班固)《西都賦》(48) 世々代々人目を引く繁栄ぶりで、それぞれその所を失わず安んじて営む。私ごとき者では、ただ旧跡を遊覧し、西都長安のことを古老に聞いただけのことなのだ。十分の一ほどもわかっていないのかもしれない。だからもれなく列挙してうたいつくすわけにはまいりませぬ。

 

2014年1月7日  の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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班孟堅(班固)《西都賦》(48)#18(世々代々の繁栄)-2 文選 賦<112―48>最終回 Ⅱ李白に影響を与えた詩1002 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3558
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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《贈別元十八協律,六首之一》嶺南行(5)韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <915>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3559韓愈詩-240
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集  LiveDoorブログ 廣徳2年764-1 《韋諷錄事宅觀曹將軍畫馬圖》 蜀中転々 杜甫 <650>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3560 杜甫詩1000-650-906/1500743
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2ブログ 247 《歎昨日三首其三》盧仝 中唐詩  kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 3561 (01/07)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集
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班孟堅(班固)《西都賦》(48)#18(世々代々の繁栄)-2 文選 賦<1124818分割55回 Ⅱ李白に影響を与えた詩1002 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3558

 

(18)#7-1

「其宮室也,體象乎天地,經緯乎陰陽。

(宮室の美)その宮室は、天と地との形に象り東西南北、陰陽の法に合わせてある。

據坤靈之正位,倣太紫之圓方。

南北、東西の方向を定め、坤の地勢の中正な位置、陰の正位置を足場として、祭政一致の政事をする明堂を造営し、星座大数の円形と星座紫宮の方形どおりに作りあげる。

樹中天之華闕,豐冠山之朱堂。

天に中する壮麗な未央官の宮門「東闕」と「北闕」とをうち建て、山上の冠のごとく朱塗りの殿堂を壮大に構築する。

其のかん宮室は、天地に象【かたど】り、陰陽を経緯し、

【こんれい】の正位にり、柴の方【えんぽう】に【なら】う。

中天の華闕【かけつ】を樹て、冠山の朱堂を豊にす。

  

(19)#7-2

因瑰材而究奇,抗應龍之虹梁。

珍木の材木を利用し、細工の妙を尽くして、翼をもつ応龍のごとく湾曲させた虹梁をせりあげる。

列棼橑以布翼,荷棟桴而高驤。

棟木と橑を次々と並べて屋限づまを翼のようにそりかえり、張り広がっていて、あたかも大小の棟木を肩に荷って空高くおどりあがらんばかりである。

雕玉瑱以居楹,裁金璧以飾璫。

堂内の大きな丸柱は、玉の礎を彫りさげてそこにすえ、屋根の榱の小口は、黄金の壁をしたててそのふち飾りとする。

發五色之渥彩,光爓朗以景彰。

そこから五色の美しい光彩をはなち、焔のような光があかあかと色とりどりに輝いている。

  

