◆◆◆2012年12月18日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  
Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の結婚感、女性感について述べる、最大長編の漢詩訳注解説(31回分割して掲載) 
為焦仲卿妻作 (まとめ-3) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67754548.html


Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
招揚之罦一首 韓愈 韓退之(韓愈)詩<98-#1>Ⅱ中唐詩530 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1686 
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Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
●杜甫の全作品1141首のほとんどを取り上げて訳注解説するブログ 

●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする

●人生としては4/5前で、詩としては1/3を過ぎたあたり。 " 
”成都紀行(10)” 剣門 杜甫詩1000 <349>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1687 杜甫1500- 521 
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Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#3> (12/18) 
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Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『更漏子 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-18-2-#4 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1688 
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為焦仲卿妻作 (まとめ) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会

その-3


#21為焦仲卿妻作-其九場面 (9)-1
媒人下床去,諾諾複爾爾。
媒酌の使者は長椅子からおりて「すぐさま承知していただきそしてまた、そのように

三十日が吉日で、今日はもう二十七日になります、緒卿のものはさっそく行って婚儀

お返事いただいた。」といって立ち去った。
還部白府君,下官奉使命,言談大有緣 。
そして、幕府に帰って太守に申しあげていう、「拙者はお使い役をうけたまわりやり

とげてまいりました、話はうけいれられ、とても良い縁ということになりました。」
府君得聞之,心中大歡喜。
太守はこれを聞くにおよんで、心の底から大いに喜ばれたのだ。
視曆複開書,便利此月內,六合正相應。
暦を見て確かめ、書物をあけて調べている、そしていう。「今月のうちがよいとおも

われる。星のめぐりあわせも合っているようです。
良吉三十日,今已二十七,卿可去成婚

の仕度をととえてまいれ。」と。


#22(9)-2
交語速裝束,絡繹如浮雲。青雀白鵠舫,四角龍子幡。
両家の間に交わされた約束が整ったので、取り急いで仕度をすることになった。仕度の舟や馬車がまるで浮き雲のようにいきかった。
縁起物の五行思想の青雀や白鵠をかたどった舟は、四すみに竜の幡をおし立ている。

婀娜隨風轉,金車玉作輪。躑躅青驄馬,流蘇金縷鞍。
それがひらひらと風のまにまにひるがえり、金色の車台、玉をちりばめた車輪もつづく。
行きて進まない靑毛の駿馬、金絲のひねり飾りの鞍には五色の飾りふさがはなやかに垂れている。

齎錢三百萬,皆用青絲穿。雜彩三百疋,交廣市鮭珍。
支度金の銭は三百万、みな青い糸で穴を通してある。
このほかに色とりどりのあや絹三百疋、交広地方から求めためずらしい肴類も用意される。

從人四五百,鬱鬱登郡門。

おともの者は四、五百人。そのものたちが、さかんに続いて郡守邸宅の門前へと集まってくる。



#23為焦仲卿妻作-其十場面 (10)-1
阿母謂阿女,適得府君書,明日來迎汝。
母親が娘蘭芝にいう。「今まさに、太守のお手紙がとどいたところですよ。
明日はおまえを迎えにくるといわれております。

何不作衣裳,莫令事不舉。
なぜ持参衣裳を作らないというのではないでしょうね。この婚儀が運ばぬようなことにしてはいけませんよ」と。
阿女默無聲,手巾掩口啼,淚落便如瀉。
可愛い娘は無言のままじっとしている。手にしたハンカチで口もとをおさえて泣いている。涙が落ちるるのは雨がふりしきるようである。
移我琉璃榻,出置前廳下。左手持刀尺,右手執綾羅。

やがて琉璃の椅子を引き出し移動させて、前窓の下の方におきひろくした。
左手で裁ち物の刀とものさしを持ち、右手に綾の羅をとってはじめたのである。。


#24(10)-2
朝成繡夾裙,晚成單羅衫。暗暗日欲暝,愁思出門啼。
朝の間に刺繍の襦袢はかまを作り、晩方には単衣の薄絹の上着を作り上げたのだ。
だんだんと日は落ち暮れてゆく。娘の蘭芝は愁いと思いがこみ上げ、門を出てしくしくと泣くのである。

