石室山詩 謝霊運(康楽) 詩<55-#2>Ⅱ李白に影響を与えた詩443 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1146


石室山詩
石室のある山での詩
清旦索幽異。放舟越坰郊。
すがすがしい 朝に、静かな此の別荘を目指してやって來る、それから小舟をきしから解き放って郊外の離れたところを超えてゆく。
苺苺蘭渚急。藐藐苔嶺高。
野イチゴがたくさん実っている、蘭が咲き誇る渚は急流である。はるか遠くまで映しい苔が生え高い峰の上まで続いている。
石室冠林陬。飛泉發山椒。
山懐に巌の空洞になっている、石橋か、冠のように変わった場所がある、泉から湧き出す水が滝となって飛び散り山の頂から噴出している。
虛泛徑千載。崢嶸非一朝。
小舟をむなしく浮かべている千年も前からの道としている、この石室山は高く聳えているのはこの朝だけではない。


#2
鄉村絕聞見。樵蘇限風霄。
人里、村は見えなくなってしまい、人々の生活の音も聞こえなくなった。木こりと草刈だけが風流な景色とこの大空を見ているだろう。
微戎無遠覽。總笄羨升喬。
あの昔の微子啓と公子罷戎の同盟を結んだはるかに遠い出来事として見ることはできないし、髪の毛を束ねて役人の簪をつけたとして趙升や王子喬の仙人を羨ましがっているのだ。
靈域久韜隱。如與心賞交。
この浄土に近い霊域においてこれからずっと久しく弓や剣を入れてつつんでしまいこんでしまうのだ、如来と共に心を賞賛し念仏を唱えていくのである。
合歡不容言。摘芳弄寒條。
浄土に行ける喜びを共にすることが分かってくると説明やなんか必要としない。香しい草花を摘み取り、まだ装いをしていない冬の木の枝を遊んで枯れ木に花が咲かせてやるとことにしよう。

#2
鄉村【ごうそん】 聞見【ぶんけん】を絕ち、樵【きこり】と蘇【くさかり】は風霄【ふうせい】に限【はば】まる。
微戎【びじゅう】のため遠覽【えんらん】する無し、總笄【そうべん】より升 喬を羨みしも。
靈域【れいいき】久しく韜隱【とういん】し、如し與に心賞【しんしょう】の交わりせば。
合歡【ごうかん】言を容【い】れず、芳を摘み寒條【かんじょう】を弄【もてあそ】ぶ。


夜明けを待って朝早く石室山の名勝を訪ねようとして、家を出ると、たちまちのうちに郊外に出てしまった。すると、遥か彼方に石室山が高く聾えていた。そこは人里遠く離れていて、人を寄せつけない。私は若いときから王子喬が仙人となったことにあこがれていたが、仙山に近づくこともできなかった。今、この名山を眺め、霊運の心の中にはさまざまな思い出が去来していたことであったろう。



現代語訳と訳註
(本文)
#2
鄉村絕聞見。樵蘇限風霄。微戎無遠覽。總笄羨升喬。
靈域久韜隱。如與心賞交。合歡不容言。摘芳弄寒條。


(下し文)#2
鄉村【ごうそん】 聞見【ぶんけん】を絕ち、樵【きこり】と蘇【くさかり】は風霄【ふうせい】に限【はば】まる。
微戎【びじゅう】のため遠覽【えんらん】する無し、總笄【そうべん】より升 喬を羨みしも。
靈域【れいいき】久しく韜隱【とういん】し、如し與に心賞【しんしょう】の交わりせば。
合歡【ごうかん】言を容【い】れず、芳を摘み寒條【かんじょう】を弄【もてあそ】ぶ。


(現代語訳)
人里、村は見えなくなってしまい、人々の生活の音も聞こえなくなった。木こりと草刈だけが風流な景色とこの大空を見ているだろう。
あの昔の微子啓と公子罷戎の同盟を結んだはるかに遠い出来事として見ることはできないし、髪の毛を束ねて役人の簪をつけたとして趙升や王子喬の仙人を羨ましがっているのだ。
この浄土に近い霊域においてこれからずっと久しく弓や剣を入れてつつんでしまいこんでしまうのだ、如来と共に心を賞賛し念仏を唱えていくのである。
浄土に行ける喜びを共にすることが分かってくると説明やなんか必要としない。香しい草花を摘み取り、まだ装いをしていない冬の木の枝を遊んで枯れ木に花が咲かせてやるとことにしよう。


(訳注)#2
鄉村絕聞見。樵蘇限風霄。

人里、村は見えなくなってしまい、人々の生活の音も聞こえなくなった。木こりと草刈だけが風流な景色とこの大空を見ているだろう。
樵蘇 木こりと草刈人。・風・ 大空。はるかな天。


微戎無遠覽。總笄羨升喬。
あの昔の微子啓と公子罷戎の同盟を結んだはるかに遠い出来事として見ることはできないし、髪の毛を束ねて役人の簪をつけたとして趙升や王子喬の仙人を羨ましがっているのだ。
微戎 微子啓(鄭の王)と罷戎(楚の公子)のこと。B.C.564閏12月、鄭が晋についたので、楚恭王は鄭を討たれ、その後楚と和睦したので、公子罷戎は鄭に使いして同盟を結んだ。・總笄 總は髪の毛を束ねること。笄はかんざし。・ 趙升のこと。漢代の仙人,生卒年均不詳,道教天師道創始者張道陵の弟子。・ 王子喬【おうしきょう】のこと。中国、周代の仙人。霊王の太子といわれる。名は晋。白い鶴にまたがり、笙(しょう)を吹いて雲中を飛んだという。


靈域久韜隱。如與心賞交。
この浄土に近い霊域においてこれからずっと久しく弓や剣を入れてつつんでしまいこんでしまうのだ、如来と共に心を賞賛し念仏を唱えていくのである。
韜隱 弓や剣を入れておく袋。つつむ。つつんでしまいこむ。また、中に隠す。ゆごて。弓を射るとき、つるが当たるのをふせぐため、左腕につけるかわのこて。自分の才能・地位・本心などを隠して表に出さないこと。節操を知り、自分をひけらかさないこと。


合歡不容言。摘芳弄寒條。
浄土に行ける喜びを共にすることが分かってくると説明やなんか必要としない。香しい草花を摘み取り、まだ装いをしていない冬の木の枝を遊んで枯れ木に花が咲かせてやるとことにしよう。
合歡 (1)喜びをともにすること。 (2)男女が共寝すること。 (3)「合歓木(ごうかんぼく)」の略。・寒條 秋冬樹木的枝條。 晉陶潛《歸鳥》詩: “翼翼歸鳥, 戢羽寒條。