(20)#8(數々の宮殿)-1

於是左右平,重軒三階。

(數々の宮殿)ここ、宮殿の左(東)は階級【きざはし】の人道、右(西)は敷き瓦のなだらかな坂の車道。

閨房周通,門闥洞開。

二重の欄干と三段の階段とがあり、お局はここと道続きにとりまき、大門中門はそれぞれ相対している。

列鍾虡於中庭,立金人於端闈。

中庭に銅鐘の懸け台をおしならべ、正門に銅の人像を立てたのである。

仍增崖而衡閾,臨峻路而扉。

龍首の山の高い崖を利用して門の閾を構たえ、けわしい坂道を下に見て正門の扉が開いている。

徇以離宮別寢,承以崇臺閒館。

この未央宮のそばに、離宮・別殿が輪になってめぐり、それにあん接するように高台やがらんとした大きな館が建っている。

是に於て、左は、右は、重軒三階、

閏房周く通じ、門闥【もんたつ】【ほがらか】に開く。

鍾虡【しょうきょ】を中庭に列ね、金人を端闈【たんい】に立つ。

檜崖にりて閾【しきみ】を衡【よこた】へ、岐路に臨んで扉を啓【ひら】き、

徇【めぐ】らすに離宮別を以てし、承【うく】るに崇臺館を以てす。

(21)#8-2

煥若列宿,紫宮是環。

あたかももろもろの居並ぶ星座や紫微官の星座が天帝の紫宮のまわりをめぐるがごとく、照りかがやいている。

清涼宣溫,神仙長年。

清涼殿・宣温殿・神仙殿・長年殿がある。

金華玉堂,白虎麒麟。

そして、金華殿・玉堂殴・白虎殿・麒麟殿とあり、

區宇若茲,不可殫論。

御殿の区域は各々この通りであり、とてもことごとく語りつくせないのである。

增盤崔嵬,登降炤爛。

重なりあって屈曲する御殿あり、高々とそびえた御殿あり、高きも低きもともどもあざやかにかがやいている。

殊形詭制,每各異觀。

独特の形をしたものや珍しい造作のものや、一つ一つ各々外観が違っている。

乘茵步輦,惟所息宴。

手輿をかつがせたり、手車をひかせたりして、高貴の婦人たちがもっぱら息い安らぐ場所となっている。

 

煥【かん】として列宿の紫宮を是れるが若く、

清涼、宣温、神仙、長年、

金華、玉堂、白虎、麒麟、

區宇【くう】茲【かく】の若く、【ことごと】く諭ず可からず。

增盤【そうばん】崔嵬【さいかい】,登降 炤爛【しょうらん】

殊形【しゅけい】詭制【きせい】、毎に各のを異にす。

乘茵【じょういん】步輦【ほれん】、惟だ息宴する所のままなり。

#9(後宮の華麗)

(22)#9―1

後宮則有掖庭椒房,后妃之室。

(後宮の華麗) 後宮には、掖庭宮、椒房殿があり、ともに后妃のすまいである。

合歡增城,安處常寧。

それには、合歓殿・増城殿・安処殿・常寧殿があり、

茞若椒風,披香發越。

若殿・椒風殿・披香殿・発越殿とつづき、

蘭林蕙草,鴛鸞飛翔之列。

蘭林殿・蕙草殿・鴛鸞殿・飛翔殿の御殿がおしならぶのである。

 

(23)#9―2

昭陽特盛,隆乎孝成。

ことに昭陽殿は盛大で、成帝の代にはますます栄えた。

屋不呈材,牆不露形。

その棟梁の材木は木地をかくし、牆は形をむきださず、

裛以藻繡,絡以綸連。

五色のあや模様の錦蹄でまいてつつみこみ、靑糸の組みひもが巻きつけてある。
隨侯明月。錯落其間。

随侯の明月といわれる珠玉が、その中に入りまじる。

金釭銜璧,是為列錢。

轂鉄塾の黄金の環は、璧の帯のごとき横木を飾り、玉をふくみ、これを銭の行列さながらに連続させる。

 

(24)#9―3

翡翠火齊,流耀含英。

弱翠の羽飾りのある火斉の天明りは、遠くまで照らし光を内に含んでいる。

懸黎垂棘,夜光在焉。

天下の名宝、懸黎や垂棘の玉、それに夜光の玉もここにはそろっている。

於是玄墀釦砌,玉階彤庭。

ここの堂の前は漆塗りの黒色のたたき、階段は黄金塗りの敷きみぎわの瓦、白玉のきざはし、朱色の中庭がある。

礝磩綵緻,琳蒞青熒。

そこにあるのさざれ石は、色どりも美しくきめこまか、琳蒞の石は、青色に光っている。

珊瑚碧樹,周阿而生。

珊瑚や碧樹の玉石の林が、庭のくまをめぐり生えている。

 

