漢詩李白 221 玩月金陵城西孫楚酒樓達曙歌吹、日晚乘醉著紫綺裘烏紗巾與酒客數人棹歌、秦淮往石頭訪崔四侍御  李白 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集350 -221

(金陵城の西の孫楚の酒楼にて月を玩しみ、曙に達するまで歌吹す。日晩れて酔いに乗じて紫綺裳、烏紗巾をけ、酒客数人と、秦淮に歌し、石頭に往きて、崔四侍御を訪ぬ)


玩月金陵城西孫楚酒樓達曙歌吹日晚、乘醉著紫綺裘烏紗巾與酒客數人棹歌、秦淮往石頭訪崔四侍御
#1
昨玩西城月。 青天垂玉鉤。
朝沽金陵酒。 歌吹孫楚樓。
忽憶繡衣人。 乘船往石頭。
草裹烏紗巾。 倒披紫綺裘。』
兩岸拍手笑。 疑是王子猷。
酒客十數公。 崩騰醉中流。』
#2
謔浪棹海客。 喧呼傲陽侯。
たわむれて海客をのせたまま竿を持ち舟をこいだり、どなりあって、陽侯たちをたかぶらせたりしている。
半道逢吳姬。 卷帘出揶揄。』
船を進めていく途中にて呉の美人妓女に逢った、簾を巻きあげて顔をだして、野卑な声をかけて冷やかすのだ。』
我憶君到此。 不知狂與羞。
わたしは崔君のことを憶い逢いたくてここ石頭まで来たのだ、途中でこんなに酔いつぶれてしまって、だから恥ずかしくて仕方がない。でも大目に見てこんな醜態知らないことにしくれないか。
一月一見君。 三杯便回橈。
月がこんなに美しいし、君にこうして会えた、だから、ほんの三杯でも飲んだら、舟のかいをこいで帰るよ。
舍舟共連袂。 行上南渡橋。
舟から上がって共に袂をそろえよう、そして南渡橋を渡っていこう。
興發歌綠水。 秦客為之搖。』

ともに、風流な興が湧いてきて昔の歌曲、『綠水』を歌うと、長安(秦)から来た崔侍御も、それにつれて調子を合わせている。
#3
雞鳴復相招。 清宴逸云霄。
贈我數百字。 字字凌風飇。
系之衣裘上。 相憶每長謠。』

諺浪(たわむ)れて海客を掉(ゆす)り、喧呼し陽侯に倣(おご)る。
半道にて呉姫に逢い、簾を巻きて出でて揶揄(からか)う。』
我は君を憶いて此に到る、狂と羞とを知らず。
月下に一たび君に見えは、三杯にて便ちに槙を廻らさん。
舟を捨てて共に袂を連ね、行きて南渡の橋に上る。
興発こりて綠水を歌えば、秦客之が為に揺らぐ。』


玩月金陵城西孫楚酒樓達曙歌吹日晚、乘醉著紫綺裘烏紗巾與酒客數人棹歌、秦淮往石頭訪崔四侍御 #2 現代語訳と訳註
(本文) #2
謔浪棹海客。 喧呼傲陽侯。
半道逢吳姬。 卷帘出揶揄。』
我憶君到此。 不知狂與羞。
一月一見君。 三杯便回橈。
舍舟共連袂。 行上南渡橋。
興發歌綠水。 秦客為之搖。』


(下し文)
諺浪れて海客を棹い、喧呼びて陽侯に倣る。
半道にて呉姫に逢い、簾を巻きて野でて椰拾う。』
我は君を憶いて此に到る、狂と差とを知らず。
月下に一たび君に見えは、三杯にて便ちに槙を廻らさん。
舟を捨てて共に枚を連ね、行きて南渡の橋に上る。
興発こりて綠水を歌えば、秦客之が為に揺らぐ。』


(現代語訳)
たわむれて海客をのせたまま竿を持ち舟をこいだり、どなりあって、陽侯たちをたかぶらせたりしている。
船を進めていく途中にて呉の美人妓女に逢った、簾を巻きあげて顔をだして、野卑な声をかけて冷やかすのだ。』
わたしは崔君のことを憶い逢いたくてここ石頭まで来たのだ、途中でこんなに酔いつぶれてしまって、だから恥ずかしくて仕方がない。でも大目に見てこんな醜態知らないことにしくれないか。
月がこんなに美しいし、君にこうして会えた、だから、ほんの三杯でも飲んだら、舟のかいをこいで帰るよ。
舟から上がって共に袂をそろえよう、そして南渡橋を渡っていこう。
ともに、風流な興が湧いてきて昔の歌曲、『綠水』を歌うと、長安(秦)から来た崔侍御も、それにつれて調子を合わせている。


(訳注)
謔浪棹海客。 喧呼傲陽侯。

たわむれて海客をのせたまま竿を持ち舟をこいだり、どなりあって、陽侯たちの酔った勢いををたかぶらせたりしている。
諺浪 たわむれること。○掉 ゆらせる。○海客 海上を旅行する人。諸方を流れ歩く人。○ おごりたかぶる。陽侯


半道逢吳姬。 卷帘出揶揄。
船を進めていく途中にて呉の美人妓女に逢った、簾を巻きあげて顔をだして、野卑な声をかけて冷やかすのだ。』


我憶君到此。 不知狂與羞。
わたしは崔君のことを憶い逢いたくてここ石頭まで来たのだ、途中でこんなに酔いつぶれてしまって、だから恥ずかしくて仕方がない。でも大目に見てこんな醜態知らないことにしくれないか。
○王子猷のある雪のある、月明らかな夜、友人戴逵を思い出して船で剡渓までいって彼の門まで行ったが、興ざめしてじき返したという風流人。(前述)この句以降、この王子猷の風流に乗っている。


一月一見君。三杯便回橈。
月がこんなに美しいし、君にこうして会えた、だから、ほんの三杯でも飲んだら、舟のかいをこいで帰るよ。


舍舟共連袂。 行上南渡橋。
舟から上がって共に袂をそろえよう、そして南渡橋を渡っていこう。

連袂 袂を分かつの反対語。

興發歌綠水。 秦客為之搖。
ともに、風流な興が湧いてきて昔の歌曲、『綠水』を歌うと、長安(秦)から来た崔侍御も、それにつれて調子を合わせている。


「船頭をからかったり、波の神にどなりちらす。途中、遊女に会えば、簾を上げて出てひやかす」。酔客の酔態が出ている。こうした酔態を歌うことは、李白の得意とするところで、他の詩人にはあまり見られない。さて、これから崖侍御訪問ということになる。
「狂」と「羞」といっているのは、急に思いついて崖侍御の住む石頭までやって来た行動と、舟中の異常な酔態を指していっているもので、要するに「きみに会いたくなったので、やって来た。三杯も飲めば帰る」は門まで来て帰ったが、という。背後には王子猷の風流をまねしていることを意識して、王子猷とおなじように自分は君と飲めば帰るという。気心の知れている、風流を理解しあえる友人なのであろう。儒教的な考え、見方からは理解されないものかもしれない。。
「舟から上がって共に南渡橋を渡る。興が湧いて昔の歌曲、『緑水』を歌うと、長安(秦)から来た崔侍御も、それにつれて調子を合わせる」。