班固《東都賦》(24) 誰もが心ゆたかに、まよう心もなくなって、玉の光沢あるように美しく、鉦鐘の鳴るような道義の言を吐く。されば中国大陸の端から端までの行政区の中心には学校を林立し、村には塾があって、その門には人がみちあふれる。
班孟堅(班固)《東都賦》(24) 文選 賦 賦<113―24>18分割38回 Ⅱ李白に影響を与えた詩1026 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3678
(24) #13-1
於是百姓滌瑕盪穢,而鏡至清。
(百官の役割) さて百官のもろ人は、過去の過失を清め、面目を一新し、天子のけがれなき明徳に範を仰いで光明正大、卓越した知徳に導かれる。
形神寂漠,耳目弗營。
身心は不安動揺もなく平静、耳目は外物にまどわされぬ。
嗜欲之源滅,廉恥之心生。
財貨富貴をたしなむ欲も消えていき、廉恥の心が生まれる。
莫不優游而自得,玉潤而金聲。
誰もが心ゆたかに、まよう心もなくなって、玉の光沢あるように美しく、鉦鐘の鳴るような道義の言を吐く。
是以四海以內,學校如林,庠序盈門。
されば中国大陸の端から端までの行政区の中心には学校を林立し、村には塾があって、その門には人がみちあふれる。
(25) #13-2
獻酬交錯,俎豆莘莘。
下舞上歌,蹈德詠仁。
登降飫宴之禮既畢,因相與嗟歎玄德,讜言弘說。
咸含和而吐氣,頌曰:盛哉乎斯世!」
(26)#14-1
「今論者但知誦虞夏之書,詠殷周之詩。
講羲文之易,論孔氏之春秋。
罕能精古今之清濁,究漢德之所由。
唯子頗識舊典,又徒馳騁乎末流。
(27)
#14-2
溫故知新已難,而知德者鮮矣!
且夫僻界西戎,險阻四塞,脩其防禦。
孰與處乎土中,平夷洞達,萬方輻湊?
秦嶺九嵕,涇渭之川。
(28)
#14-3
曷若四瀆五嶽,帶河泝洛,圖書之淵?
建章甘泉,館御列仙。
孰與靈臺明堂,統和天人?
太液昆明,鳥獸之囿。
曷若辟雍海流,道德之富?
(29)
#14-4
游俠踰侈,犯義侵禮。
孰與同履法度,翼翼濟濟也?
子徒習秦阿房之造天,而不知京洛之有制也;
識函谷之可關,而不知王者之無外也。」
(24) #13
是に於いて百姓 瑕【きず】を滌【すす】ぎ穢【けがれ】を盪【とろ】かして,至清に鏡む。
形神 寂漠として,耳目 營わず。
嗜欲【しよく】の源 滅【き】え,廉恥【れんち】の心生ず。
優游【ゆうゆう】して自得し,玉のごとく潤うて金のごとく聲ならざるは莫し。
是を以て四海の以內に,學校 林の如く,庠序【しょうじょ】門に盈つ。
(25)
獻酬【けんしゅう】交錯し,俎豆【そとう】莘莘【しんしん】たり。
下に舞い 上に歌う,德を蹈【ふ】み仁を詠ず。
登降 飫宴【ようえん】の禮 既に畢【おわ】り,因って相い與【とも】に玄德を嗟歎【さたん】し,讜言【とうげん】弘說【こうぜい】す。
咸【ことごと】く和を含みて氣を吐き,頌して曰く:盛んなる哉 斯の世!」と。
『東都賦』 現代語訳と訳註
(本文) (24) #13
於是百姓滌瑕盪穢,而鏡至清。
形神寂漠,耳目弗營。
嗜欲之源滅,廉恥之心生。
莫不優游而自得,玉潤而金聲。
是以四海以內,學校如林,庠序盈門。
(下し文)(24) #13
是に於いて百姓 瑕【きず】を滌【すす】ぎ穢【けがれ】を盪【とろ】かして,至清に鏡む。
形神 寂漠として,耳目 營わず。
嗜欲【しよく】の源 滅【き】え,廉恥【れんち】の心生ず。
優游【ゆうゆう】して自得し,玉のごとく潤うて金のごとく聲ならざるは莫し。
是を以て四海の以內に,學校 林の如く,庠序【しょうじょ】門に盈つ。
(現代語訳)
(百官の役割) さて百官のもろ人は、過去の過失を清め、面目を一新し、天子のけがれなき明徳に範を仰いで光明正大、卓越した知徳に導かれる。
身心は不安動揺もなく平静、耳目は外物にまどわされぬ。
財貨富貴をたしなむ欲も消えていき、廉恥の心が生まれる。
誰もが心ゆたかに、まよう心もなくなって、玉の光沢あるように美しく、鉦鐘の鳴るような道義の言を吐く。
されば中国大陸の端から端までの行政区の中心には学校を林立し、村には塾があって、その門には人がみちあふれる。
(訳注) (24) #13
於是百姓滌瑕盪穢,而鏡至清。
(百官の役割) さて百官のもろ人は、過去の過失を清め、面目を一新し、天子のけがれなき明徳に範を仰いで光明正大、卓越した知徳に導かれる。
○百姓 百官のもろ人。
○滌瑕盪穢 環は、玉のきず。秘は、垢と同じく外からついたよごれ。過失を改め面目を一新する。
○鏡至清 『淮南子』の淑異訓に「太治に鏡みる者は大明に視る」とある。大明とは、『荘子』の在宥篇「智の照らすこと日月の如し」とあり、転じて卓越した知徳をいう。
形神寂漠,耳目弗營。
身心は不安動揺もなく平静、耳目は外物にまどわされぬ。
○寂漠 音の止んだ後の静けさ。形神すなわち身心の不安動揺がなくなった後の平静、倫理的には潔白で清廉、光明正大の境地。実は漠にも作る。
○営 惑う。
嗜欲之源滅,廉恥之心生。
財貨富貴をたしなむ欲も消えていき、廉恥の心が生まれる。
○廉恥 『管子』の牧民篇に「国に四維あり。一に日く礼。二に日く義。三に日く廉。四に日く恥」とある。
莫不優游而自得,玉潤而金聲。
誰もが心ゆたかに、まよう心もなくなって、玉の光沢あるように美しく、鉦鐘の鳴るような道義の言を吐く。
○優游 悠々自適。
○自得 悠々と思いに任せて、自ら楽しむ。
○王潤 玉の光沢があること。ここは美しい人格の比喩。
○金声 鐘や鉦の音。ここは善言を吐く声。善言も道義ある言の意である。
是以四海以內,學校如林,庠序盈門。
されば中国大陸の端から端までの行政区の中心には学校を林立し、村には塾があって、その門には人がみちあふれる。
○四海以內 中国大陸の端から端まで。