(25)#9―4

紅羅颯纚,綺組繽紛。

宮女の紅い薄絹の長袖は長くうちなびき、あや絹の組みひもはもつれ乱れる。

曜華燭,俯仰如神。

そのまぶしいまでのうるわしさ、はなやかなおしゃれが照りかがやいて、身のこなしはまるで女神さながらである。

後宮之號,十有四位。

後宮の女性の称号に十四の位の別がある。

窈窕繁華,更盛迭貴。

しとやかな美女もあり、花盛りの美女もあり、たがいに栄達したがいに高貴の身となる。

處乎斯列者,蓋以百數。

この序列におる宮女はおよそ百をもって数える。

燕尾を垂らす 

#10-1

左右庭中,朝堂百寮之位。

(朝廷の百官) 未央宮の広庭の朝堂に左右して、百官の座がある。

蕭曹魏邴,謀謨乎其上。

高祖の宰相蕭何・曹参や、宣帝の宰相魏相・邴吉などは、その堂上で国事の方針を決めた。

佐命則垂統,輔翼則成化。

高祖受命の大業を手伝っては皇統を永く子孫に伝え、宣帝をたすけては太平の世とする。

流大漢之愷悌,盪亡秦之毒螫。

そして大漢の仁政を天下にはどこし、亡秦の虐政の毒害を一掃した。

故令斯人揚樂和之聲,作畫一之歌。

だから西都の人々は太平楽に合わせて和累の声を揚げ、「画一の歌」まで作ることとなったのだ。

#10-2

功德著乎祖宗,膏澤洽乎黎庶。

功業徳行ともに祖宗の先帝を顕彰し、その恩沢は、しもじもの民草にまでおよんだ。

又有天祿石渠,典籍之府。

さて未央宮の西は、天疎開・石渠閣という典籍を所蔵する書庫がある。

命夫惇誨故老,名儒師傅。

かの一意専心指南する古老、名儒、師、傳に命じて、

講論乎六蓺,稽合乎同異。

六芸を講論させ、諸説の同異を比較検討させる。

又有承明金馬,著作之庭。

また承明盧・金馬門という著作の官署がある。

大雅宏達,於茲為群。

すぐれた文学者や博学達識の学者が、ここには群れをなしている。

#10-3

元元本本,殫見洽聞。

根源、典籍の板木にさかのぼり、もれなく見聞して、

發篇章,校理秘文。

文章の意義を明らかにし、秘蔵の文献を校定整理する。

周以鉤陳之位,衛以嚴更之署。

星座鉤陳の六つの星が紫微官を守る位置にあるように、未央官の周囲には、夜警の官署を置いて護衛する。

總禮官之甲科,群百郡之廉孝。

礼官の試験の甲科に合格し郎中となった者をここにあつめ、また群国から推挙された廉直、孝行の士をよせあつめる。

虎賁贅衣,閹尹閽寺。

さらに虎賁の武土、近臣、宦官の長、門衛、中臣たちがおり、

陛戟百重,各有典司。

きざはしの下に戟戈を手にし、十重列、二十重列と整列して守護し、そのおのおのには監督の司が設けられている。

(29)11-1

周廬千列,徼道綺錯。

(閣道と建章宮) 未央宮の周囲は、衛卒の宿直の詰所が幾重にも列をつくり、巡視の道路が迷路のように入りまじる。

輦路經營,脩除飛閣。

輦車の通る閣道は、まっすぐな通路となる所もあれば、弧を画く通路となるところもあり、長く伸びた閣道と高々と架けわたした飛閣とが続く。

自未央而連桂宮,北彌明光而亙長樂。

閣道は末央宮から桂宮につらなり、北は明光殿に至り、そこから東の長楽宮にわたってゆく。

道而超西墉,建章而連外屬。

坂道を越えて登り西のかたの城郭を飛びこえ、建章官と合体してから宮外に続く。

設璧門之鳳闕,上觚稜而棲金爵。

璧門という建章宮の正門と鳳闕という望楼とを設け、屋眼は隅を高くそりあげて、金色の鳳凰が据えられている。

 (30)11-2

則別風之嶕嶢,眇麗巧而聳擢。

その内側に風の方向を知るという別風闕の望楼があり、高きが上にも高く、壮麗きわまる美観を呈し、細工の巧をつくしてそそり立つ。

張千門而立萬,順陰陽以開闔。

千という門を設け、万という門扉を立て、夜と昼とにしたがって開閉する。

爾乃正殿崔嵬,層構厥高,臨乎未央。

かくて建章宮の正殿は高大で層を重ねて構築され、その高さは未央の宮殿を下に見おろすほどである。

經駘盪而出馺娑,洞詣以與天梁。

四つの殿堂があり、駘盪殿を通り抜け馺娑殿より出て、殿をつきぬけると天梁殿に達する。

上反宇以蓋戴,激日景而納光。

殿堂を覆う屋根は、はね上がる飛簷の軒であるので、宮殿の美しい輝きが、外の日光に反射して逆光となり、宮室にさしこみ照りはえる。

 

