李白 84 長干行


五言古詩長干行

妾發初覆額、折花門前劇。』
私の髪がやっと額を覆うようになてきた頃、花を摘んで門前のあたりで遊んでいました。』
郎騎竹馬來、繞床弄青梅。
あなたは竹馬に乗ってやってきて、寝床のまわりを回っては青い梅の実をもてあそびました。
同居長干里、兩小無嫌猜。
二人とも長干の里に住むもの同士、まだ幼くて男女の葛藤を知らないでいました
十四為君婦、羞顏未嘗開。
14歳であなたの妻になり、恥ずかしさではにかんで笑顔も作れないまま。
低頭向暗壁、千喚不一回。
うなだれて壁に向かっては、千度呼ばれても一度も振り向かないでいました。
十五始展眉、愿同塵與灰。
15歳でやっと眉をほころばせて笑うことができ、ともに寄り添い灰になるまで一緒にいたいと願うようになりました。
常存抱柱信、豈上望夫台。
あなたの愛は尾生の抱柱の信のように堅固でしたから、わたしが望夫臺に上って夫の帰りを待ちわびるようになろうとは思いもしませんでした
十六君遠行、瞿塘灩澦堆。
16歳のとき、あなたは遠くへ旅立ちました、長江の難所瞿塘、艶澦堆の方にいったのです。
五月不可觸、猿聲天上哀。
5月の増水期にはとても近づくことも出来ないといいます、そこには野猿がいて、その泣き声だけが大空に悲しそうに響きわたるのです。
門前遲行跡、一一生綠苔。』
私たちの家の門前には、あなたが旅立ちの時、行ったり、戻ったりしていたその足跡の上に、一つ一つ青いコケが生えてきました』
苔深不能掃、落葉秋風早。
その苔はふかくびっしりとし、とても払いきれません、枯れ葉が落ちはじめて早くも秋風が吹いています
八月胡蝶來、雙飛西園草。
仲秋の八月にはつがいの蝶が飛んできて、二羽ならんで西の庭園の草花の上を仲良く並んで飛び回ります
感此傷妾心、坐愁紅顏老。』
それを見るとおもわず心にあなたを思い私の心は痛み、若妻の紅顏が老いゆくのをむなしく悲しむばかりなのです。』
早晚下三巴、預將書報家。
いったいいつになったら三巴の長江を下って帰えられるのでしょうか、そのときはあらかじめ我が家に手紙で知らせてくださいね
相迎不道遠、直至長風沙。』

お迎えにあがるのに遠いなんて思いません、このまままっすぐに、長風沙まででも参ります。』




 
私の髪がやっと額を覆うようになてきた頃、花を摘んで門前のあたりで遊んでいました。』

あなたは竹馬に乗ってやってきて、寝床のまわりを回っては青い梅の実をもてあそびました。
二人とも長干の里に住むもの同士、まだ幼くて男女の葛藤を知らないでいました
14歳であなたの妻になり、恥ずかしさではにかんで笑顔も作れないまま。
うなだれて壁に向かっては、千度呼ばれても一度も振り向かないでいました。
15歳でやっと眉をほころばせて笑うことができ、ともに寄り添い灰になるまで一緒にいたいと願うようになりました。
あなたの愛は尾生の抱柱の信のように堅固でしたから、わたしが望夫臺に上って夫の帰りを待ちわびるようになろうとは思いもしませんでした

16歳のとき、あなたは遠くへ旅立ちました、長江の難所瞿塘、艶澦堆の方にいったのです。
5月の増水期にはとても近づくことも出来ないといいます、そこには野猿がいて、その泣き声だけが大空に悲しそうに響きわたるのです。
私たちの家の門前には、あなたが旅立ちの時、行ったり、戻ったりしていたその足跡の上に、一つ一つ青いコケが生えてきました』

その苔はふかくびっしりとし、とても払いきれません、枯れ葉が落ちはじめて早くも秋風が吹いています

仲秋の八月にはつがいの蝶が飛んできて、二羽ならんで西の庭園の草花の上を仲良く並んで飛び回ります
それを見るとおもわず心にあなたを思い私の心は痛み、若妻の紅顏が老いゆくのをむなしく悲しむばかりなのです。』

いったいいつになったら三巴の長江を下って帰えられるのでしょうか、そのときはあらかじめ我が家に手紙で知らせてくださいね
お迎えにあがるのに遠いなんて思いません、このまままっすぐに、長風沙まででも参ります。』


長干行
 行は、うた。長干は今の南京の南にある小さな町。出稼ぎの商人たちの居住した町。
楽府「雑曲歌辞」長江下流の船頭の妻の生活を詠う。男女の愛を歌ったもので、六朝時代の楽府を下敷きにしている。李白三十歳代の作品だとされる。二首あるが、其の二は後人の偽作とも言われている。李白の連作、連歌とは思えない雰囲気のものである。

toujidaimap216南京、三峡、三巴を示した



妾發初覆額。 折花門前劇。』
私の髪がやっと額を覆うようになてきた頃、花を摘んで門前のあたりで遊んでいました。
 女の一人称。○ あそびたわむれる。

郎騎竹馬來。 繞床弄青梅。
あなたは竹馬に乗ってやってきて、寝床のまわりを回っては青い梅の実をもてあそびました。
 男の二人称。○竹馬 中国の竹馬は、一本の竹にまたがって走る。馬のたてがみをあらわす房が端についており、片端は地にひきずって走る。○青梅・繞床 男女の性行為を示唆する。からまる。性行為という意識を持たないで遊びでしていた。(おいしゃさんごっこ)


