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孟浩然・王維・李白に影響を与えた山水詩人、謝霊運<2> 九日従宋公戯馬台集送孔令詩 #2 詩集 356

(九日宋公の戯馬台の集に従って孔令を送る)


九日、従宋公戯馬台集、送孔令詩
季秋邊朔苦、旅鴈違霜雪。凄凄陽卉腓、皎皎寒潬洯。
良辰感聖心、雲旗興暮節。鳴葭戻朱宮、蘭巵獻時哲。
餞宴光有孚、和樂隆所缺。
#2
在宥天下理、吹萬羣方悦。
天子は天下の筋道として酒宴のおくり物をたまわったのである、万物の根本の気がやしなわれ、集まった人々は、皆喜びを持つことができる。
歸客遂海隅、脱冠謝朝列。
かえる客は岸辺を歩いていく、型ぐるしい冠を脱ぎ去って朝の参列をお許しいただくことになる。
弭棹薄枉渚、指景待樂闋。
渚の湾になったところで小舟の棹をとめて待っている。宴の風景は最後の音楽が終わるのを待っている。
河流有急瀾、浮驂無緩轍。
江川は波立てながら速く流れている、はね浮いている添え馬が幅広に進み轍をなくしてすすむ。
豈伊川途念、宿心愧將別。
どうしてこのようにまだやり遂げるべき仕事が中途のように思えるのだが、旅の志というものをもっていることは別れということに対して恥じ入るものである。
彼美丘園道、喟焉傷薄劣。
あこがれているのは美しい丘や田園へ隠棲していくことであるが、それもできずに自分の覚悟のなさを嘆くのである。

宥【ゆる】うする在りて天下 埋【おさ】まり、吹万【あたたか】くすれば群方 悦【よろこ】ぶ。
帰客は海隅に遂【ゆ】かんとし、冠を脱し朝列を謝す。
棹【さお】を弭【とど】め枉がれる渚に薄【いた】り、景【ひ】を指し楽の闋【お】わるを待つ。
河流 急なる瀾【なみ】有り、浮驂【ゆくそえうま】は緩【ゆる】き轍【わだち】なし。
豈に伊れ川途の念いのみならんや、宿心ありて将に別れんとするに愧ず。
彼の美しき丘園の道、喟焉【なげきて】薄劣【おとれる】を傷む。

謝霊運は、山水詩人といわれた王維(699-759)に、情熱の詩人李白(701-762)に、愛国の詩人杜甫(712-770)に、孟浩然(689―740)に愛され、消化されて、それぞれに大きな影を静かに落としている。特に李白は、強く霊運文学を意識し、これに大きな目標をおいていたらしいことは、注目すべきところである。宋以後、明から清にかけても多くの文人に霊運は山水詩文学の元祖として愛され、その名句が口ずさまれてきた。それは、幾多の人々によって、その詩に、また、詩に関する随筆である詩話に、いろいろな形で述べられている。
偉大な財力と才能をもちながら、不安な政治のなかに、後半の人生は不幸にも失意に満ちつつ、熱心に自然の美を求めて生き続けた霊運の詩は、おかれた環境、あたえられた試練が詩人を作り上げたのであろう。
この求美の精神と美しい調べは、今なお、現代にも生きているし、未来にも消滅しないであろう。

a謝霊運011

現代語訳と訳註
(本文)

在宥天下理、吹萬羣方悦。
歸客遂海隅、脱冠謝朝列。
弭棹薄枉渚、指景待樂闋。
河流有急瀾、浮驂無緩轍。
豈伊川途念、宿心愧將別。
彼美丘園道、喟焉傷薄劣。

(下し文)
宥【ゆる】うする在りて天下 埋【おさ】まり、吹万【あたたか】くすれば群方 悦【よろこ】ぶ。
帰客は海隅に遂【ゆ】かんとし、冠を脱し朝列を謝す。
棹【さお】を弭【とど】め枉がれる渚に薄【いた】り、景【ひ】を指し楽の闋【お】わるを待つ。
河流 急なる瀾【なみ】有り、浮驂【ゆくそえうま】は緩【ゆる】き轍【わだち】なし。
豈に伊れ川途の念いのみならんや、宿心ありて将に別れんとするに愧ず。
彼の美しき丘園の道、喟焉【なげきて】薄劣【おとれる】を傷む。

(現代語訳)
天子は天下の筋道として酒宴のおくり物をたまわったのである、万物の根本の気がやしなわれ、集まった人々は、皆喜びを持つことができる。
かえる客は岸辺を歩いていく、型ぐるしい冠を脱ぎ去って朝の参列をお許しいただくことになる。
江川は波立てながら速く流れている、はね浮いている添え馬が幅広に進み轍をなくしてすすむ。
どうしてこのようにまだやり遂げるべき仕事が中途のように思えるのだが、旅の志というものをもっていることは別れということに対して恥じ入るものである。
あこがれているのは美しい丘や田園へ隠棲していくことであるが、それもできずに自分の覚悟のなさを嘆くのである。


(訳注)
在宥天下理、吹萬羣方悦。

宥【ゆる】うする在りて天下 埋【おさ】まり、吹万【あたたか】くすれば群方 悦【よろこ】ぶ。
天子は天下の筋道として酒宴のおくり物をたまわったのである、万物の根本の気がやしなわれ、集まった人々は、皆喜びを持つことができる。
○宥 客をもてなす酒宴の贈り物。おおめにみる。○ 天下の筋道。原理、法理。○吹萬 もろもろの風。万物の根本の気がやしなわれること。


歸客遂海隅、脱冠謝朝列。
帰客は海隅に遂【ゆ】かんとし、冠を脱し朝列を謝す。
かえる客は岸辺を歩いていく、型ぐるしい冠を脱ぎ去って朝の参列をお許しいただくことになる。

弭棹薄枉渚、指景待樂闋。
棹【さお】を弭【とど】め枉がれる渚に薄【いた】り、景【ひ】を指し楽の闋【お】わるを待つ。

渚の湾になったところで小舟の棹をとめて待っている。宴の風景は最後の音楽が終わるのを待っている。
枉渚 曲渚。入り江。辰州の東にある地名。 ○指景 日射しを指し、時を待つ。○樂闋 膳を撤去するときの奏楽の終わること。

河流有急瀾、浮驂無緩轍。
河流 急なる瀾【なみ】有り、浮驂【ゆくそえうま】は緩【ゆる】き轍【わだち】なし。
江川は波立てながら速く流れている、はね浮いている添え馬が幅広に進み轍をなくしてゆっくりとすすむ。

浮驂  浮くように軽るくかけてゆく添え馬  ○緩轍 ゆるやかなわだち。速度の遅い車。

豈伊川途念、宿心愧將別。
豈に伊【こ】れ川途の念いのみならんや、宿心ありて将に別れんとするに愧ず。
どうしてこのようにまだやり遂げるべき仕事が中途のように思えるのだが、旅の志というものをもっていることは別れということに対して恥じ入るものである。


彼美丘園道、喟焉傷薄劣。
彼の美しき丘園の道、喟焉【なげきて】薄劣【おとれる】を傷む。
あこがれているのは美しい丘や田園へ隠棲していくことであるが、それもできずに自分の覚悟のなさを嘆くのである。
喟焉  ため息をついて嘆く。○薄劣 徳が薄く、才能が劣っていること。謙譲の語。