折楊柳行 その一 謝霊運(康楽) 詩<72-#2>Ⅱ李白に影響を与えた詩496 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1305


折楊柳行二首 その一
鬱鬱河邊樹,青青田野草,舍我故鄉客,將適萬里道,妻妾牽衣袂,抆淚沾懷抱,還拊幼童子,顧托兄與嫂,辭訣未及終,嚴駕一何早,負笮引文舟,飢渴常不飽,誰令爾貧賤,咨嗟何所道。

騷屑出穴風,揮霍見日雪,颼颼無乆搖,皎皎幾時潔,未覺泮春冰,巳復謝秋節,空對尺素遷,獨視寸陰滅,否桑未易繫,泰茅難重拔,桑茅迭生運,語默寄前哲。


折楊柳行二首 その一
別れに楊柳を折って輪にして健康を祈る。
鬱鬱河邊樹,青青田野草,
草木がよく茂っていて大河の川辺のきもしげる田畑や野原もあおあおと草がしげる。
舍我故鄉客,將適萬里道,
わたしは故郷を棄てて旅路に立とうとしている。まさに万里の先までこの路を行こうとしているのだ。
妻妾牽衣袂,抆淚沾懷抱,
妻や妾妻はころも袂をひっぱり涙をかくしている、涙を拭き収めて懐は潤いでいっぱいになる。
還拊幼童子,顧托兄與嫂,
幼児と童子の手を引いて兄と兄嫁に留守の間を託して預ける。
辭訣未及終,嚴駕一何早,
別れの言葉がまだ終わっていないのに、一呼吸置く間もなく車が来たのだ。
負笮引文舟,飢渴常不飽,
竹で編んだ袋から筆を取り出して彩舟の飾りのように短冊に詩をしたためる。どんなときでも心から案じることは飽きることはない。
誰令爾貧賤,咨嗟何所道。

誰がお前たちを貧賤にしようというのか、ああ、これ以上何と言えばいいのだろうか。

(楊柳を折るの行 二首)その一
鬱鬱【うつうつ】たる河辺の柳、青青たる野田の草。
我を舎【す】つ故郷の客、将に万里の道を適【ゆ】かんとす。
妻妾【さいしょう】は衣袂【いべい】を牽【ひ】き、涙を抆【おさ】めつつ懐抱【ふところ】を沾【うる】おす。
還【かえ】って幼童の子を拊で、顧みて兄と嫂とに托す。
辞訣【じけつ】未だ終わるに及ばざるに、駕【くるま】を厳【ととの】えること一【いつ】に何ぞ早き。
笮【えびら】を負い文舟【ぶんしゅう】を引き、飢渇して常に飽かず。
誰か爾【なんじ】をして貧賤【ひんせん】ならしむ、咨嗟【ああ】何の道【い】う所ぞ。


現代語訳と訳註
(本文)
#2
還拊幼童子,顧托兄與嫂,辭訣未及終,嚴駕一何早,負笮引文舟,飢渴常不飽,誰令爾貧賤,咨嗟何所道。


(下し文)
還【かえ】って幼童の子を拊で、顧みて兄と嫂とに托す。
辞訣【じけつ】未だ終わるに及ばざるに、駕【くるま】を厳【ととの】えること一【いつ】に何ぞ早き。
笮【えびら】を負い文舟【もんしゅう】を引き、飢渇して常に飽かず。
誰か爾【なんじ】をして貧賤【ひんせん】ならしむ、咨嗟【ああ】何の道【い】う所ぞ。


(現代語訳)
幼児と童子の手を引いて兄と兄嫁に留守の間を託して預ける。
別れの言葉がまだ終わっていないのに、一呼吸置く間もなく車が来たのだ。
竹で編んだ袋から筆を取り出して彩舟の飾りのように短冊に詩をしたためる。どんなときでも心から案じることは飽きることはない。
誰がお前たちを貧賤にしようというのか、ああ、これ以上何と言えばいいのだろうか。



(訳注)
還拊幼童子,顧托兄與嫂,

幼児と童子の手を引いて兄と兄嫁に留守の間を託して預ける。


辭訣未及終,嚴駕一何早,
別れの言葉がまだ終わっていないのに、一呼吸置く間もなく車が来たのだ。


負笮引文舟,飢渴常不飽,
竹で編んだ袋から筆を取り出して彩舟の飾りのように短冊に詩をしたためる。どんなときでも心から案じることは飽きることはない。
・笮 せまい。竹で編んだ野地下。えびら。・文舟 あやぶね。
・渴 のどがからからだ.・渴 ~をいやす.切に,心底から渴念思い慕う,心から案じる.

誰令爾貧賤,咨嗟何所道。
誰がお前たちを貧賤にしようというのか、ああ、これ以上何と言えばいいのだろうか。