蘇武 《詩四首 其三》#2 わが身は役目で戦場に赴くことであるから、再び会えることはもとよりその時期というのは難いのだ。かく言うて、去りぎわに妻の手を握り、一たび嘆息をもらした、生き別れのために、悲しみの涙はしきりに流れる。
 

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詩四首 其三

(詩四首 其の三)

結發爲夫妻,恩愛兩不疑。

成人となり、そなたと夫妻となって以来、互いに愛し愛され、疑う心はまったくない。 

在今夕,嬿婉及良時。

今日まで暮らしてきたが、喜び楽しみも今宵限りだ。せめてまたなきこの一夜を空しくせず、むつみあうて過ごそう。

征夫懷往路,起視夜何其?

わたしは旅立つ人となり、行く先遠い路のりを思い、起きあがって窓外の夜に見入るのである。

參辰皆已沒,去去從此辭。

夜空の參星や辰星などの星影は、すっかり無くなってしまって暁になりかけている。妻に別れの言葉を告げ、妻の元からどんどん去って行くのである。

 

行役在戰場,相見未有期。

わが身は役目で戦場に赴くことであるから、再び会えることはもとよりその時期というのは難いのだ。

握手一長歎,淚爲生別滋。

かく言うて、去りぎわに妻の手を握り、一たび嘆息をもらした、生き別れのために、悲しみの涙はしきりに流れる。

努力愛春華,莫忘歡樂時。

つとめて人生の華やいだ時期を大切にして、生きていってほしい。夫婦で楽しく過ごしたあの時期を忘れないでほしい。

生當複來歸,死當長相思。

幸いに命があったらまたかならず帰って來ようし、運わるく死ぬこともあり、だから必ずいつまでも思いあうことにしよう。

 

 

其三

詩四首  其の三

結髮  夫妻と爲【な】り,恩愛  兩【ふた】つながら 疑はず。

歡娯  今夕に在り,嬿【えんゑん】 良時に 及ぶ。

征夫  往路を 懷い,起ちて 夜の 何其【いかん】を 視る。

參辰  皆な 已に沒す,去り去りて 此れ從【よ】り 辭せん。

#2

行役して 戰場に 在らば,相ひ見ること  未だ 期 有らず。

手を握り  一たび長歎すれば ,涙は 生別の 爲に 滋【しげ】し。

努力して  春華を 愛し,歡樂の時を  忘るる莫れ。

生きては 當【まさ】に  復た 來り歸るべく,死しては 當【まさ】に 長【とこし】へに 相ひ思ふべし。

 幻日環01









 


『詩四首 其三』#2 現代語訳と訳註

(本文)

行役在戰場,相見未有期。

握手一長歎,淚爲生別滋。

努力愛春華,莫忘歡樂時。

生當複來歸,死當長相思。

 

 

(下し文) #2

行役して 戰場に 在らば,相ひ見ること  未だ 期 有らず。

手を握り  一たび長歎すれば ,涙は 生別の 爲に 滋【しげ】し。

努力して  春華を 愛し,歡樂の時を  忘るる莫れ。

生きては 當【まさ】に  復た 來り歸るべく,死しては 當【まさ】に 長【とこし】へに 相ひ思ふべし。

 

 

 

(現代語訳)

わが身は役目で戦場に赴くことであるから、再び会えることはもとよりその時期というのは難いのだ。

かく言うて、去りぎわに妻の手を握り、一たび嘆息をもらした、生き別れのために、悲しみの涙はしきりに流れる。

つとめて人生の華やいだ時期を大切にして、生きていってほしい。夫婦で楽しく過ごしたあの時期を忘れないでほしい。

幸いに命があったらまたかならず帰って來ようし、運わるく死ぬこともあり、だから必ずいつまでも思いあうことにしよう。

 

 

(訳注)

行役在戰場,相見未有期。

わが身は役目で戦場に赴くことであるから、再び会えることはもとよりその時期というのは難いのだ。

・行役:軍役。出征。

・相見:まみえる。会う。 

・未有期:期しがたい。会う時期がまだない。会う時期が来るかどうかまだ分からない。

 

握手一長歎,淚爲生別滋。

かく言うて、去りぎわに妻の手を握り、一たび嘆息をもらした、生き別れのために、悲しみの涙はしきりに流れる。

・握手:手をにぎる。 

・長歎:長歎息をする。

・爲:…のために。 

・生別:生き別れ。親子、夫婦などが生きながら長く別れること。親子のものは『詩經』で、夫婦や男女間のものは婉約詞に多く歌われている。 

・滋:多い。たくさん。しげし。

 

努力愛春華,莫忘歡樂時。

つとめて人生の華やいだ時期を大切にして、生きていってほしい。夫婦で楽しく過ごしたあの時期を忘れないでほしい。

・努力:つとめて。がんばって。 

・愛春華:青春の華やかなときを大切にして。すばらしい年代を大事にして。

・莫忘:忘れないでほしい。

・歡樂時:夫婦で楽しく過ごしたあの時期を。

 

生當複來歸,死當長相思。

幸いに命があったらまたかならず帰って來ようし、運わるく死ぬこともあり、だから必ずいつまでも思いあうことにしよう。

・生當:生きていたら当然のことながら。 

・死當:死んだら当然のことながら。 

・長:いつまでも。とこしなへに 

・相思:異性を思う。

 大鷹01