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古詩十九首 第十首
迢迢牽牛星,皎皎河漢女。
纖纖擢素手,札札弄機杼。
終日不成章,泣涕零如雨。
河漢清且淺,相去復幾許。
盈盈一水間,脈脈不得語。

天の川を隔ててはるかかなたには彦星がいて、こちらにはこうこうと白くかがやく天の川の織姫がいる。
そのきわめてほっそりした白い手を織姫はぬき出していて、サッサッとした音で織具の杼【ひ】をいそがしく通している。
終日織っても彦星を思う心の乱れでなかなか布地のあや模様ができあがらないのだ、涕、泪で雨のようにこぼれている。
この日天の河は清くすんでその上浅いという。彦星との距離も遠くはないのだ。そして逢えば互いに去って行く、また会えるのはどれほどのもないのだ。
そうして、天の川は、水みちわたるただ一筋の川となり、二人はそれを隔ててことば一つ交わさず、目と目でじっと見つめるばかりなのだろう。

銀河002

現代語訳と訳註
(本文)
古詩十九首 第十首
迢迢牽牛星,皎皎河漢女。
纖纖擢素手,札札弄機杼。
終日不成章,泣涕零如雨。
河漢清且淺,相去復幾許。
盈盈一水間,脈脈不得語。


(下し文)
迢迢【ちょうちょう】たる牽牛星、皎皎【こうこう】たる河漢の女。
纖纖【せんせん】として素手【そしゅ】を擢【ぬき】んで、札札【さつさつ】として機抒【きちょ】を弄【ろう】す。
終日【しゅうじつ】章を成さず、泣涕【きゅうてい】零【お】ちて雨の如し。
河漢清くして且つ浅し、相去る復た幾許【いくばく】ぞ。
盈盈【えいえい】たる一水の間、脈脈として語るを得ず。


(現代語訳)
天の川を隔ててはるかかなたには彦星がいて、こちらにはこうこうと白くかがやく天の川の織姫がいる。
そのきわめてほっそりした白い手を織姫はぬき出していて、サッサッとした音で織具の杼【ひ】をいそがしく通している。
終日織っても彦星を思う心の乱れでなかなか布地のあや模様ができあがらないのだ、涕、泪で雨のようにこぼれている。
この日天の河は清くすんでその上浅いという。彦星との距離も遠くはないのだ。そして逢えば互いに去って行く、また会えるのはどれほどのもないのだ。
そうして、天の川は、水みちわたるただ一筋の川となり、二人はそれを隔ててことば一つ交わさず、目と目でじっと見つめるばかりなのだろう。


(訳注)
古詩十九首 第十首

・第十首 牽牛・織女の二星を借りて、男女相思の情を叙べた詩。


迢迢牽牛星,皎皎河漢女。
天の川を隔ててはるかかなたには彦星がいて、こちらにはこうこうと白くかがやく天の川の織姫がいる。
迢迢 はるかなさま。
皎皎 白く明るいさま。旧暦6月の終わりごろから7月になると天の川がはっきりと見えるようになる。ことをいう。
河漢女 河漢は天の川、女は織女星、たなばたつめ。一年に一度を限って牽牛星と天の川で出逢う。
あまのがわ。天河・銀河・経河・河漢・銀漢・雲漢・星漢・天津・漠津等はみなその異名である。
詩経の大雅•棫樸、「倬彼雲漢、爲章于天。」小雅大東などに雲漢,銀河,天河がみえる。
天河 杜甫 <292> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1343 杜甫詩 700- 412


纖纖擢素手,札札弄機杼。
そのきわめてほっそりした白い手を織姫はぬき出していて、サッサッとした音で織具の杼【ひ】をいそがしく通している。
 ぬき出す。腕まくり。
札札 機を織る音。
機杼 織具の杼【ひ】。緯糸を巻いた「管」をいれ
る具。これを左右に往来させて布地を織る。


終日不成章,泣涕零如雨。
終日織っても彦星を思う心の乱れでなかなか布地のあや模様ができあがらないのだ、涕、泪で雨のようにこぼれている。
 綵。織り模様。
泣涕 二字ともなみだ。


河漢清且淺,相去復幾許。
この日天の河は清くすんでその上浅いという。彦星との距離も遠くはないのだ。そして逢えば互いに去って行く、また会えるのはどれほどのもないのだ。


盈盈一水間,脈脈不得語。
そうして、天の川は、水みちわたるただ一筋の川となり、二人はそれを隔ててことば一つ交わさず、目と目でじっと見つめるばかりなのだろう。
脈脈 じっと見つめるさま。