司馬相如 《上林賦 》(1(子虛と烏有先生のやりとりを聞いて)亡是公は、歯をのぞかせて笑い、こう語り始めた。「楚の側の子虛はもとより誤っているが、斉の側の烏有先生も正しいとは言えない。そもそも、天子が諸侯に貢納を命ずるのは、財産を集めようとするのではなく、それを機会として、諸侯に、治めている地方の情態を.言上させるためである。

 

2013年10月3日  同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
   
LiveDoor
司馬相如 《上林賦 》(1)#1-1 文選 賦<110-#1-1>13分割52回 Ⅱ李白に影響を与えた詩906 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3078
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
 LiveDoor
《和席八〔夔〕十二韻 〔元和十一年,夔與愈同掌制誥。〕》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <819>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3079韓愈詩-197-#1
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集  LiveDoor 660 《山寺〔自注:得開字,章留後同遊。〕》 蜀中転々 杜甫 <566-#1>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3080 杜甫詩1000-566-#1-810/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2 31曹植(曹子建) 《贈白馬王彪 其三》 魏詩 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 3081 (10/03)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor 採蓮子二首  其一 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-307-5-#61  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3082
 
 ■最近の人気の文・賦・詩・詞(漢詩の5ブログ各部門)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex

『楚辞・九歌』東君 屈原詩<78-#1505 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1332 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67664757.html 
『楚辞』九辯 第九段―まとめ 宋玉  <00-#35> 664 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2304 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6471825.html 
安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html 
為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html 
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html 
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-1>文選 雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html 
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。 
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
 
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html 
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html 
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。 
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
 
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
 
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

司馬相如 《上林賦 》(1#1-1 文選 賦<110-#1-113分割52回 Ⅱ李白に影響を与えた詩906 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3078

 

漢賦を集大成したといわれる司馬相如(BC179BC117)の代表作。賦と言えは、この作品が想起されると謂っても過言ではない。梁の孝千の客であった頃作った「子虚賦」が漢の武帝の目に止まって召し出され、その際、武帝のために改めて大子遊猟の賦を作ったのが本作品だとされる。『史記』と『漢書』ではこの二篇を一篇として載せているが、『文選』では「子虛賦」と「上林賦」の二篇に分けている。

「子虛」、「烏有」、「亡是公」という架空の二人物の問答で展開されるが、その名はいずれも「何もない」という意味に通じる。

 

(1)  #1-1

亡是公聽然而笑曰:「楚則失矣,齊亦未為得也。

夫使諸侯納貢者,非為財幣,所以述職也;

封疆畫界者,非為守禦,所以禁淫也。

今齊列為東藩而外私肅慎,捐國踰限,

越海而田,其於義固未可也。

(2)  #1-2

且二君之論,不務明君臣之義,

正諸侯之禮,徒事爭於遊戲之樂,

苑囿之大,欲以奢侈相勝,荒淫相越,

此不可以揚名發譽,而適足以貶君自損也。

 

#2

「且夫齊楚之事又烏足道乎!君未覩夫巨麗也,獨不聞天子之上林乎?左蒼梧,右西極,丹水更其南,紫淵徑其北。終始灞滻,出入涇渭;酆鎬潦潏,紆餘委蛇,經營乎其。蕩蕩乎八川分流,相背而異態,東西南北,馳騖往來;出乎椒丘之闕,行乎洲淤之浦;經乎桂林之中,過乎泱漭之野。汨乎混流,順阿而下,赴隘陜之口,觸穹石,激堆埼,怫乎暴怒,洶涌滂湃;滭弗汨,偪側泌;橫流逆折,轉騰洌,滂濞沆。穹隆雲橈,宛潬膠戾,踰波趨浥,蒞蒞下瀨;批巖衝擁,犇揚滯沛;臨坻注壑,瀺霣墜;沉沉隱隱,砰磅訇磕;潏潏淈淈,潗鼎沸;馳波跳沫,汨漂疾;悠遠長懷,寂漻無聲,肆乎永歸。然後灝潢漾,安翔徐徊,翯乎滈滈,東注太湖,衍溢陂池。

 

#3

  「於是乎蛟龍赤螭,䱎䲛漸離,鰬魠,禺禺鰨;揵鰭掉尾,振鱗奮翼,潛處乎深巖。魚鱉讙聲,萬物衆夥;明月珠子,的皪江靡;蜀石黃碝,水玉磊砢;磷磷爛爛,采色澔汗,叢積乎其中。鴻鷫鵠鴇,鵞屬玉,交精旋目,煩鶩庸渠,箴疵鵁盧,羣浮乎其上。汎淫泛濫,隨風澹淡,與波搖蕩,掩薄水渚,唼喋菁藻,咀嚼菱藕。

