白頭吟 卓文君 <109-#1>玉台新詠集 女性詩 543 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1446

     
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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
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   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     



○白頭吟 辛苦を共にした夫が茂陵の女を妾にしようとした多情な夫をいさめる詩。

杜甫『奉贈王中允維』
中允聲名久,如今契闊深。
共傳收庾信,不比得陳琳。
一病緣明主,三年獨此心。
窮愁應有作,試誦白頭吟。
○白頭吟 漢の司馬相如の妻卓文君が夫が妾を買おうとするのをきいて賦した「白頭吟」を引き、王維の詩が天子に対して二心なきをいうのはこれと似ている。又、飽照の「白頭吟」の「直きこと朱糸の縄の如く、清きこと玉壷の氷の如し」といい、身の清直で潔白な旨を表現する。奉贈王中允維 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ 杜甫特集700- 254

『古別離』孟郊
欲別牽郞衣,郞今到何處。
不恨歸來遲,莫向臨邛去。
唐宋詩203 Ⅶ孟郊(孟東野)紀頌之の漢詩ブログ 「古別離」孟郊(8

○臨邛 〔りんきょう〕司馬相如が卓文君と恋に落ちて駆け落ちを始めたところ。男を惑わす女の居る所の意で使う。臨邛は、秦の時代に置かれた県名。現・四川省邛耒県。 ○去 行く。去る。

卓文君
前漢時代、臨の大富豪である卓王孫の娘。司馬相如と恋に落ちて駆け落ちをする、愛情溢れる女性とされる。


白頭吟 
皚如山上雪,皎若雲間月。
わたしの心はこれだけ真っ白で、山上の雪のようです、そして女としても、雲間に輝く清らかで澄んだ白い月光で、立派に貞操を守っている女なのです。
聞君有兩意,故來相決絶。
あなたが、心情を他人に遣るということが聞こえてきます。わたしはほとほと愛想が尽きたので、わざわざあなたと別れるためにやって来たのです。 
今日斗酒會,明旦溝水頭。
今日は二人にとっての最後のお酒を飲む機会だし、明日になれば堀端のほとりを歩くだけなのです。
躞蹀御溝上,溝水東西流。
お堀の畔をとぼとぼ歩くでしょう、すると掘割の水は西から東へ別れ、当たり前のように流れていくことでしょう。

淒淒復淒淒,嫁娶不須啼。
願得一心人,白頭不相離。
竹竿何嫋嫋,魚尾何簁簁。
男兒重意氣,何用錢刀爲。

白頭吟
皚【がい】たること山上の雪の 如く,皎【こう】たること雲間の月の 若【ごと】し。
聞く君 兩意有りと,故【ことさら】に來たりて相い決絶す。
今日斗酒の會,明旦溝水の頭【ほとり】。
御溝の上に躞蹀【しょうちょう】すれば,溝水は東西に流る。

淒淒【せいせい】復た 淒淒たり,嫁娶【かしゅ】に啼【な】くを須【もち】いず。
願はくは一心の人を得て,白頭まで相い離れざらん。
竹竿何ぞ嫋嫋【じょうじょう】たる,魚尾何ぞ簁簁【しし】たる。
男兒は意氣を重んず,何ぞ錢刀を用いるを爲さん。


現代語訳と訳註
(本文)
白頭吟 
皚如山上雪,皎若雲間月。
聞君有兩意,故來相決絶。
今日斗酒會,明旦溝水頭。
躞蹀御溝上,溝水東西流。


(下し文)
皚【がい】たること山上の雪の 如く,皎【こう】たること雲間の月の 若【ごと】し。
聞く君 兩意有りと,故【ことさら】に來たりて相い決絶す。
今日斗酒の會,明旦溝水の頭【ほとり】。
御溝の上に躞蹀【しょうちょう】すれば,溝水は東西に流る。


(現代語訳)
わたしの心はこれだけ真っ白で、山上の雪のようです、そして女としても、雲間に輝く清らかで澄んだ白い月光で、立派に貞操を守っている女なのです。
あなたが、心情を他人に遣るということが聞こえてきます。わたしはほとほと愛想が尽きたので、わざわざあなたと別れるためにやって来たのです。 
今日は二人にとっての最後のお酒を飲む機会だし、明日になれば堀端のほとりを歩くだけなのです。
お堀の畔をとぼとぼ歩くでしょう、すると掘割の水は西から東へ別れ、当たり前のように流れていくことでしょう。


(訳注)
白頭吟
この作品は『玉臺新詠』、『古樂府詩 集』卷第四十一・『相和歌辭』『古詩源』にはあるものの、それ以前にはないようだ。樂府題。「共白髪」の意。卓文君の詩とするには疑わしいものである。

 
皚如山上雪,皎若雲間月。
わたしの心はこれだけ真っ白であり山上の雪のようである、そして女としても、雲間に輝く清らかで澄んだ白い月光である。貞操を守っている女である。
皚如 白いさま。霜や雪の白いさま。・皚:白い。霜や雪の白さをいう。
山上雪 山上の穢れない純白の雪。
皎若 白いさま。月光の白いさま。・皎 白い。月光の白さを発するさま。
雲間月 女としても、雲間に輝く清らかで澄んだ白い月光である。貞操を守っている女である。


聞君有兩意,故來相決絶。
あなたが、心情を他に遣るということが聞こえてきている。わたしは愛想が尽きたので、わざわざあなたとわかれるためにやって来たのだ。 
・退隠して住んでいる茂陵で、やはり茂陵に住んでいる女性を妾としたことを指す。 
 耳に入る。聞こえる。…噂がある。風聞がある。
有兩意 ふたごころ。二心。浮気心でなく本気で心をやっていること。ここでは、思いを他に遣るという表現であろうか。
故 わざと。ことさらに。ゆゑ。わけ。普通でない事柄。
決絶 愛想が尽きて永久の別れをする。


今日斗酒會,明旦溝水頭。
今日は二人にとっての最後のお酒を飲む機会だ。明日は堀端のほとりを歩くだけだ。
斗酒 わずかな酒。・斗 ます。少しばかりの量。 
 あつまる。よりあう。しる。とき。おり。しお。さかもり。訣別の宴の意。『古詩十九首之四』に「今日良宴會,歡樂難具陳。彈箏奮逸響,新聲妙入神。令德唱高言,識曲聽其真。」とある。

古詩十九首之四 (4) 漢詩<91>Ⅱ李白に影響を与えた詩523 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1386


溝水頭 堀端のほとりを歩くという意。・溝水:都市の中の堀。・頭:ところ。畔。


躞蹀御溝上,溝水東西流。
お堀の畔をとぼとぼ歩くと、掘割の水は西から東へ当たり前のように流れることでしょう
躞蹀 行く。しょんぼりとして行くさま。 
御溝 宮殿の周囲の掘り割り。
 ほとり。そば。ところ。
東西流 東と西に別れて流れゆこうということと別れたことがあたりまえのこととしてながれさっていく、「東流」という意味が重なって別れを強調する。