棄婦篇 曹植 魏詩
子無くして棄てられた妻の心をよんだもの、君主に棄てられた家臣も同様と考えて作ったものである。

2013年3月19日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩棄婦篇 曹植 魏詩<56-#2> 女性詩708 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2088
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩原毀 韓愈(韓退之) <119-#4>Ⅱ中唐詩620 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2084
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集徐歩 杜甫 <429>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2090 杜甫詩1000-429-612/1500徐歩 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 24)
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集白石巌下径行田詩 謝霊運<18> kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2091 (03/19)
●森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性和人 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-109-44-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ209
 
 ■今週の人気記事(漢詩の5ブログ各部門)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex

安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html
為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選 雑詩 上  http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

棄婦篇 曹植 魏詩<56-#2> 女性詩708 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2088



棄婦篇
石榴植前庭、綠葉搖縹青。
石榴の木を前庭に植えた。緑の葉がゆれて若葉の萌黄がはえる。(①嫁を娶った)
丹華灼烈烈、帷彩有光榮。
まっかな花が火の燃えるように輝き、きらきらと光って、とばりは五色にてりはえている。(②婚姻後の性交渉)
光好曄流離、可以戲淑靈。
その照栄えるさまの輝かしさは、まるで瑠璃の玉のようであり、これこそりっぱな神霊を宿らしめるにふさわしいものである。(③これほどに大事にしたので授かるはずである)
有鳥飛來集、樹翼以悲鳴。
そこへ鳥が飛んで来て木にとまり、羽ばたきをして、悲しげに鳴く。(④いくら待っても子ができない)
悲鳴復何為、丹華實不成。

その悲しげに鳴くのはなぜか。それはあかい花はりっばだが実がならないためなのだ。(⑤いくら待っても子ができない)

石榴【せきりゅう】を前庭に植う、緑葉【りょくよう】縹青【ひょうせい】を搖がす。
丹華灼【かしゃく】として烈烈、帷彩【いさい】として光榮有り。
光榮【こうえい】曄【よう】として流離【るり】、以て淑靈【しゅくれい】を戲らしむ可し。
鳥有り飛び乗り集まり、翼を樹って以て悲鳴す。
悲鳴夫れ何の爲めぞ、丹華は実成らず。

拊心長歎息、無子當歸甯。
わたしは胸をうって長いためいきをつくことになる。子がなければ実家に帰らねばならないのだ。
有子月經天、無子若流星。
子があれば月が天をわたると同じに晴れやかに一生をおえる。子がなければさ流れ星のように消え去るのみなのだ。
天月相終始、流星沒無精。
天の月はそのなかでいつまでも運行するが、流れ星は燃え尽きて消えればもう光明はない。
棲遲失所宜、下與瓦石并。
ぐずぐず日を過ごして、子作りの時機を逸してしまえば、流れ星のように下界で瓦や石ころ同様にされてしまうことになる。
憂懷從中來、歎息通鷄鳴。
そんな心配事を思えばせつない思いがが次々に湧いてきて、夜通し眠れず、鶏のなく時刻になって歎きの吐息をするのである。
反側不能寐、逍遙於前庭。
ねがえりしても眠られず、前庭をひとりでぶらつくのだ。
心を射ちて長に歎息す、子無くんは當に歸寧すべし。
子有らば月天を経り、子無くんは流星の若し。
天と月とは相終始するも、流星は捜して精無し。
棲遲して宜しき所を失はば、下 瓦石と幷【あわ】せらる。
憂懐 中従り来り、歎息して鶏鳴に通ず。
反側して寐【い】ぬる能はず、前庭に逍遙す

歭躇還入房、肅肅帷幕聲。
搴帷更攝帶、撫節彈素箏。
慷慨有餘音、要妙悲且清。
收淚長歎息、何以負神靈。
招搖待霜露、何必春夏成。
晚穫為良實、願君且安甯。
歭躇して還って房に入れば、肅肅たり 惟幕の聲。
帷を搴げ 更に帶を攝め、節を撫して素箏を弾ず。
慷慨餘音有り、要妙として悲しく且つ清し。
涙を収めて長歎息す、何を以てか神靈に負かん。
招揺霜露を待つ、何ぞ必ずしも春夏に成らん。
晩穫は良實と為る、願はくほ君且く安寧なれ。


oborotsuki01h『棄婦篇』 現代語訳と訳註
(本文)
拊心長歎息、無子當歸甯。
有子月經天、無子若流星。
天月相終始、流星沒無精。
棲遲失所宜、下與瓦石并。
憂懷從中來、歎息通鷄鳴。
反側不能寐、逍遙於前庭。

(下し文)
心を射ちて長に歎息す、子無くんは當に歸甯【きねい】すべし。
子有らば月天を経り、子無くんは流星の若し。
天と月とは相終始するも、流星は捜して精無し。
棲遲して宜しき所を失はば、下 瓦石と幷【あわ】せらる。
憂懐 中従り来り、歎息して鶏鳴に通ず。
反側して寐【い】ぬる能はず、前庭に逍遙す。


(現代語訳)
わたしは胸をうって長いためいきをつくことになる。子がなければ実家に帰らねばならないのだ。
子があれば月が天をわたると同じに晴れやかに一生をおえる。子がなければさ流れ星のように消え去るのみなのだ。
天の月はそのなかでいつまでも運行するが、流れ星は燃え尽きて消えればもう光明はない。
ぐずぐず日を過ごして、子作りの時機を逸してしまえば、流れ星のように下界で瓦や石ころ同様にされてしまうことになる。
そんな心配事を思えばせつない思いがが次々に湧いてきて、夜通し眠れず、鶏のなく時刻になって歎きの吐息をするのである。
ねがえりしても眠られず、前庭をひとりでぶらつくのだ。


(訳注)
拊心長歎息、無子當歸甯。
わたしは胸をうって長いためいきをつくことになる。子がなければ実家に帰らねばならないのだ。
・拊心 むねをうつ。拊は拍とおなじ。
・歸甯 寧とおなじ。やすらか。やすんずる。さとがえりする。


有子月經天、無子若流星。
子があれば月が天をわたると同じに晴れやかに一生をおえる。子がなければ流れ星のように消え去るのみなのだ。
・月経天 月が天を運行する。晴れやかなさまのたとえ。


天月相終始、流星沒無精。
天の月はそのなかでいつまでも運行するが、流れ星は燃え尽きて消えればもう光明はない。
・天月相終始 天上の中に包まれるように存在するという意味で、天の月に解す。相終始は終始変わらず循環する意で、相は月が一方的に循環する。相思の場合と同じで、互いにという意味だけでなく一方的に思うこと。
・精 光明。


魚玄機5x5棲遲失所宜、下與瓦石并。
ぐずぐず日を過ごして、子作りの時機を逸してしまえば、流れ星のように下界で瓦や石ころ同様にされてしまうことになる。
・棲遅 遊息すること。ここは夫の家にとどまってのんびり暮らす意。子供がいないと仕事をしていないわけであるから、ぐずぐず過ごすこと。


憂懷從中來、歎息通鷄鳴。
そんな心配事を思えばせつない思いがが次々に湧いてきて、夜通し眠れず、鶏のなく時刻になって歎きの吐息をするのである。


反側不能寐、逍遙於前庭。
ねがえりしても眠られず、前庭をひとりでぶらつくのだ。