(31)12(建章宮の高楼)-1

神明鬱其特起,遂偃蹇而上躋。

(建章宮の高楼)建章宮の神明台は、むくむくと身を起こして独りだちとなり、引き続き高々と上へ上へと高さ五十丈ものぼっていく。

軼雲雨於太半,虹霓迴帶於棼楣。

三分の二ほどのところで雲雨を追い抜き、最上層の棟と梁のまわりには虹が帯のようにとりまいている。

雖輕迅與僄狡,猶眙而不能階。

たとえ身軽く早業のものや、すばしこいものであっても、これにはたじろいて見つめるばかりで、そこまで一気にのぼりつくことができない。

攀井幹而未半,目眴轉而意迷。

井幹楼をよじのぼったら、まだ半分にも達しないのに、目はくらみ心は動転するほどだ。

舍櫺檻而卻倚,若顛墜而復稽。

手すりをはなしたら、後すざりしてよりかかろうとすれば、今にも転落しそうな気がして、またふみとどまる。

 (32)122

魂怳怳以失度,巡迴塗而下低。

魂はうつろに度を失い、まわりまわった道をめぐって下へおりてくる。

既懲懼於登望,降周流以徬徨。

高楼に登り遠くを望見するはもう懲りこりと思いとどまって、そこを降り処々をめぐり歩きして、先を急がず徘徊する。

步甬道以縈紆,又杳而不見陽。

高い閣道の渡り廊下の中にふみこんで、ぐるぐるまがりまがると、さらに奥は深くなり暗くて日もささぬ。

排飛闥而上出,若遊目於天表,似無依而洋洋。

そこで飛閣の屋根に張り出した小門をおしひらき上に出ると、あたかも天外をはるかに見わたすかのようで、すがるものとてなくて身は虚空にただようかのよう。

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(33)#13(神仙境)-1

前唐中而後太液,覽滄海之湯湯。

(神仙境) 建章宮の前には中庭があり池があり、そこにつながる後に太液の池があり、そちらに目をそそげば仙郷にむかう滄海がありそこにみずは滔滔と流れている。

揚波濤於碣石,激神岳之嶈嶈。

大きな波を碣石山にうち揚げるようにし、そして高い神岳にぶつかって奔流する。

濫瀛洲與方壺,蓬萊起乎中央。

太液の池には漏洲・方丈・壺梁の仙山がうかび、蓬莱山がその中央にそびえ立っている。

於是靈草冬榮,神木叢生。

ここには、霊草が冬も花を開き枯れることなく、太古以来の神木がむらがりそだっている。

巖峻崒,金石崢嶸。

けわしい山岳が高々とそびえ、金や石の峰がさかしくそそり立っている。

 (34)#13(神仙境)-2

抗仙掌以承露,擢雙立之金莖。

天に向かって仙人の掌をおしあげて甘露を受けるようにして、一対の直立する銅柱を高く上へのばす。

軼埃之混濁,鮮顥氣之清英。

塵挨によごれた下界のにごりを越えて、天の垢ない白い気の結ぶ露こそ清浄という次第なのだ。

騁文成之丕誕,馳五利之所刑。

これを建てた武帝は、方士の文成将軍の大ぼらにのり、方士の五利将軍の詐術をほしいままに実行したのだ。

庶松喬之群類,時遊從乎斯庭。

古代の赤松子や王子喬などの神仙どもが、常にこの庭で自分と遊んでもらいたいと思った。

實列仙之攸館,非吾人之所寧。

まことにその通りここは仙人たちの館であっても、われら人間の安んじて住む邸宅ではない。

 