府吏聞此變,因求假暫歸。未至二三裏,摧藏馬悲哀。
府吏は女が嫁入りするというこの変事を聞きつけ、急いで役所から仮休暇をもらって、帰宅することとなった。
まだ家についていない二、三里手前のあたりで、馬が疲れてあわれな声を出して鳴いたのである。

新婦識馬聲,躡履相逢迎。悵然遙相望,知是故人來。

門を出て泣いていた娘の蘭芝が馬の声を聞き知って、履をふみしめ馬の声の方に迎えに出た。
もしやと思い遙か先を眺めると、やっぱり、彼の夫が来ていることがわかったのである。


#25(10)-3
舉手拍馬鞍,嗟歎使心傷。自君別我後,人事不可量。
馬に手をあげて鞍を打たいて落ち着かせて、ああ、と悲しさをしめし、そして本当に心が痛んでいるのだ。
「あなたとお別れしてからそのあとのわたしは、人とのからみということでは見通しがつかないのです。

果不如先願,又非君所詳。我有
親父母,逼迫兼弟兄。
お約束を果たそうとしたのですがそのようにはなりませんでした。しかし私が努力したことはとてもあなたにはわからないでしょう。
(ご承知の通り)わたしには肉親の父母があり、そのうえ兄弟までが無理にせまったのです。

以我應他人,君還何所望 。府吏謂新婦,賀君得高遷。
そうして、わたしを一人ばかりか他の人からも申しこみがあり、それに応じるようになったのです。今あなたがお帰りになって前のお約束を所望されてもどうにもならないのです。」
府吏が蘭芝にいう。「君のこの玉の輿はとてもめでたいと思います。」


#26(10)-4

磐石方且厚,可以卒千年。蒲葦一時韌,便作旦夕間。
そして、「磐石の私は四角で筋を貫きそのうえ分厚く決意も堅いのです。だから千年でも筋を曲げずに保てるものです。」
つづいていう「蒲や葦などは一時をつなぐ縄のようなもので、したがって午前中から晩までぐらいしかもたないのだ。」

卿當日勝貴,吾獨向黃泉。新婦謂府吏,何意出此言。

「あなた(元妻の蘭芝)は日が経つのつれ、おえらくなるに違いない。わたしはただひとりで黄泉の国に行くことにしましょう」と。
蘭芝は府吏にいう。「必死で努力したこの私にどんなおつもりでそんなことをおっしゃるのです。」



#27(10)-5
同是被逼迫,君爾妾亦然。黃泉下相見,勿違今日言。
わたしたち今度のことはあなたの母親に二人に無理なことを迫って引き離したからうなったのです。あなたの家はそうでしょうし、わたしの家も太守からの事でそうなったのです。
こうなれば黄泉の国に降ってお目にかかるということだけで、くれぐれも今日のおことばにはそむいてはいけません。」と。

執手分道去,各各還家門。生人作死別,恨恨那可論。
二人は手をとりあい、やがて別々の道へと分かれ、そしてそれぞれの家門に帰っていった。
生きていて死に別れの約束をするのだから、互いの恨めしい気持ちを言葉にしようもないのである。

念與世間辭,千萬不復全。

思うことは、この世に望みを捨ててしまうということだから、千や万ほど考えても生命を全うすることはできはしないのだ。



#28為焦仲卿妻作-其十一場面 (11)-1
府吏還家去,上堂拜阿母。
府吏は家へ向き直し帰っていく、奥座敷にあがり母に挨拶した。
今日大風寒,寒風摧樹木,嚴霜結庭蘭。
「今日はたいへん風が寒い日で、その寒風は樹木をくだくほどで、そのうえ厳しい霜が庭の蘭をいためています。
兒今日冥冥,令母在後單。故作不良計,勿複怨鬼神。
そんな日の今日、わたしは暗いくらい黄泉の国に参ります。母上をひとり後に残すことになります。
わざわざとこんなよくない計画をしたのですが、ふたたび神さまを怨んではくださらないでください。
命如南山石,四體康且直。阿母得聞之,零淚應聲落。

