揚雄 《甘泉賦 (20) 龍淵に潜むところから浮かんで、それから九霊地の黄泉國を巡り見て、地上へ戻られた。風は強く吹き寄せて車輪を支え、鸞や鳳凰がいり乱れて、車のひもをくわえて助けて飛ぶ。


2013年8月31日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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揚雄 《甘泉賦 (20)6-4 文選 賦<108-#199分割26回 Ⅱ李白に影響を与えた詩873 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2913

 

 

(17)#6-1

於是事變物化,目駭耳回,蓋天子穆然,珍臺閒館,

 しかし、大体には天子は、この美しくて閑静な楼閣の中で、たるきの端に美玉が輝き、曲がりくねった彫刻が施されたその中に、静かに座られているのであろう。

琁題玉英,蜎蠖濩之中。

しかし、大体には天子は、この美しくて閑静な楼閣の中で、たるきの端に美玉が輝き、曲がりくねった彫刻が施されたその中に、他日を期待して静かに座られているのであろう。

惟夫所以澄心清魂,儲精垂思,感動天地,逆釐三神者。

これこそ、心を澄ませ、魂を清め、精神を集中し、思索をめぐらし、大地を感動させ、そして大・地・人の神々より幸福を授けられるためのやり方なのである。

 

 

(18)#6-2

迺搜逑索偶,皋伊之徒冠倫魁能,

そこで大半は、己の輔佐となる仲間、たとえば、皐陶・伊尹のように、卓絶した能力のあるものを探し求められる。

函甘棠之惠,挾東征之意,

かの召公が人民に恩恵を施し・周公が東征をして砦安害せた、そうした人物を得ようと願われる。

相與齊乎陽靈之宮。

そして、選び出された者たちとともに、天神の宮殿で斎戒を行われる。

靡薜荔而為席兮,折瓊枝以為芳。

天子は、薜荔を敷いて席とし、玉の枝を折って、香として身につけ、空に流れる霞を吸い、若木の輝く露を飲まれる。

噏清雲之流瑕兮,飲若木之露英。

それから、天神を祭る庭に集まり、神をたたえる堂に登られる。

 

(19)#6-3

集虖禮神之囿,登虖頌祇之堂。

それから、天神を祭る庭に集まり、神をたたえる堂に登られる。

建光燿之長兮,昭華覆之威威。

天子の車は、光り輝く長いを立てて、華もようの車蓋はまことに壮観である。

攀琁璣而下視兮,行遊目虖三危。

こうして天子は、北斗七星によじ登って下を見おろし、三危山に目をやられる。

陳衆車於東阬兮,肆玉釱而下馳。

供の者とともに多くの車を東の岡に並べ、玉のくさびをつけた車輪で、勢いよく馳けおりて行かれる。

 

(20)#6-4

漂龍淵而還九垠兮,窺地底而上回。

龍淵に潜むところから浮かんで、それから九霊地の黄泉國を巡り見て、地上へ戻られた。

風傱傱而扶轄兮,鸞鳳紛其御蕤。

風は強く吹き寄せて車輪を支え、鸞や鳳凰がいり乱れて、車のひもをくわえて助けて飛ぶ。

梁弱水之濎濙兮,躡不周之逶蛇。

こうして、弱水を、浅い川を渡るようにのり越え、不周山をも、ゆるやかな丘同然にふみ越える。

想西王母欣然而上壽兮,屏玉女而卻虙妃。

聖母に思いをはせて、心に喜び、長寿を祝う哀をたてまつられた。

 (20)#6-4

龍淵【りゅうえん】に漂【うか】びて九垠【きゅうぎん】を還【めぐ】り,地底を窺【うかが】いて上り回る。

風は傱傱【しょうしょう】として 轄【くさび】を扶け,鸞鳳【らんぽう】紛として其れ御蕤【ぎょすい】す。

弱水の濎濙【ていえい】たるを梁【はりわた】し,不周の逶蛇【いい】たるを躡【ふ】む。

西王母を想い 欣然【きんぜん】として壽【ことほぎ】を上【たてまつ】り,玉女を屏【しりぞ】けて虙妃【ふくひ】を卻【しりぞ】く。

 

