南樓中望所遅客 謝霊運(康楽) 詩<38#1>Ⅱ李白に影響を与えた詩418 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1071

(南樓の中にて遅つ所の客を望む)


南樓中望所遅客
故郷始寧における謝霊運の日常生活はというに、たとえは、始寧の別荘の南に楼があり、そこで漢の謝安の故事、朝廷の誘いに乗らず始寧の芸妓を携えて遊んだことにならい、芸妓を待っていたが来なかったときの感情を歌ったものである。
『文選』の巻三十の雑詩に引用されている「南樓の中にて遅つ所の客を望む」の作がある。


南樓中望所遲客
南の高殿の中でこちらに来る客が通り過ぎる場所でなかなか来ない客を待っている。
杳杳日西頹,漫漫長路迫。
日が西に沈みかけ辺りはだんだん薄暗くなってくる、長い一本道には広々として見渡しがよく、宵闇が迫ってくる。
登樓為誰思?臨江遲來客。
高楼に登るのは誰のために登るのだろうか? 大江の流れを眺めることは待っている客がなかなか来ないためである。
與我別所期,期在三五夕。
彼の人と私が逢う約束をしたのは別の場所であった。そしてその約束の日が来て十五夜の夜なのだ。
圓景早已滿,佳人猶未適。
真丸くなった月は早くも既にあがってしまう。芸妓を携え東山で過ごした謝安の故事を思い美人を待っているのだがまだ会えずにいるのだ。
即事怨睽攜,感物方淒戚。』

こんな故事にならって待っているのに攜相手にそむかれては怒りの気持ちになってしまう。いろんなことに感情を以て来たけれどこんなに辛くやりきれないものなのだろうか。
孟夏非長夜,晦明如歲隔。
瑤華未堪折,蘭苕已屢摘。
路阻莫贈問,雲何慰離析?
搔首訪行人,引領冀良覿。』

(南樓の中にて遅つ所の客を望む)
杳杳【きょうきょう】として日は西に頹【くず】れ、漫漫として長き路は迫【せま】れり。
楼に登り 誰の為かと思う、江に臨み釆たる客を遅【ま】つ。
我と別れしとき期する所あり、期は三五の夕に在り。
円景【まるきつき】は早く己に満ちしに、佳人は殊に末だ適【いた】らず。
事に即【つ】きて睽【そむ】き攜【はな】れるを怨み、物に感じて方【まさ】に淒【いたみ】戚【うれ】う。
孟夏【もうか】は長き夜に非ざるも、晦明【かいめい】は歳の隔つるが如し。
瑤華【あさのはな】は未だ折るに堪えざれど、蘭苕【らんしょう】 己に屢【しばし】ば摘【つ】む。
路阻【へだ】たりて贈問【ぞうもん】する莫ければ、云何【いか】んぞ離析【りせき】を慰めん。
首を掻いて行人に訪ね、領【うなじ】を引いて良き覿【み】んことを冀【ねが】う。
a謝霊運永嘉ルート02

現代語訳と訳註
(本文)
南樓中望所遲客
杳杳日西頹,漫漫長路迫。
登樓為誰思?臨江遲來客。
與我別所期,期在三五夕。
圓景早已滿,佳人猶未適。
即事怨睽攜,感物方淒戚。』

(下し文)
 杳杳【きょうきょう】として日は西に頹【くず】れ、漫漫として長き路は迫【せま】れり。
楼に登り 誰の為かと思う、江に臨み釆たる客を遅【ま】つ。
我と別れしとき期する所あり、期は三五の夕に在り。
円景【まるきつき】は早く己に満ちしに、佳人は殊に末だ適【いた】らず。
事に即【つ】きて睽【そむ】き攜【はな】れるを怨み、物に感じて方【まさ】に淒【いたみ】戚【うれ】う。


(現代語訳)
南の高殿の中でこちらに来る客が通り過ぎる場所でなかなか来ない客を待っている。
日が西に沈みかけ辺りはだんだん薄暗くなってくる、長い一本道には広々として見渡しがよく、宵闇が迫ってくる。
高楼に登るのは誰のために登るのだろうか? 大江の流れを眺めることは待っている客がなかなか来ないためである。
彼の人と私が逢う約束をしたのは別の場所であった。そしてその約束の日が来て十五夜の夜なのだ。
真丸くなった月は早くも既にあがってしまう。芸妓を携え東山で過ごした謝安の故事を思い美人を待っているのだがまだ会えずにいるのだ。
こんな故事にならって待っているのに攜相手にそむかれては怒りの気持ちになってしまう。いろんなことに感情を以て来たけれどこんなに辛くやりきれないものなのだろうか。


(訳注)
南樓中望所遲客

南の高殿の中でこちらに来る客が通り過ぎる場所でなかなか来ない客を待っている。
遲客 約束の時間に来ない客。約束をすっぽかされたもの。
送姪良携二妓赴会稽戯有此贈  李白Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集350 -287


杳杳日西頹,漫漫長路迫。
日が西に沈みかけ辺りはだんだん薄暗くなってくる、長い一本道には広々として見渡しがよく、宵闇が迫ってくる。
○杳杳 ほのかなさま。くらいさま。また、はるかなさま。○漫漫 広々と果てしないさま。
 

登樓為誰思?臨江遲來客。
高楼に登るのは誰のために登るのだろうか? 大江の流れを眺めることは待っている客がなかなか来ないためである。


與我別所期,期在三五夕。
彼の人と私が逢う約束をしたのは別の場所であった。そしてその約束の日が来て十五夜の夜なのだ。
 逢引の日のこと。佳期。○三五夕 十五夜の夜。月が昇り始める前から見るのが基本であるから、月がの場流前が約束の時である。


圓景早已滿,佳人猶未適。
真丸くなった月は早くも既にあがってしまう。芸妓を携え東山で過ごした謝安の故事を思い美人を待っているのだがまだ会えずにいるのだ。
佳人【かじん】 美しい女性。美人。芸妓のこと。


即事怨睽攜,感物方淒戚。』
こんな故事にならって待っているのに攜える相手にそむかれては怒りの気持ちになってしまう。いろんなことに感情を以て来たけれどこんなに辛くやりきれないものなのだろうか。
○晋の謝安(字は安石)が始寧(会稽紹興市の東の上虞県の西南)に隠居して朝廷のお召しに応じなかったのは「東山高臥」といって有名な講である。山上に謝安の建てた白雲・明月の二亭の跡がある。また、かれが妓女を携えて遊んだ寄薇洞の跡もある。○携 佳人=美人=芸妓を携える。謝安の故事をふまえる。
李白『憶東山二首其二 李白 李白Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集350 -270