緩歌行 謝霊運(康楽) 詩<77>Ⅱ李白に影響を与えた詩504 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1329

     
  同じ日のブログ 
     1329緩歌行 謝霊運(康楽) 詩<77>Ⅱ李白に影響を与えた詩504 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1329 
     1330城南聯句 韓退之(韓愈)詩<64-#21>Ⅱ中唐詩417 紀頌之の漢詩ブログ1330 
     1331寓目 杜甫 <288> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1331 杜甫詩 700- 408 
   
 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
      2011/7/11 ~ 2012/1/11 まで毎日掲載 全130首(187回) 
   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     


緩歌行
飛客結靈友,凌空萃丹丘,
仙人は神と巫女とをむすび、空を凌ぐ高い所は昼夜常に明光をあつめる処である。
習習和風起,采采彤雲浮,
しゅうしゅうとしてなごやかに風が起こり、さいさいとしてあざやかな赤い浮雲にかわっていく。
娥皇發湘浦,霄明出河洲,
娥皇という湘水の神は湘水の淵浦に出発してくれ、夜明けになれば、大河の中州に出没する。
宛宛連螭轡,裔裔振龍旒。

ねうねとして長く続く水中には蛟に手綱をつけて連なっているし、えいえいとして空を飛んでいくのは龍が人ぶりうねっている。

現代語訳と訳註
(本文)
緩歌行
飛客結靈友,凌空萃丹丘,
習習和風起,采采彤雲浮,
娥皇發湘浦,霄明出河洲,
宛宛連螭轡,裔裔振龍旒。


(下し文)
飛客【ひきゃく】霊友と結び、空を凌ぎ丹丘に萃【あつ】まる。
習習な和風起こり、采采として彤雲【たんうん】浮かぶ。
娥皇【がこう】は湘浦を発し、霄明【しょうめい】に河洲【かしゅう】に出ず。
宛宛として螭【みずち】の轡【たづな】を連ね、裔裔【えいえい】として竜の旒【ながえ】を振るう。


(現代語訳)
仙人は神と巫女とをむすび、空を凌ぐ高い所は昼夜常に明光をあつめる処である。
しゅうしゅうとしてなごやかに風が起こり、さいさいとしてあざやかな赤い浮雲にかわっていく。
娥皇という湘水の神は湘水の淵浦に出発してくれ、夜明けになれば、大河の中州に出没する。
ねうねとして長く続く水中には蛟に手綱をつけて連なっているし、えいえいとして空を飛んでいくのは龍が人ぶりうねっている。


(訳注)
緩歌行

緩やかなテンポの歌。『楚辞・九歌「東君」』屈原 東君とは日の神のこと。歌は太陽が東の空から昇って、天空を一周し、最後には暗闇の中を再び東へと戻っていく行程を描いている。その間に、天女たちが、日の神を迎え、管弦を以てもてなすさまが歌われる。このような雰囲気と遊びの感覚でこの詩を読むことであろう。
また内容からも白居易の楊貴妃の悲哀をうたった『長恨歌』も参考になろうか。「驪宮高處入青雲,仙樂風飄處處聞;緩歌謾舞凝絲竹, 盡日君王看不足。」


飛客結靈友,凌空萃丹丘,
仙人は神と巫女とをむすび、空を凌ぐ高い所は昼夜常に明光をあつめる処である。
飛客 仙人。・靈友 神。たましい。命。優れたもの。巫女。・丹丘 昼夜常に明るい処。『楚辞、遠遊』「仍羽人於丹丘兮、留不死之旧郷。」(羽人に丹丘に仍い、不死の旧郷に留まる。)「夕べに明光に宿る。」とあり、明光はすなわち丹邱である。


習習和風起,采采彤雲浮,
しゅうしゅうとしてなごやかに風が起こり、さいさいとしてあざやかな赤い浮雲にかわっていく。
詩経・小雅・谷風> 習習谷風,維風及雨。 習習たる谷風、これ風と雨と將恐將懼,維予與女。 はた恐れはた懼る。・采采 詩経・周南・芣苢. 「采采芣苢、薄言采之。 采采芣苢、薄言有之。」芣苢を采り采り薄言采之 薄【いささ】か言【ここ】に之【これ】を采る。


