けっしてわがままな振舞などはいたしてはおりません。」

晝夜勤作息,伶俜縈苦辛。
「昼も夜も仕事にいそしみましたし、苦労辛苦にあけくれて、やつれはててしまいました。」


#8(3)-3
謂言無罪過,供養卒大恩。仍更被驅遣,何言複來還?
わたしには別に言われるような間違いや罪などありはしません、先祖を大切にしてお舅姑さまにお仕えして大恩をまっとうしたいと思っていました。
それなのに追い出されることになったのですから、どうしてまた戻ろうなどと申すことができましょうか。

妾有繡腰襦,葳蕤自生光。紅羅複鬥帳,四角垂香囊。
わたしに刺繍の腰に巻く襦袢があります。それは女としてのはなやかな光沢のあるものです。
また、紅のうすぎぬで作った二重の枡形のとばり、四隅に香の袋がさがっているものなどがあります。

箱簾六七十,綠碧青絲繩。
それに箱の中に首飾りの六、七十の飾りの玉があり、それぞれ緑や碧や青色の飾りの紐がつけてあります。


#9(3)-4
物物各具異,種種在其中。人賤物亦鄙,不足迎後人。
「わたしのそれぞれの物がそれぞれ異なっていますし、使い道も種々のものがその中に入っています。」
「子供じみた賎しい者が持つような物と思われるかもしれませんし、つまらぬ物とおおもいかもしれません、しかし、後から来られる方々にとっては不満足なものでしかないかもしれません。」

留待作遣施,於今無會因。時時為安慰,久久莫相忘。
それでも「わしの気持ちとして、そのまま残しおいて贈り物といたします。今となっては、あなたに会うためのよすがとなってはいけませんから。」
「ときどきはやすらぎと慰めになるとおもいます、いついつまでもお忘れないでくださいませ。」と。



#10為焦仲卿妻作-其四場面 (4)-1
雞鳴外欲曙,新婦起嚴妝。著我繡夾裙,事事四五通。
この嫁は、難が鳴いて、外は夜明けになろうとするころには、新嫁妻として早起きをしてきちんと身仕度をします。
刺繍のあわせ袴をきちんと着け、そのほかの服飾四、五種を一品ごとに身におびます。

足下躡絲履,頭上玳瑁光。腰若流紈素,耳著明月璫。
足には絹糸の履をはき、頭にはべっこうのかんざしを光らせます。
腰にまとうた細織りの白の練り絹は流れる水のようであり、耳には明月のような環をつけるのです。

指如削蔥根,口如含珠丹。纖纖作細步,精妙世無雙
指はねぎの根を削ったようにきれいにととのえ、口には丹ぬりの真珠を含んだようにするのです。
しつけ通りになよなよと小また歩みを進めることにきをつけており、そのすぐれた美しさは世にまたとないほどであるのである。



#11(4)-2
上堂謝阿母,阿母怒不止。昔作女兒時,生小出野裏。
奥座敷にあがって母に別れの挨拶をすると、母上はとめどなく怒っている。
「昔、わたしが子供娘であったときですが、生まれが田舎ものであるままに家を出たのです。

本自無教訓,兼愧貴家子。受母錢帛多,不堪母驅使。
もとより教養、義訓を重ねていないもので、それなのに貴宅の嫁となることはなどとは恥入るものと思いました。
こちらに嫁して母上さまから金子銭や絹織物をたくさん頂戴しましたが、今にしてお役に立たないままというのは堪えられないことです。

今日還家去,念母勞家裏 。
こうして今日、実家に帰ります、後のこと、母上さまは家の裏方の事、労をかけることになりました。」と。


#12(4)-3
卻與小姑別,淚落連珠子。新婦初來時,小姑始扶床。
こんどはまだあどけない小姑と別れをする。涙が連子の玉飾りのように落ちてくる。
「わたしがお嫁にはじめて来たときのこと、あなたはやっと寝台につかまり立ちし始めたころでした。

今日被驅遣,小姑如我長。勤心養公姥,好自相扶將。
今日、わたしはお宅を出されて実家に帰ることになりました。あなたがやがてわたしほどになります。
そうしたら、心をこめて御両親につくしてください。ご自分の身はご自分で十分よくご大切にしてくださいね。

初七及下九,嬉戲莫相忘。出門登車去,涕落百餘行。
月初めの七の日や月の終わりの二十九日に楽しく遊びましたね、私も忘れないのでどうかあなたも忘れないでください。」
こうしてこの家の門を出て車に乗って去ってゆくのだが、涙は雨のようはらはらと行列をなして落ちるのだ。

為焦仲卿妻作-其十三(31) 漢詩<174>古詩源 巻三 女性詩614 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1673


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 Ⅲ杜甫詩1000詩集”成都紀行(8)” 石櫃閣 杜甫詩1000 <348>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1675 杜甫1500- 518 
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為焦仲卿妻作-其十三(31) 漢詩<174>古詩源 巻三 女性詩614 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1673


#31為焦仲卿妻作-其十三(13)
兩家求合葬,合葬華山傍。
焦・劉の両家は仲卿と蘭芝との合葬を希望し許され、両家の合葬は滞りなく華山の傍に葬られた。
東西植松柏,左右種梧桐。
墓の東には松を西にはや柏が植えられ、桟道の左右には梧桐が植えられていた。
枝枝相覆蓋,葉葉相交通。
やがて枝と枝とを互いにおおいかぶさり、かさなりあい、葉と葉とはまさに互いに入りまじりあっていった。
中有雙飛鳥,自名為鴛鴦。
その墓苑の中に一つがいの飛ぶ鳥がいて、人々はそれは鴛鳶といぅ名の鳥だと名づけた。
仰頭相向鳴,夜夜達五更。
頭を上に向けて互いに向かいあって鳴き、夜な夜な夜明け近くまで鳴きつづけるのである。
行人駐足聽,寡婦起彷徨。
道行く人はその鳴き声に足をとめて耳を傾け、独り身になった女はそこへ来ると起ちあがってあたりをさまようになった。
多謝後世人,戒之慎勿忘。
こんなことがあるので後の世の人々に申しあげるが、よくこの物語の教訓にして、間違っても嫁いじめをされぬよう忘れないでいただき、又戒めてほしいということであります。

兩家 合葬を求め,華山の傍に合葬す。
東西に松柏を植え,左右に梧桐【ごとう】を種う。
枝枝 相い覆蓋【ふくがい】,葉葉 相い交通す。
中には雙の飛鳥有り,自ら名して鴛鴦【えんおう】と為す。
頭を仰いで相い向いて鳴き,夜夜 五更に達す。
行人 足を駐めて聽き,寡婦 起って彷徨【ぼうこう】す。
多謝するは後世の人なり,之を戒めて慎しんで忘るること勿れ。




『為焦仲卿妻作』-其十三(最終場面) 現代語訳と訳註
 (本文)
#31為焦仲卿妻作-其十三(13)
兩家求合葬,合葬華山傍。東西植松柏,左右種梧桐。枝枝相覆蓋,葉葉相交通。中有雙飛鳥,自名為鴛鴦。仰頭相向鳴,夜夜達五更。行人駐足聽,寡婦起彷徨。多謝後世人,戒之慎勿忘。


(下し文) #31
兩家 合葬を求め,華山の傍に合葬す。
東西に松柏を植え,左右に梧桐【ごとう】を種う。
枝枝 相い覆蓋【ふくがい】,葉葉 相い交通す。
中には雙の飛鳥有り,自ら名して鴛鴦【えんおう】と為す。
頭を仰いで相い向いて鳴き,夜夜 五更に達す。
行人 足を駐めて聽き,寡婦 起って彷徨【ぼうこう】す。
多謝するは後世の人なり,之を戒めて慎しんで忘るること勿れ。


(現代語訳)
焦・劉の両家は仲卿と蘭芝との合葬を希望し許され、両家の合葬は滞りなく華山の傍に葬られた。
墓の東には松を西にはや柏が植えられ、桟道の左右には梧桐が植えられていた。
やがて枝と枝とを互いにおおいかぶさり、かさなりあい、葉と葉とはまさに互いに入りまじりあっていった。
その墓苑の中に一つがいの飛ぶ鳥がいて、人々はそれは鴛鳶といぅ名の鳥だと名づけた。
頭を上に向けて互いに向かいあって鳴き、夜な夜な夜明け近くまで鳴きつづけるのである。
道行く人はその鳴き声に足をとめて耳を傾け、独り身になった女はそこへ来ると起ちあがってあたりをさまようになった。
こんなことがあるので後の世の人々に申しあげるが、よくこの物語の教訓にして、間違っても嫁いじめをされぬよう忘れないでいただき、又戒めてほしいということであります。


(訳注) #31為焦仲卿妻作-其十三(13)
兩家求合葬,合葬華山傍。
焦・劉の両家は仲卿と蘭芝との合葬を希望し許され、両家の合葬は滞りなく華山の傍に葬られた。
・崋山 安徽省 安慶市 樅陽県南京と九江の中間点の白蘯湖の傍にある山で、五岳の崋山とは異なる。
近くには仏教聖地の九崋山もあるが時代としてそこに墳墓を設けるほどの家系ではないし、両家が仏教徒という感じも見受けられない。


東西植松柏,左右種梧桐。
墓の東には松を西にはや柏が植えられ、桟道の左右には梧桐が植えられていた。
松柏 五行思想にもとずく墳墓には植えられる木である。松は青松で東、西は白で柏。
梧桐 夫唱婦随の木である。李白は「古風 其三十九」において、玄宗と楊貴妃の生活を示している。また、元代の戯曲「梧桐雨」がある。また、『荘子』秋水篇の故事を用いる。荘子が梁の国の宰相恵子を訪れようとすると、それは宰相の地位を奪い取ろうとしているのだという重言があった。恐れる恵子に向かって荘子はたとえ話を持ち出す。南方に「鴛雛」という鳥がいて、梧桐にしか止まらず、練実(竹の実)しか食べず、清浄な水しか飲まない。鶴が「腐鼠」を食べていたところに鴛雛が通りかかると、鶴はにらみつけて「嚇」と叫んだ。今あなたは梁の国を取られはしないか恐れて威嚇するのか、と恵子に言った。猜疑心を抱きつつの後宮生活を示すものである。

枝枝相覆蓋,葉葉相交通。
やがて枝と枝とを互いにおおいかぶさり、かさなりあい、葉と葉とはまさに互いに入りまじりあっていった。
・この二句は夫婦の睦愛をあらわすものである。


