曹植 當牆欲高行 

2013年4月8日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

當牆欲高行 曹植 魏詩<64> 女性詩728 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2188


當牆欲高行
龍欲升天須浮雲,人之仕進待中人。
龍が天にのぼろうとすれば、浮き雲が必要だし、良い雲が生じるのを待たねばならない。人が仕官しょうと思えば、君王に近く仕える宦官のたすけをからねば、意志がつたわらないのである。
眾口可以鑠金,讒言三至,慈母不親。
多くの人の口舌(民の声)は、金属をもとかす力がある。讒言も、一人でなく三人から言われると、慈母でさえ、子供から離れてしまう。(そのように宦官は君王にに讒言を何にもでささやくのである。)
憒憒俗間不辨偽真,願欲披心自說陳。
不平をいだく俗間の人、宦官は、偽りと誠を区別することはなく、利害で動くのだ。心にあるものをうちあけたいと、直接事情を申しのべたいのである。
君門以九重,道遠河無津。
君王は、こうした九つの門にとざされ、宦官によってさらに阻まれているのである。道のりは遠いうえに、河には渡し場さえないのである。

(牆【しょう】高からんと欲する行に当【こ】う)
竜 天に昇らんと欲すれば 浮雲に須【ま】ち、人の仕進は中人に待つ。
衆口 以って金を鑠【と】かす可く、讒言【ざんげん】三たび至りなば、慈母も親しまず。
憒憒【ふんぷん】たる俗間、偽と真とを弁ぜず、願わくは 心を披きて自ら說陳せんと欲するに。
君門【くんもん】以に九重【きゅうちょう】にして、道は遠く 河に津【しん】無し。


『當牆欲高行』 現代語訳と訳註
駿馬04(本文)
當牆欲高行
龍欲升天須浮雲,人之仕進待中人。
眾口可以鑠金,讒言三至,慈母不親。
憒憒俗間不辨偽真,願欲披心自說陳。
君門以九重,道遠河無津。


(下し文) (牆【しょう】高からんと欲する行に当【こ】う)
竜 天に昇らんと欲すれば 浮雲に須【ま】ち、人の仕進は中人に待つ。
衆口 以って金を鑠【と】かす可く、讒言【ざんげん】三たび至りなば、慈母も親しまず。
憒憒【ふんぷん】たる俗間、偽と真とを弁ぜず、願わくは 心を披きて自ら說陳せんと欲するに。
君門【くんもん】以に九重【きゅうちょう】にして、道は遠く 河に津【しん】無し。


(現代語訳)
龍が天にのぼろうとすれば、浮き雲が必要だし、良い雲が生じるのを待たねばならない。人が仕官しょうと思えば、君王に近く仕える宦官のたすけをからねば、意志がつたわらないのである。
多くの人の口舌(民の声)は、金属をもとかす力がある。讒言も、一人でなく三人から言われると、慈母でさえ、子供から離れてしまう。(そのように宦官は君王にに讒言を何にもでささやくのである。)
不平をいだく俗間の人、宦官は、偽りと誠を区別することはなく、利害で動くのだ。心にあるものをうちあけたいと、直接事情を申しのべたいのである。
君王は、こうした九つの門にとざされ、宦官によってさらに阻まれているのである。道のりは遠いうえに、河には渡し場さえないのである。


(訳注)
當牆欲高行

當牆欲高行 思い通ぜざる歌。この篇は皇帝との間をはばまれて、宦官の讒言により窮地におちこむ悲運を歌ったもの。この節の制作年代を、「応詔詩」と同じ頃(223年黄初四年、曹植32歳)とする。


龍欲升天須浮雲,人之仕進待中人。
龍が天にのぼろうとすれば、浮き雲が必要だし、良い雲が生じるのを待たねばならない。人が仕官しょうと思えば、君王に近く仕える宦官のたすけをからねば、意志がつたわらないのである。
○須浮雲 須浮雲は浮雲のたすけをまつ。須はまつ、であり、必要とするである。
○中人 君主の側近者である宦官。讒言が生まれる原因を云う。


眾口可以鑠金,讒言三至,慈母不親。
多くの人の口舌(民の声)は、金属をもとかす力がある。讒言も、一人でなく三人から言われると、慈母でさえ、子供から離れてしまう。(そのように宦官は君王にに讒言を何にもでささやくのである。)
○衆口可以鑠金 多くの人の口(民の声)は、金のようなものでも溶かすことができる。
○讒言三至,慈母不親 “むかし、曾参(孔子の弟子)と同姓同名の人が殺人を犯した。或る人が曾参の母親に、「息子さんが人を殺しましたよ。」と告げたが、息子を信ずる母親は平然としていた。しばらくして、又一人が同じことを告げたが、母親はやはり平然としていた。しかし三人目の人がつげると、彼女は機織りをやめて走り出したという話”が見える、基づく。本当の話になるまで嘘をつきとおす。という意味でもある。


憒憒俗間不辨偽真,願欲披心自說陳。
不平をいだく俗間の人、宦官は、偽りと誠を区別することはなく、利害で動くのだ。心にあるものをうちあけたいと、直接事情を申しのべたいのである。
○憤憤 不平まんまんのさま。宦官が中間にいる以上まともに意思が伝わらないことをいう。
○弁 わける。区別する。
○技心 心をうちわる、真実の心をあらわす。
○説陳 陳は陳述する。


君門以九重,道遠河無津。
君王は、こうした九つの門にとざされ、宦官によってさらに阻まれているのである。道のりは遠いうえに、河には渡し場さえないのである。
○君門以九重 皇帝のところへは関門が多くて行けない意。「楚辞」九弁に「君の門以に九重たり。」と見える。
○通達河無津 津はわたし場。道のりは遠く、河には渡し場がない。

漢魏隋唐の洛陽城