《石門新營所住四面高山回溪石瀨修竹茂林》石門在永嘉 謝霊運<30>#3 詩集 406  kanbuniinkai紀 頌之漢詩ブログ1035
(石門は永嘉に在り)
『文選』の巻三十の「雑詩」石門在永嘉
『石門新營所住四面高山回溪石濑茂林修竹』(石門に新たに住する所を営む。四面は高山、漢を廻らし、石瀬、傭竹、茂林)

《石門新營所住四面高山回溪石瀨修竹茂林》石門在永嘉 #1
躋険築幽居、披雲臥石門。
苔滑誰能歩、葛弱豈可捫。
嫋嫋秋風過、萋萋春草繁。
美人遊不遠、佳期何繇敦。』
#2
芳塵凝瑤席、清醑満金樽。
洞庭空波瀾、桂枝徒攀翻。
結念屬霽漢、孤景莫與諼。
俯濯石下潭、仰看條上猿。』
#3
早聞夕飈急、晩見朝日暾。
深い谷は朝早く夕方をおもわせるような急な突風が聞えているとおもうと、晩方、日が昇る朝日を思わせるようにみえる。
崖傾光難留、林深響易奔。
崖に傾け始めた太陽の光が降り注いで、光を遮ることがなくなると、林の木々の奥深く影響し、光は奔走しやすくなっている。
感往慮有復、理来情無存。
こころに感じるままに進んでゆくと思慮、憂慮することが次々に生じてくるのだ、物の道理、理性を以て来てみると不平不満の心情があるはずなのにないのである。
庶持乗日車、得以慰營魂。」
できることなら太陽を進行させる御車を持ちたいものだし、そうすれば慰められ、自分の思いを貫くことができるのだ。
匪爲衆人説、冀與智者論。』
世間の人々に対して言い訳をすることはしないが、願わくば智徳を積んだ人と議論を合わせたいものだ。

(石門は永嘉に在り)#1
険に躋【のぼ】りて幽居を築き、雲を披【ひら】きて石門に臥す。
苔は滑【なめ】らかにして誰か能く歩せん、葛は弱くして豈捫る可けんや。
嫋嫋【じょうじょう】と秋風が過ぎ、萋萋【せいせい】と春草も繁り。
美人は遊びて還らず、佳期は何に繇【よ】りてか敦【さだ】めん。
#2
芳塵【ほうじん】瑤席【ようせき】に凝【こ】もり、清醑【うまざけ】は金の樽に満つ。
洞庭は空しく波瀾し、桂の枝は徒らに攀翻【はんぱん】す。
念いを結び霽漢【しょうかん】に属【つ】け、弧景【こけい】与【とも】に 諼【わす】るる莫し。
俯【ふ】して石下の潭【ふち】に濯【そそ】ぎ、仰いで粂上の猿を看る。
#3
早【つと】に夕飈の急なるを聞き、晩に朝日の暾【かがや】くを見る
崖は傾き光は留【とど】め難し、林深くして響き 奔【はし】り易【やす】し。
感の往き慮【おも】い 復する有り、理の来たり情 存する無し。
庶【ねが】わくは乗日の事に持し、以って営魂を慰むるを待んことを。
衆人の為に説くに匪【あら】ず、冀【こいねが】わくは智者と論ぜん。


現代語訳と訳註
(本文) #3
早聞夕飈急、晩見朝日暾。
崖傾光難留、林深響易奔。
感往慮有復、理来情無存。
庶持乗日車、得以慰營魂。」
匪爲衆人説、冀與智者論。』


(下し文) #3
早【つと】に夕飈の急なるを聞き、晩に朝日の暾【かがや】くを見る
崖は傾き光は留【とど】め難し、林深くして響き 奔【はし】り易【やす】し。
感の往き慮【おも】い 復する有り、理の来たり情 存する無し。
庶【ねが】わくは乗日の事に持し、以って営魂を慰むるを待んことを。
衆人の為に説くに匪【あら】ず、冀【こいねが】わくは智者と論ぜん。


(現代語訳)
深い谷は朝早く夕方をおもわせるような急な突風が聞えているとおもうと、晩方、日が昇る朝日を思わせるようにみえる。
崖に傾け始めた太陽の光が降り注いで、光を遮ることがなくなると、林の木々の奥深く影響し、光は奔走しやすくなっている。
こころに感じるままに進んでゆくと思慮、憂慮することが次々に生じてくるのだ、物の道理、理性を以て来てみると不平不満の心情があるはずなのにないのである。
できることなら太陽を進行させる御車を持ちたいものだし、そうすれば慰められ、自分の思いを貫くことができるのだ。
世間の人々に対して言い訳をすることはしないが、願わくば智徳を積んだ人と議論を合わせたいものだ。


(訳注)《石門新營所住四面高山回溪石瀨修竹茂林》#3

早聞夕飈急、晩見朝日暾。
深い谷は朝早く夕方をおもわせるような急な突風が聞えているとおもうと、晩方、日が昇る朝日を思わせるようにみえる。
○飈 つむじかぜ。○朝暾【ちょうとん】朝日。朝陽。


崖傾光難留、林深響易奔。
崖に傾け始めた太陽の光が降り注いで、光を遮ることがなくなると、林の木々の奥深く影響し、光は奔走しやすくなっている。
崖傾光難留 日が真上の時には木の葉にさえぎられて見えなかったものが見えてくる。時には視点を変えてみることが必要だ。○林深響易奔 日が傾いてくると林の奥まで明るく照らす。


感往慮有復、理来情無存。
こころに感じるままに進んでゆくと思慮、憂慮することが次々に生じてくるのだ、物の道理、理性を以て来てみると不平不満の心情があるはずなのにないのである。
感往 こころに感じるままに進んでゆく。○慮有復 憂慮することが次々に生じてくる。○理来 物の道理、理性を以て来る。○情無存 不平不満の心情があるはずなのにない。

庶持乗日車、得以慰營魂。」
できることなら太陽を進行させる御車を持ちたいものだし、そうすれば慰められ、自分の思いを貫くことができるのだ。
庶持乗日車 できることなら太陽を進行させる御車を持ちたいもの。○慰營魂 慰められ、自分の思いを貫くことができる。

匪爲衆人説、冀與智者論。』
世間の人々に対して言い訳をすることはしないが、願わくば智徳を積んだ人と議論を合わせたいものだ。
匪爲衆人説 世間の人々に対して言い訳をすることはしない。○冀與智者論 願わくば智徳を積んだ人と議論を合わせたい