游赤石進帆海詩 謝霊運27#1 詩集 399 kanbuniinkai紀 頌之漢詩ブログ1014


温州、永嘉に来て、時には足を遠くへ伸ばし、赤石にも遊んだ。赤石とは李書は『遊名山志』の「永寧・安国の二県の中路の東南は便ち走れ赤石にして、又た海に枕む」を引用して説明する。つまり、永寧は今の永嘉県、安回は安国のことで瑞安県とする。このとき作ったのが「赤石に遊び、進みて海に汎ぶ」の詩で、『文選』の巻二十二の 「遊覧」に選ばれている。


謝霊運『游赤石進帆海』詩
「揚帆采石華、掛席拾海月。」(帆を揚げて石華を采り、席を掛げて海月を拾う。)


遊赤石進帆海
作者:謝靈運 《昭明文選•卷二十二》


遊赤石進帆海
首夏猶清和,芳草亦未歇。
夏の初め、まだなお春のように気はのどかな時節である、芳しい草はまたいまだやまず花咲いている。
水宿淹晨暮,陰霞屢興沒。
水辺の舟に宿って朝夕を久しく過ごしていると、暗い雲気がしばしば興っては消えてゆく。
周覽倦瀛壖,況乃陵窮髮。
あまねく海岸の景色に見飽きてしまった。まして昔の人が北海の北の不毛の地をふみ越えて行った時はなおさらであったと思う。
川后時安流,天吳靜不發。』

川の神、河伯は今の時に安らかに川を流れさせ、海の神、天呉は静かにして現われない。
揚帆采石華,挂席拾海月。
溟漲無端倪,虛舟有超越。
仲連輕齊組,子牟眷魏闕。
矜名道不足,適己物可忽。
請附任公言,終然謝天伐。』

(赤石に遊んで進んで海に泛ぶ)
首夏【しょか】猶お 清和にして,芳草も亦た 歇【や】まず。
水に宿り 晨暮【しんぼ】に淹【とど】まる,陰【かげ】る霞は 屢々 興こり沒しぬ。
周覽し 瀛壖【うみべ】に倦【う】む,況んや 乃ち窮髮【あれち】を陵るや。
川后【かわのかみ】は 時に流れを安んじ,天吳【わだつみのかみ】は靜にして 發せず。

帆を揚げて石華【ところてん】を采り、席を掛【かか】げて 海月【たいらぎかい】を拾う。
溟漲【みなみのうみ】は端倪【はじ】無きも,虛舟【かろきふね】は 超越する有り。
仲連【[魯]ちゅうれん】は齊組【せいそ】を輕んじ,子牟【[公]しぼう】は魏の闕を眷【した】い。
名に矜【ほこ】れば 道に足らず,己に適【かな】えば物も忽【わす】る可し。
請うらくは任公の言に附き,終然【つい】に天伐【はやくきられる】を謝【さ】らんことを。



現代語訳と訳註
(本文)
遊赤石進帆海
首夏猶清和,芳草亦未歇。
水宿淹晨暮,陰霞屢興沒。
周覽倦瀛壖,況乃陵窮髮。
川后時安流,天吳靜不發。』


(下し文) (赤石に遊んで進んで海に泛ぶ)
首夏【しょか】猶お 清和にして,芳草も亦た 歇【や】まず。
水に宿り 晨暮【しんぼ】に淹【とど】まる,陰【かげ】る霞は 屢々 興こり沒しぬ。
周覽し 瀛壖【うみべ】に倦【う】む,況んや 乃ち窮髮【あれち】を陵るや。
川后【かわのかみ】は 時に流れを安んじ,天吳【わだつみのかみ】は靜にして 發せず。


(現代語訳)
夏の初め、まだなお春のように気はのどかな時節である、芳しい草はまたいまだやまず花咲いている。
水辺の舟に宿って朝夕を久しく過ごしていると、暗い雲気がしばしば興っては消えてゆく。
あまねく海岸の景色に見飽きてしまった。まして昔の人が北海の北の不毛の地をふみ越えて行った時はなおさらであったと思う。
川の神、河伯は今の時に安らかに川を流れさせ、海の神、天呉は静かにして現われない。


(訳注)
遊赤石進帆海
赤石  永寧・妄固二県の中路の東南は、便ち走れ赤石なり。また海に臨む。 ○帆 帆は帆を揚げ浮かぶ。赤石に旅をし、水辺に宿をとって、その夕景を詠じ、さらに、「帆を揚げて石華を採り 席に掛けて海月を拾う」と歌う。


首夏猶清和,芳草亦未歇。
夏の初め、まだなお春のように気はのどかな時節である、芳しい草はまたいまだやまず花咲いている。
首夏 しょか ○清和 きよくなごやか。のどか。世の中が良く治まっていること。初夏の気候の形容。


水宿淹晨暮,陰霞屢興沒。
水辺の舟に宿って朝夕を久しく過ごしていると、暗い雲気がしばしば興っては消えてゆく。
水宿 水辺の舟に宿す。○晨暮 朝夕。○陰霞 暗い雲気。○興沒 暗い雲気。


周覽倦瀛壖,況乃陵窮髮。
あまねく海岸の景色に見飽きてしまった。まして昔の人が北海の北の不毛の地をふみ越えて行った時はなおさらであったと思う。
周覽 周り回って観覧する。○瀛壖 海岸の景色。○況乃 いわんや、なおさら。○陵窮髮 北海の北の不毛の地。


川后時安流,天吳靜不發。』
川の神、河伯は今の時に安らかに川を流れさせ、海の神、天呉は静かにして現われない。
川后 川の神。河伯。曹植『洛神賦』「屏翳収風、川后静波。」(屏翳風を収め、川后波を静む。)○天吳 海の神、人の顔をし、八首、八足、八尾をしている。