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孟浩然・王維・李白に影響を与えた山水詩人、謝霊運<2> 九日従宋公戯馬台集送孔令詩#1 詩集 355

この詩までの概略

405年 21歳、霊運初めて士官、琅邪王大司馬行参軍となる。
412年 28歳、太尉参軍となるが、途中免職。
416年 32歳、諮議参軍となり、中書省に転ず。
417年 33歳、世子中軍諮議・黄門侍郎となる。
418年 義照十四年八四一八)霊運は三十四歳となった。その年の九月九日、重陽の日、宋公すなわち劉裕と戯馬台(彭城=今の江蘇省銅山県の南にあった)所で、孔令つまり孔靖を送る宴会が盛大に開かれ、そのとき、「九日宋公の戯馬台の集に従って孔令を送る」の作が生まれた。霊運の作品のなかで年代のはっきりしている最初のものである。これは『文選』巻二十の 「公讌」の部に選ばれ、後世の人々にも愛唱されている。

九日、従宋公戯馬台集、送孔令詩(九日宋公の戯馬台の集に従って孔令を送る)
重陽の日に戯馬台において孔靖を送る宴会が盛大に開かれた時に作る詩。
季秋邊朔苦、旅鴈違霜雪。
晩秋になると、北方の邊塞地は艱難辛苦に満ちている。旅ゆく雁は、霜や雪をさけるように既にここにきている。
凄凄陽卉腓、皎皎寒潬洯。
寒々とものさびしく夏草はすっかり枯れてしまっている、月明かりはこうこうと光り輝いて辺りはさむざむとした深い淵がありみずは清く澄んでいる。
良辰感聖心、雲旗興暮節。
しかしここでは一年で最も良い日である、天子のみ心が感じられる日なのである。王朝の戦いの御旗は年の瀬にはかかげられる。
鳴葭戻朱宮、蘭巵獻時哲。
葦笛の音は宮中のなかにもどってくる。蘭の酒盃は時哲孔令に献じられた。
餞宴光有孚、和樂隆所缺。
餞別のための宴は光り輝き天子の真心として伝わってくる。音楽は合奏され宴のかけたところを再び盛り上げてくれる。

在宥天下理、吹萬羣方悦。歸客遂海隅、脱冠謝朝列。
弭棹薄枉渚、指景待樂闋。河流有急瀾、浮驂無緩轍。
豈伊川途念、宿心愧將別。彼美丘園道、喟焉傷薄劣。

(九日宋公の戯馬台の集に従って孔令を送る)
季秋【ばんしゅう】 辺朔【くにざかい】の苦しみ、旅ゆく雁も霜雪を違ける。
凄凄【さむさむ】として陽卉【しげりくさ】も腓【しぼ】み、皎皎【きょうきょう】寒潬【さむきふち】洯【きよ】し。
良辰【りょうしん】は聖心を感ぜしめ、雲旗【みはた】は暮節に興こり。
鳴葭【あしのふえ】 朱宮に戻【いた】る、蘭巵【らんし】もて時哲(孔令)に献じ。
餞宴【わかれのうたげ】 光【おお】いに孚【まこと】有り、和楽して缺【か】けたる所を隆【さか】んにす。

宥【ゆる】うする在りて天下 埋【おさ】まり、吹万【あたたか】くすれば群方 悦【よろこ】ぶ。
帰客は海隅に遂【ゆ】かんとし、冠を脱し朝列を謝す。
棹【さお】を弭【とど】め枉がれる渚に薄【いた】り、景【ひ】を指し楽の闋【お】わるを待つ。
河流 急なる瀾【なみ】有り、浮驂【ゆくそえうま】は緩【ゆる】き轍【わだち】なし。
豈に伊れ川途の念いのみならんや、宿心ありて将に別れんとするに愧ず。
彼の美しき丘園の道、喟焉【なげきて】薄劣【おとれる】を傷む。


現代語訳と訳註  #1
(本文)
九日、従宋公戯馬台集、送孔令詩
季秋邊朔苦、旅鴈違霜雪。
凄凄陽卉腓、皎皎寒潬洯。
良辰感聖心、雲旗興暮節。
鳴葭戻朱宮、蘭巵獻時哲。
餞宴光有孚、和樂隆所缺。


(下し文) (九日宋公の戯馬台の集に従って孔令を送る)
季秋【ばんしゅう】 辺朔【くにざかい】の苦しみ、旅ゆく雁も霜雪を違ける。
凄凄【さむさむ】として陽卉【しげりくさ】も腓【しぼ】み、皎皎【きょうきょう】寒潬【さむきふち】洯【きよ】し。
良辰【りょうしん】は聖心を感ぜしめ、雲旗【みはた】は暮節に興こり。
鳴葭【あしのふえ】 朱宮に戻【いた】る、蘭巵【らんし】もて時哲(孔令)に献じ。
餞宴【わかれのうたげ】 光【おお】いに孚【まこと】有り、和楽して缺【か】けたる所を隆【さか】んにす。