中有雙飛鳥,自名為鴛鴦。
その墓苑の中に一つがいの飛ぶ鳥がいて、人々はそれを鴛鳶という鳥だと名づけた。
・鴛鴦 オシドリ。仲むつまじい男女の象徴。


仰頭相向鳴,夜夜達五更。
頭を上に向けて互いに向かいあって鳴き、夜な夜な夜明け近くまで鳴きつづけるのである。
五更 日没から夜明けまでを5分割したその最後の時間、夜明けに近い4時ころ。杜甫「閣夜」李商隠「無題」「蝉」。

初起 李商隠 :紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 69

蝉 李商隠  紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 29 清廉潔白な男の詩

無題(何處哀筝随急管) 李商隠21



行人駐足聽,寡婦起彷徨。
道行く人はその鳴き声に足をとめて耳を傾け、独り身になった女はそこへ来ると起ちあがってあたりをさまようになった。


多謝後世人,戒之慎勿忘。
こんなことがあるので後の世の人々に申しあげるが、よくこの物語の教訓にして、間違っても嫁いじめをされぬよう忘れないでいただき、又戒めてほしいということであります。



為焦仲卿妻作-其十二(30) 漢詩<173>古詩源 巻三 女性詩613 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1669

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為焦仲卿妻作-其十二(30) 漢詩<173>古詩源 巻三 女性詩613 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1669


#30為焦仲卿妻作-其十二(12)
其日牛馬嘶,新婦入青廬。
その日折しも牛や馬がいなないた、蘭芝は婚姻の始りの禊ぎをする廬にはいった。
暗暗黃昏後,寂寂人定初。
暮色に包まれるたそがれ時が過ぎると、ひっそりとして人々の静まりかえったころである。
我命絕今日,魂去屍長留。
蘭芝は今日こそ自分の命の絶えるときとして、屍こそこの世にとどまるけれど、魂は黄泉の国に去るのだと思い定めるのであった。
攬裙脫絲履,舉身赴清池。
襦袢のすそをつまみ、絹の履をぬぎそろえ、身を跳らして池の中へと飛び込むにいたった。
府吏聞此事,心知長別離。
府吏もこの仔細を聞き、自分の心を長の別れだとさとるのであった。
徘徊庭樹下,自掛東南枝。
そして、庭をさまようように歩いて大樹のもとに立った。そして自らの手で枝ぶりのしっかりした東南の枝に首をつったのである。

其の日 牛馬嘶【いなな】き,新婦 青廬【せいろ】に入る。
暗暗たる黃昏の後,寂寂として人定まるの初め。
我が命は今日に絕ち,魂去りて屍のみ長く留まる。
裙【くん】を攬【と】りて絲履【しり】を脫し,身を舉げて清池に赴【おもむ】く。
府吏此の事を聞き,心に長き別離を知る。
徘徊して庭樹の下,自ら東南の枝に掛る。


『為焦仲卿妻作』-其十二 現代語訳と訳註
(本文)
其日牛馬嘶,新婦入青廬。暗暗黃昏後,寂寂人定初。我命絕今日,魂去屍長留。攬裙脫絲履,舉身赴清池。府吏聞此事,心知長別離。徘徊庭樹下,自掛東南枝。


(下し文)
其の日 牛馬嘶【いなな】き,新婦 青廬【せいろ】に入る。
暗暗たる黃昏の後,寂寂として人定まるの初め。
我が命は今日に絕ち,魂去りて屍のみ長く留まる。
裙【くん】を攬【と】りて絲履【しり】を脫し,身を舉げて清池に赴【おもむ】く。
府吏此の事を聞き,心に長き別離を知る。
徘徊して庭樹の下,自ら東南の枝に掛る。


(現代語訳)
その日折しも牛や馬がいなないた、蘭芝は婚姻の始りの禊ぎをする廬にはいった。
暮色に包まれるたそがれ時が過ぎると、ひっそりとして人々の静まりかえったころである。
蘭芝は今日こそ自分の命の絶えるときとして、屍こそこの世にとどまるけれど、魂は黄泉の国に去るのだと思い定めるのであった。
襦袢のすそをつまみ、絹の履をぬぎそろえ、身を跳らして池の中へと飛び込むにいたった。
府吏もこの仔細を聞き、自分の心を長の別れだとさとるのであった。
そして、庭をさまようように歩いて大樹のもとに立った。そして自らの手で枝ぶりのしっかりした東南の枝に首をつったのである。


(訳注)
其日牛馬嘶,新婦入青廬。
その日折しも牛や馬がいなないた、蘭芝は婚姻の始りの禊ぎをする廬にはいった。
・青廬 五行思想で物事の始まりを示す青の幔幕をあずまやのようなところに張って庵をつくる。その部屋にいて体を清めた。


暗暗黃昏後,寂寂人定初。
暮色に包まれるたそがれ時が過ぎると、ひっそりとして人々の静まりかえったころである。


我命絕今日,魂去屍長留。
蘭芝は今日こそ自分の命の絶えるときとして、屍こそこの世にとどまるけれど、魂は黄泉の国に去るのだと思い定めるのであった。


攬裙脫絲履,舉身赴清池。
襦袢の裾をつまみ、絹の履をぬぎそろえ、身を跳らして池の中へと飛び込むにいたった。


府吏聞此事,心知長別離。
府吏もこの仔細を聞き、自分の心を長の別れだとさとるのであった。


徘徊庭樹下,自掛東南枝。
そして、庭をさまようように歩いて大樹のもとに立った。そして自らの手で枝ぶりのしっかりした東南の枝に首をつったのである。
徘徊庭樹下,自掛東南枝 若干のためらいを示すけれども、北向きの枝で折れてはいけないので、ためらわずにしっかりした枝ぶりの方に首を掻けたということで、府吏の意志をあらわすものである。

為焦仲卿妻作-其十一(29) 漢詩<172>古詩源 巻三 女性詩612 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1665

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為焦仲卿妻作-其十一(29) 漢詩<172>古詩源 巻三 女性詩612 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1665



#28為焦仲卿妻作-其十一(11)
府吏還家去,上堂拜阿母。
府吏は家へ向き直し帰っていく、奥座敷にあがり母に挨拶した。
今日大風寒,寒風摧樹木,嚴霜結庭蘭。
「今日はたいへん風が寒い日で、その寒風は樹木をくだくほどで、そのうえ厳しい霜が庭の蘭をいためています。
兒今日冥冥,令母在後單。故作不良計,勿複怨鬼神。
そんな日の今日、わたしは暗いくらい黄泉の国に参ります。母上をひとり後に残すことになります。
わざわざとこんなよくない計画をしたのですが、ふたたび神さまを怨んではくださらないでください。

命如南山石,四體康且直。阿母得聞之,零淚應聲落。

母上のお命は南山の石のように堅固で、おからだは健やかで、お腰も曲がらぬようにいのります。」
母はこのことを聞き得て、声と涙がいっしょに落ちるままで語るのである。

#29
汝是大家子,仕宦於台閣。
「おまえは由緒ある名門の子です。ご先祖には台閣の大臣をお勤めしたものもあるのです。
慎勿為婦死,貴賤情何薄。
それがたかが戻した婦のために死ぬなどと軽はずみなことを口にする。身分の貴賎で判断し嫁に行くというのは、なんという軽薄な女ですか。
東家有賢女,窈窕豔城郭。
昔からいうように東の方の家に賢い娘がいます。そのしとやかさ、上品であでやかさは城郭の内でも評判だというのです。
阿母為汝求,便複在旦夕。
母はそれをおまえのためにもらってあげる。たとえ午前中や晩と間をあけず、今すぐにでも。」と。
府吏再拜還,長歎空房中,作計乃爾立。
府吏はこれはまた「東家」などとむるなこと言うと諦め再拝して、誰もいない自分の部屋に帰って長い時間なげき悲しんだが、暫くすると覚悟はできているので立ちあがったのである。
轉頭向戶裏,漸見愁煎迫 。
頭を戸口の方に向けてじっと見る。いらいらするほどの愁いにみちた心がしだいにせまり、もはやぐらぐらと煮えたぎり始めたのである。

#28為焦仲卿妻作-其十一(11)
府吏家に還って去り,堂に上りて阿母に拜す。
「今日大いに風寒く,寒風 樹木を摧き,嚴霜 庭蘭を結ぶ。
兒は今日冥冥たり,母を令【し】て後單に在らしむ。
故【ことさら】に不良の計を作す,複【ふたた】び鬼神【きしん】を怨むこと勿れ。
命は南山の石の如く,四體は康くして且つ直なれ。」と。
阿母 之を聞くこと得て,零淚 聲に應じて落つ。
#29
「汝は是れ大家の子にて,台閣に仕宦するなり。
慎しんで婦の為に死すること勿れ,貴賤の情 何んぞ薄からんや。
東家には賢女が有るもの,窈窕として城郭の豔なり。阿母 汝が為に求めん,便ち複【ふたた】び旦夕【たんせき】に在り。
府吏 再拜【して】還り,長歎して空房の中【うち】,計を作して乃ち爾として立つ。
頭を轉じて戶裏に向い,漸【ようや】く愁の煎迫【せんぱく】を見る 。



現代語訳と訳註
(本文)
#29
汝是大家子,仕宦於台閣。慎勿為婦死,貴賤情何薄。東家有賢女,窈窕豔城郭。阿母為汝求,便複在旦夕。府吏再拜還,長歎空房中,作計乃爾立。
轉頭向戶裏,漸見愁煎迫 。


(下し文) #29
「汝は是れ大家の子にて,台閣に仕宦するなり。
慎しんで婦の為に死すること勿れ,貴賤の情 何んぞ薄からんや。
東家には賢女が有るもの,窈窕として城郭の豔なり。阿母 汝が為に求めん,便ち複【ふたた】び旦夕【たんせき】に在り。
府吏 再拜【して】還り,長歎して空房の中【うち】,計を作して乃ち爾として立つ。
頭を轉じて戶裏に向い,漸【ようや】く愁の煎迫【せんぱく】を見る 。


(現代語訳)
「おまえは由緒ある名門の子です。ご先祖には台閣の大臣をお勤めしたものもあるのです。
それがたかが戻した婦のために死ぬなどと軽はずみなことを口にする。身分の貴賎で判断し嫁に行くというのは、なんという軽薄な女ですか。
昔からいうように東の方の家に賢い娘がいます。そのしとやかさ、上品であでやかさは城郭の内でも評判だというのです。
母はそれをおまえのためにもらってあげる。たとえ午前中や晩と間をあけず、今すぐにでも。」と。
府吏はこれはまた「東家」などとむるなこと言うと諦め再拝して、誰もいない自分の部屋に帰って長い時間なげき悲しんだが、暫くすると覚悟はできているので立ちあがったのである。
頭を戸口の方に向けてじっと見る。いらいらするほどの愁いにみちた心がしだいにせまり、もはやぐらぐらと煮えたぎり始めたのである。


