張衡)《西京賦》(22) 大初元年、柏架台炎上したれば、越の巫は火魔鎮圧の秘方を言上する。そのいうままに、建章宮といぅ大宮殿の造営をはかり、もって火の禍を折伏する。宮殿の規模は、未央宮に倍する大建築とする。円形の宮門をもつ一対の楼観は、高くそびえて天にとどき、あたかも一双の碣石山が向かいあうかのよう。




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(建章宮〔一〕)10-1

柏梁既災,越巫陳方。

(建章官(一)) 大初元年、柏架台炎上したれば、越の巫は火魔鎮圧の秘方を言上する。

建章是經,用厭火祥。

そのいうままに、建章宮といぅ大宮殿の造営をはかり、もって火の禍を折伏する。

營宇之制,事兼未央。

宮殿の規模は、未央宮に倍する大建築とする。

圜闕竦以造天,若雙碣之相望。

円形の宮門をもつ一対の楼観は、高くそびえて天にとどき、あたかも一双の碣石山が向かいあうかのよう。

 (建章宮〔一〕)10-2

鳳騫翥於甍標,咸溯風而欲翔。

閶闔之,別風嶕嶢。

何工巧之瑰瑋,交綺豁以疏寮。

干雲霧而上達,狀亭亭以苕苕。

(建章宮〔一〕)10-3

神明崛其特起,井幹疊而百增。

跱遊極於浮柱,結重欒以相承。

累層構而遂隮,望北辰而高興。

消雰埃於中宸,集重陽之清澂。

(建章宮〔一〕)10-4

瞰宛虹之長鬐,察雲師之所憑。

上飛闥而仰眺,正睹瑤光與玉繩。

將乍往而未半,怵悼慄而慫兢。

非都盧之輕趫,孰能超而究升?

 

 (建章宮〔一〕)10-1

柏梁 既に災あり,越巫 方を陳ぶ。

建章を是れ經【はか】り,用て火祥【かしょう】を厭す。

營宇の制,事 未央を兼ぬ。

圜闕【えんけつ】竦えて以て天に造【いた】り,雙碣【そうけつ】の相い望むが若し。

(建章宮〔一〕)10-2

鳳は騫翥於甍標【ぼうひょう】に【けんしょ】し,咸【みな】 溯風に【さか】らいて翔【かけ】らんと欲す。

閶闔【しょうこう】の,別風 嶕嶢【そうぎょう】たり

何ぞ工巧の瑰瑋【かいい】ならん,交綺 豁【ほがらか】にして以て疏寮【そりょう】あり

雲霧を干【おか】して上に達し,狀亭 亭として以て苕苕【ちょうちょう】たり

(建章宮〔一〕)10-3

神明 崛とし 其れ特【ひと】り起ち,井幹【せいかん】【かさな】りて 百增【ひゃくそう】あり

遊極を浮柱【ふちゅう】に【お】き,重欒を結んで以て相い承く。

層構を累【かさ】ねて 遂に隮【のぼ】り,北辰を望んで 高く興る。

雰埃【ふんあい】 中宸に消し,重陽の清澂なるに集【いた】る。

(建章宮〔一〕)10-4

宛虹【えんこう】の長鬐【ちょうき】を瞰【み】て,雲師の憑る所を察す。

飛闥【ひたつ】に上りて 仰ぎ眺みて,正に瑤光【ようこう】と玉繩【ぎょくじょう】とを睹【み】る。

將に乍ち往かんとして 未だ半ならざるに,怵悼【じゅつとう】として慄れて 慫兢【しょうきょう】す。

都盧【とろ】の輕趫【けいきょう】なるに非らずんば,孰か能く超えて 究めて升らん?

長安城漢唐 

『西京賦』 現代語訳と訳註

(本文) 10-1

柏梁既災,越巫陳方。

建章是經,用厭火祥。

營宇之制,事兼未央。

圜闕竦以造天,若雙碣之相望。

 

(下し文) (建章宮〔一〕)10-1

柏梁 既に災あり,越巫 方を陳ぶ。

建章を是れ經【はか】り,用て火祥【かしょう】を厭す。

營宇の制,事 未央を兼ぬ。

圜闕【えんけつ】竦えて以て天に造【いた】り,雙碣【そうけつ】の相い望むが若し。

 

(現代語訳)

(建章官(一)) 大初元年、柏架台炎上したれば、越の巫は火魔鎮圧の秘方を言上する。

そのいうままに、建章宮といぅ大宮殿の造営をはかり、もって火の禍を折伏する。

宮殿の規模は、未央宮に倍する大建築とする。

円形の宮門をもつ一対の楼観は、高くそびえて天にとどき、あたかも一双の碣石山が向かいあうかのよう。

 

(訳注) 10-1

柏梁既災,越巫陳方。

(建章官(一)) 大初元年、柏架台炎上したれば、越の巫は火魔鎮圧の秘方を言上する。

〇柏梁 武帝の元鼎二年春、柏梁台を起こし、大初元年十一月乙酉、火災あり、その時越の巫であった勇というものが、越では以前にまさる宮室を再建し、火を圧勝(まじないで圧伏)すると言上した。そこで未央宮に倍する大宮殿、千門万戸の建章宮を、未央官の西南に建てた。唐代に俗に貞女樓と呼んだ楼観(宮闘)が残っていたという(『漢書』の武帝紀注)。柏梁台の名は香柏を用いて建てたからであり、「その香は数十里に聞る」とある(『漢武故事』)。また建章宮には鴟尾(雨をふらす)が屋根にあったという。

 

建章是經,用厭火祥。

そのいうままに、建章宮といぅ大宮殿の造営をはかり、もって火の禍を折伏する。

建章 この宮殿は上林苑の中にあり、境内の周囲に十里。その正殿は未央宮より高く、東に鳳闕がある。その南に神明台、井幹樓がある。

 

營宇之制,事兼未央。

宮殿の規模は、未央宮に倍する大建築とする。

 

圜闕竦以造天,若雙碣之相望。

円形の宮門をもつ一対の楼観は、高くそびえて天にとどき、あたかも一双の碣石山が向かいあうかのよう。

圜闕 円形の宮闕。闕は門観、楼観。二つの台を作り、楼観を台上に建て、中央は通路になるようにする。これが闕(空、欠の意)。楼に登れば遠くを見るから観という。ここはそこが円形をなす。壁門ともいう、「西都の賦」に「璧門の鳳闕を設く」とある。鳳凰が甎にあるので鳳闕ともいい、高さ二十余丈。「西都の賦」では「金爵(雀)」すなわち銅鳳という。宮闕は必ず一対になるように建てられるので双闕ともいう。なお鳳凰について薛注に「鉄の鳳皇を作り、両翼を張り、頭を挙げ、尾を敷げ、以て屋上に挿し棟の中央に当らしむ。下に転枢あり。常に風に向つて、将に飛ばんとするものの如し。」とある。『三輔黄圖』では「上に銅の鳳皇あり」という。

雙碣 一双の碣石山。碣は特立する石の山。海辺の山をいい、また三山相望むさまをいう。

唐長安城図00玄武門 

2014年3月5日の紀頌之5つのブログ
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