李白《巻24-35 寄遠,十一首之七》妾(わたし)はいま舂陵の東に居て、君(あなた)は漢江の島にいって居て、たがいに去ること、すでに遠くなっています。眺めやれば、百里の間、花光、地にたれて、その間を人が往来して、草一つ生えない白道となって居ます。かくの如く、人の往来は頻繁であるが、われ等二人は、互に相会することができないでいます。
190 《巻24-35 寄遠,十一首之七》Index-11 Ⅱ―6 -731年開元十九年31歳 43首 <190> Ⅰ李白詩1414 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5618
年:731年開元十九年31歳
卷別: 卷一八四 文體: 五言古詩
詩題: 寄遠,十一首之七
及地點:棗陽 (山南東道 隨州 棗陽) 別名:舂陵(山南東道北部図u-4)(李白足跡図j-6)
寄遠,十一首之七
(この詩は遠くにいる人に寄せる意をつづる十一の七)
妾在舂陵東,君居漢江島。
妾(わたし)はいま舂陵の東に居て、君(あなた)は漢江の島にいって居て、たがいに去ること、すでに遠くなっています。
一日望花光,往來成白道。
眺めやれば、百里の間、花光、地にたれて、その間を人が往来して、草一つ生えない白道となって居ます。かくの如く、人の往来は頻繁であるが、われ等二人は、互に相会することができないでいます。
一為雲雨別,此地生秋草。
一たび、翻雲覆雨の別れをしてからずっと、春が過ぎ、草も秋のいろになりました。
秋草秋蛾飛,相思愁落暉。
その秋草の上には秋蛾が飛んで居て卵を産み付け越冬の準備をします。相思の情は、落日の際に於て、愈々夜長になって痛切におもうのです。
何由一相見,滅燭解羅衣。
そんな理由で、如何にして、再び相いまみえるを得れるのでしょうか、あなたさまと深閨の中、燈火を消してわたしの蘿衣を解いて楽しき夢を見たいのです。
(寄遠,十一首の七)
妾 舂陵の東に在り,君 漢江の島に居り。
一日 花光に望み,往來 白道を成す。
一たび為す 雲雨の別,此の地 秋草生ず。
秋草 秋蛾飛び,相思 落暉に愁う。
何に由って一たび相い見,燭を滅して羅衣を解く。
『寄遠,十一首之七』 現代語訳と訳註解説
(本文)
寄遠,十一首之七
妾在舂陵東,君居漢江島。
一日望花光,往來成白道。
一為雲雨別,此地生秋草。
秋草秋蛾飛,相思愁落暉。
何由一相見,滅燭解羅衣。
(含異文)
妾在舂陵東,君居漢江島。
一日望花光,往來成白道【日日採蘼蕪,上山成白道】。
一為雲雨別,此地生秋草。
秋草秋蛾飛,相思愁落暉。
何由一相見,滅燭解羅衣【一本無此二句。「落暉」下有「昔時攜手去,今日流淚歸。遙知不得意,玉箸點羅衣」四句。】。
(下し文)
(寄遠,十一首の七)
妾 舂陵の東に在り,君 漢江の島に居り。
一日 花光に望み,往來 白道を成す。
一たび為す 雲雨の別,此の地 秋草生ず。
秋草 秋蛾飛び,相思 落暉に愁う。
何に由って一たび相い見,燭を滅して羅衣を解く。
(現代語訳)
(この詩は遠くにいる人に寄せる意をつづる十一の七)
妾(わたし)はいま舂陵の東に居て、君(あなた)は漢江の島にいって居て、たがいに去ること、すでに遠くなっています。
眺めやれば、百里の間、花光、地にたれて、その間を人が往来して、草一つ生えない白道となって居ます。かくの如く、人の往来は頻繁であるが、われ等二人は、互に相会することができないでいます。
一たび、翻雲覆雨の別れをしてからずっと、春が過ぎ、草も秋のいろになりました。
その秋草の上には秋蛾が飛んで居て卵を産み付け越冬の準備をします。相思の情は、落日の際に於て、愈々夜長になって痛切におもうのです。
そんな理由で、如何にして、再び相いまみえるを得れるのでしょうか、あなたさまと深閨の中、燈火を消してわたしの蘿衣を解いて楽しき夢を見たいのです。
(訳注)
寄遠,十一首之七
(この詩は遠くにいる人に寄せる意をつづる十一の七)
この詩は、男目線の女から男に寄せた詩というスタンスで、その内容は、六朝からの格別新しくもないものであり、すべて、艶語、隠語を含んだものであって、誰が読んでも、わかり易いから、決して、陳套と思われないものである。
妾在舂陵東,君居漢江島。
妾(わたし)はいま舂陵の東に居て、君(あなた)は漢江の島にいって居て、たがいに去ること、すでに遠くなっています。
舂陵 【しょうりょう】(山南東道北部図u-4)(李白足跡図j-6)
漢江島 襄陽の大堤
大堤曲
漢水臨襄陽。花開大堤暖。佳期大堤下。淚向南云滿。
春風無復情。吹我夢魂散。不見眼中人。天長音信斷。
李白53大堤曲
一日望花光,往來成白道。
眺めやれば、百里の間、花光、地にたれて、その間を人が往来して、草一つ生えない白道となって居ます。かくの如く、人の往来は頻繁であるが、われ等二人は、互に相会することができないでいます。
白道 道路の内のよく通る部分が白く際立っているところをいう。火の河(怒りを表す)と水の河(貪欲を表す)の間にある、極楽浄土に通じる白い道とされ、極楽往生を願う信心にたとえられる。
一為雲雨別,此地生秋草。
一たび、翻雲覆雨の別れをしてからずっと、春が過ぎ、草も秋のいろになりました。
秋草秋蛾飛,相思愁落暉。
その秋草の上には秋蛾が飛んで居て卵を産み付け越冬の準備をします。相思の情は、落日の際に於て、愈々夜長になって痛切におもうのです。
秋蛾 旧暦7 月から 9 月にかけて出現して秋の蛾が卵越冬する。
何由一相見,滅燭解羅衣。
そんな理由で、如何にして、再び相いまみえるを得れるのでしょうか、あなたさまと深閨の中、燈火を消してわたしの蘿衣を解いて楽しき夢を見たいのです。
滅燭解羅衣 、燈火を消してわたしの蘿衣を解いて楽しき夢を見たい。
南朝樂府
子夜四時歌之三
開窗秋月光,滅燭解羅裳。