745-030-7166-13 鳴皋歌送岑徵君(卷七(一)五○六)

 

 

2017823

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Ⅰ李白詩

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745-030-#6巻166-13 鳴皋歌送岑徵君(卷七(一)五○六)Ⅰ漢文委員会kanbuniinkai紀頌之 李白詩集8939

 

 

 

 

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745-030-7166-13 鳴皋歌送岑徵君(卷七(一)五○六)Ⅰ漢文委員会kanbuniinkai紀頌之 李白詩集8945

やもりといわれる蝘蜓が勢いを増してきたという事で龍を嘲ってばかにしており、魚の目玉とは、誰でも一見して、その価値がわかるにもかかわらず魚目が珍重されて真珠などの中にまじっている。それから、母はみにくいおんなをいい、その醜婦が立派な錦衣を着るようなことがあり、反対に、言うまでもないことだが、西施は美人だがその彼女のような美人が薪を背負っていることがあるのである。このように賢愚清濁がすべて顛倒しているか世俗であるから山に隠遁しようというのであろう。むかし、巣父と許由は、その天分に従がって山中に住んでいたのであるが、それを無理矢理引っ張り出してりっぱな禮冠をいだかせて、軒車に乗せるようなことをすれば、隠者のみに桎梏をはめ、しばりつけさせて苦しめるようなものである。つまり、單由に軒冕にせしめるのは

夔龍を風塵にせしめると同じく、それぞれが適した場所に居なければただ苦しむばかりという事である。

 

 745-031-1 -7

鳴皋歌送岑徵君(卷七(一)五六) -7

全唐詩巻166-137

李白集校注岑徵君(卷七(一)五#7

李太白集巻一九217

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ8945

 


太白山00
全唐詩 巻166-13

鳴皋歌送岑徵君(卷七(一)五○六)

#1

若有人兮思鳴,阻積雪兮心煩勞。

洪河凌競不可以徑度,冰龍鱗兮難容

邈仙山之峻極兮,聞天籟之嘈嘈。

#2

霜厓縞皓以合沓兮,若長風扇海湧滄溟之波濤。

玄猨綠羆,舔〈同餂〉〈音演〉崟岌。

危柯振石,駭膽慄魄,羣呼而相號。

#3

峯崢嶸以路,挂星辰於巖

送君之歸兮,動鳴之新作。

交鼓吹兮彈絲,觴清泠之池閣。

#4

君不行兮何待,若反顧之黃鶴。

掃梁園之羣英,振大雅於東洛。

巾征軒兮歷阻折,尋幽居兮越巘崿。

#5

盤白石兮坐素月,琴松風兮寂萬壑。

望不見兮心氛氳,蘿冥冥兮霰紛紛。

水橫洞以下淥,波小聲而上聞。

#6

虎嘯谷而生風,龍藏溪而吐雲。

寡鶴清唳,飢鼯嚬呻。

魂獨處此幽默兮,愀空山而愁人。

雞聚族以爭食,鳳孤飛而無隣。

7

蝘蜓嘲龍,魚目混珍。

母衣錦,西施負薪。

若使巢由桎梏於軒冕兮,亦奚異乎夔龍蹩於風塵。

#8

哭何苦而救楚,笑何誇而却秦。

吾誠不能學二子沽名矯節以耀世兮,固將棄天地而遺身。

白鷗兮飛來,長與君兮相親。

 

卷別

李白集校注

全唐詩

李太白集

岑徵君(卷七(一)五

166-13

巻一九21

詩題

鳴皋歌送岑徵君(卷七(一)五○六)

文體

雜言古詩

 

詩序

時梁園三尺雪,在清泠池作。

     初句

若有人兮思鳴皋

天寶四年  745  45

 

作地點

宋州(河南道 / 宋州 / 宋州)

及地點

鳴皋山 (都畿道 河南府 鳴皋山別名:明皋山

 

梁園 (河南道 宋州 宋城別名:梁苑

 

洛陽 (都畿道 河南府 洛陽別名:洛城、洛、東洛、洛邑、京洛、河洛、洛下

 

 

交遊人物/交遊地點

岑勛

當地交遊(河南道 宋州 宋州)

 終南山06

鳴皋歌送岑徵君

(友人の岑勛が鳴皋山に隠遁するのに送る“鳴皋山の歌”をつくったもの)

〔時梁園三尺雪,在清泠池作。〕

744年天宝三年3月、長安を追放され、洛陽、梁園を経て齊州など歩き翌年12月にこの地にいて、隠遁者の友人である岑勛を送る送別の快の日に雪が降ったもので、魏の阮籍が詠懐詩にうたった蓬池、そこは清泠の池であり、この詩はここで作ったもの。〕 

