李白 古風五十九首之四十四 「綠蘿紛葳蕤」詩(卷二(一)一六九)

 

2017316

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744-068161_44 「綠蘿紛葳蕤」詩(古風五十九首之四十四)(卷二(一)一六九)Ⅰ漢文委員会kanbuniinkai紀頌之 李白詩集8351

(この詩は、詩経の語句を巧みに、点綴し、それによって棄てられる側の思いを述べ、飽きられるだけで、男の多情で、託している女性が棄てられる棄婦怨を、託して宮使いしているものも同様に捨てられるものであると述べている。)

姫葛は、生き生きとして、緑、鮮やかに、紛然としてふさふさと垂れていて、しかもそれが丈夫そうな松や柏などの枝に巻き付いているものである。草木のなかで姫葛は、もとより非常のものであるが、託する所を知り、そして、松柏は、冬の極寒の中で、尚お、その色をかえることなく、勁節を有しているから、姫葛は、やはり己が色も、また,何時までも変わらぬようにと希っているし、託するところに「七去、三不出」にかなうことを願っているのである。(心を一つにして、何時までも変わらぬように、長しえに変わらぬようにと希うて身を託した)その顔色は、さながら詩經に言う「桃之夭夭、灼灼其華。」たるがごとく、きわめて美しさであるにもかかわらず、わずかの間に、おなじ、詩経の詩にあるように、理由もわからず夫に棄てられてしまったという。もとより、歳を重ね顔色の衰えたために、愛がゆるむのならば仕方ないとして、その人はいまだに衰えず、その玉顔は、花の如く紅のつやがあるし、その髪は雲の如く長く美しく、白い糸の変じた白髪頭というわけでもない。このように、民間でさえ、古来より、身勝手な棄婦がまかり通っている。しかるに、君子の恩が、既に終われば、棄てられるものである。したがって、「有所託」としているものは、棄てられる覚えがなくても、棄てられても、もはや、何とも致し方のないということなのである。


 

744-068 -

「綠蘿紛葳蕤」詩(古風五十九首之四十四)

(卷二(一)一六九) -

全唐詩巻161_44

李白集校注(卷二(一)一六九)

李太白集巻一44

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8351

 

古風,五十九首之四十四

綠蘿紛葳蕤,繚繞松柏枝。草木有所託,寒尚不移。

奈何夭桃色,坐歎葑菲詩。玉顏豔紅彩,雲髮非素絲。

君子恩已畢,賤妾將何為。

 

卷別

李白集校注

全唐詩

李太白集

(卷二(一)一六九)

161_44

巻一44

詩題

「綠蘿紛葳蕤」詩(古風五十九首之四十四)(卷二(一)一六九)

文體

五言古詩  

 

詩序

0

     初句

綠蘿紛葳蕤,繚

天寶三年   744   44

 

作地點

 長安(京畿道 / 京兆府 / 長安)

及地點

0

交遊人物/交遊地點

0

 

 

古風,五十九首之四十四

(この詩は、詩経の語句を巧みに、点綴し、それによって棄てられる側の思いを述べ、飽きられるだけで、男の多情で、託している女性が棄てられる棄婦怨を、託して宮使いしているものも同様に捨てられるものであると述べている。)

綠蘿紛葳蕤,繚繞松柏枝。

姫葛は、生き生きとして、緑、鮮やかに、紛然としてふさふさと垂れていて、しかもそれが丈夫そうな松や柏などの枝に巻き付いているものである。

草木有所託,寒尚不移。

草木のなかで姫葛は、もとより非常のものであるが、託する所を知り、そして、松柏は、冬の極寒の中で、尚お、その色をかえることなく、勁節を有しているから、姫葛は、やはり己が色も、また,何時までも変わらぬようにと希っているし、託するところに「七去、三不出」にかなうことを願っているのである。(心を一つにして、何時までも変わらぬように、長しえに変わらぬようにと希うて身を託した)

奈何夭桃色,坐歎葑菲詩。

その顔色は、さながら詩經に言う「桃之夭夭、灼灼其華。」たるがごとく、きわめて美しさであるにもかかわらず、わずかの間に、おなじ、詩経の詩にあるように、理由もわからず夫に棄てられてしまったという。

玉顏豔紅彩,雲髮非素絲。

もとより、歳を重ね顔色の衰えたために、愛がゆるむのならば仕方ないとして、その人はいまだに衰えず、その玉顔は、花の如く紅のつやがあるし、その髪は雲の如く長く美しく、白い糸の変じた白髪頭というわけでもない。