(訳注) #29
汝是大家子,仕宦於台閣。

「おまえは由緒ある名門の子です。ご先祖には台閣の大臣をお勤めしたものもあるのです。
・台閣 (1)高くて立派な建物。 (2)政治を行う官庁。中央政府。内閣。


慎勿為婦死,貴賤情何薄。
それがたかが戻した婦のために死ぬなどと軽はずみなことを口にする。身分の貴賎で判断し嫁に行くというのは、なんという軽薄な女ですか。


東家有賢女,窈窕豔城郭。
昔からいうように東の方の家に賢い娘がいます。そのしとやかさ、上品であでやかさは城郭の内でも評判だというのです。
・東家有賢女 美人といっても賢くて美人の東家の女です。西は、色気がある傾国の美女を云う。
為焦仲卿妻作#4(-其二)で「東家有賢女,自名秦羅敷。」「でも、東隣には賢い女がいる。本人が自分でも秦の羅敷だというほどの器量よしなのだ。」と母親が息子の府吏にいっている。
・東家有賢女  ・東家 楚の宋玉の『登徒子好色の賦』「臣が里の美しき者は、臣が東家の子に若くはなし。」とある。ここから美人のたとえを”東家之子”又は”東家之女”と。美女を称して”東隣”とした事例に唐の李白「自古有秀色、西施与東隣」(古来より秀でた容姿端麗美人、西施と東隣)白居易「感情」のもある 
李白『白紵辭其一』「揚清歌、發皓齒。 北方佳人東鄰子、且吟白紵停綠水。」

李白81白紵辭其一  82白紵辭其二  83 巴女詞
無題(何處哀筝随急管) 李商隠21

・秦羅敷 秦氏羅敷。「陌上桑」その美貌をほこって自ら泰氏の羅敷と称したのである。秋胡詩 (1) 顔延之(延秋胡詩 (1) 顔延之(延年) 詩<2>Ⅱ李白に影響を与えた詩471 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1230

阿母為汝求,便複在旦夕。
母はそれをおまえのためにもらってあげる。たとえ午前中や晩と間をあけず、今すぐにでも。」と。


府吏再拜還,長歎空房中,作計乃爾立。
府吏はこれはまた「東家」などとむるなこと言うと諦め再拝して、誰もいない自分の部屋に帰って長い時間なげき悲しんだが、暫くすると覚悟はできているので立ちあがったのである。


轉頭向戶裏,漸見愁煎迫 。
頭を戸口の方に向けてじっと見る。いらいらするほどの愁いにみちた心がしだいにせまり、もはやぐらぐらと煮えたぎり始めたのである。


為焦仲卿妻作-其十一(28) 漢詩<171>古詩源 巻三 女性詩611 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1661

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 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集記夢  韓退之(韓愈)詩<78-#1>Ⅱ中唐詩443 (12/12) 
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為焦仲卿妻作-其十一(28) 漢詩<171>古詩源 巻三 女性詩611 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1661


#28為焦仲卿妻作-其十一(11)
府吏還家去,上堂拜阿母。
府吏は家へ向き直し帰っていく、奥座敷にあがり母に挨拶した。
今日大風寒,寒風摧樹木,嚴霜結庭蘭。
「今日はたいへん風が寒い日で、その寒風は樹木をくだくほどで、そのうえ厳しい霜が庭の蘭をいためています。
兒今日冥冥,令母在後單。
そんな日の今日、わたしは暗いくらい黄泉の国に参ります。母上をひとり後に残すことになります。
故作不良計,勿複怨鬼神。
わざわざとこんなよくない計画をしたのですが、ふたたび神さまを怨んではくださらないでください。
命如南山石,四體康且直。
母上のお命は南山の石のように堅固で、おからだは健やかで、お腰も曲がらぬようにいのります。」
阿母得聞之,零淚應聲落。

母はこのことを聞き得て、声と涙がいっしょに落ちるままで語るのである。
#29
汝是大家子,仕宦於台閣。慎勿為婦死,貴賤情何薄。東家有賢女,窈窕豔城郭。阿母為汝求,便複在旦夕。府吏再拜還,長歎空房中,作計乃爾立。
轉頭向戶裏,漸見愁煎迫 。

#28為焦仲卿妻作-其十一(11)
府吏家に還って去り,堂に上りて阿母に拜す。
「今日大いに風寒く,寒風 樹木を摧き,嚴霜 庭蘭を結ぶ。
兒は今日冥冥たり,母を令【し】て後單に在らしむ。
故【ことさら】に不良の計を作す,複【ふたた】び鬼神【きしん】を怨むこと勿れ。
命は南山の石の如く,四體は康くして且つ直なれ。」と。
阿母 之を聞くこと得て,零淚 聲に應じて落つ。

#29
「汝は是れ大家の子にて,台閣に仕宦するなり。
慎しんで婦の為に死すること勿れ,貴賤の情 何んぞ薄からんや。
東家には賢女が有るもの,窈窕として城郭の豔なり。阿母 汝が為に求めん,便ち複【ふたた】び旦夕【たんせき】に在り。
府吏 再拜【して】還り,長歎して空房の中【うち】,計を作して乃ち爾として立つ。
頭を轉じて戶裏に向い,漸【ようや】く愁の煎迫【せんぱく】を見る 。


『為焦仲卿妻作』-其十一 現代語訳と訳註
(本文)

府吏還家去,上堂拜阿母。
今日大風寒,寒風摧樹木,嚴霜結庭蘭。
兒今日冥冥,令母在後單。
故作不良計,勿複怨鬼神。
命如南山石,四體康且直。
阿母得聞之,零淚應聲落。

(下し文) #28為焦仲卿妻作-其十一(11)
府吏家に還って去り,堂に上りて阿母に拜す。
「今日大いに風寒く,寒風 樹木を摧き,嚴霜 庭蘭を結ぶ。
兒は今日冥冥たり,母を令【し】て後單に在らしむ。
故【ことさら】に不良の計を作す,複【ふたた】び鬼神【きしん】を怨むこと勿れ。
命は南山の石の如く,四體は康くして且つ直なれ。」と。
阿母 之を聞くこと得て,零淚 聲に應じて落つ。


(現代語訳)
府吏は家へ向き直し帰っていく、奥座敷にあがり母に挨拶した。
「今日はたいへん風が寒い日で、その寒風は樹木をくだくほどで、そのうえ厳しい霜が庭の蘭をいためています。
そんな日の今日、わたしは暗いくらい黄泉の国に参ります。母上をひとり後に残すことになります。
わざわざとこんなよくない計画をしたのですが、ふたたび神さまを怨んではくださらないでください。
母上のお命は南山の石のように堅固で、おからだは健やかで、お腰も曲がらぬようにいのります。」
母はこのことを聞き得て、声と涙がいっしょに落ちるままで語るのである。


(訳注)
府吏還家去,上堂拜阿母。

府吏は家へ向き直し帰っていく、奥座敷にあがり母に挨拶した。


今日大風寒,寒風摧樹木,嚴霜結庭蘭。
「今日はたいへん風が寒い日で、その寒風は樹木をくだくほどで、そのうえ厳しい霜が庭の蘭をいためています。


兒今日冥冥,令母在後單。
そんな日の今日、わたしは暗いくらい黄泉の国に参ります。母上をひとり後に残すことになります。


故作不良計,勿複怨鬼神。
わざわざとこんなよくない計画をしたのですが、ふたたび神さまを怨んではくださらないでください。
・不良計 府吏の自殺の計画をいう。


命如南山石,四體康且直。
母上のお命は南山の石のように堅固で、おからだは健やかで、お腰も曲がらぬようにいのります。」


阿母得聞之,零淚應聲落。
母はこのことを聞き得て、声と涙がいっしょに落ちるままで語るのである。

為焦仲卿妻作-其十(27) 漢詩<170>古詩源 巻三 女性詩610 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1657

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為焦仲卿妻作-其十(27) 漢詩<170>古詩源 巻三 女性詩610 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1657


#23為焦仲卿妻作-其十(10)-1
阿母謂阿女,適得府君書,明日來迎汝。何不作衣裳,
母親が娘蘭芝にいう。「今まさに、太守のお手紙がとどいたところですよ。
明日はおまえを迎えにくるといわれております。なぜ持参衣裳を作らないというのではないでしょうね。

莫令事不舉。阿女默無聲,手巾掩口啼,淚落便如瀉。
この婚儀が運ばぬようなことにしてはいけませんよ」と。可愛い娘は無言のままじっとしている。
手にしたハンカチで口もとをおさえて泣いている。涙が落ちるるのは雨がふりしきるようである。

移我琉璃榻,出置前廳下。左手持刀尺,右手執綾羅。
やがて琉璃の椅子を引き出し移動させて、前窓の下の方におきひろくした。
左手で裁ち物の刀とものさしを持ち、右手に綾の羅をとってはじめたのである。
#24其十(10)-2
朝成繡夾裙,晚成單羅衫。暗暗日欲暝,愁思出門啼。
朝の間に刺繍の襦袢はかまを作り、晩方には単衣の薄絹の上着を作り上げたのだ。
だんだんと日は落ち暮れてゆく。娘の蘭芝は愁いと思いがこみ上げ、門を出てしくしくと泣くのである。

府吏聞此變,因求假暫歸。未至二三裏,摧藏馬悲哀。
府吏は女が嫁入りするというこの変事を聞きつけ、急いで役所から仮休暇をもらって、帰宅することとなった。
まだ家についていない二、三里手前のあたりで、馬が疲れてあわれな声を出して鳴いたのである。

新婦識馬聲,躡履相逢迎。悵然遙相望,知是故人來。

門を出て泣いていた娘の蘭芝が馬の声を聞き知って、履をふみしめ馬の声の方に迎えに出た。
もしやと思い遙か先を眺めると、やっぱり、彼の夫が来ていることがわかったのである。
#25其十(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。自君別我後,人事不可量。
馬に手をあげて鞍を打たいて落ち着かせて、ああ、と悲しさをしめし、そして本当に心が痛んでいるのだ。
「あなたとお別れしてからそのあとのわたしは、人とのからみということでは見通しがつかないのです。

果不如先願,又非君所詳。我有親父母,逼迫兼弟兄。
お約束を果たそうとしたのですがそのようにはなりませんでした。しかし私が努力したことはとてもあなたにはわからないでしょう。
(ご承知の通り)わたしには肉親の父母があり、そのうえ兄弟までが無理にせまったのです。