(現代語訳)
重陽の日に戯馬台において孔靖を送る宴会が盛大に開かれた時に作る詩。
晩秋になると、北方の邊塞地は艱難辛苦に満ちている。旅ゆく雁は、霜や雪をさけるように既にここにきている。
寒々とものさびしく夏草はすっかり枯れてしまっている、月明かりはこうこうと光り輝いて辺りはさむざむとした深い淵がありみずは清く澄んでいる。
しかしここでは一年で最も良い日である、天子のみ心が感じられる日なのである。王朝の戦いの御旗は年の瀬にはかかげられる。
葦笛の音は宮中のなかにもどってくる。蘭の酒盃は時哲孔令に献じられた。
餞別のための宴は光り輝き天子の真心として伝わってくる。音楽は合奏され宴のかけたところを再び盛り上げてくれる。


(訳注)
九日、従宋公戯馬台集、送孔令詩

(九日宋公の戯馬台の集に従って孔令を送る)
重陽の日に戯馬台において孔靖を送る宴会が盛大に開かれた時に作る詩。
九日 重陽の日。○宋公 劉裕(りゅう ゆう)は、南朝の宋の初代皇帝。廟号は高祖、諡号は武帝。字は徳與。幼名は寄奴。彭城県綏輿里(現在の江蘇省徐州市銅山県)が本籍であるが、実質は南徐州晋陵郡丹徒県京口里。○戯馬台 彭城=今の江蘇省銅山県の南にあった○孔令つまり孔靖


季秋邊朔苦、旅鴈違霜雪。
(季秋【ばんしゅう】 辺朔【くにざかい】の苦しみ、旅ゆく雁も霜雪を違ける。)
晩秋になると、北方の邊塞地は艱難辛苦に満ちている。旅ゆく雁は、霜や雪をさけるように既にここにきている。


凄凄陽卉腓、皎皎寒潬洯。
(凄凄【さむさむ】として陽卉【しげりくさ】も腓【しぼ】み、皎皎【きょうきょう】寒潬【さむきふち】洯【きよ】し。)
寒々としてものさびしく夏草はすっかり枯れてしまっている、月明かりはこうこうと光り輝いて辺りはさむざむとした深い淵がありみずは清く澄んでいる。
凄凄 寒く冷たいさま。寒々とものさびしいさま。また、涼しいさま。○陽卉 夏草が生い茂っているさま。○
色が変わる。○皎皎 明るく光り輝くさま。特に、太陽・月・雪などにいう。○寒潬 辺りは凍てつく深い淵。○ いさぎよい。自動的に生成されること。


良辰感聖心、雲旗興暮節。
(良辰【りょうしん】は聖心を感ぜしめ、雲旗【みはた】は暮節に興こり。)
しかしここでは一年で最も良い日である、天子のみ心が感じられる日なのである。王朝の戦いの御旗は年の瀬にはかかげられる。
良辰 よい日。吉日。吉辰。事を成すに及んで、日を選ぶこと。○聖心 聖人の心。天子のみ心。○雲旗 『離騷其二:楚辞・屈原』「載雲旗之委蛇」(雲旗の委蛇【いい】たるを載く)○暮節 陰暦十二月。


鳴葭戻朱宮、蘭巵獻時哲。
(鳴葭【あしのふえ】 朱宮に戻【いた】る、蘭巵【らんし】もて時哲(孔令)に献じ。)
葦笛の音は宮中のなかにもどってくる。蘭の酒盃は時哲孔令に献じられた。
鳴葭 「葦」と「葭」とは同じ草。 ○蘭巵 酒杯の一。鉢形で、両側に環状の取っ手がある大杯。○時哲 当時のもっとも明智の人。孔令。孔季恭。


餞宴光有孚、和樂隆所缺。
(餞宴【わかれのうたげ】 光【おお】いに孚【まこと】有り、和楽して缺【か】けたる所を隆【さか】んにす。)
餞別のための宴は光り輝き天子の真心として伝わってくる。音楽は合奏され宴のかけたところを再び盛り上げてくれる。
餞宴 餞別のための宴。○ 孚は信。天子の真心。『詩経、大雅、文王』「萬邦作孚」○和樂 音楽、合奏○ 宴の盛り上がりが落ちかけたところ。