 

#4

  「於是乎崇山矗矗,巃崔嵬;深林巨木,嶄巖嵾嵳。九嵕嶻嶭,南山峩峩;巖阤甗錡,嶊崣崛崎。振溪通谷,蹇溝瀆,谽呀豁,阜陵別隝。崴嵬廆,丘虛堀,隱轔鬱,登降陁靡。陂池豸,沇溶淫鬻,散渙夷陸;亭皋千里,靡不被築。掩以綠蕙,被以江蘺,糅以蕪,雜以留夷;布結縷,攢戾莎;揭車蘅蘭,槀本射干;茈薑蘘荷,葴持若蓀;鮮支黃礫,蔣芧青薠;布濩閎澤,延蔓太原。離靡廣衍,應風披靡;吐芳揚烈,郁郁菲菲;衆香發越,肸蠁布寫,𦖈茀。

 

#5

  「於是乎周覽泛觀,縝紛軋芴,芒芒怳忽,視之無端,察之無涯。日出東沼,入乎西陂。其南則隆冬生長,涌水躍波;其獸則旄貘犛,沈牛麈麋;赤首圜題,窮奇象犀。其北則盛夏含凍裂地,涉冰揭河;其獸則麒麟角端,騊駼橐駝,蛩蛩驒騱,駃騠驢騾。

 

#6

  「於是乎離宮別館,彌山跨谷;高廊四注,重坐曲閣;華榱璧璫,輦道纚屬;步周流,長途中宿。夷嵕築堂,累臺增成,巖窔洞房。俯杳眇而無見,仰攀橑而捫天;奔星更於閨闥,宛虹拖於楯軒。青龍蚴蟉於東廂,象輿婉蟬於西清;靈圉燕於閒館,偓佺之倫暴於南榮;醴泉涌於清室,通川過於中庭。盤石振崖,嶔巖倚傾,嵯峨嶫,刻削崢嶸;玫瑰碧琳,珊瑚叢生。玉旁唐,玢豳文鱗,赤瑕駮犖,雜插其間;鼂采琬琰,和氏出焉。

 

#7

  「於是乎盧橘夏熟,黃甘橙楱;枇杷橪柿,奈厚朴;棗楊梅,櫻桃蒲陶;隱夫薁棣,荅遝離支;羅乎後宮,列乎北園;丘陵,下平原;揚翠葉,扤紫莖;發紅華,垂朱榮;煌煌扈扈,照曜鉅野。沙棠櫟櫧,華楓枰櫨;留落胥邪,仁頻並閭,欃檀木蘭,豫章女貞。長千仞,大連抱;誇條直暢,實葉葰楙。攢立叢倚,連卷欐佹;崔錯骪,坑衡砢;垂條扶疎,落英幡纚。紛溶蔘,猗柅從風;瀏蒞芔歙,蓋象金石之聲,管籥之音,池茈虒,旋還乎後宮。雜襲纍輯,被山緣谷,循坂下隰,視之無端,究之無窮。

 

#8

  「於是乎玄猿素雌,蜼玃飛𧕫,蛭蜩蠼猱,豰蛫,棲息乎其間。長嘯哀鳴,翩幡互經,夭蟜枝格,偃蹇杪顛。隃梁,騰殊榛;捷垂條,掉希間。牢落陸離,爛漫遠遷。若此輩者,數百千處。遊往來,宮宿館舍;庖廚不徙,後宮不移,百官備具。

 

#9

  「於是乎背秋涉冬,天子校獵。乘鏤象,六玉虯,拖蜺旌,靡雲旗;前皮軒,後道游。孫叔奉轡,衛公參乘;扈從橫行,出乎四校之中。鼓嚴簿,縱獵者;江江為阹,泰山為櫓。車騎雷起,殷天動地;先後陸離,離散別追,淫淫裔裔;緣陵流澤,雲布雨施。生貔豹,搏豺狼;手熊羆,足野羊。蒙鶡蘇,絝白虎;被班文,跨野馬。陵三嵕之危,下磧歷之坻;徑峻赴險,越壑厲水。推飛廉,弄獬豸格蝦蛤,鋋猛氏;羂騕褭,射封豕。箭不苟害,解脰陷腦;弓不虛發,應聲而倒。

 

