◆◆◆2012年12月17日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  
Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の結婚感、女性感について述べる、最大長編の漢詩訳注解説(31回分割して掲載) 
為焦仲卿妻作 (まとめ その-2) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67755196.html
Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
石鼓歌 韓愈 韓退之(韓愈)詩<97-#8-(最終回)>Ⅱ中唐詩529 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1682 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6134505.html
Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
"●杜甫の全作品1141首のほとんどを取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、詩としては1/3を過ぎたあたり。 " 
”成都紀行(9)” 桔柏渡 杜甫詩1000 <349>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1683 杜甫1500- 520 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67755568.html
Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 幷序 韓退之(韓愈)詩<80> (12/17) 
http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-570.html 
Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『更漏子 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-17-2-#3 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1684 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21062932.html
 
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html


為焦仲卿妻作 (まとめ その-2) 漢詩<32>古詩源 巻三 女性詩615 漢文委員会

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その-2



#13為焦仲卿妻作-其五場面 (5)-1
府吏馬在前,新婦車在後。隱隱何甸甸,俱會大道口。
ポコポコとひずめの音、ごろごろがらがらと車の音をひびかせている、二人は共に大道への出口に差し掛かったので会うことができる。
下馬入車中,低頭共耳語。誓不相隔卿,且暫還家去。
府吏は馬からおりて車の中へはいり、頭をひくめ耳へ口よせてささやきかわした。「わたしは誓う、どんなことがあってもあなたをそのまま隔てたままにはしない。それは私の出張がおわるしばらくの間、実家に帰っていてほしい。」
吾今且赴府,不久當還歸。
わたしはこれから役所の用で出張にいくけれども、永久に帰らないというのではないじきに帰ってきます。
誓天不相負,新婦謂府吏,感君區區懷。

あなたとの約束は天に誓ってたがうことはありません。」と。嫁は府吏にいう。「あなたのわたしに対する細かいお心づかいに感謝いたします。」


#14(5)-2
君既若見錄,不久望君來。君當作磐石,妾當作蒲葦。
あなたがほんとに見棄ててくださらぬなら、やがて迎えに来てくださる望みもあるということです。
あなたは盤石のようにあってほしいし、わたしはきっと蒲や葦のようになります。

蒲葦韌如絲,磐石無轉移。我有親父兄,性行暴如雷。
御存じのとおり蒲や葦はよりあわせると縄になり糸のように長く続きます、盤石は心動かぬことということであう。
わたしには肉親の父と兄がおります、その性質はいったんおこると雷のように乱暴ものなのです。

恐不任我意,逆以煎我懷。舉手長勞勞,二情同依依。

おそらくわたしの思いのままにことは任されないだろうと心配しています。それを思うと、今からこの身が煎られるような思いがいたします」と、
こうして別れに間際に手をあげていつまでもいたわり続け、二人の心は互いに依り添い、なごりを惜しむのであります。



#15為焦仲卿妻作-其六場面 (6)-1
入門上家堂,進退無顏儀。阿母大拊掌,不圖子自歸。
蘭芝は実家の門をはいり奥座敷の母のもとにあがったが、その身のこなしは、顔つきからしてさえないようすであった。母は手のひらを打たいて怒ったのだ、「おまえがこの家に自分から帰って来るなんて思いもしなかった。
十三教汝織,十四能裁衣。十五彈箜篌,十六知禮儀。
十三のとき、あなたには女の勤めの機織を教え、十四になるともう裁縫することもうまくできました。
十五で箜篌をひけるようにしました、十六では行儀作法をすべてわきまえさせたのです。

十七遣汝嫁,謂言無誓違。汝今何罪過,不迎而自歸?
だから十七でおまえを嫁入らせました。それがまさか誓いにたがうことはあるまいと思おもっておりました。
おまえは今なんの不行き届きやダメなところがあったというのですか、どうしてこちらから迎えにもゆかぬのにひとりで帰って来るということになったのですか。(こんな屈辱なことはありません)」

蘭芝慚阿母,兒實無罪過。阿母大悲摧。
蘭芝は恥入って母に答えていうのである。「わたしには実のところ何の落ち度も罪もありません」と。
母はたいへん悲しんで心がくだけるのである。



#16為焦仲卿妻作-其七場面 (7)-1
還家十餘日,縣令遣媒來。雲有第三郎,窈窕世無雙。
蘭芝が実家に還ってから十日あまり経った、すると県令が媒酌人を遣わしてきたのだ。
媒酌人が言うには「県令さまには第三男があります。美しくしとやかであり、世に二人とはないお方です。