以我應他人,君還何所望 。府吏謂新婦,賀君得高遷。

そうして、わたしを一人ばかりか他の人からも申しこみがあり、それに応じるようになったのです。今あなたがお帰りになって前のお約束を所望されてもどうにもならないのです。」
府吏が蘭芝にいう。「君のこの玉の輿はとてもめでたいと思います。」
#26其十(10)-4
磐石方且厚,可以卒千年。蒲葦一時韌,便作旦夕間。
そして、「磐石の私は四角で筋を貫きそのうえ分厚く決意も堅いのです。だから千年でも筋を曲げずに保てるものです。」
つづいていう「蒲や葦などは一時をつなぐ縄のようなもので、したがって午前中から晩までぐらいしかもたないのだ。」

卿當日勝貴,吾獨向黃泉。新婦謂府吏,何意出此言。
「あなた(元妻の蘭芝)は日が経つのつれ、おえらくなるに違いない。わたしはただひとりで黄泉の国に行くことにしましょう」と。
蘭芝は府吏にいう。「必死で努力したこの私にどんなおつもりでそんなことをおっしゃるのです。」
#27其十(10)-5
同是被逼迫,君爾妾亦然。

思うことは、この世に望みを捨ててしまうということだから、千や万ほど考えても生命を全うすることはできはしないのだ
わたしたち今度のことはあなたの母親に二人に無理なことを迫って引き離したからうなったのです。あなたの家はそうでしょうし、わたしの家も太守からの事でそうなったのです。
黃泉下相見,勿違今日言。
こうなれば黄泉の国に降ってお目にかかるということだけで、くれぐれも今日のおことばにはそむいてはいけません。」と。
執手分道去,各各還家門。
二人は手をとりあい、やがて別々の道へと分かれ、そしてそれぞれの家門に帰っていった。
生人作死別,恨恨那可論。
生きていて死に別れの約束をするのだから、互いの恨めしい気持ちを言葉にしようもないのである。
念與世間辭,千萬不復全。

#23為焦仲卿妻作-其十(10)-1
阿母阿女に謂う,「適【まさ】に府君の書を得たり,明日來りて汝を迎えんと。
何んぞ衣裳を作らざる,事をして舉らざしむ莫れ。」と。
阿女默りて聲無し,手巾もて口を掩いて啼き,淚落ちて便ち瀉【そそ】ぐが如し。
我が琉璃の榻【とう】を移し,出して前廳【ぜんそう】の下に置く。
左手に刀尺を持ち,右手に綾羅【りょうら】を執【と】る。

#24其十(10)-2
朝に繡夾【しゅうきょう】裙【くん】を成し,晚には單羅【たんら】の衫【さん】を成す。
暗暗として日暝れなんと欲し,愁思して出でて門に啼く。
府吏 此の變を聞き,因りて假を求め暫く歸える。
未だ至ららざること二三里,摧藏【さいぞう】して馬悲哀す。
新婦 馬聲を識り,履【くつ】を躡【ふ】んで相い逢迎【ほうげい】す。
悵然として遙に相い望む,知る是れ故人の來るを。

#25其十(10)-3
手を舉げて馬鞍【ばあん】を拍【う】ち,嗟歎【さたん】して心を傷ま使む。
君の我にれ別し自【よ】り後,人事は量るべからず。
果して先に願うが如くにならず,又 君が詳【つまびらか】にする所に非らず。
我に親父母有り,逼迫【ひょくはく】するに兼ねて弟兄あり。
以って我 他人に應ぜしむ,君の還るも何の望む所ぞ 。
府吏 新婦に謂う,「君が高遷を得るを賀す。」と
#26其十(10)-4
磐石は方にして且つ厚なり,以って千年を卒【お】う可し。
蒲葦【ほい】は一時の韌【じん】なり,便ち旦夕【たんせき】の間を作す。
卿は當に日の勝【まさ】りて貴なり,吾は獨り黃泉に向わん。」と
新婦 府吏に謂う,「何の意か此の言を出す。」と。

#27其十(10)-5
同じく是れ逼迫せ被る,君 爾【しか】り妾 亦た然【しか】り。
黃泉の下 相い見【まみえ】ん,今日の言に違うこと勿れ。
手を執って道を分って去り,各各 家門に還る。
生人 死別を作す,恨恨 那んぞ論ず可けん。
念【おも】う世間と辭す,千萬 復た全うするをえざるを。


『為焦仲卿妻作』 現代語訳と訳註
(本文)
#27其十(10)-5
同是被逼迫,君爾妾亦然。
黃泉下相見,勿違今日言。
執手分道去,各各還家門。
生人作死別,恨恨那可論。
念與世間辭,千萬不復全。


(下し文)
同じく是れ逼迫せ被る,君 爾【しか】り妾 亦た然【しか】り。
黃泉の下 相い見【まみえ】ん,今日の言に違うこと勿れ。
手を執って道を分って去り,各各 家門に還る。
生人 死別を作す,恨恨 那んぞ論ず可けん。
念【おも】う世間と辭す,千萬 復た全うするをえざるを。


(現代語訳)
わたしたち今度のことはあなたの母親に二人に無理なことを迫って引き離したからうなったのです。あなたの家はそうでしょうし、わたしの家も太守からの事でそうなったのです。
こうなれば黄泉の国に降ってお目にかかるということだけで、くれぐれも今日のおことばにはそむいてはいけません。」と。
二人は手をとりあい、やがて別々の道へと分かれ、そしてそれぞれの家門に帰っていった。
生きていて死に別れの約束をするのだから、互いの恨めしい気持ちを言葉にしようもないのである。
思うことは、この世に望みを捨ててしまうということだから、千や万ほど考えても生命を全うすることはできはしないのだ。


(訳注) #27其十(10)-5
同是被逼迫,君爾妾亦然。

わたしたち今度のことはあなたの母親に二人に無理なことを迫って引き離したからうなったのです。あなたの家はそうでしょうし、わたしの家も太守からの事でそうなったのです。


黃泉下相見,勿違今日言。
こうなれば黄泉の国に降ってお目にかかるということだけで、くれぐれも今日のおことばにはそむいてはいけません。」と


執手分道去,各各還家門。
二人は手をとりあい、やがて別々の道へと分かれ、そしてそれぞれの家門に帰っていった。


生人作死別,恨恨那可論。
生きていて死に別れの約束をするのだから、互いの恨めしい気持ちを言葉にしようもないのである。


念與世間辭,千萬不復全。
思うことは、この世に望みを捨ててしまうということだから、千や万ほど考えても生命を全うすることはできはしないのだ。



為焦仲卿妻作-其十(26) 漢詩<169>古詩源 巻三 女性詩609 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1653

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為焦仲卿妻作-其十(26) 漢詩<169>古詩源 巻三 女性詩609 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1653

#25其十(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。自君別我後,人事不可量。
馬に手をあげて鞍を打たいて落ち着かせて、ああ、と悲しさをしめし、そして本当に心が痛んでいるのだ。
「あなたとお別れしてからそのあとのわたしは、人とのからみということでは見通しがつかないのです。

果不如先願,又非君所詳。我有親父母,逼迫兼弟兄。
お約束を果たそうとしたのですがそのようにはなりませんでした。しかし私が努力したことはとてもあなたにはわからないでしょう。
(ご承知の通り)わたしには肉親の父母があり、そのうえ兄弟までが無理にせまったのです。

以我應他人,君還何所望 。府吏謂新婦,賀君得高遷。
そうして、わたしを一人ばかりか他の人からも申しこみがあり、それに応じるようになったのです。今あなたがお帰りになって前のお約束を所望されてもどうにもならないのです。」
府吏が蘭芝にいう。「君のこの玉の輿はとてもめでたいと思います。」

#26其十(10)-4
磐石方且厚,可以卒千年。
そして、「磐石の私は四角で筋を貫きそのうえ分厚く決意も堅いのです。だから千年でも筋を曲げずに保てるものです。」
蒲葦一時韌,便作旦夕間。
つづいていう「蒲や葦などは一時をつなぐ縄のようなもので、したがって午前中から晩までぐらいしかもたないのだ。」
卿當日勝貴,吾獨向黃泉。
「あなた(元妻の蘭芝)は日が経つのつれ、おえらくなるに違いない。わたしはただひとりで黄泉の国に行くことにしましょう」と。
新婦謂府吏,何意出此言。
蘭芝は府吏にいう。「必死で努力したこの私にどんなおつもりでそんなことをおっしゃるのです。」
#26其十(10)-4
磐石は方にして且つ厚なり,以って千年を卒【お】う可し。
蒲葦【ほい】は一時の韌【じん】なり,便ち旦夕【たんせき】の間を作す。
卿は當に日の勝【まさ】りて貴なり,吾は獨り黃泉に向わん。」と
新婦 府吏に謂う,「何の意か此の言を出す。」と。


現代語訳と訳註
(本文)
#26其十(10)-4
磐石方且厚,可以卒千年。蒲葦一時韌,便作旦夕間。卿當日勝貴,吾獨向黃泉。新婦謂府吏,何意出此言。


(下し文) #26其十(10)-4
磐石は方にして且つ厚なり,以って千年を卒【お】う可し。
蒲葦【ほい】は一時の韌【じん】なり,便ち旦夕【たんせき】の間を作す。
卿は當に日の勝【まさ】りて貴なり,吾は獨り黃泉に向わん。」と
新婦 府吏に謂う,「何の意か此の言を出す。」と。


(現代語訳)
そして、「磐石の私は四角で筋を貫きそのうえ分厚く決意も堅いのです。だから千年でも筋を曲げずに保てるものです。」
つづいていう「蒲や葦などは一時をつなぐ縄のようなもので、したがって午前中から晩までぐらいしかもたないのだ。」
「あなた(元妻の蘭芝)は日が経つのつれ、おえらくなるに違いない。わたしはただひとりで黄泉の国に行くことにしましょう」と。
蘭芝は府吏にいう。「必死で努力したこの私にどんなおつもりでそんなことをおっしゃるのです。」


(訳注) #26其十(10)-4
磐石方且厚,可以卒千年。

そして、「磐石の私は四角で筋を貫きそのうえ分厚く決意も堅いのです。だから千年でも筋を曲げずに保てるものです。」
#14で府吏に云っている
「君當作磐石,妾當作蒲葦。蒲葦韌如絲,磐石無轉移。」


