白鷺鷥 李白 :Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白170


玄宗〈3〉
楊氏は元来その出自も明確ではない。父は四川省の小役人であった。蜀州司戸の楊玄淡の四女。兄に楊銛、姉に後の韓国夫人、虢国夫人、秦国夫人がいる。幼いころに両親を失い、叔父の楊玄璬の家で育てられた。

 生まれながら玉環を持っていたのでその名がつけられたというものや、涙や汗が紅かったという伝説がある。また、広西省の庶民の出身であり、生まれた時に室内に芳香が充満しあまりに美しかったので楊玄淡に売られたという俗説もある。いずれにしても、当時の美人の条件をすべて持ち合わせていたことに間違いはないし、性的な満足を与えられる美人であったということだ。玄宗のなりふり構わない執着ぶりからも異常なほどだ。

 玄宗の子の寿王の妃となっていて、楊環といった。玄宗は驪山華清宮でこれを見そめて(740年)、離縁させ、息子から直接妻を奪う形になるのを避けるため、女道士とならせ、太真と呼んだ。実質は内縁関係にあったと言われる。後、高力士に命じて宮中にひそかに入れた。李白は742年に都に呼ばれ、744年追われているのである。内縁関係といっても誰もが分かるものであった。貴妃宮中入りの事情を、李白は知らぬわけではない。天子の命で「清平調詞」三章をみごとに作ったとはいえ、李白の内心は、楊貴妃に好意を寄せてうたいあげたものでいないとしかみれない。

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白鷺鷥
白鷺下秋水、孤飛如墜霜。
心閑且未去、濁立沙洲傍。


白鷺鷥
白鷺 秋水に下り、孤飛して 霜を墜すが如し。
心閑にして 且らく未だ去らず、独り立つ 沙洲の傍。

haqro04白鷺鷥



白鷺鷥 白鷺は白さぎ。鷥も白さぎ。白鷺と鷥は原則つがいとするか、群れを成している。詩に取り上げる場合、つがいが多い。秋雨に中州に降りてくる。水鳥である。

白鷺下秋水、孤飛如墜霜。
白さぎが秋雨の清らかな水に舞降りる。そのあとにただ一羽飛ぶさまは、霜が吹き飛んでいるようだ。
如墜粛 羽毛の白い形容。


心閑且未去、濁立沙洲傍。
心のんびりと、しばらく立ち去らず、ぽつんと砂の中洲のそばに立っている。

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王維
『輞川集』13 欒家瀬 
13 欒家瀬 
颯颯秋雨中、浅浅石溜瀉。
波跳自相濺、白鷺驚復下。

欒家瀬 (らんからい)
颯颯(さつさつ)たる秋雨(しゅうう)の中(うち)
浅浅(せんせん)として石溜(せきりゅう)に瀉ぐ
波は跳(おど)って自(おのずか)ら相い濺(そそ)ぎ
白鷺(はくろ)は驚きて復(ま)た下(くだ)れり