謝靈運 《擬魏太子鄴中集詩八首   平原侯值》 すなわち西のかたに大行のけわしい山を望み、北のかたに邯鄲への大道を見る。その平らな道は長く且つまっすぐにつらなりすすむ、白楊は風になびき、なよなよとしている。


2013年6月17日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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平原侯植
公子不及世事,但美遨遊,然頗有憂生之嗟。
公子曹植は俗世間のことに関心をもたず、ただ、遊びたのしむことを美しとし好んだ。しかし、いささか生を憂える歎きがある。
朝遊登鳳閣,日暮集華沼。
朝になるまで風閣に登ってあそび、夕になるまで美しい池のほとりにいたって宴に侍する。
傾柯引弱枝,攀條摘蕙草。
そこでは柳の大きな枝を傾け、枉げて弱々しい若枝をひき、香草の小枝をつかまえてその花をつみとる。
徙倚窮騁望,目極盡所討。
しずかにさまよいながら、遙か遠くを眺めると、見わたす限りすべてわが心を惹くのである。
#2
西顧太行山,北眺邯鄲道。
すなわち西のかたに大行のけわしい山を望み、北のかたに邯鄲への大道を見る。
平衢修且直,白楊信褭褭。
その平らな道は長く且つまっすぐにつらなりすすむ、白楊は風になびき、なよなよとしている。
副君命飲宴,歡娛寫懷抱。
やがて太子の命で酒盛りが催され、客は皆よろこんで興を尽くす。
良遊匪晝夜,豈雲晚與早。
かくて楽しい遊びは昼と夜、また夜おそくとか朝はやくとかの別なく催される。
泰山の夕日02#3
眾賓悉精妙,清辭灑蘭藻。
哀音下回鵠,餘哇徹清昊。
中山不知醉,飲德方覺飽。
願以黃發期,養生念將老。

平原侯【へいげんこう】植【ち】
公子は世事【せいじ】に及ばず,但だ遨遊【ごうゆう】を美みず,然れども頗しく憂生【ゆうせい】の嗟有り。

朝に遊びて登鳳閣にり,日暮れて華沼に集る。
柯を傾けて弱枝を引き,條を攀ぢて蕙草を摘む。
徙倚【しい】して騁望【ていぼう】を窮め,目極りて討ぬる所をく盡す。
#2
西のかた太行の山を顧み,北のかた邯鄲【かんたん】の道を眺む。
平衢【へいく】は修とし且つ直とす,白楊は信に褭褭【じょうじょう】たり。
副君は飲宴【いんえん】を命じ,歡娛【かんご】して懷抱【かいほう】を寫【つ】くす。
良遊は晝夜に匪ず,豈に雲【い】わんや晚と早とに。
#3
眾賓は悉【ことごと】く精妙にして,清辭もて蘭藻を灑ぐ。
哀音は回鵠を下し,餘哇【よあ】は清昊【せいこう】に徹す。
中山にも醉を知らず,德を飲んで方に飽くを覺ゆ。
願はくは黃發の期を以って,生を養いて將に老んと念う。


『平原侯植』現代語訳と訳註
白楊02(本文)
#2
西顧太行山,北眺邯鄲道。
平衢修且直,白楊信褭褭。
副君命飲宴,歡娛寫懷抱。
良遊匪晝夜,豈雲晚與早。


(下し文) #2
西のかた太行の山を顧み,北のかた邯鄲【かんたん】の道を眺む。
平衢【へいく】は修とし且つ直とす,白楊は信に褭褭【じょうじょう】たり。
副君は飲宴【いんえん】を命じ,歡娛【かんご】して懷抱【かいほう】を寫【つ】くす。
良遊は晝夜に匪ず,豈に雲【い】わんや晚と早とに。


(現代語訳)
すなわち西のかたに大行のけわしい山を望み、北のかたに邯鄲への大道を見る。
その平らな道は長く且つまっすぐにつらなりすすむ、白楊は風になびき、なよなよとしている。
やがて太子の命で酒盛りが催され、客は皆よろこんで興を尽くす。
かくて楽しい遊びは昼と夜、また夜おそくとか朝はやくとかの別なく催される。


(訳注) #2
西顧太行山,北眺邯鄲道。
すなわち西のかたに大行のけわしい山を望み、北のかたに邯鄲への大道を見る。
・大行山 河内の野王県にある、けわしい山。古の詩には、人生行路の穀難にたとえて、しばしば、引かれる。   魏 武帝『苦寒行』「北上太行山,艱哉何巍巍! 羊腸阪詰屈,車輪為之摧。・・・・」(北のかた太行山に上れば 艱き哉 何ぞ巍巍たる。羊腸の坂 詰屈し 車輪 之れが為に摧く)
・邯鄲道 史記、張釈之伝に「文帝は、寵妾なる供夫人に、㶚陵の北頭から、見おろす新豊街道を指ざし示し、『あれが、汝の故郷の邯鄲に赴く道ぞ』といい、夫人に瑟をひかせ、自らは、その曲にあわせて歌い、惨棲悲懐した」ことをいう。


平衢修且直,白楊信褭褭。
その平らな道は長く且つまっすぐにつらなりすすむ、白楊は風になびき、なよなよとしている。
・白楊 1 ヤマナラシの別名。 2 ドロノキの別名。
・衢 四方八方に通ずる道。
・褭褭 なよやかな形容。


副君命飲宴,歡娛寫懷抱。
やがて太子の命で酒盛りが催され、客は皆よろこんで興を尽くす。
・副君 漢書に「疏広の白く、太子は国の儲副の君なり」。天子の副。もうけの君。
・写寫 のべ洩らす。尽くす。
・懷抱 思い。考え。


良遊匪晝夜,豈雲晚與早。
かくて楽しい遊びは昼と夜、また夜おそくとか朝はやくとかの別なく催される。