若有人兮思鳴皋,阻積雪兮心煩勞。

ここに岑勛君という人がいて、鳴皋山に隠遁しようといっているが、積雪が三尺もあって、この雪に阻まれて心が痛むほどに煩勞している。

洪河凌競不可以徑度,冰龍鱗兮難容

隠遁地の鳴皋山に行こうとするには、前に淮河左岸一条の大河があり、渡って行けそうにないし、今や、寒気冷気の為に凌競と凍ってしまっているから、まるで、龍の鱗が逆立ったようになっていて、船が入ることなどできそうにないのである。

邈仙山之峻極兮,聞天籟之嘈嘈。

仙山である鳴皋山は、邈然として遠くに隔たり、いかにも峻険であり、天籟の響きが、嘈嘈と聞こえてくるのである。

 

(鳴皋の歌 岑を送る)

人有るが若く 鳴皋を思う,積雪に阻れて 心 煩勞す。

洪河 凌競 以て徑度す可からず,龍鱗 冰って 

として 仙山の峻 極れる,聞天籟の嘈嘈【そうそう】をく。

 

#2

霜厓縞皓以合沓兮,若長風扇海湧滄溟之波濤。

積雪の積もった白色の土層の上にさらに積もって縞皓となって合沓と重なり合っていて、その有様は、長風が海を仰いで、滄溟の波濤を湧かしたっているので容易に足を入れることはできないのである。

玄猨綠羆,舔〈同餂〉〈音演〉崟岌。

山中には、黒い手長猿だの、綠羆とかいうけものがいて、舔とした長い舌を吐き、崟岌と険しい崖のようなところに寄りかかって生息している。

危柯振石,駭膽慄魄,羣呼而相號。

樹木がや岩石の間に彷徨っているのであり、そのに大雪が降って、さながら滄溟の波濤を湧かしたっているのに似ているというありさまを見ると、いずれも胆を驚かし、魄を慄わせて羣呼して互いを呼び合っている。

#2

霜厓 縞皓として 以て合沓とし,長風 海を扇って 滄溟の波濤を湧かすが若し。

玄猨【げんえん】 綠羆【りょくひ】,舔【てんえん】 崟岌【きんきゅう】

柯に危り 石を振い,膽を駭【おどろ】かし 魄を慄す,羣呼して 相い號けぶ。

 

#3

峯崢嶸以路,挂星辰於巖

また、向こうに聳えているあの峰は、崢嶸として険しい、だからもう行くべき道もない。その巖の狭間には、小石が星辰を散じたように見える。このように鳴皋山は険阻で大変なところだというに。

送君之歸兮,動鳴之新作。

それでもそこに還るという君をこうして送行して、新たに鳴皋山の歌を作ろうとしているのである。

交鼓吹兮彈絲,觴清泠之池閣。

そうであるから鼓吹に彈絲の音楽を合奏しながら、古くから前漢の文帝の子梁孝王や魏の阮籍が詩を作り遊んだ清泠の池閣において送別の宴を催しているのである。

#3

峯は崢嶸して 以て路,星辰を巖於て挂く。

君の歸るを送って,鳴新作を動かす

鼓吹に彈絲を交え,清の池閣に觴す。

 

#4

君不行兮何待,若反顧之黃鶴。

しかし君は鳴皋山に行こうという志は捨てていないというのに、君は行こうとしないで何を待つのか、このような送別の宴を催せば名残惜しそうに、まるでふりかえる黄鶴のようにしきりに地を反顧して、去りがたいようにしてるのと同じようではないか。

掃梁園之羣英,振大雅於東洛。

山に還ってしまえばそれっきり、世俗と縁を断つのであるから、梁園にむらがっている英才たちを一掃するような大作を出し、この汴州梁州、地方から洛陽に至るいったいに大雅のような詩を大聲を震わせてから山に入ろうというのであろう。

巾征軒兮歷阻折,尋幽居兮越巘崿。

君が山に入る時は、遠行の車にとばりをかけて出発し、つづら折りの山道を通り、己の幽居と爲似たるべき格好の場所を尋ねつつ、けわしい崖をこえてゆき、しずかな住み家をたずねるのである。

#4

君行かずして 何をか待つ,反顧の鶴の若くす

梁園の羣英を掃い,大雅を東洛に於て振う。

征軒を巾して 阻折を,幽居を尋ねて 巘崿

 