君子恩已畢,賤妾將何為。

このように、民間でさえ、古来より、身勝手な棄婦がまかり通っている。しかるに、君子の恩が、既に終われば、棄てられるものである。したがって、「有所託」としているものは、棄てられる覚えがなくても、棄てられても、もはや、何とも致し方のないということなのである。

 

古風,五十九首之四十四

綠蘿は葳蕤【いすい】紛たり,繚繞【りょうじょう】す松柏の枝。

草木 託する所有り,寒 尚【こいねが】わくば移らざらん。

夭桃の色を奈何せん,坐して歎ず 葑菲の詩。

玉顏 紅彩豔なり,雲髮 素絲に非ず。

君子 恩 已に畢る,賤妾 將に何をか為さんとす。 

 

  其四十四                錢塘 王琦 撰

綠蘿紛葳蕤,繚繞松柏枝。草木有所託,寒尚不移。奈何夭桃色,坐歎葑菲詩。

玉顏豔紅彩,雲髮非素絲。君子恩已畢,賤妾將何為。

郭璞詩 「綠蘿結髙林」 向註「緑蘿/松蘿也。」陸機、文賦「「紛葳蕤以馺遝」

向註「紛葳蕤盛美貌廣韻繚繞纒也。」

詩小雅「蔦與女/蘿施於松栢廣雅女蘿松蘿也。詩國風「桃之夭夭灼灼其華

毛傳曰「天天其少壯也。」 

詩國風「習習谷風以隂以雨黽勉同心不宜有怒采葑采菲無以下體徳音莫違

及爾同死序云谷風刺夫婦失道也。

衛人化其上淫于新婚而棄其舊室夫婦離絶國俗傷敗焉。 江淹詩「庭樹發紅彩張銑註紅彩花也。

詩國風鬒髪如雲。 毛傳曰如/雲言美長也。 王融詩 「騷首亂雲髪」

江淹詩君子恩未畢。 古詩 賤妾亦何為𤦺按古稱色衰愛弛。

此詩則謂色未/哀而愛巳弛有感而發其寄諷之意深矣。 菲音斐 

 

 

《古風,五十九首之四十四》 現代語訳と訳註

(本文)

古風,五十九首之四十四

綠蘿紛葳蕤,繚繞松柏枝。

草木有所託,寒尚不移。

奈何夭桃色,坐歎葑菲詩。

玉顏豔紅彩,雲髮非素絲。

君子恩已畢,賤妾將何為。

 

(下し文)

古風,五十九首之四十四

綠蘿は葳蕤【いすい】紛たり,繚繞【りょうじょう】す松柏の枝。

草木 託する所有り,寒 尚【こいねが】わくば移らざらん。

夭桃の色を奈何せん,坐して歎ず 葑菲の詩。

玉顏 紅彩豔なり,雲髮 素絲に非ず。

君子 恩 已に畢る,賤妾 將に何をか為さんとす。 

 

(現代語訳)

(この詩は、詩経の語句を巧みに、点綴し、それによって棄てられる側の思いを述べ、飽きられるだけで、男の多情で、託している女性が棄てられる棄婦怨を、託して宮使いしているものも同様に捨てられるものであると述べている。)

姫葛は、生き生きとして、緑、鮮やかに、紛然としてふさふさと垂れていて、しかもそれが丈夫そうな松や柏などの枝に巻き付いているものである。

草木のなかで姫葛は、もとより非常のものであるが、託する所を知り、そして、松柏は、冬の極寒の中で、尚お、その色をかえることなく、勁節を有しているから、姫葛は、やはり己が色も、また,何時までも変わらぬようにと希っているし、託するところに「七去、三不出」にかなうことを願っているのである。(心を一つにして、何時までも変わらぬように、長しえに変わらぬようにと希うて身を託した)

その顔色は、さながら詩經に言う「桃之夭夭、灼灼其華。」たるがごとく、きわめて美しさであるにもかかわらず、わずかの間に、おなじ、詩経の詩にあるように、理由もわからず夫に棄てられてしまったという。

もとより、歳を重ね顔色の衰えたために、愛がゆるむのならば仕方ないとして、その人はいまだに衰えず、その玉顔は、花の如く紅のつやがあるし、その髪は雲の如く長く美しく、白い糸の変じた白髪頭というわけでもない。

このように、民間でさえ、古来より、身勝手な棄婦がまかり通っている。しかるに、君子の恩が、既に終われば、棄てられるものである。したがって、「有所託」としているものは、棄てられる覚えがなくても、棄てられても、もはや、何とも致し方のないということなのである。

 

(訳注)

