張衡《西京賦》(10)(宮殿の造営) かくして、秦の造営法に着目し、周の古法をしのぐ計画をたてる。周の宣王の百堵の牆で囲まれた宮室も、狭苦しいからといって取りあげはしない、九筵を基準とする周の明堂も、狭隘だからとて拡張することとした。星座紫微宮にかたどり、未央宮の位置を正しく定め、高楼の門橋を、紫徴宮の天門、閶闔にかたどって、宮殿の目標とした。
張平子(張衡)《西京賦》(10)(宮殿の造営)#4-1 文選 賦<114―(10)>31分割68回 Ⅱ李白に影響を与えた詩1047 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3783
(10)#4―1
乃覽秦制,跨周法,
(宮殿の造営) かくして、秦の造営法に着目し、周の古法をしのぐ計画をたてる。
狹百堵之側陋,增九筵之迫脅。
周の宣王の百堵の牆で囲まれた宮室も、狭苦しいからといって取りあげはしない、九筵を基準とする周の明堂も、狭隘だからとて拡張することとした。
正紫宮於未央,表嶢闕於閶闔。
星座紫微宮にかたどり、未央宮の位置を正しく定め、高楼の門橋を、紫徴宮の天門、閶闔にかたどって、宮殿の目標とした。
疏龍首以抗殿,狀巍峩以岌嶪。
龍首の山を切り開いて、その正殿を高々と造る。その姿は、山のごとくそびえてたくましい。
亙雄虹之長梁,結棼橑以相接。
殿内は、色鮮やかな長い虹梁が、かけわたされ、二重屋根の、棟木と榱木がかみあって、たがいに交錯する。
(11)#4―2
蔕倒茄於藻井,披紅葩之狎獵。
飾華榱與璧璫,流景曜之韡曄。
雕楹玉磶,繡栭雲楣。
三階重軒,鏤檻文㮰。
右平左墄,青瑣丹墀。
刊層平堂,設切厓隒。
(12)#4―3
坻崿鱗眴,棧齴巉嶮。
襄岸夷塗,脩路陖險。
重門襲固,姦宄是防。
仰福帝居,陽曜陰藏。
洪鐘萬鈞,猛虡趪趪。
負筍業而餘怒,乃奮翅而騰驤。
(10)#4―1
乃ち秦制を覽,周法を跨える。
百堵の側陋【そくろう】を狹しとし,九筵の迫脅を增す。
紫宮を未央に正し,嶢闕【ぎょうけつ】を閶闔【しょうこう】に表す。
龍首を疏して以て殿を抗げ,狀【かたち】巍峩【かいが】として以て岌嶪【きゅうぎょう】たり。
雄虹の長梁を亙【わた】し,棼橑【ふんりょう】を結んで以て相い接【う】く。
(11)#4―2
倒茄【とうか】を藻井【そうせい】に蔕し,紅葩【こうは】の狎獵【こうりょう】たるを披く。
華榱【かすい】と璧璫とを飾り,景曜の韡曄【けいよう】なるを流す。
雕楹【ちょうえい】玉磶【ぎょくせき】,繡栭【しゅうじ】雲楣【うんぴ】あり。
三階 重軒,鏤檻【ろうかん】文㮰【ぶんぴ】あり。
右は平 左は墄【しょく】,青瑣【せいさ】丹墀【たんち】あり。
層【かさな】れるを刊【けず】り 堂を平げ,切【ぜい】を厓隒【がいけん】に設ける。
(12)#4―3
坻崿【ちがく】鱗眴【りんじゅん】として,棧齴【ざんげん】巉嶮【ざんけん】なり。
襄岸【じょうがん】夷塗【いと】,脩路【しゅうろ】險に陖【のぼ】る。
重門 襲【かさな】り固く,姦宄【かんき】を是れ防ぐ。
仰げば帝居に福【おな】じく,陽には曜【ひか】り陰には藏【かく】る。
洪鐘【こうしょう】萬鈞【ばんきん】,猛虡【もうきょく】趪趪【こうこう】たり。
筍業を負いて餘怒し,乃ち翅を奮って騰驤【とうじょう】す。。
『西京賦』 現代語訳と訳註
(本文)
(10)#4―1
乃覽秦制,跨周法,