娥皇發湘浦,霄明出河洲,
娥皇という湘水の神は湘水の淵浦に出発してくれ、夜明けになれば、大河の中州に出没する。
娥皇 尭(ぎょう)帝の二人の娘で、姉を娥皇・妹を女英といい、共に舜の妃となったが、舜が没すると、悲しんで湘江に身を投げて水神となったという。(湘水の神)『楚辞』の九歌。・霄明 【しょうめい】夜明け。


宛宛連螭轡,裔裔振龍旒。
ねうねとして長く続く水中には蛟に手綱をつけて連なっているし、えいえいとして空を飛んでいくのは龍が人ぶりうねっている。
宛宛 うねうねとして長く続くさま。龍が伸び縮むさま。
裔裔 行くさま。宋玉『神女賦』「歩裔裔兮曜殿堂。」飛んでいくさま。裔の用語解説 - [音]エイ(呉)(漢) [訓]すえ1 遠い子孫。「後裔・神裔・苗裔・末裔・余裔」 2 遠い辺境。「四裔」




『楚辞・九歌「東君」』屈原
東君
暾將出兮東方,照吾檻兮扶桑。
朝日は赤々として東の空に出ようとし、扶桑にある我が宮殿の欄干を照らしはじめている。
撫余馬兮安驅,夜皎皎兮既明。
わたしの馬を撫でてやり、静かにさせて駆けだすと、夜は白々と明けて、もう明るく輝いている。
駕龍輈兮乘雷,載雲旗兮委蛇。
竜に車を引かせて雷雲に乗り、雲の旗をひらめかせて、ゆらゆらとたなびいている。
長太息兮將上,心低佪兮顧懷。
わたしは大きな長いため息をついて、いよいよ一気に天に上ろうとすると、心は去りがたく後ろのほうを振り返る。
羌聲色兮娛人,觀者憺兮忘歸。」
ああ、歌声や美しい巫女の私をなぐさめる、見るものは皆心安らかに帰るのを忘れる。
緪瑟兮交鼓,簫鍾兮瑤虡,
張りつめた瑟の糸を締め、鼓をかわるがわるに打ち交わし、鍾をうち、簴(きょ)を瑤るがせる。
鳴箎兮吹竽,思靈保兮賢姱。
横笛を鳴らして、縦笛を吹けいている、そして巫女の徳すぐれてかしこく見た目が美しいことを思うのである。
翾飛兮翠曾,展詩兮會舞。
巫女たちは飛びまわり、カワセミのように飛び上がる、そして詩を歌いながら舞いまわっている。
應律兮合節,靈之來兮蔽日。」
音律におうじて調子を合わせているうちに、神々がやってきて、日を蔽うように天から降りあつまる。

青雲衣兮白霓裳,舉長矢兮射天狼。
太陽のわたしは青雲の上衣に白霓の裳をつける、太陽光線の長矢を以て天狼星を射る。
操余弧兮反淪降,援北斗兮酌桂漿。
私はそれを操って弓を持って下方へむかって降りてきて、北斗星の柄杓をとって肉桂の漿を酌むのである。
撰余轡兮高駝翔,杳冥冥兮以東行。」
そしてわが手綱を振り上げて高く駆け上って、はるかな暗黒の中をわたしは東へと行くのである。

暾【とん】として將に東方に出でんとし、吾が檻【かん】を扶桑【ふそう】に照らす。
餘が馬を撫して安驅すれば、夜は晈晈【こうこう】として既に明らかなり。
龍輈【りょうちゅう】に駕して雷に乘り、雲旗を載【た】てて委蛇たり。
長太息して將に上らんとすれど、心は低佪して顧【かへり】み懷ふ。
羌【ああ】聲色の人を娛ましむる、觀る者憺として歸るを忘る。」

瑟を緪【こう】し鼓を交へ、鍾を簫【う】ち簴【きょ】を瑤す。
箎【ち】鳴らし竽を吹き、靈保の賢姱【けんか】なるを思ふ。
翾飛【けんぴ】して翠曾し、詩を展【の】べて會舞す。
律に應じて節に合すれば、靈の來ること日を蔽ふ。」

餘が弧を操【と】りて反って淪降【りんこう】し、北斗を援【と】りて桂漿【けいしゅう】を酌【く】む。
餘が轡を撰【も】ちて高く駝翔【ちしゃう】し、杳として冥冥として以て東に行く。」