古風,五十九首之四十四

1. (この詩は、詩経の語句を巧みに、点綴し、それによって棄てられる側の思いを述べ、飽きられるだけで、男の多情で、託している女性が棄てられる棄婦怨を、託して宮使いしているものも同様に捨てられるものであると述べている。)

2. 【解説】・《詩経、邶風、谷風》「詩序に、「谷風は夫婦の道を失ふを刺【そし】るなり。衛人其の上に化し、新昬【しんこん】に淫して、其の旧室を棄つ。夫婦離絶し、国俗傷敗す。」とあり、怒り、怨み、嫉みを訴えた棄婦怨,民歌である。

古来、「七去、三不出」〔(1)無子(男子についていう)(2)姦淫,(3)舅姑(しゆうとしゆうとめ)につかえず,(4)口舌多言,(5)盗窃,(6)嫉妬,(7)悪疾(らい病の類)で,このうち一つに該当するとき,夫は妻を離婚できる。三不去とは,(1)妻が舅姑の喪を守りおえた場合,(2)貧賤のときに妻を娶り現在富貴となっている場合,(3)妻の実家がすでにない場合で,このうち一つに該当するときは,七出の事由があろうとも離婚は許されない。〕がある。

・魏・曹植「棄婦篇」棄婦篇 曹植 魏詩<56-#1> 女性詩707 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2083

・李白《去婦詞【棄婦詞】》「古來有棄婦,棄婦有歸處。今日妾辭君,辭君遣何去。」

 

綠蘿紛葳蕤,繚繞松柏枝。

姫葛は、生き生きとして、緑、鮮やかに、紛然としてふさふさと垂れていて、しかもそれが丈夫そうな松や柏などの枝に巻き付いているものである。

3. 綠蘿 姫葛。

4. 葳蕤 ふさふさと垂れているさま。

5. 松柏枝 邱陵地の墳墓の東西に植える。五行思想で、東に松、西に柏。

 

草木有所託,寒尚不移。

草木のなかで姫葛は、もとより非常のものであるが、託する所を知り、そして、松柏は、冬の極寒の中で、尚お、その色をかえることなく、勁節を有しているから、姫葛は、やはり己が色も、また,何時までも変わらぬようにと希っているし、託するところに「七去、三不出」にかなうことを願っているのである。(心を一つにして、何時までも変わらぬように、長しえに変わらぬようにと希うて身を託した)

6. 有所託 託する所を知っている。

 

奈何夭桃色,坐歎葑菲詩。

その顔色は、さながら詩經に言う「桃之夭夭、灼灼其華。」たるがごとく、きわめて美しさであるにもかかわらず、わずかの間に、おなじ、詩経の詩にあるように、理由もわからず夫に棄てられてしまったという。

7. 夭桃色 《詩経、国風・周南》「桃之夭夭、灼灼其華。」(桃の夭夭たる、灼灼たり其の華)に基づく。

8. 葑菲詩 《詩経、邶風、谷風》「習習谷風,以陰以雨。黽勉同心,不宜有怒。」(習習たる谷風、以て陰(くも)り以て雨ふる。黽勉(びんべん)として心を同じくして、怒ること有る宜からず。【末尾に全文】

《詩経、邶風、谷風》

習習谷風、以陰以雨。

習習たる谷風、以て陰【くも】り以て雨ふる。

黽勉同心、不宜有怒。

黽勉【びんべん】として心を同じくして、怒ること有る宜からず。

采葑采菲、無以下體。

葑【ほう】を采り菲を采るに、下體を以てすること無かれ。

德音莫違、及爾同死。

德音違うこと莫くば、爾と死を同じくせん。

吹き止まぬ烈しい風、空は曇り雨も降る/心合わせて働いて、今さら怒ることはない/蕪(かぶら)や大根とるのにも、根や茎だけではあるまいに/優しい言葉を違わねば、貴方といっしょしぬまでも。

 

玉顏豔紅彩,雲髮非素絲。

もとより、歳を重ね顔色の衰えたために、愛がゆるむのならば仕方ないとして、その人はいまだに衰えず、その玉顔は、花の如く紅のつやがあるし、その髪は雲の如く長く美しく、白い糸の変じた白髪頭というわけでもない。

9. 素絲 白い糸、変じた白髪頭をいう。玉顏・紅彩・雲髮について離縁の原因にすることはできない。

 

君子恩已畢,賤妾將何為。

このように、民間でさえ、古来より、身勝手な棄婦がまかり通っている。しかるに、君子の恩が、既に終われば、棄てられるものである。したがって、「有所託」としているものは、棄てられる覚えがなくても、棄てられても、もはや、何とも致し方のないということなのである。

10. 恩已畢 恩が、既に終われば、棄てられるもの。

11. 將何為 もはや、何とも致し方のないということ。

 