#5

盤白石兮坐素月,琴松風兮寂萬壑。

大盤のような白石の上にあぐらをかいて素月を賞し、月光をあびて、琴にまがう嵆康の作である「風入松の曲」をひけば、静かなよろずの谷の間を吹きわたって瑟瑟たる響きを聞かれることであろう。

望不見兮心氛氳,蘿冥冥兮霰紛紛。

そして山中に卜居すると、これを下界から望めば、今度君に遭おうと思ってもそれができないから、心は氛氳となって曇りがちになってとても愁えることであろう。それはどうかといえば、ひかげのかずらはくろぐろと茂り霰がばらばらと降ってきて、顔を向けることもできない。

水橫洞以下淥,波小聲而上聞。

澄める水が洞穴に満ち下へしみこんでいて、その波は小さい音をたてて上までかすかに聞えてくる。

#5

白石に盤して 素月に坐し,松風を琴すれば 萬壑 寂たり。

望めども見えずして 心 氛たり,蘿は冥冥として 霰は紛紛たり。

水は洞に橫にして以て下淥し,波は小聲にして 上聞す

 

#6

虎嘯谷而生風,龍藏溪而吐雲。

それの実か恐ろしい虎は、谷にうそぶいて風を生じ、竜は谷間にかくれて雲を吐く

寡鶴清唳,飢鼯嚬呻。

連れ合いをなくした鶴は高く飛びながら清らかな声を上げて鳴き、飢えたむささびは眉をひそめてはやしのなかで坤いている。

魂獨處此幽默兮,愀空山而愁人。

そういうところに塊然とただひちりで、ひとりばっちで幽默を守って奥深くひっそりした所におり、人けのない山にいたずらにしおたれていれば悲しくもなり、ひとをうれえしむばかりである。

雞聚族以爭食,鳳孤飛而無隣。

今の世間は清濁賢愚を顛倒し、ここにいたところで、詰まらないので、にわとりのようなものが多くの仲間をあつめて食物を争って、とびまわっている、一方、鳳は一羽で飛んでつれがないばかりか誰も構ってくれるものがない。鶏は得意になり、鳳凰の方は、失意になっている。

#6

虎は谷に嘯いて風を生じ,龍は溪に藏して雲を吐く。

寡鶴【かかく】清唳【せいれい】,飢【きご】【ひんしん】

魂獨 此に幽默に處り,愀たる空山にして人を愁えしむ。

族を聚めて以て食を爭い,鳳は孤飛して隣無し

7

蝘蜓嘲龍,魚目混珍。

やもりといわれる蝘蜓が勢いを増してきたという事で龍を嘲ってばかにしており、魚の目玉とは、誰でも一見して、その価値がわかるにもかかわらず魚目が珍重されて真珠などの中にまじっている。

母衣錦,西施負薪。

それから、母はみにくいおんなをいい、その醜婦が立派な錦衣を着るようなことがあり、反対に、言うまでもないことだが、西施は美人だがその彼女のような美人が薪を背負っていることがあるのである。このように賢愚清濁がすべて顛倒しているか世俗であるから山に隠遁しようというのであろう。

若使巢由桎梏於軒冕兮,亦奚異乎夔龍蹩於風塵。

むかし、巣父と許由は、その天分に従がって山中に住んでいたのであるが、それを無理矢理引っ張り出してりっぱな禮冠をいだかせて、軒車に乗せるようなことをすれば、隠者のみに桎梏をはめ、しばりつけさせて苦しめるようなものである。つまり、單由に軒冕にせしめるのは

夔龍を風塵にせしめると同じく、それぞれが適した場所に居なければただ苦しむばかりという事である。

7

蝘蜓【えんてい】は龍を嘲り,魚目は 珍に混ず。

母は錦を衣し,西施は薪を負う。

若し由をして軒冕に桎梏せしむれば,亦た奚んぞ 乎龍の風塵に【べすせつ】たるに異ならむ

 

《鳴皋歌送岑徵君》現代語訳と訳註解説

(本文) 
7

蝘蜓嘲龍,魚目混珍。

母衣錦,西施負薪。

若使巢由桎梏於軒冕兮,亦奚異乎夔龍蹩於風塵。

 

(下し文)
7

蝘蜓【えんてい】は龍を嘲り,魚目は 珍に混ず。

母は錦を衣し,西施は薪を負う。

若し由をして軒冕に桎梏せしむれば,亦た奚んぞ 乎龍の風塵に【べすせつ】たるに異ならむ

 

 

(現代語訳)

