金陵城西樓月下吟 李白 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集350- 212


金陵城西樓月下吟
金陵夜寂涼風發、獨上高樓望呉越。
金陵城は、しずかに夜が更けてゆく、夜も更けて涼やかな風が吹きはじめた、私はただ独り高楼に登るのである、はるか遠く呉越ちほうを思い望むのである。
白雲映水揺空城、白露垂珠滴秋月。
白雲は長江の水に映り、人気のない静かな城郭がその影を水面に揺らす、白露が真珠のように結すばれ、、澄み切った秋の月光に照らされて滴り落ちてくる。
月下沉吟久不歸、古来相接眼中稀。
こんな月光のもとに沈んだ低い声詩で吟じていると、ここから帰えられないでじっと立っているのだ。
古来、相い継ぐべき詩人は、私の眼中にほとんどいない。

解道澄江浄如練、令人長憶謝玄暉。

ああこの風景だ、「澄江、浄きこと練の如し」と詠っている、これこそよく表現しているものだ。この詩句は、この私に、かの謝玄暉を憶い慕わせ続けてくれるものだ。



金陵城の西楼 月下の吟
金陵 夜 寂として 涼風発り、独り高楼に上りて 呉越を望む。

白雲 水に映じて空城を揺り、白露 珠を垂れて秋月に滴る。

月下に沈吟して 久しく帰らず、古来 相い接ぐもの 眼中に稀なり。

()い解()たり、「澄江浄きこと練(ねりぎぬ)の如し」と、人をして 長く謝玄暉()を憶わ令む。






金陵城西樓月下吟 現代語訳と訳註 解説
(本文)

金陵夜寂涼風發、獨上高樓望呉越。
白雲映水揺空城、白露垂珠滴秋月。
月下沉吟久不歸、古来相接眼中稀。
解道澄江浄如練、令人長憶謝玄暉。

(下し文)
金陵 夜 寂として 涼風発り、独り高楼に上りて 呉越を望む。
白雲 水に映じて空城を揺り、白露 珠を垂れて秋月に滴る。
月下に沈吟して 久しく帰らず、古来 相い接ぐもの 眼中に稀なり。
道(い)い解(え)たり、「澄江浄きこと練(ねりぎぬ)の如し」と、人をして 長く謝玄暉(謝朓)を憶わ令む。

(現代語訳)
金陵城は、しずかに夜が更けてゆく、夜も更けて涼やかな風が吹きはじめた、私はただ独り高楼に登るのである、はるか遠く呉越ちほうを思い望むのである。
白雲は長江の水に映り、人気のない静かな城郭がその影を水面に揺らす、白露が真珠のように結すばれ、、澄み切った秋の月光に照らされて滴り落ちてくる。
こんな月光のもとに沈んだ低い声詩で吟じていると、ここから帰えられないでじっと立っているのだ。
古来、相い継ぐべき詩人は、私の眼中にほとんどいない。
ああこの風景だ、「澄江、浄きこと練の如し」と詠っている、これこそよく表現しているものだ。この詩句は、この私に、かの謝玄暉を憶い慕わせ続けてくれるものだ。


(訳註)

金陵城西樓月下吟
金陵のまちの西楼にて、月下の吟。
金陵 現在の南京市。六朝の古都。南朝の各朝の首都。金陵、建業、建、建康、南京。東の郊外にある紫金山(鍾山)を金陵山と呼ぶところから生まれた。-現在の南京市の雅名。李白は特にこの名を愛用している。○吟 詩歌の一体。


金陵夜寂涼風發、獨上高樓望呉越。
金陵城は、しずかに夜が更けてゆく、夜も更けて涼やかな風が吹きはじめた、私はただ独り高楼に登るのである、はるか遠く呉越ちほうを思い望むのである。
呉越 呉(江蘇省―宜城)と越(浙江省―会稽)の地方。金陵の東方に当たる。


白雲映水揺空城、白露垂珠滴秋月。
白雲は長江の水に映り、人気のない静かな城郭がその影を水面に揺らす、白露が真珠のように結ばれ、澄み切った秋の月光に照らされて滴り落ちてくる。


月下沉吟久不歸、古来相接眼中稀。
こんな月光のもとに沈んだ低い声詩で吟じていると、ここから帰えられないでじっと立っているのだ。
古来、相い継ぐべき詩人は、私の眼中にほとんどいない。

沈吟 声をおさえて吟ずる。「低吟」「微吟」。


解道澄江浄如練、令人長憶謝玄暉。
ああこの風景だ、「澄江、浄きこと練の如し」と詠っている、これこそよく表現しているものだ。この詩句は、この私に、かの謝玄暉を憶い慕わせ続けてくれるものだ。
解道 「能道」(能く這えり)と同じ。表現の巧みさを誉める言葉。○澄江浄如練 澄んだ長江は練のように浄らかだ。南朝時代の斉の謝桃「晩登三山還望京邑」(澄江静かなること練の如し)をさす。○玄暉-謝朓の字。李白は特に謝朓を敬愛し、すぐれた詩人として思慕する詩を数多く作っている。


○詩型 七言古詩
○韻字 発・越・月/帰・稀・暉