《詩経、邶風、谷風》

習習谷風、以陰以雨。

習習たる谷風、以て陰【くも】り以て雨ふる。

黽勉同心、不宜有怒。

黽勉【びんべん】として心を同じくして、怒ること有る宜からず。

采葑采菲、無以下體。

葑【ほう】を采り菲を采るに、下體を以てすること無かれ。

德音莫違、及爾同死。

德音違うこと莫くば、爾と死を同じくせん。

吹き止まぬ烈しい風、空は曇り雨も降る/心合わせて働いて、今さら怒ることはない/蕪(かぶら)や大根とるのにも、根や茎だけではあるまいに/優しい言葉を違わねば、貴方といっしょしぬまでも。

 

行道遲遲、中心有違。

道を行くこと遲遲たり、  中心違(そむ)くこと有り。

不遠伊邇、薄送我畿。

遠からずして伊(こ)れ邇し、  薄(しばら)く我を畿に送る。

誰謂荼苦、其甘如薺。

誰か荼(にがな)を苦しと謂う、其の甘きこと薺(なずな)の如し。

宴爾新昏、如兄如弟。

爾の新昬〔昏〕を宴(たの)しみ、  兄の如く弟の如し。

去られて行けばとぼとぼと/心惑うて行きかねる/遠く送ってくれずとも/せめて門まで遅れかし/この苦しみに較べれば/苦い茶(にがな)も薺(なずな)の甘さ/新妻ばかりを宴(たの)しんで/兄弟のような睦まじさ

涇以渭濁、湜湜其沚。

涇は渭を以て濁れるも、湜湜(しょくしょく)たる其の沚(なぎ

宴爾新昏、不我屑以。

爾の新昬〔昏〕を宴しみ、我を屑しとし以(とも)にせず。

毋逝我梁、毋發我笱。

我が梁に逝くこと毋かれ、我が笱(うえ)を發(ひら)くこと毋か

我躬不、遑恤我後。

我が躬すら(い)れられず、我が後を恤うるに遑あらんや

涇(けい)は渭(い)に合えば濁り川/それでも沚(なぎさ)は澄んでいる/新妻だけを宴んで/いまは私に眼もくれぬ/私の梁(やな)に近づくな/私の筍(かご)を発(あば)くなと/跡を気づかうひまもない/今はわが身さえ閲(い)れられぬ

就其深矣、方之舟之。

  其の深きに就いて、  之に方(いかだ)し之に舟す。

就其淺矣、泳之游之。

  其の淺きに就いて、  之を泳(くぐ)り之を游(およ)ぐ。

何有何亡、黽勉求之。

  何か有り何か亡き、  黽勉として之を求む。

凡民有喪、匍匐救之。

  凡そ民喪有れば、  匍匐して之を救う。

自分のこれまで苦心して持ってきた家を、新しい女が入って来て、勝手にするのを嘆くことば。渉(わた)りに水が深ければ/筏を浮かべ舟に乗り/渉りに水の浅ければ、/くぐり游(およ)ぐもなんのその/有るもの無いもの気をくばり/辛苦を厭わず求めきて/ひとに不幸のあるときは/つい駆け出しても手伝った

不我能慉、反以我為讎

我を能く慉(やしな)わず、反って我を以て讎とす。

既阻我德、賈用不售。

に我が德を阻け、賈(あきもの)用って售()られざる

昔育恐育鞫及爾顛覆。

昔育いするに育い鞠(きわ)まり、爾と顚覆せんことを恐る。

既生既育、比予于毒。

  に生きに育えば、  予を毒に比す。

伝うのも、夫の家を大事に思えばこそ今さら私をいとしまず/いっそ仇を見るように/心づくしを振り捨てて/顧みもせぬ棚ざらし/苦しい中に二人して/ようよう育てて来たものが/どうやら伸びた今になり/邪魔な私はどくのよう

我有旨蓄、亦以御冬。

我に旨き蓄(たくわえ)有り、  亦以て冬を御(ふせ)がん。

宴爾新昬、以我御窮。

爾の新昬を宴(たの)しみ、我を以て窮まれるに御(あ)たらしむ。

有洸有潰、既詒我肄。

洸たる有り潰たる有り、  に我が肄(い)を詒(のこ)す。

不念昔者、伊余來

昔、伊(こ)れ余が來り  (いこ)いしことを念わざらん。

うまい漬菜もたくわえて/冬の用意もしていたに/新妻ばかりを宴しんで/私は苦労を見るばかり/怒ったりまた罵ったり/こうまで私を苦しめる/あれほど私をいとしんだ/昔の事も忘れたか