蒲葦一時韌,便作旦夕間。
つづいていう「蒲や葦などは一時をつなぐ縄のようなもので、したがって午前中から晩までぐらいしかもたないのだ。」


卿當日勝貴,吾獨向黃泉。
「あなた(元妻の蘭芝)は日が経つのつれ、おえらくなるに違いない。わたしはただひとりで黄泉の国に行くことにしましょう」と。


新婦謂府吏,何意出此言。
蘭芝は府吏にいう。「必死で努力したこの私にどんなおつもりでそんなことをおっしゃるのです。」

為焦仲卿妻作-#25其十(10)-3 漢詩<168>古詩源 巻三 女性詩608 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1649

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為焦仲卿妻作-#25其十(10)-3 漢詩<168>古詩源 巻三 女性詩608 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1649


#25其十(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。
馬に手をあげて鞍を打たいて落ち着かせて、ああ、と悲しさをしめし、そして本当に心が痛んでいるのだ。
自君別我後,人事不可量。
「あなたとお別れしてからそのあとのわたしは、人とのからみということでは見通しがつかないのです。
果不如先願,又非君所詳。
お約束を果たそうとしたのですがそのようにはなりませんでした。しかし私が努力したことはとてもあなたにはわからないでしょう。
我有親父母,逼迫兼弟兄。
(ご承知の通り)わたしには肉親の父母があり、そのうえ兄弟までが無理にせまったのです。
以我應他人,君還何所望 。
そうして、わたしを一人ばかりか他の人からも申しこみがあり、それに応じるようになったのです。今あなたがお帰りになって前のお約束を所望されてもどうにもならないのです。」
府吏謂新婦,賀君得高遷。
府吏が蘭芝にいう。「君のこの玉の輿はとてもめでたいと思います。」
#25其十(10)-3
手を舉げて馬鞍【ばあん】を拍【う】ち,嗟歎【さたん】して心を傷ま使む。
君の我にれ別し自【よ】り後,人事は量るべからず。
果して先に願うが如くにならず,又 君が詳【つまびらか】にする所に非らず。
我に親父母有り,逼迫【ひょくはく】するに兼ねて弟兄あり。
以って我 他人に應ぜしむ,君の還るも何の望む所ぞ 。
府吏 新婦に謂う,「君が高遷を得るを賀す。」と


#25『為焦仲卿妻作』-其十 (10)-3 現代語訳と訳註
(本文)

#25其十(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。自君別我後,人事不可量。果不如先願,又非君所詳。我有親父母,逼迫兼弟兄。以我應他人,君還何所望 。府吏謂新婦,賀君得高遷。


(下し文)
#25其十(10)-3
手を舉げて馬鞍【ばあん】を拍【う】ち,嗟歎【さたん】して心を傷ま使む。
君の我にれ別し自【よ】り後,人事は量るべからず。
果して先に願うが如くにならず,又 君が詳【つまびらか】にする所に非らず。
我に親父母有り,逼迫【ひょくはく】するに兼ねて弟兄あり。
以って我 他人に應ぜしむ,君の還るも何の望む所ぞ 。
府吏 新婦に謂う,「君が高遷を得るを賀す。」と


(現代語訳)
馬に手をあげて鞍を打たいて落ち着かせて、ああ、と悲しさをしめし、そして本当に心が痛んでいるのだ。
「あなたとお別れしてからそのあとのわたしは、人とのからみということでは見通しがつかないのです。
お約束を果たそうとしたのですがそのようにはなりませんでした。しかし私が努力したことはとてもあなたにはわからないでしょう。
(ご承知の通り)わたしには肉親の父母があり、そのうえ兄弟までが無理にせまったのです。
そうして、わたしを一人ばかりか他の人からも申しこみがあり、それに応じるようになったのです。今あなたがお帰りになって前のお約束を所望されてもどうにもならないのです。」
府吏が蘭芝にいう。「君のこの玉の輿はとてもめでたいと思います。」


(訳注)
#25其十(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。

馬に手をあげて鞍を打たいて落ち着かせて、ああ、と悲しさをしめし、そして本当に心が痛んでいるのだ。


自君別我後,人事不可量。
「あなたとお別れしてからそのあとのわたしは、人とのからみということでは見通しがつかないのです。


果不如先願,又非君所詳。
お約束を果たそうとしたのですがそのようにはなりませんでした。しかし私が努力したことはとてもあなたにはわからないでしょう。


我有親父母,逼迫兼弟兄。
(ご承知の通り)わたしには肉親の父母があり、そのうえ兄弟までが無理にせまったのです。


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府吏謂新婦,賀君得高遷。
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為焦仲卿妻作-其十(24) 漢詩<167>古詩源 巻三 女性詩607 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1645

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 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集琴操十首 (9)別鵠操 商陵穆子,娶妻五年無子。父母欲其改娶,其妻聞之,中夜悲嘯,穆子感之而作 韓退之(韓愈)詩<75-(9)>Ⅱ中唐詩439 (12/08) 
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為焦仲卿妻作-其十(24) 漢詩<167>古詩源 巻三 女性詩607 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1645


#24『為焦仲卿妻作』-其十(10)-2 
独善的な三段論法は得意だが相手の気持ちになることが出来ない、相手の気持ちになっての三段論法が苦手のなのであることがよくわかる詩である。この考え方というのも中國の歴史書、詩歌、物語、尖閣問題、日本製品排斥などの根底にある発想法のひとつである。

#23為焦仲卿妻作-其十(10)-1
阿母謂阿女,適得府君書,明日來迎汝。何不作衣裳,
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だんだんと日は落ち暮れてゆく。娘の蘭芝は愁いと思いがこみ上げ、門を出てしくしくと泣くのである。
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府吏は女が嫁入りするというこの変事を聞きつけ、急いで役所から仮休暇をもらって、帰宅することとなった。
未至二三裏,摧藏馬悲哀。
まだ家についていない二、三里手前のあたりで、馬が疲れてあわれな声を出して鳴いたのである。
新婦識馬聲,躡履相逢迎。
門を出て泣いていた娘の蘭芝が馬の声を聞き知って、履をふみしめ馬の声の方に迎えに出た。
悵然遙相望,知是故人來。

#25其十(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。自君別我後,人事不可量。果不如先願,又非君所詳。我有親父母,逼迫兼弟兄。以我應他人,君還何所望 。府吏謂新婦,賀君得高遷。
#26其十(10)-4
磐石方且厚,可以卒千年。蒲葦一時韌,便作旦夕間。卿當日勝貴,吾獨向黃泉。新婦謂府吏,何意出此言。
#27其十(10)-5
同是被逼迫,君爾妾亦然。黃泉下相見,勿違今日言。執手分道去,各各還家門。生人作死別,恨恨那可論。念與世間辭,千萬不復全。

#23為焦仲卿妻作-其十(10)-1
阿母阿女に謂う,「適【まさ】に府君の書を得たり,明日來りて汝を迎えんと。
何んぞ衣裳を作らざる,事をして舉らざしむ莫れ。」と。
阿女默りて聲無し,手巾もて口を掩いて啼き,淚落ちて便ち瀉【そそ】ぐが如し。
我が琉璃の榻【とう】を移し,出して前廳【ぜんそう】の下に置く。
左手に刀尺を持ち,右手に綾羅【りょうら】を執【と】る。

#24其十(10)-2
朝に繡夾【しゅうきょう】裙【くん】を成し,晚には單羅【たんら】の衫【さん】を成す。
暗暗として日暝れなんと欲し,愁思して出でて門に啼く。
府吏 此の變を聞き,因りて假を求め暫く歸える。
未だ至ららざること二三里,摧藏【さいぞう】して馬悲哀す。
新婦 馬聲を識り,履【くつ】を躡【ふ】んで相い逢迎【ほうげい】す。
悵然として遙に相い望む,知る是れ故人の來るを。

#25其十(10)-3
手を舉げて馬鞍【ばあん】を拍【う】ち,嗟歎【さたん】して心を傷ま使む。
君の我にれ別し自【よ】り後,人事は量るべからず。
果して先に願うが如くにならず,又 君が詳【つまびらか】にする所に非らず。
我に親父母有り,逼迫【ひょくはく】するに兼ねて弟兄あり。
以って我 他人に應ぜしむ,君の還るも何の望む所ぞ 。
府吏 新婦に謂う,「君が高遷を得るを賀す。」と
#26其十(10)-4
磐石は方にして且つ厚なり,以って千年を卒【お】う可し。
蒲葦【ほい】は一時の韌【じん】なり,便ち旦夕【たんせき】の間を作す。
卿は當に日の勝【まさ】りて貴なり,吾は獨り黃泉に向わん。」と
新婦 府吏に謂う,「何の意か此の言を出す。」と。

#27其十(10)-5
同じく是れ逼迫せ被る,君 爾【しか】り妾 亦た然【しか】り。
黃泉の下 相い見【まみえ】ん,今日の言に違うこと勿れ。
手を執って道を分って去り,各各 家門に還る。
生人 死別を作す,恨恨 那んぞ論ず可けん。
念【おも】う世間と辭す,千萬 復た全うするをえざるを。


『為焦仲卿妻作』-其十 現代語訳と訳註
(本文)
#24其十(10)-2
朝成繡夾裙,晚成單羅衫。暗暗日欲暝,愁思出門啼。府吏聞此變,因求假暫歸。未至二三裏,摧藏馬悲哀。新婦識馬聲,躡履相逢迎。悵然遙相望,知是故人來。


(下し文) #24其十(10)-2
朝に繡夾【しゅうきょう】裙【くん】を成し,晚には單羅【たんら】の衫【さん】を成す。
暗暗として日暝れなんと欲し,愁思して出でて門に啼く。
府吏 此の變を聞き,因りて假を求め暫く歸える。
未だ至ららざること二三里,摧藏【さいぞう】して馬悲哀す。
新婦 馬聲を識り,履【くつ】を躡【ふ】んで相い逢迎【ほうげい】す。
悵然として遙に相い望む,知る是れ故人の來るを。


(現代語訳)
朝の間に刺繍の襦袢はかまを作り、晩方には単衣の薄絹の上着を作り上げたのだ。
だんだんと日は落ち暮れてゆく。娘の蘭芝は愁いと思いがこみ上げ、門を出てしくしくと泣くのである。
府吏は女が嫁入りするというこの変事を聞きつけ、急いで役所から仮休暇をもらって、帰宅することとなった。
まだ家についていない二、三里手前のあたりで、馬が疲れてあわれな声を出して鳴いたのである。
門を出て泣いていた娘の蘭芝が馬の声を聞き知って、履をふみしめ馬の声の方に迎えに出た。
もしやと思い遙か先を眺めると、やっぱり、彼の夫が来ていることがわかったのである。