(35)#14(上林苑の狩猟)-1

「爾乃盛游之壯觀,奮泰武乎上囿。

(上林苑の狩猟) さて、壮観を極める遊猟を盛大に行って、上林苑で錬武にはげむ。

因茲以威戎夸狄,耀威靈而講武事。

これで西戎を威圧し北狄に誇示し、武技を訓練して威力を遠く四方に示す。

命荊州使起鳥,詔梁野而驅獸。

荊州の人に命じて鳥を飛びたたせ、梁野の人に詔げて獣を追い出させる。

毛群闐,飛羽上覆。

獣の群れは苑内にいっぱいになり、鳥の群れはその上空を覆う。

接翼側足,集禁林而屯聚。

翼をまじえ足をそばだて立錐の余地もなく、上林の禁苑に集まって一所に群がり集まる。

 (36)#14-2

水衡虞人,修其營表。

神苑管理の水衛、虞人の役人が、狩人の隊伍を整える。

種別群分,部曲有署。

各部隊に分かれた各班に編成されて、部隊と班(曲)とにはそれぞれその長がいる。

罘網連紘,籠山絡野。

網はその紘を長々と張りまわし、山を包みこみ野をとりまいている。

列卒周匝,星羅雲布。

その周辺を勢子たちがぐるりと包囲して、星のごとく点々とつらなり、雲のごとく展開して待機する。

於是乘鑾輿,備法駕,帥群臣。

この時天子は御車に乗り、六頭立ての馬をしたて、群臣をひきいられている。

 (37) #14-3

披飛廉,入苑門。

都の飛廉館の門を左右に開いて出御され、上林苑の門内に入る。

遂繞酆鄗,歷上蘭。

続いて周の文王の古都である酆と、武王の古都である鄗の地の外郭をまわり、上蘭観を通過する。

六師發逐,百獸駭殫。

全軍はそれとばかりに起ちあがって獲物を追えば、百獣は驚きうろたえる。

震震爚爚,雷奔電激。

ごろごろ、ぴかぴかと急雷が鳴り稲妻が激突するかのように震動する。

草木塗地,山淵反覆。

草木は地にまみれ、山もくつがえれば淵もかたむく。

蹂躪其十二三,乃拗怒而少息。

獲物の十の二か三をふみにじってから、やっと昂奮をおさえてひと息つく。

(38)#15(上林苑の狩猟ⅱ)-1

爾乃期門佽飛,列刃鑽鍭,要趹追蹤。

かくて、「期門」の勇士と古の名剣士「佽飛」の武官の両々が、刃をつらねヤサキをそろえて、後足をけって走り来る獲物を待ち伏せ、逃げるものは追いかける。

鳥驚觸絲,獸駭鋒。

鳥は驚いて網にひっかかり、獣はうろたえ鋒にあたる。

機不虛掎,弦不再控。

だから、石弓の仕掛けを引くも一発必中はずすわけにはいかないし、弓弦をしぼる場合も一発必中しなければいけないのだ。

矢不單殺,中必疊雙。

矢は一つの獲物を射とめるだけでなく、あたれば必ず二つをつらぬく。

颮颮紛紛,矰繳相纏。

びゅうびゅうと次々に飛んで矰繳がまといついてとらえる。

風毛雨血,灑野蔽天。

毛は風に舞いあがり血は雨となってふり、原野一面にそそぎ天をおおう。

 

(39)#15-2

平原赤,勇士厲,

平原は赤く染まり、勇士はいきり立つ。

猿狖失木,豺狼懾竄。

黒手長大猿は木より落ち、狼はおそれおののき身をかくす。

爾乃移師趨險,並蹈潛穢。

かくて部隊を移し険阻な土地にそっと急がせて、深い草むらを列をなしてふみつけると、

窮虎奔突,狂兕觸蹶。

追いつめられた虎は飛ぶがごとく暴走突進し、狂った野牛はつまずきひっくりかえる。

許少施巧,秦成力折。

すばしこさで有名な古の許少のごときわざ師が、わざをかけてとりおさえる。

大力で有名な古の秦成のごとき力士が、力づくでとりひしぐ。

掎僄狡,扼猛噬。

すばしこい獣はその後足を引き倒し、威猛けだかにかみつく獣はその首をおさえこむ。

 

 

(40)#15-3

角挫脰,徒搏獨殺。

角を抜き頭をくじき、素手でうちすえ、ひとりで殺してしまう。

挾師豹,拖熊螭。

獅子や豹をかきいだき、熊や螭を引きずりこむ。

曳犀犛,頓象羆。

犀や犛牛を後にひっぱり、象や熊を引きよせる

超洞壑,越峻崖。

深い谷をとびこえ、けわしい崖をのり越える。

蹶嶄巖,鉅石隤。

きり立つ岩の峰に足をかけると、巨石は崩れる。

松柏仆,叢林摧。

松柏は横倒しされ、やぶはひしがれる。

草木無餘,禽獸殄夷。

残る草木一つだになく、禽獣はあますところなく殺される。

 

