新居の門前には、あなたが旅立ちの時、行ったり、戻ったりしていたその足跡の上には、いまは一つ一つと青いコケが生えてきている。その苔が深くびっしりと生えていて、とても払いきれるものではない、そこに枯れ葉が落ちはじめて、早くも秋風が吹いている。

 
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襄陽・荊州・武昌・漢口・洞庭湖・金陵・揚州と遊ぶ。 

 

 

726年開元十四年26

襄陽・荊州・武昌・漢口・洞庭湖・金陵・揚州と遊ぶ。 

 

作地點:        江寧(江南東道 / 潤州 / 江寧)

及地點:       

長干 (江南東道 潤州 江寧)        

望夫石 (淮南道 濠州 塗山) 別名:望夫臺   

瞿塘峽 (山南東道 夔州 夔州) 別名:瞿塘   

灩澦堆 (山南東道 夔州 夔州)      

長風沙 (淮南道 舒州 舒州)

 

 

長干行,二首之一 #1

(長江下流の商人船頭の妻の生活、男女の愛を詠う。)

妾髮初覆額,折花門前劇。

私の髪がやっと額を覆うようになってきた頃、何の憂いもなく、門前のあたりで花を摘んで遊んでいた。

郎騎竹馬來,遶床弄青梅。

我が夫もそのころは竹馬に乗ってやってきて、寝床のまわりを回っては青い梅の実をもてあそんでいたのだ。

同居長干里,兩小無嫌猜。

何せ、同じように長干の里にいて、幼い二人とも何の疑いもなく、仲睦まじかったのである。

十四為君婦,羞顏未嘗開。

14歳であなたの妻になり、恥ずかしさで、はにかんで笑顔も作れないままだった。

低頭向暗壁,千喚不一回。

うなだれて壁に向かっては、千度呼ばれても、一度も振り向かないでいた。

#2

十五始展眉,願同塵與灰。

15歳でやっと眉をほころばせて笑うことができるようになり、ともに寄り添い灰になるまで一緒にいたいと願うようになった。

常存抱柱信,豈上望夫臺?

あなたの愛は尾生の抱柱の信のように堅固でしたから、わたしが望夫臺に上って夫の帰りを待ちわびるようになろうとは思いもしなかった。

十六君遠行,瞿塘灩澦堆。

16歳になったとき、あなたは遠くへ旅立ち、長江の難所である瞿塘峡、灔澦堆の方にいったのだ。

五月不可觸,猿聲天上哀

5月の増水期にはとても近づくことも出来ないところで、そこには野猿がいて、その泣き声だけが大空に悲しそうに響きわたるという。

門前遲行跡,一一生綠苔。

新居の門前には、あなたが旅立ちの時、行ったり、戻ったりしていたその足跡の上には、いまは一つ一つと青いコケが生えてきている。



#3

苔深不能掃,落葉秋風早。

八月蝴蝶來,雙飛西園草。

感此傷妾心,坐愁紅顏老。

早晚下三巴,預將書報家。

相迎不道遠,直至長風沙。

 

(長干行)
妾が髮初めて額を覆ふとき、花を折って門前に劇【たはむ】る。』
郎は竹馬に騎って來り、床を遶りて青梅を弄す。
同じく長干の里に居り、兩つながら小【おさな】くして嫌猜無し。
十四 君が婦と為り、羞顏 未だ嘗て開かず。
頭を低れて暗壁に向ひ、千喚に一も回(めぐ)らさず。
#2

十五 始めて眉を展べ、願はくは塵と灰とを同じゅうせん。
常に抱柱の信を存し、豈に望夫臺に上らんや。
 
十六 君遠く行く、瞿塘 艶澦堆。
五月 觸るべからず、猿鳴 天上に哀し。
門前 遲行の跡、一一 綠苔を生ず。』
#5
苔深くして掃ふ能はず、落葉 秋風早し
八月 蝴蝶來り、雙び飛ぶ西園の草
此に感じて妾が心を傷ましめ、坐【そぞろ】に愁ふ紅顏の老ゆるを。』

早晩三巴を下らん、預【あらかじ】め書を將って家に報ぜよ
相ひ迎ふるに遠きを道【い】はず、直ちに至らん長風沙』
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長干行,二首之二

憶妾深閨裡,煙塵不曾識。

嫁與長干人,沙頭候風色。

五月南風興,思君下巴陵。

八月西風起,想君發揚子。

去來悲如何,見少別離多。

湘潭幾日到,妾夢越風波。

昨夜狂風度,吹折江頭樹。

淼淼暗無邊,行人在何處。

北客真王公,朱衣滿江中。

日暮來投宿,數朝不肯東。

好乘浮雲驄,佳期蘭渚東。

鴛鴦綠蒲上,翡翠錦屏中。

自憐十五餘,顏色桃花紅。

那作商人婦,愁水復愁風。

 

巫山十二峰003 

『長干行,二首之一』#2 現代語訳と訳註

(本文) #2

十五始展眉,願同塵與灰。

常存抱柱信,豈上望夫臺?

