箜篌引 曹植 魏詩<50>
2013年2月28日 | 同じ日の紀頌之5つのブログ |
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箜篌引 曹植 魏詩<50>古詩源 巻五 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1993
箜篌引
置酒高殿上,親友從我游。
酒宴の用意を高楼の座敷にする。親友たちがぞろぞろと集まってくる。
中廚辦豐膳,烹羊宰肥牛。
料理の厨房ではたくさんのご馳走を準備した。羊を煮たり、牛を料理したりして、さまざまの珍味をととのえた。
秦箏何慷慨,齊瑟和且柔。
秦の国の箏は悲壮な調べをかなでる。斉の国の瑟はなごやかに、またやわらかなひびきをあげる。
陽阿奏奇舞,京洛出名謳。
陽阿の舞は世にもみごとな手振りを示し、洛陽の歌はとてもすぐれた節回しを聞かせる。
#2
樂飲過三爵,緩帶傾庶羞。主稱千金壽,賓奉萬年酬。
久要不可忘,薄終義所尤。謙謙君子德,磬折何所求。
#3
驚風飄白日,光景馳西流。盛時不再來,百年忽我遒。
生存華屋處,零落歸山丘。先民誰不死,知命復何憂。
箜篌引【くごいん】
酒を高殿の上に置き、親友我に従って遊ぶ。
中厨豊膳を辦【そな】へ、羊を烹【に】肥牛を宰おさむ。
秦箏【しんそう】何ぞ慷慨【こうがい】たる、斉瑟【せいしつ】和にして且つ柔なり。
陽阿【ようか】は奇舞を奏し、京洛は名謳【めいおう】を出す。
#2
楽しみ飲んで三爵【さんしゃく】に過ぎ、帶を緩めて庶羞【しょしゅう】を傾く。
主は千金の壽を稱し、賓は萬年の酬を奉ず。
久要【きゅうよう】忘る可からず、終りに薄きは義の尤【とが】むる所。
謙謙たる君子の徳、磬折【せいせつ】して何をか求めんと欲する。
#3
驚風 白日を飄し、光景を馳せて西に流る。
盛時再びす可からず、百年忽ち我に遒る。
生存しては華屋【かおく】に處り、零落【れいらく】しては山丘に歸る。
先民誰か死せざらん、命を知らは復何をか憂へん。
『箜篌引』 現代語訳と訳註
(本文)
置酒高殿上,親友從我游。
中廚辦豐膳,烹羊宰肥牛。
秦箏何慷慨,齊瑟和且柔。
陽阿奏奇舞,京洛出名謳。
(下し文) 箜篌引【くごいん】
酒を高殿の上に置き、親友我に従って遊ぶ。
中厨豊膳を辦【そな】へ、羊を烹【に】肥牛を宰おさむ。
秦箏【しんそう】何ぞ慷慨【こうがい】たる、斉瑟【せいしつ】和にして且つ柔なり。
陽阿【ようか】は奇舞を奏し、京洛は名謳【めいおう】を出す。
(現代語訳)
酒宴の用意を高楼の座敷にする。親友たちがぞろぞろと集まってくる。
料理の厨房ではたくさんのご馳走を準備した。羊を煮たり、牛を料理したりして、さまざまの珍味をととのえた。
秦の国の箏は悲壮な調べをかなでる。斉の国の瑟はなごやかに、またやわらかなひびきをあげる。
陽阿の舞は世にもみごとな手振りを示し、洛陽の歌はとてもすぐれた節回しを聞かせる。
(訳注)
箜篌引
・箜篌引 引は古楽府の題名で、後漢に名づけられたもの。箜篌はハープに類する西域伝来の楽器のこと。曹植のこの作は主題と関係がなく、交道の終わりを全うすべきを述べ、人生の無常を歌い、天命に遵い安んずべきとよんだ詩である。酒宴が頽廃に向かうことはなかったことであろう。
置酒高殿上,親友從我游。
酒宴の用意を高楼の座敷にする。親友たちがぞろぞろと集まってくる。
中廚辦豐膳,烹羊宰肥牛。
料理の厨房ではたくさんのご馳走を準備した。羊を煮たり、牛を料理したりして、さまざまの珍味をととのえた。
・中厨 くりや、調理場。
・豊膳 たくさんのご馳走。
・宰 治むの意、料理すること。
秦箏何慷慨,齊瑟和且柔。
秦の国の箏は悲壮な調べをかなでる。斉の国の瑟はなごやかに、またやわらかなひびきをあげる。
・秦箏 軍はもと十二紋、今は十三絃の「こと」。秦の銅製であるとも伝える。秦人がよくこれを弾じたという。
・斉瑟 富は二十五紋の「大ごと」。史記蘇秦伝に、臨淄(斉の地名) の民で瑟を鼓せぬものはないと記してある。
陽阿奏奇舞,京洛出名謳。
陽阿の舞は世にもみごとな手振りを示し、洛陽の歌はとてもすぐれた節回しを聞かせる。
・陽阿 陽阿の踊りを踊る女。歌舞の名妓の名、また地名、山西省晋城県の西北。趙飛燕がそれから歌舞を学んだと漢書・外戚伝に見える。ここでは転じて舞踊の者。
秦の箏、齊の瑟、陽阿の奇舞、京洛の歌、良い酒宴の必須アイテム。これだけそろえば十分な宴会である。