古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝)

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古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<3>玉台新詠集 女性詩620 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1697


魏文帝
於清河見輓船士新婚與妻別一首
清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
與君結新婚  宿昔當別離
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。
涼風動秋草  蟋蟀鳴相隨
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。
冽冽寒蟬吟  蟬吟抱枯枝
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
枯枝時飛揚  身體忽遷移
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。
不悲身遷移  但惜歲月馳
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。
歲月無窮極  會合安可知
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。願為雙黃鵠  比翼戲清池
せめてお願いだから、つがいの黄鶴になりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。


清河に於て船を輓【ひ】くの士、新らたに婚し、妻に別るるに見う一首

君と新婚を結び、宿昔 當に別離すべし。
涼風 秋草を動かし、蟋蟀【しつしゅつ】鳴いて相い隨う。
冽冽【れつれつ】寒蟬吟じ、蟬 吟じて枯枝を抱く。
枯枝 時に飛揚し、身體 忽ち遷移す。
身の遷移するを悲しまず、但 歲月の馳するを惜む。
歲月窮極無し、會合 安んぞ知る可けん。
願はくば雙黃鵠と為りて、翼を比べて清池に戲れんことを。


『於清河見輓船士新婚與妻別一首』 現代語訳と訳註
(本文)
於清河見輓船士新婚與妻別一首
與君結新婚 宿昔當別離
涼風動秋草 蟋蟀鳴相隨
冽冽寒蟬吟 蟬吟抱枯枝
枯枝時飛揚 身體忽遷移
不悲身遷移 但惜歲月馳
歲月無窮極 會合安可知
願為雙黃鵠 比翼戲清池


(下し文)
清河に於て船を輓【ひ】くの士、新らたに婚し、妻に別るるに見う一首

君と新婚を結び、宿昔 當に別離すべし。
涼風 秋草を動かし、蟋蟀【しつしゅつ】鳴いて相い隨う。
冽冽【れつれつ】寒蟬吟じ、蟬 吟じて枯枝を抱く。
枯枝 時に飛揚し、身體 忽ち遷移す。
身の遷移するを悲しまず、但 歲月の馳するを惜む。
歲月窮極無し、會合 安んぞ知る可けん。
願はくば雙黃鵠と為りて、翼を比べて清池に戲れんことを。


(現代語訳)
清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。せめてお願いだから、つがいの黄鶴になりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。


(訳注)
於清河見輓船士新婚與妻別一首

清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
・清河 河北省東南部の都市
・輓船士 魯や帆が使えない比較的狭い場所でひき船をして移動させる。
・新婚與妻別 若い男には兵役による別れである。


與君結新婚 宿昔當別離
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。


涼風動秋草 蟋蟀鳴相隨
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。


冽冽寒蟬吟 蟬吟抱枯枝
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
・冽冽 ひえびえしてきたこと。
・寒蟬 ひぐらしぜみ。


枯枝時飛揚 身體忽遷移
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。


不悲身遷移 但惜歲月馳
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。


歲月無窮極 會合安可知
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。


願為雙黃鵠 比翼戲清池
せめてお願いだから、つがいの黄いコウノトリになりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。
・黃鵠 白い鳥。高潔な鳥。子を授かる鳥。仙人子安(しあん)が黄鶴に乗ってこの地を過ぎた。また、三国時代の蜀の仙人費緯が黄鶴に乗って飛来してこの楼上で休んだ。
神話傳說中の雁より大きい鳥,一日、らくに一舉千里を飛ぶ。楚辭˙屈原˙卜居:「寧與黃鵠比翼乎?將與雞鶩爭食乎?此孰吉孰凶,何去何從?」