司馬相如《上林賦 (28) やがて、道が窮まると、車を廻らせてお帰りになる。ゆったりと巡り行き、北の果てに、天から下り立ち、そこから、上林苑まで、まっすぐに向かい、速やかにお戻りになる。

 

2013年10月30日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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司馬相如《上林賦

(28)#10-3  文選 賦<110-10313分割38回 Ⅱ李白に影響を与えた詩933 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3213

 

 

10-1

「於是乘輿弭節徘徊,翔往來。

さて、この上林苑において天子は車馬に乗りあちこちを回って、そして、旋回し、そして、行きつ戻りつして、

睨部曲之進退,覽將帥之變態。

巡り行き、部隊の動き具合いや、指揮官たちの様々な姿をご覧になる。

然後侵淫促節,倐遠去;

その後、次第に、馬の歩調を速められ、たちまちのうちに、遠方へ駆け去って行かれる。

流離輕禽,蹴履狡獸;

小鳥たちをけちらし、すばやい獣たちを踏み倒し、

𨎥白鹿,捷狡兔;

白い鹿を車軸に当て、すばやい兎を捕獲される。
軼赤電,遺光耀,

さらに、赤い妖光を追い越し、その光を後ろに見て、

追怪物,出宇宙。

怪しい鳥獣を追い求め、天地の果てを超えて進まる。

 

10-2

彎蕃弱,滿白羽;

古代からの良弓の蕃弱の弓をひき、白羽の矢を引き絞り

射游梟,櫟蜚遽。

走る梟羊、飛ぶ遽を射とめられるのである。

擇肉而後發,先中而命處;

天子の弓の腕前は、どの場所の肉に矢を当てるかを決めてから、矢を放たれ、その矢が命中する前に、その場所を口にされるほどである。

弦矢分,藝殪仆。

矢が弦を離れるやいなや、的となった鳥獣は倒れ伏すのだ。

然後揚節而上浮,凌驚風,

その後、天子は、馬あしを上に向け、空に浮かび昇られ、疾風を越え、

歷駭猋,乘虛無,與神俱。

つむじ風を横切り、虚空に上り、神霊に出会われる。

 

10-3

藺玄鶴,亂昆鷄;

そこでは、黒い鶴を踏みつけ、昆鶉の群れを乱し、

遒孔鸞,促鵕䴊

孔雀と鸞鳥に追いつき、鵕䴊を捕らえ、

拂翳鳥,捎鳳凰;

鳳の一種である翳鳥を払いのけ、鳳凰を打ち、

捷鵷雛,揜焦明。

鵷雛を促え、焦明を抑えてとるのである。

道盡塗殫,迴車而還;

やがて、道が窮まると、車を廻らせてお帰りになる。

招搖乎襄羊,降集乎北紘;

ゆったりと巡り行き、北の果てに、天から下り立ち、

率乎直指,晻乎反

そこから、上林苑まで、まっすぐに向かい、速やかにお戻りになる。

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10-4

蹶石闕,歷封巒;

過鳷鵲,望露寒;

下棠梨,息宜春。

西馳宣曲,濯鷁牛首;

登龍臺,掩細柳;

 

10-5

觀士大夫之勤略,鈞獵者之所得獲,

徒車之所𨏼轢,步騎之所蹂

人臣之所蹈藉,與其窮極倦𠙆

驚憚讋伏,不被創刃而死者,

佗佗藉藉,填阬滿谷,揜平彌澤。

 

10-1

「是に於いて乘輿 節を弭【なび】かして徘徊し,翔【こうしょう】として往來す。

部曲の進退を睨【み】,將帥の變態を覽る。

然る後 侵淫【しんいん】として節を促やかに,倐【しゅくけい】として遠く去る。

輕禽【けいきん】を流離し,狡獸【こうじゅう】を蹴履【しゅくり】す。

白鹿を𨎥【す】り,狡兔【こうと】を捷る。

 

10-2

赤電を軼【す】き,光耀【こうよう】を【のこ】し

怪物を追い,宇宙より出づ。

蕃弱【はんじゃく】を【ひ】きて,白羽を滿し、

游梟【ゆうきょう】を射,櫟蜚遽【ひきょ】を【う】つ

肉を擇【えら】びて而して後に發ち,中【あた】るにだちて而して處を命ず。

弦矢【げんし】分れて,藝【まと】【たお】れ【ふ】す

然る後 節を揚げて而して上り浮かべ,驚風を凌ぐ。

駭猋【がいひょう】を【へ】,虛無に乘り,神と俱にす。

 