10

  「於是乘輿弭節徘徊,翔往來;睨部曲之進退,覽將帥之變態。然後侵淫促節,倐遠去;流離輕禽,蹴履狡獸;𨎥白鹿,捷狡兔;軼赤電,遺光耀,追怪物,出宇宙。彎蕃弱,滿白羽;射游梟,櫟蜚遽。擇肉而後發,先中而命處;弦矢分,藝殪仆。然後揚節而上浮,凌驚風,歷駭猋,乘虛無,與神俱。藺玄鶴,亂昆鷄;遒孔鸞,促鵕䴊。拂翳鳥,捎鳳凰;捷鵷雛,揜焦明。道盡塗殫,迴車而還;招搖乎襄羊,降集乎北紘;率乎直指,晻乎反。蹶石闕,歷封巒;過鳷鵲,望露寒;下棠梨,息宜春。西馳宣曲,濯鷁牛首;登龍臺,掩細柳;觀士大夫之勤略,鈞獵者之所得獲,徒車之所𨏼轢,步騎之所蹂,人臣之所蹈藉,與其窮極倦𠙆,驚憚讋伏,不被創刃而死者,佗佗藉藉,填阬滿谷,揜平彌澤。

 

11

  「於是乎游戲懈怠,置酒乎顥天之臺,張樂乎膠葛之㝢;撞千石之鐘,立萬石之虡;建翠華之旗,樹靈鼉之鼓。奏陶唐氏之舞,聽葛天氏之歌;千人唱,萬人和;山陵為之震動,川穀為之蕩波。巴、宋、蔡,淮南、干遮,文成、顛歌。族居遞奏,金鼓迭起。鏗鎗闛鞈,洞心駭耳。荊、、鄭、衛之聲,韶、濩、武、象之樂,陰淫案衍之音;鄢、郢繽紛,激楚結風。俳優侏儒,狄鞮之倡;所以耳目、樂心意者,麗靡爛漫於前,靡曼美色於後。若夫青琴、宓妃之徒:殊離俗,妖冶閑都;靚莊刻飾,便嬛綽約,柔橈𡣬𡣬,嫵媚孅弱。曳獨繭之褕,眇閻易以戌削;便姍屑,與俗殊服。芬芳漚鬱,酷烈淑郁;皓齒粲爛,宜笑的皪。長眉連娟,微睇緜藐,色授魂與,心愉於側。

 

12

  「於是酒中樂酣,天子芒然而思,似若有亡曰:『嗟乎,此大奢侈!朕以覽聽餘閒,無事棄日,順天道以殺伐,時休息於此;恐後世靡麗,遂往而不返,非所以為繼嗣創業垂統也。』於是乎乃解酒罷獵,而命有司曰:『地可墾闢,悉為農郊,以贍氓隸;隤墻填塹,使山澤之人得至焉。實陂池而勿禁,虛宮館而勿仞。發倉廩以救貧窮,補不足;恤鰥寡,存孤獨。出德號,省刑罰;改制度,易服色;革正朔,與天下為始。』

 

13

  「於是歷吉日以齋戒,襲朝服,乘法駕;建華旗,鳴玉鸞;游乎六藝之囿,馳騖乎仁義之塗,覽觀春秋之林。射貍首,兼騶虞;弋玄鶴,舞干戚;載雲,揜羣雅;悲伐檀,樂『樂胥』。修容乎禮園,翔乎書圃。述易道,放怪獸;登明堂,坐清廟。恣羣臣,奏得失;四海之,靡不受獲。於斯之時,天下大,向風而聽,隨流而化;芔然興道而遷義,刑錯而不用;德隆於三皇,而功羨於五帝:若此,故獵乃可喜也。若夫終日馳騁,勞神苦形,疲車馬之用,抏士卒之精,費府庫之財,而無德厚之恩;務在獨樂,不顧衆庶。忘國家之政,貪雉兔之獲,則仁者不由也。從此觀之,齊、楚之事,豈不哀哉!地方不過千里,而囿居九百,是草木不得墾辟,而人無所食也。夫以諸侯之細,而樂萬乘之侈,僕恐百姓被其尤也。」

 

  於是二子愀然改容,超若自失,逡巡避席曰:「鄙人固陋,不知忌諱,乃今日見教,謹受命矣。

美女004 

 

(1)#1-1

亡是公聽然而笑曰:

(子虛と烏有先生のやりとりを聞いて)亡是公は、歯をのぞかせて笑い、こう語り始めた。

「楚則失矣,齊亦未為得也。

「楚の側の子虛はもとより誤っているが、斉の側の烏有先生も正しいとは言えない。

夫使諸侯納貢者,非為財幣,所以述職也;

そもそも、天子が諸侯に貢納を命ずるのは、財産を集めようとするのではなく、それを機会として、諸侯に、治めている地方の情態を.言上させるためである。

封疆畫界者,非為守禦,所以禁淫也。

また、諸侯の国々に境界を定めるのは、防衛のためではなく、節度を与えるためである。

今齊列為東藩而外私肅慎,捐國踰限,

今、斉の国は、東方の守りとして封ぜられているのに、私かに粛慎國と通じ、国を離れ、境を超える。

越海而田,其於義固未可也。

海を渡って狩りを行っている。諸侯の在り方からみて、まことに正しくないことである。

 