年始十八九,便言多令才。阿母謂阿女,汝可去應之。
年はまだお若く十八、九になったばかりですが、弁舌もたっしゃで、文才も多彩でりっぱです。」
娘の母はその娘にいう。「あなたはこの申し出を承知して嫁に行くとよいとおもうけどどうでしょう。」と。

阿女含淚答,蘭芝初還時,府吏見叮嚀,結誓不別離。
可愛いい娘は涙ぐんで答える。「わたし蘭芝がはじめて帰えされるときでした。
前夫の府吏からとても親切にされ、決してこのまま別れはしないと約束して誓いました。」と。


#17(7)-2
今日違情義,恐此事非奇。自可斷來信,徐徐更謂之。
今日の段階ではその申し出を受けては情義に違うことになります。これは県令に対しよろしくないと心配をいたします。
媒酌人の来られての申し込みははっきりと自然にことわるのがよいのです。とそんなように話は徐々にさらにゆっくりとこの話を云ったのです。

阿母白媒人,貧賤有此女。始適還家門,不堪吏人婦。
娘の母親は媒人に申しあげるのである。「うちは貧乏ぐらしで、家柄も劣りるところのものなのです。」
この娘はやっとお嫁に行ったとおもったら、またこの家に還されたのです。小役人の府吏の妻となるさえたえないものだったのです。

豈合令郎君?幸可廣問訊,不得便相許。

どうして県令の若君などにあいましょうか。どうか広くほかの方をおたずねになることが幸せでございます。ということでこのお申し出をお受けするわけにはいかないのです。」と。



#18為焦仲卿妻作-其八場面 (8)-1
媒人去數日,尋遣丞請還。說有蘭家女,承籍有宦官。
県令の中立人が去って数日たつと、こんどは郡の太守が属官をつかわして、太守の意向を聞くように申しこんできた。
属官かいうのに、人の話では「蘭芝家の母親の実家について、代々高級官僚の家柄だ」ということをいっております。

雲有第五郎,嬌逸未有婚。遣丞為媒人,主簿通語言。
つづけて謂うのに、「太守さまには第五男があります。いたって好青年でりっはな方で、まだ結婚をされておりません。」
「それで下役のわたしを媒人とし、この書記役に婚姻の申しこみをさせる次第です」そこで二人がひたすらいう。

直說太守家,有此令郎君。既欲結大義,故遣來貴門。
書記役も直接いうには、「太守さまには若君がおありになります。」
「前から、婚礼の大義を結ばれたいということで、わざわざこうして貴家の御門に伺わせられてきました。」と。


#19(8)-2
阿母謝媒人,女子先有誓,老姥豈敢言。
母親は妹人にお礼を述べる。「娘はさきごろから嫁に行かないと誓ったのだといっております。この婆のわたしからは何もいうことができないのです。」と。
阿兄得聞之,悵然心中煩。舉言謂阿妹,作計何不量。
しかし、蘭芝の兄はこれを聞き及んで、とてもくやしがり、心中に不満の気持ちをいだいているようである。
それをことばに出して妹にいうのである。「なんという浅はかな考えをしているのだ。」

先嫁得府吏,後嫁得郎君。
「先には幕府の役人に嫁入りをしたというに、こんどは県令を越えて大守の若君というのではないか。」
否泰如天地,足以榮汝身。不嫁義郎體,
「それは天と地というほどの違いがあることなのだ、おまえが一身のほまれになる良縁は一族にとってもよいというものだ。」
こんなよいお方に嫁がないということは、この先、その人生をどうして生きようというのか」と。


#20(8)-3
其往欲何雲。蘭芝仰頭答,理實如兄言。
蘭芝は頭を下げ、そして兄上を見あげながら答える。「にいさんのおことばはりにかなってもっともなことです。」
謝家事夫君,中道還兄門。處分適兄意,那得自任專。
「わたしはこの家を謝して彼家の嫁になり、夫に仕えました。その中途にて兄上の家へ戻されてしまいました。」
「わたしの身のふり方は兄上の御意のままにいたします、どうして自分勝手なことなどいたすつもりはありません。」

雖與府吏約,後會永無緣。登即相許和,便可作婚姻 。
「たしかに府吏とは約束はいたしましたが、この後あの人と逢うということは永久に縁がないものとしています。」
「すぐさまおだやかに承諾いたします、そしてさっそく結婚いたしましょう。」