(41)16(狩猟後の饗宴と昆明地ⅰ)-1

於是天子乃登屬玉之館,歷長楊之榭。

さて、こうして、天子は、属玉の館に登り、長楊官の台樹を通りぬける。

覽山川之體勢,觀三軍之殺獲。

そこで、山川の形勢に目をとめて、全軍の殺戮した獲物を仔細に視察なさるのである。

原野蕭條,目極四裔。

原野は静まりかえり生物一つなく、四方の果てまで日はとどきわたる。

禽相鎮壓,獸相枕藉。

鳥は上に下にと重なりあい、獣はたおれて重なりあう。

然後收禽會眾,論功賜胙。

この後で獲物を収容して士卒を集合させ、功を論じて胙を賜う。

陳輕騎以行炰,騰酒車以斟酌。

軽騎兵の軍官が列を組んで肉を丸焼きにし、酒の車を馳せて酒をつぐ。

 

(42)#16-2

割鮮野食,舉烽命釂。

生き新鮮なよい肉を切り割いて野外で食事をとり、松明を合い図に乾杯せよとのご命令をくだされる。

饗賜畢,勞逸齊。

恩賜の饗宴が終わると、尽力を盡した者には重く、楽をした者には軽く、苦楽に合わせてねぎらわれた。

大路鳴鑾,容與徘徊。

天子の車は鈴を鳴らし、ゆっくり禁苑を旋回する。

集乎豫章之宇,臨乎昆明之池。

苑中の予章観の屋形に至り、昆明の池を見おろされる。

左牽牛而右織女,似雲漢之無涯。

左手に牽牛星、右手に織女星の石像があり、天の河のはてしない広がりに似ている。

茂樹蔭蔚,芳草被隄。

茂った木が青々と木蔭をつくり、芳香をはなつ草が堤をおおっている。

 

(43)#16-3

蘭茞發色,曄曄猗猗。

蘭やヨロイ草の花が色づき、草木や花が光沢にかがやき、美しくしげる。

若摛錦布繡,瀦燿乎其陂。

錦をしきひろげ、刺繍をしきのばすがごとく、その堤の法面にあざやかに光っている。

鳥則玄鶴白鷺,黃鵠鵁鸛。

そしていろんな鳥たちが、まず二千年をへて黒色に変じた老鶴の玄鶴・白鷺・黄鵠(はくちょう)・鵁鸛(ごいさぎ)がいて、

鶬鴰鴇,鳧鷖鴻鴈。

まなづる・(のがん)鳧鷖(かも)・おおとり、雁がいる。

朝發河海,夕宿江漢。

あしたに黄河北海を飛び立ち、夕べに長江・漢水に宿る。

沈浮往來,雲集霧散。

ゆき帰りにはここで沈んだり浮いたりしてから、雲のごとく集まり、霧のごとく散っていく。

 

(44)#17(狩猟後の饗宴と昆明地ⅱ)-1

於是後宮乘輅,登龍舟,

さて、後宮の后妃や官女は、車を乗りものにして、龍の形を画く舟にあがりこむ。

張鳳蓋,建華旗。

鳳凰をぬいとりした蓋を張り、五彩の色の旗を建てる。

袪黼帷,鏡清流。

刺繍模様の帳をかかげて、清流に影を写す奢侈をする。

靡微風,澹淡浮。

それらは微風の吹くままに、静かにゆれて浮かんでいる。

櫂女謳,鼓吹震。

櫂をとる女たちは声をそろえて唱い、鼓笛は鳴りひびかせる。

聲激越,謍厲天。

声ははげしくわき揚がり、大きくこだまして天にまでとどくものだ。

 

