李白《巻02-30 俠客行》この剣客は趙の地の出身で、飾も何もない粗末な冠の紐を帯び、その服装ははなはだみぐるしいが、呉の国の剣先の曲った短剣は刃先は霜雪のように鋭い業物と見える。

 

 
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年:731年開元十九年31

卷別:    卷一六二              文體:    樂府

詩題:    俠客行

作地點:              長安(京畿道 / 京兆府 / 長安)

及地點:              邯鄲 (河北道南部 邯鄲)           

開封 (河南道 汴州 開封) 別名:大梁            

 

 

俠客行

(侠遊二十五曲の一つである「侠客行」任侠の士を詠うもの)

趙客縵胡纓,鉤霜雪明。

この剣客は趙の地の出身で、飾も何もない粗末な冠の紐を帯び、その服装ははなはだみぐるしいが、呉の国の剣先の曲った短剣は刃先は霜雪のように鋭い業物と見える。

銀鞍照白馬,颯沓如流星。

かくて、銀鞍を白馬に置き、馬上豊かに乗り出せば、その速いことは、流星のようである。

十步殺一人,千里不留行。

そして、いざという時、十歩の間に一人を殺し、戦利の遠きをも糸飛びに駈け出して、その行方を留めることができない。

事了拂衣去,深藏身與名。

事が終われば、衣を払って民衆の中に入り、その身を隠し、且つ評判などもたたないようにして、出没自在にするのである。

 

閒過信陵飲,劍膝前橫。

將炙啖朱亥,持觴勸侯嬴。

三杯吐然諾,五嶽倒為輕。

眼花耳熱後,意氣素霓生。

 

救趙揮金槌,邯鄲先震驚。

千秋二壯士,烜赫大梁城。

縱死俠骨香,不慚世上英。

誰能書閣下,白首太玄經。

 

(俠客行)

趙客 縵胡の纓,鉤 霜雪明かなり。

銀鞍 白馬を照らし,颯沓として流星の如し。

十步に一人を殺し,千里 行を留めず。

事了るや 衣を拂って去り,深く藏す 身と名とを。

 

閒に信陵を過ぎて飲み,劍をして膝前に橫たう。

炙を 將って朱亥に啖【くら】わしめ,觴を持して侯嬴に勸む。

三杯然諾を吐き,五嶽 倒って為に輕し。

眼花し 耳熱する後,意氣 素霓【そげい】生ず。

 

趙を救って金槌を揮い,邯鄲 先ず震驚す。

千秋の二壯士,烜赫【けんかく】す 大梁城。

縱い死するも俠骨香しく,世上の英たるに慚じず。

誰か能く書閣の下,白首 太玄經。

 

李白図102 

『俠客行』 現代語訳と訳註解説

(本文)

俠客行

趙客縵胡纓,鉤霜雪明。

銀鞍照白馬,颯沓如流星。

十步殺一人,千里不留行。

事了拂衣去,深藏身與名。

 

(下し文)

(俠客行)

趙客 縵胡の纓,鉤 霜雪明かなり。

銀鞍 白馬を照らし,颯沓として流星の如し。

十步に一人を殺し,千里 行を留めず。

 

(現代語訳)

(侠遊二十五曲の一つである「侠客行」任侠の士を詠うもの)

この剣客は趙の地の出身で、飾も何もない粗末な冠の紐を帯び、その服装ははなはだみぐるしいが、呉の国の剣先の曲った短剣は刃先は霜雪のように鋭い業物と見える。

かくて、銀鞍を白馬に置き、馬上豊かに乗り出せば、その速いことは、流星のようである。

そして、いざという時、十歩の間に一人を殺し、戦利の遠きをも糸飛びに駈け出して、その行方を留めることができない。

事が終われば、衣を払って民衆の中に入り、その身を隠し、且つ評判などもたたないようにして、出没自在にするのである。

Ta唐 長安近郊圖  新02 

 (訳注)

俠客行

(侠遊二十五曲の一つである「侠客行」任侠の士を詠うもの)

任侠の士を詠うもの、侠客行は侠遊二十五曲の一つである。

 

趙客縵胡纓,鉤霜雪明。

この剣客は趙の地の出身で、飾も何もない粗末な冠の紐を帯び、その服装ははなはだみぐるしいが、呉の国の剣先の曲った短剣は刃先は霜雪のように鋭い業物と見える。

趙客 燕趙は慷慨悲歌之士の地である。 楽毅・荊軻らのようにの憂色は濃く、深い者、悲憤の人士者が出ている。楽 毅は、中国戦国時代の燕国の武将。燕の昭王を助けて、斉を滅亡寸前まで追い込んだ。昌国君、または望諸君とも呼ばれる。楽毅の憂色は濃く、深い。四度にわたる隣国・趙の侵略。宰相だった楽毅の父は自ら望んで死地へ赴き、祖国は国土の大半を失った。荊 軻は、中国戦国時代末期の刺客。燕の太子の命を受け、策略を用いて秦王の政を暗殺しようとするが、失敗し逆に殺された。

縵胡纓 飾も何もない冠の紐。《荘子、劍·卷第三十》「太子曰然吾王所見劒士皆蓬頭突、垂冠曼胡之纓短後之衣」

 呉の国の剣先の曲った短剣。

 

銀鞍照白馬,颯沓如流星。

かくて、銀鞍を白馬に置き、馬上豊かに乗り出せば、その速いことは、流星のようである。

颯沓 流れ星の素早く流れた様子をいう。

 

十步殺一人,千里不留行。

そして、いざという時、十歩の間に一人を殺し、戦利の遠きをも糸飛びに駈け出して、その行方を留めることができない。

十步殺一人 天下無敵をいう。荘子『荘子』〈説剣〉。 《王曰「子之剣、何能禁制。」曰「臣之剣、十歩一人、千里不留行。」王大悦之、曰「天下無敵矣。」》 (王曰く「子の剣、何をか能く禁制す」と。曰く「臣の剣、十歩にして一人、千里にしても留まらず行く」と。

 

事了拂衣去,深藏身與名。

事が終われば、衣を払って民衆の中に入り、その身を隠し、且つ評判などもたたないようにして、出没自在にするのである。