(訳注) #24其十(10)-2
朝成繡夾裙,晚成單羅衫。

朝の間に刺繍の襦袢はかまを作り、晩方には単衣の薄絹の上着を作り上げたのだ。


暗暗日欲暝,愁思出門啼。
だんだんと日は落ち暮れてゆく。娘の蘭芝は愁いと思いがこみ上げ、門を出てしくしくと泣くのである。


府吏聞此變,因求假暫歸。
府吏は女が嫁入りするというこの変事を聞きつけ、急いで役所から仮休暇をもらって、帰宅することとなった。


未至二三裏,摧藏馬悲哀。
まだ家についていない二、三里手前のあたりで、馬が疲れてあわれな声を出して鳴いたのである。


新婦識馬聲,躡履相逢迎。
門を出て泣いていた娘の蘭芝が馬の声を聞き知って、履をふみしめ馬の声の方に迎えに出た。


悵然遙相望,知是故人來。
もしやと思い遙か先を眺めると、やっぱり、彼の夫が来ていることがわかったのである。

為焦仲卿妻作-其十(23) 漢詩<166>古詩源 巻三 女性詩606 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1641

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為焦仲卿妻作-其十(23) 漢詩<166>古詩源 巻三 女性詩606 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1641


#23為焦仲卿妻作-其十(10)-1
阿母謂阿女,適得府君書,
母親が娘蘭芝にいう。「今まさに、太守のお手紙がとどいたところですよ。
明日來迎汝。何不作衣裳,
明日はおまえを迎えにくるといわれております。なぜ持参衣裳を作らないというのではないでしょうね。
莫令事不舉。阿女默無聲,
この婚儀が運ばぬようなことにしてはいけませんよ」と。可愛い娘は無言のままじっとしている。
手巾掩口啼,淚落便如瀉。
手にしたハンカチで口もとをおさえて泣いている。涙が落ちるるのは雨がふりしきるようである。
移我琉璃榻,出置前廳下。
やがて琉璃の椅子を引き出し移動させて、前窓の下の方におきひろくした。
左手持刀尺,右手執綾羅。
左手で裁ち物の刀とものさしを持ち、右手に綾の羅をとってはじめたのである。
#24其十(10)-2
朝成繡夾裙,晚成單羅衫。暗暗日欲暝,愁思出門啼。府吏聞此變,因求假暫歸。未至二三裏,摧藏馬悲哀。新婦識馬聲,躡履相逢迎。悵然遙相望,知是故人來。
#25其十(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。自君別我後,人事不可量。果不如先願,又非君所詳。我有親父母,逼迫兼弟兄。以我應他人,君還何所望 。府吏謂新婦,賀君得高遷。
#26其十(10)-4
磐石方且厚,可以卒千年。蒲葦一時韌,便作旦夕間。卿當日勝貴,吾獨向黃泉。新婦謂府吏,何意出此言。
#27其十(10)-5
同是被逼迫,君爾妾亦然。黃泉下相見,勿違今日言。執手分道去,各各還家門。生人作死別,恨恨那可論。念與世間辭,千萬不復全。

#23為焦仲卿妻作-其十(10)-1
阿母阿女に謂う,「適【まさ】に府君の書を得たり,明日來りて汝を迎えんと。
何んぞ衣裳を作らざる,事をして舉らざしむ莫れ。」と。
阿女默りて聲無し,手巾もて口を掩いて啼き,淚落ちて便ち瀉【そそ】ぐが如し。
我が琉璃の榻【とう】を移し,出して前廳【ぜんそう】の下に置く。
左手に刀尺を持ち,右手に綾羅【りょうら】を執【と】る。

#24其十(10)-2
朝に繡夾【しゅうきょう】裙【くん】を成し,晚には單羅【たんら】の衫【さん】を成す。
暗暗として日暝れなんと欲し,愁思して出でて門に啼く。
府吏 此の變を聞き,因りて假を求め暫く歸える。
未だ至ららざること二三里,摧藏【さいぞう】して馬悲哀す。
新婦 馬聲を識り,履【くつ】を躡【ふ】んで相い逢迎【ほうげい】す。
悵然として遙に相い望む,知る是れ故人の來るを。

#25其十(10)-3
手を舉げて馬鞍【ばあん】を拍【う】ち,嗟歎【さたん】して心を傷ま使む。
君の我にれ別し自【よ】り後,人事は量るべからず。
果して先に願うが如くにならず,又 君が詳【つまびらか】にする所に非らず。
我に親父母有り,逼迫【ひょくはく】するに兼ねて弟兄あり。
以って我 他人に應ぜしむ,君の還るも何の望む所ぞ 。
府吏 新婦に謂う,「君が高遷を得るを賀す。」と
#26其十(10)-4
磐石は方にして且つ厚なり,以って千年を卒【お】う可し。
蒲葦【ほい】は一時の韌【じん】なり,便ち旦夕【たんせき】の間を作す。
卿は當に日の勝【まさ】りて貴なり,吾は獨り黃泉に向わん。」と
新婦 府吏に謂う,「何の意か此の言を出す。」と。

#27其十(10)-5
同じく是れ逼迫せ被る,君 爾【しか】り妾 亦た然【しか】り。
黃泉の下 相い見【まみえ】ん,今日の言に違うこと勿れ。
手を執って道を分って去り,各各 家門に還る。
生人 死別を作す,恨恨 那んぞ論ず可けん。
念【おも】う世間と辭す,千萬 復た全うするをえざるを。


#23『為焦仲卿妻作』-其十(10)-1 現代語訳と訳註
(本文)
#23為焦仲卿妻作-其十(10)-1
阿母謂阿女,適得府君書,明日來迎汝。何不作衣裳,莫令事不舉。阿女默無聲,手巾掩口啼,淚落便如瀉。移我琉璃榻,出置前廳下。左手持刀尺,右手執綾羅。


(下し文)
阿母阿女に謂う,「適【まさ】に府君の書を得たり,明日來りて汝を迎えんと。
何んぞ衣裳を作らざる,事をして舉らざしむ莫れ。」と。
阿女默りて聲無し,手巾もて口を掩いて啼き,淚落ちて便ち瀉【そそ】ぐが如し。
我が琉璃の榻【とう】を移し,出して前廳【ぜんそう】の下に置く。
左手に刀尺を持ち,右手に綾羅【りょうら】を執【と】る。


(現代語訳)
母親が娘蘭芝にいう。「今まさに、太守のお手紙がとどいたところですよ。
明日はおまえを迎えにくるといわれております。なぜ持参衣裳を作らないというのではないでしょうね。
この婚儀が運ばぬようなことにしてはいけませんよ」と。可愛い娘は無言のままじっとしている。
手にしたハンカチで口もとをおさえて泣いている。涙が落ちるるのは雨がふりしきるようである。
やがて琉璃の椅子を引き出し移動させて、前窓の下の方におきひろくした。
左手で裁ち物の刀とものさしを持ち、右手に綾の羅をとってはじめたのである。


(訳注) #23為焦仲卿妻作-其十(10)-1
阿母謂阿女,適得府君書,

母親が娘蘭芝にいう。「今まさに、太守のお手紙がとどいたところですよ。


明日來迎汝。何不作衣裳,
明日はおまえを迎えにくるといわれております。なぜ持参衣裳を作らないというのではないでしょうね。


莫令事不舉。阿女默無聲,
この婚儀が運ばぬようなことにしてはいけませんよ」と。可愛い娘は無言のままじっとしている。


手巾掩口啼,淚落便如瀉。
手にしたハンカチで口もとをおさえて泣いている。涙が落ちるるのは雨がふりしきるようである。


移我琉璃榻,出置前廳下。
やがて琉璃の椅子を引き出し移動させて、前窓の下の方におきひろくした


左手持刀尺,右手執綾羅。
左手で裁ち物の刀とものさしを持ち、右手に綾の羅をとってはじめたのである。

為焦仲卿妻作-其九(22) 漢詩<165>古詩源 巻三 女性詩605 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1637

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 Ⅱ中唐詩・晩唐詩月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#5>Ⅱ中唐詩518 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1638 
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為焦仲卿妻作-其九(22) 漢詩<165>古詩源 巻三 女性詩605 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1637


#21為焦仲卿妻作-其九(9)-1
媒人下床去,諾諾複爾爾。
媒酌の使者は長椅子からおりて「すぐさま承知していただきそしてまた、そのようにお返事いただいた。」といって立ち去った。
還部白府君,下官奉使命,言談大有緣 。
そして、幕府に帰って太守に申しあげていう、「拙者はお使い役をうけたまわりやりとげてまいりました、話はうけいれられ、とても良い縁ということになりました。」
府君得聞之,心中大歡喜。
太守はこれを聞くにおよんで、心の底から大いに喜ばれたのだ。
視曆複開書,便利此月內,六合正相應。
暦を見て確かめ、書物をあけて調べている、そしていう。「今月のうちがよいとおもわれる。星のめぐりあわせも合っているようです。
良吉三十日,今已二十七,卿可去成婚。
三十日が吉日で、今日はもう二十七日になります、緒卿のものはさっそく行って婚儀の仕度をととえてまいれ。」と。
#22 (9)-1
交語速裝束,絡繹如浮雲。
両家の間に交わされた約束が整ったので、取り急いで仕度をすることになった。仕度の舟や馬車がまるで浮き雲のようにいきかった。
青雀白鵠舫,四角龍子幡。
縁起物の五行思想の青雀や白鵠をかたどった舟は、四すみに竜の幡をおし立ている。
婀娜隨風轉,金車玉作輪。
それがひらひらと風のまにまにひるがえり、金色の車台、玉をちりばめた車輪もつづく。
躑躅青驄馬,流蘇金縷鞍。
行きて進まない靑毛の駿馬、金絲のひねり飾りの鞍には五色の飾りふさがはなやかに垂れている。
齎錢三百萬,皆用青絲穿。
支度金の銭は三百万、みな青い糸で穴を通してある。
雜彩三百疋,交廣市鮭珍。
このほかに色とりどりのあや絹三百疋、交広地方から求めためずらしい肴類も用意される。
從人四五百,鬱鬱登郡門。

おともの者は四、五百人。そのものたちが、さかんに続いて郡守邸宅の門前へと集まってくる。


#21焦仲卿妻の為に作る-其九(9)
媒人 床を下り去り,諾諾【だくだく】複た爾爾【じじ】。
部に還って府君に白【もう】す,「下官 使命を奉じ,言談 大いに緣有り。」と。
府君之を聞くを得て,心中大いに歡喜す。
曆を視 複た書を開き,「便ち此の月の內を利とす,六合 正に相應す。
良吉は三十日なり,今已【すで】に二十七,卿 去って婚を成す可し。」と。