母上のお命は南山の石のように堅固で、おからだは健やかで、お腰も曲がらぬようにいのります。」
母はこのことを聞き得て、声と涙がいっしょに落ちるままで語るのである。


#29(11)-2
汝是大家子,仕宦於台閣。慎勿為婦死,貴賤情何薄。
「おまえは由緒ある名門の子です。ご先祖には台閣の大臣をお勤めしたものもあるのです。
それがたかが戻した婦のために死ぬなどと軽はずみなことを口にする。身分の貴賎で判断し嫁に行くというのは、なんという軽薄な女ですか。

東家有賢女,窈窕豔城郭。阿母為汝求,便複在旦夕。
昔からいうように東の方の家に賢い娘がいます。そのしとやかさ、上品であでやかさは城郭の内でも評判だというのです。
母はそれをおまえのためにもらってあげる。たとえ午前中や晩と間をあけず、今すぐにでも。」と。

府吏再拜還,長歎空房中,作計乃爾立。
府吏はこれはまた「東家」などとむるなこと言うと諦め再拝して、誰もいない自分の部屋に帰って長い時間なげき悲しんだが、暫くすると覚悟はできているので立ちあがったのである。
轉頭向戶裏,漸見愁煎迫 。
頭を戸口の方に向けてじっと見る。いらいらするほどの愁いにみちた心がしだいにせまり、もはやぐらぐらと煮えたぎり始めたのである。



#30為焦仲卿妻作-其十二場面 (12)
其日牛馬嘶,新婦入青廬。暗暗黃昏後,寂寂人定初。
その日折しも牛や馬がいなないた、蘭芝は婚姻の始りの禊ぎをする廬にはいった。
暮色に包まれるたそがれ時が過ぎると、ひっそりとして人々の静まりかえったころである。

我命絕今日,魂去屍長留。攬裙脫絲履,舉身赴清池。
蘭芝は今日こそ自分の命の絶えるときとして、屍こそこの世にとどまるけれど、魂は黄泉の国に去るのだと思い定めるのであった。
襦袢のすそをつまみ、絹の履をぬぎそろえ、身を跳らして池の中へと飛び込むにいたった。

府吏聞此事,心知長別離。徘徊庭樹下,自掛東南枝。

府吏もこの仔細を聞き、自分の心を長の別れだとさとるのであった。
そして、庭をさまようように歩いて大樹のもとに立った。そして自らの手で枝ぶりのしっかりした東南の枝に首をつったのである。



#31為焦仲卿妻作-其十三場面 (13)
兩家求合葬,合葬華山傍。東西植松柏,左右種梧桐。
焦・劉の両家は仲卿と蘭芝との合葬を希望し許され、両家の合葬は滞りなく華山の傍に葬られた。
墓の東には松を西にはや柏が植えられ、桟道の左右には梧桐が植えられていた。

枝枝相覆蓋,葉葉相交通。中有雙飛鳥,自名為鴛鴦。
やがて枝と枝とを互いにおおいかぶさり、かさなりあい、葉と葉とはまさに互いに入りまじりあっていった。
その墓苑の中に一つがいの飛ぶ鳥がいて、人々はそれは鴛鳶といぅ名の鳥だと名づけた。

仰頭相向鳴,夜夜達五更。行人駐足聽,寡婦起彷徨。
頭を上に向けて互いに向かいあって鳴き、夜な夜な夜明け近くまで鳴きつづけるのである。
道行く人はその鳴き声に足をとめて耳を傾け、独り身になった女はそこへ来ると起ちあがってあたりをさまようになった。

多謝後世人,戒之慎勿忘。

こんなことがあるので後の世の人々に申しあげるが、よくこの物語の教訓にして、間違っても嫁いじめをされぬよう忘れないでいただき、又戒めてほしいということであります。





為焦仲卿妻作 (まとめ) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1677