十六君遠行,瞿塘灩澦堆。

五月不可觸,猿聲天上哀。

門前遲行跡,一一生綠苔。

 

(下し文) #2

十五 始めて眉を展べ、願はくは塵と灰とを同じゅうせん。

常に抱柱の信を存し、豈に望夫臺に上らんや。

 十六 君遠く行く、瞿塘 艶澦堆。

五月 觸るべからず、猿鳴 天上に哀し。

門前 遲行の跡、一一 綠苔を生ず。』

 

 

(現代語訳)

15歳でやっと眉をほころばせて笑うことができるようになり、ともに寄り添い灰になるまで一緒にいたいと願うようになった。

あなたの愛は尾生の抱柱の信のように堅固でしたから、わたしが望夫臺に上って夫の帰りを待ちわびるようになろうとは思いもしなかった。
16
歳になったとき、あなたは遠くへ旅立ち、長江の難所である瞿塘峡、灔澦堆の方にいったのだ。
5月の増水期にはとても近づくことも出来ないところで、そこには野猿がいて、その泣き声だけが大空に悲しそうに響きわたるという。
新居の門前には、あなたが旅立ちの時、行ったり、戻ったりしていたその足跡の上には、いまは一つ一つと青いコケが生えてきている。

その苔が深くびっしりと生えていて、とても払いきれるものではない、そこに枯れ葉が落ちはじめて、早くも秋風が吹いている。

巫山十二峰002 

(訳注) #2

長干行

(長江下流の商人船頭の妻の生活、男女の愛を詠う。)

行は、うた。長干は今の南京の南にある小さな町。出稼ぎの商人たちの居住した町。
楽府「雑曲歌辞」長江下流の商人船頭の妻の生活を詠う。男女の愛を歌ったもので、六朝時代の楽府、風俗歌を下敷きにしている。

 

十五始展眉。 愿同塵與灰。 
15歳でやっと眉をほころばせて笑うことができるようになり、ともに寄り添い灰になるまで一緒にいたいと願うようになった。

 

常存抱柱信。 豈上望夫台。
あなたの愛は尾生の抱柱の信のように堅固でしたから、わたしが望夫臺に上って夫の帰りを待ちわびるようになろうとは思いもしなかった。
抱柱信 むかし尾生という男が、橋の下で女とあう約束をした。女はいくら待っても来ない。突然、洪水がおしよせてきた。尾生は約束の場所を離れて信を失うことを願わず、橋の柱を抱いて溺死した。「荘子」(死んでも約束を守る固い信義)

望夫台 山の名。ある人が家を離れて久しく、かれの妻は山の上で夫を待ち望んで、ついに石のかたまりになったという。中国各地に今でも望夫台、望夫石、望夫山という名称の山が残っている。

61 《望夫石》Ⅰ―1 715年開元三年15歳 剣術を好み賦を作る <61> Ⅰ李白詩1225 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4673


十六君遠行、瞿塘灩澦堆。
16歳になったとき、あなたは遠くへ旅立ち、長江の難所である瞿塘峡、灔澦堆の方にいったのだ。
瞿塘 長江の三峡の一つ。絶壁が両岸にせまり流れのはげしく危険なところ

○灩澦堆 瞿塘峡に横たわる大きな暗礁。亀のような形をしている。


五月不可觸。猿聲天上哀。
5月の増水期にはとても近づくことも出来ないところで、そこには野猿がいて、その泣き声だけが大空に悲しそうに響きわたるという。
五月不可觸 五月の増水期には水嵩が上がり大岩が隠れてしまい危険で近づけない。


門前遲行跡、一一生綠苔。』
新居の門前には、あなたが旅立ちの時、行ったり、戻ったりしていたその足跡の上には、いまは一つ一つと青いコケが生えてきている。


苔深不能掃、落葉秋風早。 
その苔が深くびっしりと生えていて、とても払いきれるものではない、そこに枯れ葉が落ちはじめて、早くも秋風が吹いている。
巫山十二峰004