(45)172

鳥群翔,魚窺淵。

鳥はおどろき群れをなして旋回し、魚はおそれて淵に隠れようとする。

招白鷴,下雙鵠。

空に向かい白鷴の弩をひけば、つがいの白鳥が落ちてくる。

揄文竿,出比目。

水に浮かぶ窮翠の羽根飾りの竿をひきあげると、珍しい比目の魚を釣りあげる。

撫鴻罿,御繒繳。

方舟並騖,俛仰極樂

はこ舟はこれをつないで並ばせたり、走らせはせまわり、片時の間も心ゆくまで舟遊びを楽しまれる。

遂乃風舉雲搖,浮遊溥覽。

ついにはなんと風のようにふわりとあがり、雲のようにただよいうごく、そして、あてもなくぶらぶら歩きして、すみずみまで見てまわる。

長安城の位置関係 

(46)#173

前乘秦嶺,後越九嵕。

前方南は秦嶺の山に登り、後方北は九嵕の山を越える。

東薄河華,西涉岐雍。

東のかたは黄河と華山とに近づき、西のかたは岐山と薙県とを通過する。

宮館所歷,百有餘區,

この間に一々通った離宮別館は百有余箇所。

行所朝夕,儲不改供。

行幸して朝夕を過ごされる行在所であり、あらかじめ準備が整っていて、天子の御用に供する物はいつもと変わりがない。

禮上下而接山川,究休祐之所用。

天地の神々に爼豆をささげて、山川の神々を祭り、よき福のしるしの犠牲や玉帛の限りを尽くす。

采遊童之讙謠,第從臣之嘉頌。

戯れる児童のよろこびの童謡を採集し、王室の従臣の奉るめでたい頭歌をみて、その優劣を定められる。 

(47)#18(世々代々の繁栄)-1

于斯之時,都都相望,邑邑相屬。

(世々代々の繁栄) この時に、都市と郡市とは向かい合い、邑と邑とはつながり合う。

國藉十世之基,家承百年之業。

諸侯の国は十世の基礎の上にたち、大夫の家は百年の職業を継承する。

士食舊德之名氏,農服先疇之畎畝。

士人は善徳の祖先以来の名族のお蔭で衣食し、農民は先祖代々の田畑の耕作に従事する。

商循族世之所鬻,工用高曾之規矩。

商人は父祖代々の売ってきた品物を取りしきり、工人は祖先以来の家法の工具を使う。

粲乎隱隱,各得其所。」

世々代々人目を引く繁栄ぶりで、それぞれその所を失わず安んじて営む。

 (48)#18(世々代々の繁栄)-2

「若臣者,徒觀跡於舊墟,聞之乎故老。

私ごとき者では、ただ旧跡を遊覧し、西都長安のことを古老に聞いただけのことなのだ。

十分而未得其一端,故不能遍舉也。」

十分の一ほどもわかっていないのかもしれない。だからもれなく列挙してうたいつくすわけにはまいりませぬ。

 

斯の時に于【おい】て,都都【とと】相い望み,邑邑【ゆうゆう】相い屬【つづ】く。

國は十世の基に藉【よ】り,家は百年の業を承く。

士は舊德の名氏に食【は】み,農は先疇の畎畝【けんぽ】に服【つ】く。

商は族世の鬻【ひさ】ぐ所を循【おさ】,工は高曾の規矩【きく】を用う。

粲乎【さんこ】隱隱として,各の其の所を得たり。」

(48)#18(世々代々の繁栄)-2

「臣の若き者は,徒【ただ】に跡を舊墟に觀,之を故老【こぼ】に聞けるのみ。

十分にして未だ其の一端を得ず,故に遍ねく舉ぐる能わざるなり。」と。

 

 

『西都賦』 現代語訳と訳註

(本文)

(48)#18(世々代々の繁栄)-2

「若臣者,徒觀跡於舊墟,聞之乎故老。

十分而未得其一端,故不能遍舉也。」

 

 

(下し文)

(48)#18(世々代々の繁栄)-2

「臣の若き者は,徒【ただ】に跡を舊墟に觀,之を故老【こぼ】に聞けるのみ。

十分にして未だ其の一端を得ず,故に遍ねく舉ぐる能わざるなり。」と。

 

 

(現代語訳)

私ごとき者では、ただ旧跡を遊覧し、西都長安のことを古老に聞いただけのことなのだ。

十分の一ほどもわかっていないのかもしれない。だからもれなく列挙してうたいつくすわけにはまいりませぬ。

 

 

(訳注)

(48)#18(世々代々の繁栄)-2

「若臣者,徒觀跡於舊墟,聞之乎故老。

私ごとき者では、ただ旧跡を遊覧し、西都長安のことを古老に聞いただけのことなのだ。

○若臣者 私ごとき者というほどの意。

○跡於舊墟 名所と旧跡。

 

十分而未得其一端,故不能遍舉也。」

十分の一ほどもわかっていないのかもしれない。だからもれなく列挙してうたいつくすわけにはまいりませぬ。