入東道路詩 謝霊運(康楽) 詩<44#1>Ⅱ李白に影響を与えた詩430 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1107
(東の道路に入るの詩)


謝霊運の行動に対しては、始寧の田舎に隠遁していたのに、急に都に呼びよせられ、謝霊運は不満であっても、他からみれば高い位を与えられ、常に天子の宴会などでは詩文の才をもてはやされたことは、一方では快く思わなかった人も多くした。それは、諫言、讒言とされた。こうして、文帝のこの温かい思いやりも謝霊運には普通なら静かに故郷に帰って謹慎をしているべきであったが、暇はでき、金はある、食物も豊かであり、そのうえ、名酒のあるところで、毎日毎日、気ままな生活をした。そこで自己の不満をだれかれとなくぶちまけていたことが、都に届いた。謝霊運の反対派によい口実を与える結果になった。遠く都の建康まで、誇張されて伝えられた。ついに、御史中丞の樽隆の進言でその官位を退かねはならなくなったのは、428年元嘉五年、謝霊運四十四歳のときである。再任してからおよそ三年めのことであった。
この時、作った作に、「東の道路に入るの詩」がある。従游京口北固應詔詩は都に来た時の詩であるがこの詩と比較しても面白い。


入東道路詩 #1
都を出て東の始寧に向かう道路に入る。
整駕辭金門.命旅惟詰朝.
御車用の馬を整えて金馬門を辞して城郭を出る。この旅を命じられたのは昨日でこの朝、旅立てということであった。
懷居顧歸雲.指塗泝行飆.
都の居宅を懐かしみながら帰りに向かう雲を顧みた。道を目指していき始めると春の大風が向かい風となる。
屬值清明節.榮華感和韶.
時節は姓名節であり、旅立つには最適の時節である。春の宮廷の栄華を祝う詔楽の音楽はこの旅立に合わせてくれる感じである。
陵隰繁綠杞.墟囿粲紅桃.

丘や窪地の湿地などに緑のクコの木が広がり、村落の農地、庭園に赤く桃の花が咲き誇る。
#2
鷕鷕翬方雊.纖纖麥垂苗.
隱軫邑里密.緬邈江海遼.
滿目皆古事.心賞貴所高.
魯連謝千金.延州權去朝.
行路既經見.願言寄吟謠.


(東の道路に入るの詩)
駕を整えて金門を辞す、旅を命ず惟【こ】れ 詰朝【きつちょう】。
居を懐かしみ帰る雲を顧みる、塗を指し飆【おおかぜ】に泝【さかのぼ】り 行く。
属【たまた】ま 清明【せいめい】の節に値【あ】う、栄華 感じて韶【しょう】に和す。
陵隰【りょうしつ】に繁れる緑の杞【き】、墟園【きょえん】に粲【さん】たる紅桃【こうとう】。
#2
鷕鷕【えいえい】として翬【きじ】は方に雊【な】く、纖纖【せんせん】として麦は苗に垂る。
隱軫【いんしん】として邑里は密、緬邈【めんばく】として江海 遼かなり。
満目 皆な古事、心の賞するは高き所を貴ぶ。
魯連【ろれん】は千金を謝し、延州は権【かり】に朝を去る。
行路 既に見を経たり、願わくは言 吟謡に寄せんことを。


現代語訳と訳註
(本文)
#1
入東道路詩
整駕辭金門.命旅惟詰朝.
懷居顧歸雲.指塗泝行飆.
屬值清明節.榮華感和韶.
陵隰繁綠杞.墟囿粲紅桃.


(下し文)
(東の道路に入るの詩)
駕を整えて金門を辞す、旅を命ず惟【こ】れ 詰朝【きつちょう】。
居を懐かしみ帰る雲を顧みる、塗を指し飆【おおかぜ】に泝【さかのぼ】り 行く。
属【たまた】ま 清明【せいめい】の節に値【あ】う、栄華 感じて韶【しょう】に和す。
陵隰【りょうしつ】に繁れる緑の杞【き】、墟園【きょえん】に粲【さん】たる紅桃【こうとう】。


(現代語訳)
都を出て東の始寧に向かう道路に入る。
御車用の馬を整えて金馬門を辞して城郭を出る。この旅を命じられたのは昨日でこの朝、旅立てということであった。
都の居宅を懐かしみながら帰りに向かう雲を顧みた。道を目指していき始めると春の大風が向かい風となる。
時節は姓名節であり、旅立つには最適の時節である。春の宮廷の栄華を祝う詔楽の音楽はこの旅立に合わせてくれる感じである。
丘や窪地の湿地などに緑のクコの木が広がり、村落の農地、庭園に赤く桃の花が咲き誇る。


(訳注) #1
入東道路詩

(東の道路に入るの詩)
都を出て東の始寧に向かう道路に入る。


整駕辭金門.命旅惟詰朝.
駕を整えて金門を辞す、旅を命ず惟【こ】れ 詰朝【きつちょう】。
御車用の馬を整えて金馬門を辞して城郭を出る。この旅を命じられたのは昨日でこの朝、旅立てということであった。
金門 金馬門:漢代の未央宮(びおうきゅう)の門の一。側臣が出仕して下問を待つ所。金馬。金門。・詰朝 明日の明方、明旦。


懷居顧歸雲.指塗泝行飆.
居を懐かしみ帰る雲を顧みる、塗を指し飆【おおかぜ】に泝【さかのぼ】り 行く。
都の居宅を懐かしみながら帰りに向かう雲を顧みた。道を目指していき始めると春の大風が向かい風となる。


屬值清明節.榮華感和韶.
属【たまた】ま 清明【せいめい】の節に値【あ】う、栄華 感じて韶【しょう】に和す。
時節は姓名節であり、旅立つには最適の時節である。春の宮廷の栄華を祝う詔楽の音楽はこの旅立に合わせてくれる感じである。
清明節 、二十四節気の第5。三月節(旧暦2月後半 - 3月前半)。現在広まっている定気法では太陽黄経が15度のときで4月5日ごろ。暦ではそれが起こる日だが、天文学ではその瞬間とする。恒気法では冬至から7/24年(約106.53日)後で4月7日ごろ。
期間としての意味もあり、この日から、次の節気の穀雨前日までである。・韶(楽) 古来より中国の宮廷に伝わる音楽。その音はあるいは勇ましくあるいは寂しく溜息がもれるという。


陵隰繁綠杞.墟囿粲紅桃.
陵隈【りょうわい】に繁れる緑の杞【き】、墟囿【きょゆう】に粲【さん】たる紅桃【こうとう】。
丘や窪地の湿地などに緑のクコの木が広がり、村落の農地、庭園に赤く桃の花が咲き誇る。
陵隰 山陵和低湿之地。陵隰相望。・綠杞 クコ・墟囿 おか、村落の農地。庭園の迹。墟は丘。囿は庭、庭園。御苑のような庭園。従遊京口北固應詔 #1
玉璽誡誠信、黄屋示崇高。事為名教用、道以神理超。
昔聞汾水遊、今見塵外鑣。鳴笳發春渚、税鑾登山椒。
張組眺倒景、列筵矚歸潮。遠巌映蘭薄、白日麗江皐。
原濕荑縁柳、墟囿散紅桃。皇心美陽澤、萬象咸光昭。
顧己枉維縶、撫志慙場苗。工拙各所宜、終以返林巣。
曾是縈舊想、覽物奏長謡。