亡是【むぜ】公聽【こうちょう】然として笑いて曰く、「楚は則ち失せり,而して齊も亦た未だ得たりと為さず。

夫れ使諸侯をして納貢せしむるは,財幣の為に非らず,職を述ぶる所以なり。

疆を封じ界【さかい】を畫【かぎ】るは,守禦の為に非らず,淫すること禁ずる所以なり。

今 齊は列して東藩ろ為り、而も外に肅慎【しゅくしん】に私せり。

國を捐【す】てて限りを踰え,海を越えて田【かり】し,其れ義に於いて固【まこと】に未だ可ならず。

 

(2)#1-2

且二君之論,不務明君臣之義,

正諸侯之禮,徒事爭於遊戲之樂,

苑囿之大,欲以奢侈相勝,荒淫相越,

此不可以揚名發譽,而適足以貶君自損也。

 

且つ二君の論は,君臣の義を明らかにし,諸侯の禮を正さんことを務めず。

徒らに遊戲の樂しみ,苑囿の大いなるを爭わんことを事とす。

奢侈を以って相い勝ち,荒淫をもって相い越えんと欲っす。

此れを以って名を揚げ譽れを發す可からず,而して適に以って君を貶め自ら損するに足れり。

 

 

『上林賦』 現代語訳と訳註

(本文) (1)#1-1

亡是公聽然而笑曰:「楚則失矣,齊亦未為得也。

夫使諸侯納貢者,非為財幣,所以述職也;

封疆畫界者,非為守禦,所以禁淫也。

今齊列為東藩而外私肅慎,捐國踰限,

越海而田,其於義固未可也。

 

 

(下し文) (1)#1-1

亡是【むぜ】公聽【こうちょう】然として笑いて曰く、

「楚は則ち失せり,而して齊も亦た未だ得たりと為さず。

夫れ使諸侯をして納貢せしむるは,財幣の為に非らず,職を述ぶる所以なり。

疆を封じ界【さかい】を畫【かぎ】るは,守禦の為に非らず,淫すること禁ずる所以なり。

今 齊は列して東藩ろ為り、而も外に肅慎【しゅくしん】に私せり。

國を捐【す】てて限りを踰え,海を越えて田【かり】し,其れ義に於いて固【まこと】に未だ可ならず。

 

 

(現代語訳)

(子虛と烏有先生のやりとりを聞いて)亡是公は、歯をのぞかせて笑い、こう語り始めた。

「楚の側の子虛はもとより誤っているが、斉の側の烏有先生も正しいとは言えない。

そもそも、天子が諸侯に貢納を命ずるのは、財産を集めようとするのではなく、それを機会として、諸侯に、治めている地方の情態を.言上させるためである。

また、諸侯の国々に境界を定めるのは、防衛のためではなく、節度を与えるためである。

今、斉の国は、東方の守りとして封ぜられているのに、私かに粛慎國と通じ、国を離れ、境を超える。

海を渡って狩りを行っている。諸侯の在り方からみて、まことに正しくないことである。

 

 

(訳注) (1)#1-1

「子虛」、「烏有」、「亡是公」という架空の二人物の問答で展開されるが、その名はいずれも「何もない」という意味に通じる。

 

 

亡是公聽然而笑曰:

(子虛と烏有先生のやりとりを聞いて)亡是公は、歯をのぞかせて笑い、こう語り始めた。

 

 

「楚則失矣,齊亦未為得也。

「楚の側の子虛はもとより誤っているが、斉の側の烏有先生も正しいとは言えない。

 

夫使諸侯納貢者,非為財幣,所以述職也。

そもそも、天子が諸侯に貢納を命ずるのは、財産を集めようとするのではなく、それを機会として、諸侯に、治めている地方の情態を.言上させるためである。

・納貢 諸侯に貢納を命ずる

・財幣 貢物によって財産形成をする。

 

封疆畫界者,非為守禦,所以禁淫也。

また、諸侯の国々に境界を定めるのは、防衛のためではなく、節度を与えるためである。

 

今齊列為東藩而外私肅慎,捐國踰限。

今、斉の国は、東方の守りとして封ぜられているのに、私かに粛慎國と通じ、国を離れ、境を超える。

 

越海而田,其於義固未可也。

海を渡って狩りを行っている。諸侯の在り方からみて、まことに正しくないことである。

・田 畋:狩猟する。
DCF00003