#22
語を交えて速かに裝束【しょうぞく】す,絡繹として浮雲の如し。
青雀 白鵠【はくこく】の舫【ほう】,四角 龍子の幡【はん】。婀娜【あだ】風に隨って轉じ,金車 玉をもって輪と作す。
躑躅【てきちょく】たる青驄【せいそう】の馬,流蘇【りゅうそ】は金縷【きんろう】の鞍。
錢を齎【もた】らす三百萬,皆 青絲を用て穿つ。
雜彩【ざつさい】三百疋,交廣より鮭珍を市【か】う。從人 四五百,鬱鬱【うつうつ】として郡門に登【いた】る。


現代語訳と訳註
(本文)
#22
交語速裝束,絡繹如浮雲。青雀白鵠舫,四角龍子幡。婀娜隨風轉,金車玉作輪。躑躅青驄馬,流蘇金縷鞍。齎錢三百萬,皆用青絲穿。雜彩三百疋,交廣市鮭珍。從人四五百,鬱鬱登郡門。


(下し文) #22
語を交えて速かに裝束【しょうぞく】す,絡繹として浮雲の如し。
青雀 白鵠【はくこく】の舫【ほう】,四角 龍子の幡【はん】。婀娜【あだ】風に隨って轉じ,金車 玉をもって輪と作す。
躑躅【てきちょく】たる青驄【せいそう】の馬,流蘇【りゅうそ】は金縷【きんろう】の鞍。
錢を齎【もた】らす三百萬,皆 青絲を用て穿つ。
雜彩【ざつさい】三百疋,交廣より鮭珍を市【か】う。從人 四五百,鬱鬱【うつうつ】として郡門に登【いた】る。


(現代語訳)
両家の間に交わされた約束が整ったので、取り急いで仕度をすることになった。仕度の舟や馬車がまるで浮き雲のようにいきかった。
縁起物の五行思想の青雀や白鵠をかたどった舟は、四すみに竜の幡をおし立ている。
それがひらひらと風のまにまにひるがえり、金色の車台、玉をちりばめた車輪もつづく。
行きて進まない靑毛の駿馬、金絲のひねり飾りの鞍には五色の飾りふさがはなやかに垂れている。
支度金の銭は三百万、みな青い糸で穴を通してある。
このほかに色とりどりのあや絹三百疋、交広地方から求めためずらしい肴類も用意される。
おともの者は四、五百人。そのものたちが、さかんに続いて郡守邸宅の門前へと集まってくる。

 
(訳注) #22
交語速裝束,絡繹如浮雲。

両家の間に交わされた約束が整ったので、取り急いで仕度をすることになった。仕度の舟や馬車がまるで浮き雲のようにいきかった。


青雀白鵠舫,四角龍子幡。
縁起物の五行思想の青雀や白鵠をかたどった舟は、四すみに竜の幡をおし立ている。


婀娜隨風轉,金車玉作輪。
それがひらひらと風のまにまにひるがえり、金色の車台、玉をちりばめた車輪もつづく。


躑躅青驄馬,流蘇金縷鞍。
行きて進まない靑毛の駿馬、金絲のひねり飾りの鞍には五色の飾りふさがはなやかに垂れている。
躑躅 行きて進まざるさま。
杜甫「醉歌行
春光潭沱秦東亭,渚蒲牙白水荇青。
風吹客衣日杲杲,樹攪離思花冥冥。
酒盡沙頭雙玉瓶,眾賓皆醉我獨醒。
乃知貧賤別更苦,吞聲躑躅涕淚零。』

醉歌行 杜甫 : kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 誠実な詩人杜甫特集 94

蛇足だが、中国で毒性のあるツツジを羊が誤って食べたところ、足ぶみしてもがき、うずくまってしまったと伝えられていることから躑躅(てきちょく)と言う。


齎錢三百萬,皆用青絲穿。
支度金の銭は三百万、みな青い糸で穴を通してある。


雜彩三百疋,交廣市鮭珍。
このほかに色とりどりのあや絹三百疋、交広地方から求めためずらしい肴類も用意される。


從人四五百,鬱鬱登郡門。
おともの者は四、五百人。そのものたちが、さかんに続いて郡守邸宅の門前へと集まってくる。


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#21為焦仲卿妻作 -其九 (9)-1
媒人下床去,諾諾複爾爾。
媒酌の使者は長椅子からおりて「すぐさま承知していただきそしてまた、そのようにお返事いただいた。」といって立ち去った。
還部白府君,下官奉使命,言談大有緣 。
そして、幕府に帰って太守に申しあげていう、「拙者はお使い役をうけたまわりやりとげてまいりました、話はうけいれられ、とても良い縁ということになりました。」
府君得聞之,心中大歡喜。
太守はこれを聞くにおよんで、心の底から大いに喜ばれたのだ。
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良吉三十日,今已二十七,卿可去成婚。

三十日が吉日で、今日はもう二十七日になります、緒卿のものはさっそく行って婚儀の仕度をととえてまいれ。」と。
#22
交語速裝束,絡繹如浮雲。青雀白鵠舫,四角龍子幡。婀娜隨風轉,金車玉作輪。躑躅青驄馬,流蘇金縷鞍。齎錢三百萬,皆用青絲穿。雜彩三百疋,交廣市鮭珍。從人四五百,鬱鬱登郡門。


#21焦仲卿妻の為に作る-其九(9)
媒人 床を下り去り,諾諾【だくだく】複た爾爾【じじ】。
部に還って府君に白【もう】す,「下官 使命を奉じ,言談 大いに緣有り。」と。
府君之を聞くを得て,心中大いに歡喜す。
曆を視 複た書を開き,「便ち此の月の內を利とす,六合 正に相應す。
良吉は三十日なり,今已【すで】に二十七,卿 去って婚を成す可し。」と。

#22
語を交えて速かに裝束【しょうぞく】す,絡繹として浮雲の如し。
青雀 白鵠【はくこく】の舫【ほう】,四角 龍子の幡【はん】。婀娜【あだ】風に隨って轉じ,金車 玉をもって輪と作す。
躑躅【てきちょく】たる青驄【せいそう】の馬,流蘇【りゅうそ】は金縷【きんろう】の鞍。
錢を齎【もた】らす三百萬,皆 青絲を用て穿つ。
雜彩【ざつさい】三百疋,交廣より鮭珍を市【か】う。從人 四五百,鬱鬱【うつうつ】として郡門に登【いた】る。


『為焦仲卿妻作』-其九 (9)-1 現代語訳と訳註
(本文)
#21
媒人下床去,諾諾複爾爾。
還部白府君,下官奉使命,言談大有緣 。
府君得聞之,心中大歡喜。
視曆複開書,便利此月內,六合正相應。
良吉三十日,今已二十七,卿可去成婚。


(下し文) #21焦仲卿妻の為に作る-其九(9)
媒人 床を下り去り,諾諾【だくだく】複た爾爾【じじ】。
部に還って府君に白【もう】す,「下官 使命を奉じ,言談 大いに緣有り。」と。
府君之を聞くを得て,心中大いに歡喜す。
曆を視 複た書を開き,「便ち此の月の內を利とす,六合 正に相應す。
良吉は三十日なり,今已【すで】に二十七,卿 去って婚を成す可し。」と。


(現代語訳)
媒酌の使者は長椅子からおりて「すぐさま承知していただきそしてまた、そのようにお返事いただいた。」といって立ち去った。
そして、幕府に帰って太守に申しあげていう、「拙者はお使い役をうけたまわりやりとげてまいりました、話はうけいれられ、とても良い縁ということになりました。」
太守はこれを聞くにおよんで、心の底から大いに喜ばれたのだ。
暦を見て確かめ、書物をあけて調べている、そしていう。「今月のうちがよいとおもわれる。星のめぐりあわせも合っているようです。
三十日が吉日で、今日はもう二十七日になります、緒卿のものはさっそく行って婚儀の仕度をととえてまいれ。」と。


(訳注)
媒人下床去,諾諾複爾爾。
媒酌の使者は長椅子からおりて「すぐさま承知していただきそしてまた、そのようにお返事いただいた。」といって立ち去った。
・諾々 すぐさま承知すること。唯々諾々 ( いいだくだく ). 自分の意見を少しも主張せずに、他人の言いなりになって盲従する様。 事の良し悪しに関わらず、ただ人の意見に従って言いなりになること。 唯々は「はいはい」という返事。 「韓非子・八姦編」


還部白府君,下官奉使命,言談大有緣 。
そして、幕府に帰って太守に申しあげていう、「拙者はお使い役をうけたまわりやりとげてまいりました、話はうけいれられ、とても良い縁ということになりました。」
・還部 部は郡幕府の事務室。


府君得聞之,心中大歡喜。
太守はこれを聞くにおよんで、心の底から大いに喜ばれたのだ。
・府君 太守を指す。


視曆複開書,便利此月內,六合正相應。
暦を見て確かめ、書物をあけて調べている、そしていう。「今月のうちがよいとおもわれる。星のめぐりあわせも合っているようです。
・六合 吉祥をつかさどる星の名。陰陽家学説に従い、日・月と北斗(古代中国では六星)とによる六種の会合によって吉凶を判断する。


良吉三十日,今已二十七,卿可去成婚。
三十日が吉日で、今日はもう二十七日になります、緒卿のものはさっそく行って婚儀の仕度をととえてまいれ。」と。


為焦仲卿妻作-其八(20) 漢詩<163>古詩源 巻三 女性詩603 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1629

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為焦仲卿妻作-其八(20) 漢詩<163>古詩源 巻三 女性詩603 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1629


#18為焦仲卿妻作-其八(8)-1
媒人去數日,尋遣丞請還。說有蘭家女,承籍有宦官。
県令の中立人が去って数日たつと、こんどは郡の太守が属官をつかわして、太守の意向を聞くように申しこんできた。
属官かいうのに、人の話では「蘭芝家の母親の実家について、代々高級官僚の家柄だ」ということをいっております。

雲有第五郎,嬌逸未有婚。遣丞為媒人,主簿通語言。
つづけて謂うのに、「太守さまには第五男があります。いたって好青年でりっはな方で、まだ結婚をされておりません。」
「それで下役のわたしを媒人とし、この書記役に婚姻の申しこみをさせる次第です」そこで二人がひたすらいう。

