班固《西都賦》(10)(王室の七陵)-1 さて、できるなら、長安四方の郊外をとくと眺めていただき、近県を周遊してみる。南に杜陵と㶚陵の二陵をはるかに望み見て、北に長陵・安陵・陽陵・茂陵・平陵の五陵が見わたされる。
班孟堅(班固)《西都賦》(10)#4-1 文選 賦<112―10>18分割55回 Ⅱ李白に影響を与えた詩964 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3368
(10)#4-1
(王室の七陵)-1
若乃觀其四郊,浮遊近縣,
さて、できるなら、長安四方の郊外をとくと眺めていただき、近県を周遊してみる。
則南望杜㶚,北眺五陵。
南に杜陵と㶚陵の二陵をはるかに望み見て、北に長陵・安陵・陽陵・茂陵・平陵の五陵が見わたされる。
名都對郭,邑居相承。
そこには名高い諸侯の屋敷町が、長安の城郭と向かいあい、村里がこれにつづいてあいつらなる。
英俊之域,紱冕所興。
こここそは人の中でもすぐれた人が住む地域、高位高官の士が生まれる土地。
(11)#4-2
冠蓋如雲,七相五公。
與乎州郡之豪傑,五都之貨殖。
三選七遷,充奉陵邑。
蓋以強幹弱枝,隆上都而觀萬國也。
『西都賦』 現代語訳と訳註
(本文) (10)#4-1
若乃觀其四郊,浮遊近縣,
則南望杜㶚,北眺五陵。
名都對郭,邑居相承。
英俊之域,紱冕所興。
(下し文)
若し乃ち其の四郊を観、近縣に浮遊すれば、
則ち南に杜㶚【とは】を望み、北に五陵を眺む。
名都、郭に封し、邑居 相い承【う】く。
英俊の域、紱冕【ふつべん】の興る所。
(現代語訳)
(王室の七陵)-1
さて、できるなら、長安四方の郊外をとくと眺めていただき、近県を周遊してみる。
南に杜陵と㶚陵の二陵をはるかに望み見て、北に長陵・安陵・陽陵・茂陵・平陵の五陵が見わたされる。
そこには名高い諸侯の屋敷町が、長安の城郭と向かいあい、村里がこれにつづいてあいつらなる。
こここそは人の中でもすぐれた人が住む地域、高位高官の士が生まれる土地。
(訳注) (10)#4(王室の七陵)-1
若乃觀其四郊,浮遊近縣,
さて、できるなら、長安四方の郊外をとくと眺めていただき、近県を周遊してみる。
〇四郊 城外の地。国城を去る五十里までを近郊、百里を遠郊という。
〇観 つらつらみる。
〇浮遊 周流して遊ぶ。
〇近県 国都に隣接する県。
則南望杜㶚,北眺五陵。
南に杜陵と㶚陵の二陵をはるかに望み見て、北に長陵・安陵・陽陵・茂陵・平陵の五陵が見わたされる。
〇杜㶚 渭水の南方長安のやや東よりの杜陵(漢の第八代宜帝の陵)と㶚陵(第四代文帝の陵)。
〇眺 だんだんに順を追って見わたすこと。
〇五陵 長陵(第一代高帝)・安陵(第二代恵帝)・陽陵(第五代景帝)・茂陵(第六代武帝)・平陵(第七代昭帝)をいう。いずれも渭水の北にあり、まず五陵のうち、長陵から始まり、その東よりの安陵、すぐその西の陽陵、そして長陵の西方のはしにある茂陵、そこから東よりの平陵という順序で述べる。地図参照。李白『少年行』「五陵年少金市東、銀鞍白馬度春風。落花踏尽遊何処、笑入胡姫酒肆中。」五陵の若者は 金市の東、繁華街、銀の鞍の白馬にまたがって春風の中を颯爽と行く。一面に舞い散る花を踏み散らし どこへ遊びに出かけるのかにぎやかに笑いながら、碧眼の胡姫の酒場へ行こうというのか
名都對郭,邑居相承。
そこには名高い諸侯の屋敷町が、長安の城郭と向かいあい、村里がこれにつづいてあいつらなる。
○名都 名高い都。王城の都でなく、漢代陵を守るためにおかれたまち。高位高官、富豪などの高級住宅がある。
〇邑居 むらぎとの住居。邑は都より小さい行政区画の名称。
英俊之域,紱冕所興。
こここそは人の中でもすぐれた人が住む地域、高位高官の士が生まれる土地。
〇英俊 人材。英は智万人に過ぎたるもの、俊は千人に過ぎたるものをいう。
〇紱冕 紱は綬、官職をあらわす印、または凧玉をおびる組みひも。長さ一丈二尺、広さ三尺(渾官儀)。冕は冠。大夫以上の冠で、朝儀・祭礼などにつける正装。形は広さ八守、長さ一尺六寸の前門後方、前下後高の木製、玉すだれの飾りがある冠。