同居長干里。 兩小無嫌猜。
二人とも長干の里に住むもの同士、まだ幼くて男女の葛藤を知らないでいました
嫌猜 こだわり。嫌も、猜も、うたがうこと。性に対する表現で葛藤とした。


十四為君婦。 羞顏未嘗開。
14歳であなたの妻になり、恥ずかしさではにかんで笑顔も作れないまま。


低頭向暗壁。 千喚不一回。

うなだれて壁に向かっては、千度呼ばれても一度も振り向かないでいました。


十五始展眉。 愿同塵與灰。
15歳でやっと眉をほころばせて笑うことができ、ともに寄り添い灰になるまで一緒にいたいと願うようになりました。

常存抱柱信。 豈上望夫台。
あなたの愛は尾生の抱柱の信のように堅固でしたから、わたしが望夫臺に上って夫の帰りを待ちわびるようになろうとは思いもしませんでした
抱柱信 むかし尾生という男が、橋の下で女とあう約束をした。女はいくら待っても来ない。突然、洪水がおしよせてきた。尾生は約束の場所を離れて信を失うことを願わず、橋の柱を抱いて溺死した。「荘子」(死んでも約束を守る固い信義)○望夫台 山の名。ある人が家を離れて久しく、かれの妻は山の上で夫を待ち望んで、ついに石のかたまりになったという。中国各地に今でも望夫山という山が残っている。


十六君遠行、瞿塘灩澦堆。
16歳のとき、あなたは遠くへ旅立ちました、長江の難所瞿塘、艶澦堆の方にいったのです。
瞿塘 長江の三峡の一つ。絶壁が両岸にせまり流れのはげしく危険なところ。○灩澦堆 瞿塘峡に横たわる大きな暗礁。亀のような形をしている。


五月不可觸。 猿聲天上哀。

5月の増水期にはとても近づくことも出来ないといいます、そこには野猿がいて、その泣き声だけが大空に悲しそうに響きわたるのです。
五月不可觸 五月の増水期には水嵩が上がり大岩が隠れてしまい危険で近づけない。


門前遲行跡、一一生綠苔。』
私たちの家の門前には、あなたが旅立ちの時、行ったり、戻ったりしていたその足跡の上に、一つ一つ青いコケが生えてきました


苔深不能掃、落葉秋風早。

その苔はふかくびっしりとし、とても払いきれません、枯れ葉が落ちはじめて早くも秋風が吹いています


八月胡蝶來。 雙飛西園草。
仲秋の八月にはつがいの蝶が飛んできて、二羽ならんで西の庭園の草花の上を仲良く並んで飛び回ります


感此傷妾心、坐愁紅顏老。 』
それを見るとおもわず心にあなたを思い私の心は痛み、若妻の紅顏が老いゆくのをむなしく悲しむばかりなのです。


早晚下三巴、預將書報家。
いったいいつになったら三巴の長江を下って帰えられるのでしょうか、そのときはあらかじめ我が家に手紙で知らせてくださいね
三巴 巴郡・巴東・巴西の絃称で、今の四川省の東部にあたる。


相迎不道遠、直至長風沙。 』
お迎えにあがるのに遠いなんて思いません、このまままっすぐに、長風沙まででも参ります。
長風沙 安徽省安慶氏の長江沿いの地南京からは350kmくらい上流地点。


○韻 額、劇/來、梅、猜、開、回、灰、台、堆、哀、苔/掃、早、草、老/巴、家、沙。


李白 五言古詩

長干行
妾が髮初めて額を覆ふとき、花を折って門前に劇(たはむ)る』

郎は竹馬に騎って來り、床を遶りて青梅を弄す
同じく長干の里に居り、兩つながら小(おさな)くして嫌猜無し
十四 君が婦(つま)と為り、羞顏 未だ嘗て開かず
頭を低れて暗壁に向ひ、千喚に一も回(めぐ)らさず
十五 始めて眉を展べ、願はくは塵と灰とを同(とも)にせん
常に抱柱の信を存し、豈に望夫臺に上らんや
 十六 君遠く行く、瞿塘 艶澦堆
五月 觸るべからず、猿鳴 天上に哀し
門前 遲行の跡、一一 綠苔を生ず』

苔深くして掃ふ能はず、落葉 秋風早し
八月 蝴蝶來り、雙び飛ぶ西園の草
此に感じて妾が心を傷ましめ、坐(そぞろ)に愁ふ紅顏の老ゆるを。』

早晩三巴を下らん、預(あらかじ)め書を將(も)って家に報ぜよ
相ひ迎ふるに遠きを道(い)はず、直ちに至らん長風沙』




李白の詩 連載中 7/12現在 75首

2011・6・30 3000首掲載
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