 岳陽楼00 












『甘泉賦』 現代語訳と訳註

(本文) (20)#6-4

漂龍淵而還九垠兮,窺地底而上回。

風傱傱而扶轄兮,鸞鳳紛其御蕤。

梁弱水之濎濙兮,躡不周之逶蛇。

想西王母欣然而上壽兮,屏玉女而卻虙妃。

 

 

(下し文) (20)#6-4

龍淵【りゅうえん】に漂【うか】びて九垠【きゅうぎん】を還【めぐ】り,地底を窺【うかが】いて上り回る。

風は傱傱【しょうしょう】として 轄【くさび】を扶け,鸞鳳【らんぽう】紛として其れ御蕤【ぎょすい】す。

弱水の濎濙【ていえい】たるを梁【はりわた】し,不周の逶蛇【いい】たるを躡【ふ】む。

西王母を想い 欣然【きんぜん】として壽【ことほぎ】を上【たてまつ】り,玉女を屏【しりぞ】けて虙妃【ふくひ】を卻【しりぞ】く。

 

 

(現代語訳)

龍淵に潜むところから浮かんで、それから九霊地の黄泉國を巡り見て、地上へ戻られた。

風は強く吹き寄せて車輪を支え、鸞や鳳凰がいり乱れて、車のひもをくわえて助けて飛ぶ。

こうして、弱水を、浅い川を渡るようにのり越え、不周山をも、ゆるやかな丘同然にふみ越える。

聖母に思いをはせて、心に喜び、長寿を祝う哀をたてまつられた。

 

 

(訳注) (20)#6-4

漂龍淵而還九垠兮,窺地底而上回。

龍淵に潜むところから浮かんで、それから九霊地の黄泉國を巡り見て、地上へ戻られた。

・龍淵 〔龍淵に潜む〕とされ、淵の奥深い所にとぐろを巻いて潜んでいるとされる。 「龍淵に潜む」は秋の季語。 龍は中国では霖旱(りんかん)を支配する神力を持った神獣と考えられていた。鬚のないのが蛟。

・九垠 天地のはて。天垠・九垓。九霊地。

地底 黄泉の国。

 

風傱傱而扶轄兮,鸞鳳紛其御蕤。

風は強く吹き寄せて車輪を支え、鸞や鳳凰がいり乱れて、車のひもをくわえて助けて飛ぶ。

 

梁弱水之濎濙兮,躡不周之逶蛇。

こうして、弱水を、浅い川を渡るようにのり越え、不周山をも、ゆるやかな丘同然にふみ越える。

・弱水 中国神話中、神々が住むとされている崑崙山(こんろんさん)から流れ出て、それを取り巻くように流れているとされている川。弱水の水は非常に弱々しく、この川ではどんな軽いものでも沈んでしまうという。

濎濙 浅い川を渡るようにのり越える。

・轄 車輪を止めておくくさび。

・不周 中国神話中の山。中国古代の地理書『山海経(せんがいきょう)』によれば、西北の海の外、大荒(だいこう)の隅にあるという。 「不周」は周囲が円周でなく形が崩れていることで、これには次のようなわけがあるといわれている。

・逶蛇 くねくねと曲がっているさま。

 

想西王母欣然而上壽兮,屏玉女而卻虙妃。

聖母に思いをはせて、心に喜び、長寿を祝う哀をたてまつられた。

・西王母 中国で古くから信仰された女仙、女神。姓は楊、名は回。 九霊太妙亀山金母、太霊九光亀台金母、瑶池金母、王母娘娘などともいう。 王母は祖母の謂いであり、西王母とは、西方の崑崙山上に住する女性の尊称である。

・欣然 よろこんで物事をするさま。

・虙妃 水と川を司る洛水の女神。黄河の神・河伯の妻。黄河にそそぐ川の一つ・洛水(らくすい)と伊川(いせん)が合流するあたりに住んでいる。後に后羿(こうげい)が洛嬪を奪って結婚したという伝説でもある。 「洛神(らくしん)」、「宓妃(ふっぴ)」とも呼ばれる。DCF00118