斎中讀書 謝霊運<32>#1 詩集 409  kanbuniinkai紀 頌之漢詩ブログ1044


斎中讀書
心を落ち着く郡府の書斎で読書する。
昔余遊京華、未嘗廢邱壑。
昔、私は帝都の文化、物量の華やかなところに遊んだ時でも、丘や谷のある山中に隠棲して優遊自適の生活をしたいという望みを棄てたことはない。
矧乃歸山川、心跡兩寂漠。
それなのに、まして山川の住居に帰ったのだからなおさらのことで、心も行為も両方ともに静かに澄み切って暮らしてしる。
虚館絶諍訟、空庭來鳥雀。
がらんとした公館には、喧嘩や訴訟などまったく絶え、人もいない庭には鳥や雀が遊びに来る。
臥疾豐暇豫、翰墨時間作。』

病に臥してからは、暇や楽しみがかえって多く心豊かになると、詩文、文章なども時を多くとって作ってみる。
懐抱觀古今、寢食展戯謔。
既笑沮溺苦、又哂子雲閣。
執戟亦以疲、耕稼豈云樂。
萬事難竝歓、達生幸可託。』

斎中に書を読む
昔、余【われ】京華【けいか】に遊べども、未だ嘗て邱堅【きゅうがく】を廢【す】てざりき。
矧【いわん】や乃ち山川に歸るをや、心跡【しんせき】兩【ふたつ】ながら寂漠【せきばく】たり。
虚館【きょかん】諍訟【そうしょう】絶え、空庭【くうてい】鳥雀【ちょうじゃく】來る。
疾に臥して暇豫【かよ】豐かに、翰墨【かんぼく】時に間【ま】ま作る。』

#2

懐抱【かいほう】に古今を觀て、寝食に戯謔【ぎぎゃく】を展【の】ぶ。
既に沮溺【そでき】の苦を笑ひ、又子雲の閣を哂【わら】ふ。
執戟【しつげき】も亦以に疲る。耕稼【こうか】壹云【ここ】に樂しまんや。
萬事竝【なら】びに歓び難し、達生【たっせい】幸に託す可し。


現代語訳と訳註
(本文)
斎中讀書
昔余遊京華、未嘗廢邱壑。
矧乃歸山川、心跡兩寂漠。
虚館絶諍訟、空庭來鳥雀。
臥疾豐暇豫、翰墨時間作。』

(下し文) 斎中に書を読む
昔、余【われ】京華【けいか】に遊べども、未だ嘗て邱堅【きゅうがく】を廢【す】てざりき。
矧【いわん】や乃ち山川に歸るをや、心跡【しんせき】兩【ふたつ】ながら寂漠【せきばく】たり。
虚館【きょかん】諍訟【そうしょう】絶え、空庭【くうてい】鳥雀【ちょうじゃく】來る。
疾に臥して暇豫【かよ】豐かに、翰墨【かんぼく】時に間【ま】ま作る。


(現代語訳)
心を落ち着く郡府の書斎で読書する。
昔、私は帝都の文化、物量の華やかなところに遊んだ時でも、丘や谷のある山中に隠棲して優遊自適の生活をしたいという望みを棄てたことはない。
それなのに、まして山川の住居に帰ったのだからなおさらのことで、心も行為も両方ともに静かに澄み切って暮らしてしる。
がらんとした公館には、喧嘩や訴訟などまったく絶え、人もいない庭には鳥や雀が遊びに来る。
病に臥してからは、暇や楽しみがかえって多く心豊かになると、詩文、文章なども時を多くとって作ってみる。


(訳注) 斎中讀書
心を落ち着く郡府の書斎で読書する。
 永嘉郡府の書斎。心を斎え静める室を斎という。


昔余遊京華、未嘗廢邱壑。
昔、私は帝都の文化、物量の華やかなところに遊んだ時でも、丘や谷のある山中に隠棲して優遊自適の生活をしたいという望みを棄てたことはない。
京華 帝都の文化、物量の華やかなところ。○邱壑 丘や谷。


矧乃歸山川、心跡兩寂漠。
それなのに、まして山川の住居に帰ったのだからなおさらのことで、心も行為も両方ともに静かに澄み切って暮らしてしる。
○心跡 心と身の行ない。○寂漠 静かに出来事もない無の境地にある。楚辞に「野寂漢として、其れ人無し」と。謝霊運の好きな言葉である。


虚館絶諍訟、空庭來鳥雀。
がらんとした公館には、喧嘩や訴訟などまったく絶え、人もいない庭には鳥や雀が遊びに来る。
○諍訟 喧嘩や訴訟。


臥疾豐暇豫、翰墨時間作。』
病に臥してからは、暇や楽しみがかえって多く心豊かになると、詩文、文章なども時を多くとって作ってみる。
暇豫 暇や楽しみ○翰墨 詩文、文章。