陌上桑行 古詩漢楽府<55>
この詩も道のほとりの桑の意である。別の題名を「艶歌羅敷行」ともいい、王台新詠(巻二 には「日出東南隅行」とある。

2013年3月13日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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陌上桑行 古詩漢楽府<55>古詩源 巻五 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2058

この詩も道のほとりの桑の意である。別の題名を「艶歌羅敷行」ともいい、王台新詠(巻二 には「日出東南隅行」とある。長詩なので5分割して掲載する。


陌上桑 #1
日出東南隅,照我秦氏樓。
東南の隅から出た朝日が昇る晩春のことである。まずわが秦氏の高殿を照らしている。
秦氏有好女,自名為羅敷。
その秦氏に美しいむすめがいる。その名を自ら羅敷という。
羅敷喜蠶桑,採桑城南隅。
羅敷ほ養蚕が上手である、城郭の南隅の桑畑で桑つみをする。
青絲為籠係,桂枝為籠鉤。
その時の彼女の格好は青い糸を籠のひもにし、桂の枝を寵のさげ柄にしている。
頭上倭墮髻,耳中明月珠。

頭の上に髪のまげをむすびのこりのかみをそのしたに垂れている。耳には明月の珠をかざり、
#2
緗綺為下裙,紫綺為上襦。行者見羅敷,下擔捋髭須。
少年見羅敷,脫帽著帩頭。耕者忘其犁,鋤者忘其鋤。
來歸相怨怒,但坐觀羅敷。
#3
使君從南來,五馬立踟躕。使君遣吏往,問是誰家姝。
“秦氏有好女,自名為羅敷。”
“羅敷年幾何?”
“二十尚不足,十五頗有餘。”
“使君謝羅敷,寧可共載不?”
#4
羅敷前置辭:“使君一何愚!使君自有婦,羅敷自有夫。”
“東方千餘騎,夫婿居上頭。何用識夫婿?白馬從驪駒;
青絲係馬尾,黃金絡馬頭;
#5
腰中鹿盧劍,可直千萬餘。十五府小吏,二十朝大夫,
三十侍中郎,四十專城居。為人潔白晰,鬑鬑頗有須。
盈盈公府步,冉冉府中趨。坐中數千人,皆言夫婿殊。”

#1
日は東南隅に出でて、我が案氏の榎を照らす。
秦氏に好女有り、自ら名つけて羅敦と為す。
羅敷荒桑を善くし、桑を城の南隅に探る。
青緑をは籠系と為し、桂枝をば寵鈎と為す。
頭上には倭堕の磐、耳中には明月の珠。

#2
純綿を下裾と為し、紫緒を上宿と為す。
行く者は羅敦を見て、標を下して髭麦を括り、
少年は羅敷を見て、帽を睨して略頭を著はす、
耕す者は其の梁を忘れ、鋤く者は其の鋤を忘る。
来り節って相怨怒するは、但羅数を観るに坐するのみ。
#3
使君南より来り、五馬立って蜘踊す。
使君束をして徒かしめ、間ふ 「是れ誰が家の妹ぞ」 と。
「秦氏に好女有り、自ら名いうて羅数と為す」。
「羅敷は年幾何ぞ」。
「二十には筒は足らず、十五頗る飴り有り」 と。
使君羅敦に謝す、「寧ろ共に載る可きゃ不」 と。
#4
羅敷前んで詞を致す、「使君一に何ぞ愚なる。
使君自ら婦有り、羅敷は自ら夫有り。
東方の千絵騎、夫巧は上頭に居る。
何を用てか夫靖を識る、白馬磯駒を徒へ、
青練を馬屋に繋け、黄金を番頭に絡ふ。
#5
腰中の鹿底の鉱は、千萬徐に値す可し。
十五に心て府の小史、二十にして朝の大夫。
三十にして侍中部、四十にして城を専らにして居る。
人と為り潔自習、孝養として頗る裏有り。
盈盈として公府に歩み、再再として府中に趨る。
坐中の数千人、皆言ふ 『夫巧は殊なり』 と。

桑摘女00









『陌上桑』 現代語訳と訳註
(本文)
陌上桑 #1
日出東南隅,照我秦氏樓。秦氏有好女,自名為羅敷。
羅敷喜蠶桑,採桑城南隅。青絲為籠係,桂枝為籠鉤。
頭上倭墮髻,耳中明月珠。