直說太守家,有此令郎君。既欲結大義,故遣來貴門。
書記役も直接いうには、「太守さまには若君がおありになります。」
「前から、婚礼の大義を結ばれたいということで、わざわざこうして貴家の御門に伺わせられてきました。」と。
19(8)-2
阿母謝媒人,女子先有誓,老姥豈敢言。
母親は妹人にお礼を述べる。「娘はさきごろから嫁に行かないと誓ったのだといっております。この婆のわたしからは何もいうことができないのです。」と。
阿兄得聞之,悵然心中煩。舉言謂阿妹,作計何不量。
しかし、蘭芝の兄はこれを聞き及んで、とてもくやしがり、心中に不満の気持ちをいだいているようである。
それをことばに出して妹にいうのである。「なんという浅はかな考えをしているのだ。」

先嫁得府吏,後嫁得郎君。否泰如天地,足以榮汝身。
「先には幕府の役人に嫁入りをしたというに、こんどは県令を越えて大守の若君というのではないか。」
「それは天と地というほどの違いがあることなのだ、おまえが一身のほまれになる良縁は一族にとってもよいというものだ。」

不嫁義郎體,其往欲何雲。
こんなよいお方に嫁がないということは、この先、その人生をどうして生きようというのか」と。
#20為焦仲卿妻作-其八(20) 
蘭芝仰頭答,理實如兄言。
蘭芝は頭を下げ、そして兄上を見あげながら答える。「にいさんのおことばはりにかなってもっともなことです。」
謝家事夫君,中道還兄門。
「わたしはこの家を謝して彼家の嫁になり、夫に仕えました。その中途にて兄上の家へ戻されてしまいました。」
處分適兄意,那得自任專。
「わたしの身のふり方は兄上の御意のままにいたします、どうして自分勝手なことなどいたすつもりはありません。」
雖與府吏約,後會永無緣。
「たしかに府吏とは約束はいたしましたが、この後あの人と逢うということは永久に縁がないものとしています。」
登即相許和,便可作婚姻

「すぐさまおだやかに承諾いたします、そしてさっそく結婚いたしましょう。」

媒人去って數日,尋いで丞を遣わし還を請う。
「說く蘭家の女有り,承籍 宦官有り。」
雲う「第五郎有り,嬌逸にして未だ婚有らず。
丞を遣わして媒人と為し,主簿をして語言を通ぜむ。直 說く太守の家,此の令郎君有り。既に大義を結ばんと欲す,故に遣わして貴門に來らしむ。」と。
#19
阿母 媒人に謝す,女子先に誓有り,老姥 豈に敢て言わんや。
阿兄 之を聞くことを得て,悵然として心中に煩う。言を舉げて阿妹に謂う,「計を作す何ぞ量らざる。
先に嫁ひて府吏を得,後に嫁して郎君を得る。
否泰 天地の如く,以って汝が身を榮えしむるに足らん。不義郎の體に嫁,其の往 何雲にせんと欲する。」と
20
蘭芝 頭を仰ぎて答う,「理 實に兄の言の如し。家を謝して夫君に事へ,中道にして兄の門に還る。處分は兄が意に適せんのみ,那ぞ自ら任じて專らにするを得ん。府吏と約せりと雖も,後に會ず永く緣無からん。登即 相許和し,便ち婚姻を作す可し。


『為焦仲卿妻作』-其八 (8)-3 現代語訳と訳註
(本文)
#20
蘭芝仰頭答,理實如兄言。謝家事夫君,中道還兄門。處分適兄意,那得自任專。雖與府吏約,後會永無緣。登即相許和,便可作婚姻 。


(下し文)#20
蘭芝 頭を仰ぎて答う,「理 實に兄の言の如し。
家を謝して夫君に事へ,中道にして兄の門に還る。
處分は兄が意に適せんのみ,那ぞ自ら任じて專らにするを得ん。
府吏と約せりと雖も,後に會ず永く緣無からん。
登即 相許和し,便ち婚姻を作す可し。


(現代語訳)
蘭芝は頭を下げ、そして兄上を見あげながら答える。「にいさんのおことばはりにかなってもっともなことです。」
「わたしはこの家を謝して彼家の嫁になり、夫に仕えました。その中途にて兄上の家へ戻されてしまいました。」
「わたしの身のふり方は兄上の御意のままにいたします、どうして自分勝手なことなどいたすつもりはありません。」
「たしかに府吏とは約束はいたしましたが、この後あの人と逢うということは永久に縁がないものとしています。」
「すぐさまおだやかに承諾いたします、そしてさっそく結婚いたしましょう。」


(訳注) #20
蘭芝仰頭答,理實如兄言。

蘭芝は頭を下げ、そして兄上を見あげながら答える。「にいさんのおことばはりにかなってもっともなことです。」


謝家事夫君,中道還兄門。
「わたしはこの家を謝して彼家の嫁になり、夫に仕えました。その中途にて兄上の家へ戻されてしまいました。」


處分適兄意,那得自任專。
「わたしの身のふり方は兄上の御意のままにいたします、どうして自分勝手なことなどいたすつもりはありません。」


雖與府吏約,後會永無緣。
たしかに府吏とは約束はいたしましたが、この後あの人と逢うということは永久に縁がないものとしています。」


登即相許和,便可作婚姻 。
すぐさまおだやかに承諾いたします、そしてさっそく結婚いたしましょう。」
・登即 すぐさま、当時の俗語か。
・許和 おだやかに承諾すること。


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媒人去數日,尋遣丞請還。說有蘭家女,承籍有宦官。
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雲有第五郎,嬌逸未有婚。遣丞為媒人,主簿通語言。
つづけて謂うのに、「太守さまには第五男があります。いたって好青年でりっはな方で、まだ結婚をされておりません。」
「それで下役のわたしを媒人とし、この書記役に婚姻の申しこみをさせる次第です」そこで二人がひたすらいう。

直說太守家,有此令郎君。既欲結大義,故遣來貴門。
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「前から、婚礼の大義を結ばれたいということで、わざわざこうして貴家の御門に伺わせられてきました。」と。
#19(8)-2
阿母謝媒人,女子先有誓,老姥豈敢言。
こんなよいお方に嫁がないということは、この先、その人生をどうして生きようというのか」と。
#20
蘭芝仰頭答,理實如兄言。謝家事夫君,中道還兄門。
處分適兄意,那得自任專。雖與府吏約,後會永無緣。
登即相許和,便可作婚姻 。
母親は妹人にお礼を述べる。「娘はさきごろから嫁に行かないと誓ったのだといっております。この婆のわたしからは何もいうことができないのです。」と。
阿兄得聞之,悵然心中煩。
しかし、蘭芝の兄はこれを聞き及んで、とてもくやしがり、心中に不満の気持ちをいだいているようである。
舉言謂阿妹,作計何不量。
それをことばに出して妹にいうのである。「なんという浅はかな考えをしているのだ。」
先嫁得府吏,後嫁得郎君。
「先には幕府の役人に嫁入りをしたというに、こんどは県令を越えて大守の若君というのではないか。」
否泰如天地,足以榮汝身。
「それは天と地というほどの違いがあることなのだ、おまえが一身のほまれになる良縁は一族にとってもよいというものだ。」
不嫁義郎體,其往欲何雲。

#18為焦仲卿妻作-其八(8)
媒人去って數日,尋いで丞を遣わし還を請う。
「說く蘭家の女有り,承籍 宦官有り。」
雲う「第五郎有り,嬌逸にして未だ婚有らず。
丞を遣わして媒人と為し,主簿をして語言を通ぜむ。直 說く太守の家,此の令郎君有り。既に大義を結ばんと欲す,故に遣わして貴門に來らしむ。」と。
#19
阿母 媒人に謝す,女子先に誓有り,老姥 豈に敢て言わんや。
阿兄 之を聞くことを得て,悵然として心中に煩う。言を舉げて阿妹に謂う,「計を作す何ぞ量らざる。
先に嫁ひて府吏を得,後に嫁して郎君を得る。
否泰 天地の如く,以って汝が身を榮えしむるに足らん。不義郎の體に嫁,其の往 何雲にせんと欲する。」と
#20
蘭芝 頭を仰ぎて答う,「理 實に兄の言の如し。家を謝して夫君に事へ,中道にして兄の門に還る。處分は兄が意に適せんのみ,那ぞ自ら任じて專らにするを得ん。府吏と約せりと雖も,後に會ず永く緣無からん。登即 相許和し,便ち婚姻を作す可し。


『#19為焦仲卿妻作』-其八(8)-2 現代語訳と訳註
(本文)

阿母謝媒人,女子先有誓,老姥豈敢言。
阿兄得聞之,悵然心中煩。舉言謂阿妹,作計何不量。
先嫁得府吏,後嫁得郎君。否泰如天地,足以榮汝身。
不嫁義郎體,其往欲何雲。


(下し文)#19
阿母 媒人に謝す,女子先に誓有り,老姥 豈に敢て言わんや。
阿兄 之を聞くことを得て,悵然として心中に煩う。言を舉げて阿妹に謂う,「計を作す何ぞ量らざる。
先に嫁ひて府吏を得,後に嫁して郎君を得る。
否泰 天地の如く,以って汝が身を榮えしむるに足らん。不義郎の體に嫁,其の往 何雲にせんと欲する。」と


(現代語訳)
母親は妹人にお礼を述べる。「娘はさきごろから嫁に行かないと誓ったのだといっております。この婆のわたしからは何もいうことができないのです。」と。
しかし、蘭芝の兄はこれを聞き及んで、とてもくやしがり、心中に不満の気持ちをいだいているようである。
それをことばに出して妹にいうのである。「なんという浅はかな考えをしているのだ。」
「先には幕府の役人に嫁入りをしたというに、こんどは県令を越えて大守の若君というのではないか。」
「それは天と地というほどの違いがあることなのだ、おまえが一身のほまれになる良縁は一族にとってもよいというものだ。」
こんなよいお方に嫁がないということは、この先、その人生をどうして生きようというのか」と。


(訳注)
阿母謝媒人,女子先有誓,老姥豈敢言。
母親は妹人にお礼を述べる。「娘はさきごろから嫁に行かないと誓ったのだといっております。この婆のわたしからは何もいうことができないのです。」と。


阿兄得聞之,悵然心中煩。
しかし、蘭芝の兄はこれを聞き及んで、とてもくやしがり、心中に不満の気持ちをいだいているようである。


舉言謂阿妹,作計何不量。
それをことばに出して妹にいうのである。「なんという浅はかな考えをしているのだ。」


先嫁得府吏,後嫁得郎君。
「先には幕府の役人に嫁入りをしたというに、こんどは県令を越えて大守の若君というのではないか。」


否泰如天地,足以榮汝身。
「それは天と地というほどの違いがあることなのだ、おまえが一身のほまれになる良縁は一族にとってもよいというものだ。」


不嫁義郎體,其往欲何雲。
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