10-3

玄鶴【げんかく】を【ふ】み,昆鷄を亂り、

孔鸞【こうらん】を【せめと】り鵕䴊【しゅんぎ】を【せめと】り。

翳鳥【えいちょう】を拂い,鳳凰を捎【う】ち、

鵷雛【えんすう】を捷【と】り,焦明【しょうめい】を揜【おお】う。

道盡き塗殫【つ】きて,車を迴らせて還える。

招搖【しょうよう】乎【こ】として襄羊【じょうよう】し,乎として北紘に降集す。

 

10-4

率乎【そつこ】として直に指し,晻乎【えんこ】として反り【おか】う。

石闕【せきけつ】を蹶【ふ】み,封巒【ほうらん】を歷【へ】、

鳷鵲【しじゃく】を過【よぎ】り,露寒を望み、

棠梨【とうり】に下り,宜春【ぎしゅん】に息う。

西のかた宣曲に馳せ,鷁【げき】を牛首に濯う。

 

10-5

龍臺に登り,細柳に掩【とど】まる。

士大夫の勤略を觀て,獵者【りょうしゃ】の得獲【とくかく】する所を鈞【ひと】しくする,

徒車の𨏼【ふ】み【ふ】む所と,步騎の蹂【ふ】み【にし】る所と

人臣の蹈【ふ】藉【ふ】む所と,其の窮極 倦𠙆【けんげき】し

驚憚【きょうたん】讋伏【しょうふく】し,創刃を被らずしてに死する者に與り

佗佗【たた】藉藉【せきせき】として,阬【たに】に【み】ち谷に滿ちて,平【はら】を【おお】い澤を彌【わた】れり

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『上林賦』 現代語訳と訳註

(本文) 10-3

藺玄鶴,亂昆鷄;

遒孔鸞,促鵕䴊

拂翳鳥,捎鳳凰;

捷鵷雛,揜焦明。

道盡塗殫,迴車而還;

招搖乎襄羊,降集乎北紘;

率乎直指,晻乎反

 

 

(下し文) 10-3

玄鶴【げんかく】を藺【ふ】み,昆鷄を亂り、

孔鸞【こうらん】を遒【せめと】り,鵕䴊【しゅんぎ】を促【せめと】り。

翳鳥【えいちょう】を拂い,鳳凰を捎【う】ち、

鵷雛【えんすう】を捷【と】り,焦明【しょうめい】を揜【おお】う。

道盡き塗殫【つ】きて,車を迴らせて還える。

招搖【しょうよう】乎【こ】として襄羊【じょうよう】し,乎として北紘に降集す。

 

 

(現代語訳)

そこでは、黒い鶴を踏みつけ、昆鶉の群れを乱し、

孔雀と鸞鳥に追いつき、鵕䴊を捕らえ、

鳳の一種である翳鳥を払いのけ、鳳凰を打ち、

鵷雛を促え、焦明を抑えてとるのである。

やがて、道が窮まると、車を廻らせてお帰りになる。

ゆったりと巡り行き、北の果てに、天から下り立ち、

そこから、上林苑まで、まっすぐに向かい、速やかにお戻りになる。

 

 

(訳注) 10-3

藺玄鶴,亂昆鷄;

そこでは、黒い鶴を踏みつけ、昆鶉の群れを乱し、

○昆鶏 張稗によれば、鶴に似て、貰白色の鳥。

 

遒孔鸞,促鵕䴊

孔雀と鸞鳥に追いつき、鵕䴊を捕らえ、

鵕䴊 『漢書』音義が曰う:「鵕䴊鳥名である。毛羽を以て冠を飾り,貝を以て帶を飾る。」とあるもの。

 

拂翳鳥,捎鳳凰、

鳳の一種である翳鳥を払いのけ、鳳凰を打ち、

○翳鳥 『山海繹』「海内経」に、「北海の内、蛇山なるもの有り、五采の鳥有り、飛べば一郷を蔽ふ。名を翳鳥という」とあるもの。鳳の一種。

 

捷鵷雛,揜焦明。

鵷雛を促え、焦明を抑えてとるのである。

○焦明 南方の霊鳥。

 

道盡塗殫,迴車而還、

やがて、道が窮まると、車を廻らせてお帰りになる。

 

招搖乎襄羊,降集乎北紘、

ゆったりと巡り行き、北の果てに、天から下り立ち、

○消揺乎襄羊 消揺も襄羊も、ともに疊韻語で、きままにさまよう形容。

 

率乎直指,晻乎反

そこから、上林苑まで、まっすぐに向かい、速やかにお戻りになる。
上林苑01