過白岸亭 謝霊運 謝霊運 <24>#1 詩集393 紀頌之 漢詩ブログ994


霊運はこの春には、永嘉江をさかのぼり、楠渓の西南にあった白岸亨に遊んでいる。この事は永嘉から八十七里(50km)も離れたところにあり、岸辺の砂が、白砂でとても美しかった。ここで歌ったものに「過白岸亭」(白岸亭を過ぐ)がある。

過白岸亭
拂衣遵沙垣。緩步入蓬屋。
衣服の佇まいを直して白岸亭の砂地の垣沿いを歩く。そぞろ歩くのをゆっくりにして蓬で葺いた亭屋に入っていく。
近澗涓密石。遠山映疏木。
近くには澗川が石ばかりの間をながれている、はるかとおくのやまに向かってまばらな木々の林が日に映えている。
空翠難強名。漁釣易為曲。
亭の周りはしたたるような緑色であるが強いて名前が付けられるのも難しいようだ、魚釣りをすると魚曲を唄いたくなる。
援蘿臨青崖。春心自相屬。』
蔓伝いに青く繁った崖を望んでいる。春の心情はそれらの自然に互いに馴染んでいる。

交交止栩黃。呦呦食萍鹿。
傷彼人百哀。嘉爾承筐樂。
榮悴迭去來。窮通成休慽。
未若長疏散。萬事恆抱朴。』

(白岸亭を過ぐ)#1
衣を払い沙の垣に遵【したが】い、歩を緩【ゆる】くして蓬屋【ほうおく】に入る。
近くの澗【たに】や涓【ちいさいながれ】は石を密にし、遠くの山は疎【まば】らなる木に映【は】ゆ。
空翠は強いて名づけ難く、漁釣の曲を為し易し。
蘿【ら】を援【ひ】きて青き崖【きし】に臨み、春の心は自【おのず】から相い属【つら】なる。

#2
交交【こうこう】として栩【くぬぎ】に黄は止まり、呦呦【ようよう】として萍【よもぎ】を食らう鹿。
傷つきたる彼【か】の人 百哀し、嘉爾【さいわい】には筐楽【きょうらく】を承【う】く。
栄えと悴【なや】みとは迭【たが】いに去来し、窮と通とは休【よろこ】びと慽【うれ】いを成す。
未だ長き疎散に若【し】かず、万事 恒【つね】に朴を抱く。

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現代語訳と訳註
(本文)

拂衣遵沙垣。緩步入蓬屋。
近澗涓密石。遠山映疏木。
空翠難強名。漁釣易為曲。
援蘿臨青崖。春心自相屬。』


(下し文)
衣を払い抄の垣に遵【したが】い、歩を緩【ゆる】くして蓬屋【ほうおく】に入る。
近くの澗【たに】や涓【ちいさいながれ】は石を密にし、遠くの山は疎【まば】らなる木に映【は】ゆ。
空翠は強いて名づけ難く、漁釣の曲を為し易し。
蘿【ら】を援【ひ】きて青き崖【きし】に臨み、春の心は自【おのず】から相い属【つら】なる。


(現代語訳)
衣服の佇まいを直して白岸亭の砂地の垣沿いを歩く。そぞろ歩くのをゆっくりにして蓬で葺いた亭屋に入っていく。
近くには澗川が石ばかりの間をながれている、はるかとおくのやまに向かってまばらな木々の林が日に映えている。
亭の周りはしたたるような緑色であるが強いて名前が付けられるのも難しいようだ、魚釣りをすると魚曲を唄いたくなる。
蔓伝いに青く繁った崖を望んでいる。春の心情はそれらの自然に互いに馴染んでいる。


(訳注)
拂衣遵沙垣。緩步入蓬屋。

衣服の佇まいを直して白岸亭の砂地の垣沿いを歩く。そぞろ歩くのをゆっくりにして蓬で葺いた亭屋に入っていく。
拂衣 衣服の佇まいを直す。○沙垣 砂地の垣。○蓬屋 蓬で葺いた亭屋


近澗涓密石。遠山映疏木。
近くには澗川が石ばかりの間をながれている、はるかとおくのやまに向かってまばらな木々の林が日に映えている。
 谷川。山簡の小川。○ 小さいながれ


空翠難強名。漁釣易為曲。
亭の周りはしたたるような緑色であるが強いて名前が付けられるのも難しいようだ、魚釣りをすると魚曲を歌を唄いたくなる
空翠 したたるような緑色。そびえる木立の緑色。


援蘿臨青崖。春心自相屬。』
蔓伝いに青く繁った崖を望んでいる。春の心情はそれらの自然に互いに馴染んでいる。
青崖 青く繁った崖。