揚雄 《甘泉賦 (12)  鬼神すらも頂上へ登りつめることはできず、その長い道のりの半ばで墜落してしまうであろう。この高楼に登ると日月より高い空に出て浮き橋を渡り、細かなもやに身を浮かべて、人をなでることができる。


2013年8月23日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。   
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揚雄 《甘泉賦
(12)4-4 文選 賦<108-#119分割26回 Ⅱ李白に影響を与えた詩865 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2873

 

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(9)
#4-1

於是大廈雲譎波詭,嶊而成觀。

甘泉宮の大屋根が見えてくるが、それは雲のごとく、波のごとく、奇怪な形をしており、高く組みあげられた楼観が造られている。

仰撟首以高視兮,目冥眴而亡見。

首を上に向けて高く望めば、目がくらんで何も見えない。

正瀏濫以弘惝兮,指東西之漫漫。

実に清らかで巨大な建造物が、東西に限りなく広がっている。

徒徊徊以徨徨兮,魂眇眇而昏亂。

ただいたずらにうろうろとさまよう他はなく、見る者の魂は消えいりそうに乱れる。

 

 (10)#4-2

據軨軒而周流兮,忽軮圠而亡垠。

欄干にそって巡り歩くと・遠くまでかすんで、果てもなく続いている。

翠玉樹之青蔥兮,璧馬犀之瞵

青々と茂った樹が縁の玉で造られており、美しく飾られた馬や犀も璧玉から成っている。

金人仡仡其承鍾虡兮,嵌巖巖其龍鱗。

黄金の人物像が、勇壮な様で鐘の否を捧げ持ち、その重なり合うさまは、竜の鱗のようである。

揚光曜之燎燭兮,垂景炎之炘炘。

その輝きは燃えたつようであり、巨人な炎が勢いよく吹き出しているかと思われる。

 

(11)#4-3

配帝居之縣圃兮,象泰壹之威神。

天帝の住む県圃の山が配置されたようであり、神の中でも最も尊い泰一神の住む紫微宮にも見まごうはかりだ。

洪臺崛其獨出兮,北極之嶟嶟。

大きな優れた建物がひとつ抜きん出てそびえ、高く輝く北極星に届くほどである。

列宿迺施於上榮兮,日月纔經於柍桭

天空に連なる星座はようやくそのひさしをかすめ、日月もやっとその屋根を越える。

雷鬱律於巖突兮,電倐忽於牆藩。

雷鳴は、遥か下の岩盤のすみで小さな音になっていき、電光も、低い垣根の辺りでひらめくばかりである。

 

(12)#4-4

鬼魅不能自逮兮,半長途而下顚。

鬼神すらも頂上へ登りつめることはできず、その長い道のりの半ばで墜落してしまうであろう。

歷倒景而飛梁兮,浮蔑蠓而撇天。

この高楼に登ると日月より高い空に出て浮き橋を渡り、細かなもやに身を浮かべて、人をなでることができる。

左欃槍而右玄冥兮,前熛闕後應門。

左には欃槍星、右には玄冥神が見え、天の赤い門を前にして、正門を後ろにする。

陰西海與幽都兮,涌醴以生川。

建物の影は、遠く西海と幽都にまで伸び、甘い酒の泉が、こんこんと湧き出して川となっているのが見える。 

 

(12)#4-4

鬼魅【きみ】も自ら逮【およ】ぶこと能わず,長途に半ばして下り顚【お】つ。

倒景【とうけい】を【へ】て飛梁【ひりょう】を【わた】り,蔑蠓【べつもう】に浮びて天を撇【はら】う。

欃槍【ざんそう】を左にして玄冥をに右し,熛闕【ひょうけつ】を前にして應門を後ろにす。

西海と幽都とを陰とし,涌醴【ようれい】として以て川を生【な】す。

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『甘泉賦』 現代語訳と訳註

(本文) (12)#4-4

鬼魅不能自逮兮,半長途而下顚。歷倒景而飛梁兮,浮蔑蠓而撇天。左欃槍而右玄冥兮,前熛闕後應門。陰西海與幽都兮,涌醴以生川。

 

 

 

(下し文) (12)#4-4

鬼魅【きみ】も自ら逮【およ】ぶこと能わず,長途に半ばして下り顚【お】つ。

倒景【とうけい】を【へ】て飛梁【ひりょう】を【わた】り,蔑蠓【べつもう】に浮びて天を撇【はら】う。

欃槍【ざんそう】を左にして玄冥をに右し,熛闕【ひょうけつ】を前にして應門を後ろにす。

西海と幽都とを陰とし,涌醴【ようれい】として以て川を生【な】す。

 

 

(現代語訳)

鬼神すらも頂上へ登りつめることはできず、その長い道のりの半ばで墜落してしまうであろう。

この高楼に登ると日月より高い空に出て浮き橋を渡り、細かなもやに身を浮かべて、人をなでることができる。

左には欃槍星、右には玄冥神が見え、天の赤い門を前にして、正門を後ろにする。

建物の影は、遠く西海と幽都にまで伸び、甘い酒の泉が、こんこんと湧き出して川となっているのが見える。

 

 

(訳注)(12)#4-4

鬼魅不能自逮兮,半長途而下顚。

鬼神すらも頂上へ登りつめることはできず、その長い道のりの半ばで墜落してしまうであろう。

・鬼魅 鬼とばけもの。妖怪変化(ようかいへんげ)。鬼は精霊、魅は魑魅魍魎のたぐい。

 

歷倒景而飛梁兮,浮蔑蠓而撇天。

この高楼に登ると日月より高い空に出て浮き橋を渡り、細かなもやに身を浮かべて、人をなでることができる。

歷倒景 景色を圧倒し替え経る。ここでは高楼に上って視界が広がっている様子をいう。

・蠓 チョウバエ。

 

左欃槍而右玄冥兮,前熛闕後應門。

左には欃槍星、右には玄冥神が見え、天の赤い門を前にして、正門を後ろにする。

・欃槍 欃槍星は彗星の別名。

熛闕 天の赤い門。

 

陰西海與幽都兮,涌醴以生川。

建物の影は、遠く西海と幽都にまで伸び、甘い酒の泉が、こんこんと湧き出して川となっているのが見える。

・西海 西の地の果ての海。

・幽都 暗く陰鬱な死者の世界で、炎帝(えんてい)の子孫で土地神である后土(こうど)が支配しているという。后土には土伯(どはく)という配下がおり、幽都の門を監視している。
岳陽楼00