(下し文)
日は東南隅に出でて、我が案氏の榎を照らす。
秦氏に好女有り、自ら名つけて羅敦と為す。
羅敷荒桑を善くし、桑を城の南隅に探る。
青緑をは籠系と為し、桂枝をば寵鈎と為す。
頭上には倭堕の磐、耳中には明月の珠。

(現代語訳)
東南の隅から出た朝日が昇る晩春のことである。まずわが秦氏の高殿を照らしている。
その秦氏に美しいむすめがいる。その名を自ら羅敷という。
羅敷ほ養蚕が上手である、城郭の南隅の桑畑で桑つみをする。
その時の彼女の格好は青い糸を籠のひもにし、桂の枝を寵のさげ柄にしている。
頭の上に髪のまげをむすびのこりのかみをそのしたに垂れている。耳には明月の珠をかざり、


(訳注)
陌上桑
 #1
・陌上桑 道のほとりの桑の意である。別の題名を「艶歌羅敷行」ともいい、王台新詠(巻二には「日出東南隅行」とある。
・陌 田中の路。東西に通ずるのを陌といい、南北を阡肝という。


日出東南隅,照我秦氏樓。
東南の隅から出た朝日が昇る晩春のことである。まずわが秦氏の高殿を照らしている。
日出東南隅 北半球では晩春から夏にのぼる位置である。
・秦氏 邯鄲(河北省) の人なる秦氏に羅敷という娘があって邑人王仁の妻となった。王仁は後に趙王の家令となった。羅敷がある時、路で桑摘みをしていると、趙王が台の上から見て悦び、宴によびよせて奪い取ろうとした。羅敷は筝をひき、「陌上桑」の歌をうたって、自らを明らかにしたので、趙王は思いとまったとある。この詩をみると、趙王ではなくて、土地の長官大守が羅敷を見そめたことになっている。
列女伝、東家の女。秋胡詩、日出東南隅ということで、ほぼ同様な詩である。日出東南隅行 謝霊運(康楽) 詩<68>Ⅱ李白に影響を与えた詩490 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1287
身を売った西家の女は傾城といわれるほどの妓女となって黄金で身を飾り、刺繍を施した肌着を身に纏えるほどの生活をしている。 しかし東家の女はただただ貧しさに苦しみながらも、その玉体を北国の人買いの手には渡さなかった。


秦氏有好女,自名為羅敷。
その秦氏に美しいむすめがいる。その名を自ら羅敷という。
・東家有賢女 美人といっても賢くて美人の東家の女です。西は、色気がある傾国の美女を云う。
為焦仲卿妻作#4(-其二)で「東家有賢女,自名秦羅敷。」「でも、東隣には賢い女がいる。本人が自分でも秦の羅敷だというほどの器量よしなのだ。」と母親が息子の府吏にいっている。
・東家有賢女  ・東家 楚の宋玉の『登徒子好色の賦』「臣が里の美しき者は、臣が東家の子に若くはなし。」とある。ここから美人のたとえを”東家之子”又は”東家之女”と。美女を称して”東隣”とした事例に唐の李白「自古有秀色、西施与東隣」(古来より秀でた容姿端麗美人、西施と東隣)白居易「感情」のもある 
李白『白紵辭其一』「揚清歌、發皓齒。 北方佳人東鄰子、且吟白紵停綠水。」

李白81白紵辭其一  82白紵辭其二  83 巴女詞
無題(何處哀筝随急管) 李商隠21

・秦羅敷 秦氏羅敷。「陌上桑」その美貌をほこって自ら泰氏の羅敷と称したのである。秋胡詩 (1) 顔延之秋胡詩 (1) 顔延之(延年) 詩<2471 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1230

羅敷喜蠶桑,採桑城南隅。
羅敷ほ養蚕が上手である、城郭の南隅の桑畑で桑つみをする。


青絲為籠係,桂枝為籠鉤。
その時の彼女の格好は青い糸を籠のひもにし、桂の枝を寵のさげ柄にしている。
・籠系 王台新詠には籠縄に作る。寵をぶらさげるひも。
・籠鉤 寵の柄、半月形のつる。


頭上倭墮髻,耳中明月珠。
頭の上に髪のまげをむすびのこりのかみをそのしたに垂れている。耳には明月の珠をかざり、

・倭堕賢 髪の形を云う。「雲髪垂るるを羞づ倭堕の髪」とある。垂れ髪である。おそらくは髪を結んで、結び残りの髪を垂れたものであろうか。イメージ女性を書いてみた。髪の形の美しいのを形容した語である。
・明月珠 大真珠。
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