狹百堵之側陋,增九筵之迫脅。
正紫宮於未央,表嶢闕於閶闔。
疏龍首以抗殿,狀巍峩以岌嶪。
亙雄虹之長梁,結棼橑以相接。
(下し文)
(10)#4―1
乃ち秦制を覽,周法を跨える。
百堵の側陋【そくろう】を狹しとし,九筵の迫脅を增す。
紫宮を未央に正し,嶢闕【ぎょうけつ】を閶闔【しょうこう】に表す。
龍首を疏して以て殿を抗げ,狀【かたち】巍峩【かいが】として以て岌嶪【きゅうぎょう】たり。
雄虹の長梁を亙【わた】し,棼橑【ふんりょう】を結んで以て相い接【う】く。
(現代語訳)
(宮殿の造営) かくして、秦の造営法に着目し、周の古法をしのぐ計画をたてる。
周の宣王の百堵の牆で囲まれた宮室も、狭苦しいからといって取りあげはしない、九筵を基準とする周の明堂も、狭隘だからとて拡張することとした。
星座紫微宮にかたどり、未央宮の位置を正しく定め、高楼の門橋を、紫徴宮の天門、閶闔にかたどって、宮殿の目標とした。
龍首の山を切り開いて、その正殿を高々と造る。その姿は、山のごとくそびえてたくましい。
殿内は、色鮮やかな長い虹梁が、かけわたされ、二重屋根の、棟木と榱木がかみあって、たがいに交錯する。
(訳注)(10)#4―1
乃覽秦制,跨周法,
(宮殿の造営) かくして、秦の造営法に着目し、周の古法をしのぐ計画をたてる。
○乃 すなわち。「爾」とあるテクストもある。
○覧 見てみとるの意。
○跨 越える。公平にみてもまさる。
狹百堵之側陋,增九筵之迫脅。
周の宣王の百堵の牆で囲まれた宮室も、狭苦しいからといって取りあげはしない、九筵を基準とする周の明堂も、狭隘だからとて拡張することとした。
○百堵 一丈を板、五枚を堵という。板は城壁の高さの単位。
○側陋 せまい。側も陋の意。『詩経』の小雅に「室を築くこと百堵、その戸を西南にす」(斯干)と、周の宣王の宮室をうたう。ここは“それもなおせまし”とすること。
○九筵 筵は竹製の敷物。周代堂の広さと長さの単位、『周礼』考工記「周人の明堂は九尺の筵を度とす。東西九筵、南北七筵、堂の崇(たかさ)一筵」とある。
○追脅 土地のせまいこと。なお原文は明宝の建築を述べたもの。1956年漢の長安城の南郊に当たる所に、明堂の遺跡が発見された。『漢書』平帝紀に「安漢公(玉奔)、明堂、辟雍を立てんことを奏す」(元始三年)。武帝も明宝を泰山の麓に作る(郊祀志下)。
正紫宮於未央,表嶢闕於閶闔。
星座紫微宮にかたどり、未央宮の位置を正しく定め、高楼の門橋を、紫徴宮の天門、閶闔にかたどって、宮殿の目標とした。
○紫宮 紫微宮、星の名、天帝の居所。これをとって未央宮の別名とす。
○嶢闕 高い門観。
○閶闔 天の紫宮の門。
疏龍首以抗殿,狀巍峩以岌嶪。
龍首の山を切り開いて、その正殿を高々と造る。その姿は、山のごとくそびえてたくましい。
○龍首 山名。西京の北。これを切り開いて蕭何が未央官を建てた(『水経注』渭水注)。
○巍峩以岌嶪 巍峩は高大、高峻のさま。岌嶪は衆山を抜いて高く高壮なこと。
亙雄虹之長梁,結棼橑以相接。
殿内は、色鮮やかな長い虹梁が、かけわたされ、二重屋根の、棟木と榱木がかみあって、たがいに交錯する。
○亙 相去ることの遠いこと。先の見えないところまで梁がわたしてあること。
○雄虹 五色で彩る朱の梁、色彩鮮明の色を雄、くろい色を雌という。
○結棼橑 二重屋根の棟木と榱とがかみ合う。