やもりといわれる蝘蜓が勢いを増してきたという事で龍を嘲ってばかにしており、魚の目玉とは、誰でも一見して、その価値がわかるにもかかわらず魚目が珍重されて真珠などの中にまじっている。

それから、母はみにくいおんなをいい、その醜婦が立派な錦衣を着るようなことがあり、反対に、言うまでもないことだが、西施は美人だがその彼女のような美人が薪を背負っていることがあるのである。このように賢愚清濁がすべて顛倒しているか世俗であるから山に隠遁しようというのであろう。

むかし、巣父と許由は、その天分に従がって山中に住んでいたのであるが、それを無理矢理引っ張り出してりっぱな禮冠をいだかせて、軒車に乗せるようなことをすれば、隠者のみに桎梏をはめ、しばりつけさせて苦しめるようなものである。つまり、單由に軒冕にせしめるのは

夔龍を風塵にせしめると同じく、それぞれが適した場所に居なければただ苦しむばかりという事である。

 

(訳注) 
7

蝘蜓嘲龍,魚目混珍。

やもりといわれる蝘蜓が勢いを増してきたという事で龍を嘲ってばかにしており、魚の目玉とは、誰でも一見して、その価値がわかるにもかかわらず魚目が珍重されて真珠などの中にまじっている。

40. 蝘蜓 やもり、別宮、又の名を壁宮。爾雅翼:「蝘蜓は蜥蜴に似て、灰褐色、人家屋壁間に在り、狀、龍に似たりと雖も、人の玩習とする所。故に淮南に云う:禹南して江を濟り、黄龍舟を負う、禹、龍を視ること猶お蝘蜓のごとし、龍亡げて去る。 之れを蝘蜓に比すは、畏るるに足らずと言う。揚子云う:蝘蜓を執って龜龍を嘲ると、葢し之を陋とするなり。 一名 守宮といい、又の名を壁特に善く蝎を捕う、俗には蝎虎と號す。

41. 魚目混珍 魚目は価値のないものであるが、形が丸いから、珍珠の中に交じることがあるという事。 李善の文選註に:雒書に曰く:秦、金鏡を失い、魚目珠に入る。 鄭𤣥曰く:魚目珍珠を亂る。 

 

母衣錦,西施負薪。

それから、母はみにくいおんなをいい、その醜婦が立派な錦衣を着るようなことがあり、反対に、言うまでもないことだが、西施は美人だがその彼女のような美人が薪を背負っていることがあるのである。このように賢愚清濁がすべて顛倒しているか世俗であるから山に隠遁しようというのであろう。

42. 母衣錦 尚書大傳に:黄帝の妃、母、四妃の班に最も下する。貌、甚だ醜にして最も賢、心毎に自ら退く」とある。淮南子、説山篇に:母は美き所に有り。高誘の註に:母、古えは之を醜女という。

43. 西施負薪 呉越春秋に:越王、相者を國中に使し、苧蘿山に薪を鬻ぐのを之を女に得たり、西施鄭旦と曰う。

 

若使巢由桎梏於軒冕兮,亦奚異乎夔龍蹩於風塵。

むかし、巣父と許由は、その天分に従がって山中に住んでいたのであるが、それを無理矢理引っ張り出してりっぱな禮冠をいだかせて、軒車に乗せるようなことをすれば、隠者のみに桎梏をはめ、しばりつけさせて苦しめるようなものである。つまり、單由に軒冕にせしめるのは

夔龍を風塵にせしめると同じく、それぞれが適した場所に居なければただ苦しむばかりという事である。

44.  巢由 許由と巣父のこと。許由は、中国古代の三皇五帝時代の人と伝わる、伝説の隠者である。伝説によれば、許由は陽城槐里の人でその人格の廉潔さは世に名高く、当時の堯帝がその噂を聞き彼に帝位を譲ろうと申し出るが、それを聞いた許由は潁水のほとりにおもむき「汚らわしいことを聞いた」と、その流れで自分の耳をすすぎ、箕山に隠れてしまったという。堯から帝位を譲る申し出を受けた一人であり、高士として知られる巣父(そうほ)は、まさに牛にその川の水を飲ませようとしていたが、許由が耳をすすぐのを見て「牛に汚れた水を飲ませるわけにはいかぬ」と立ち去ったという。

45. 桎梏 「桎」は足かせ、「梏」は手かせの意》人の行動を厳しく制限して自由を束縛するもの。

46 軒冕 禮冠をいだかせて、軒車に乗せる。

47. 夔龍 夔龍とも呼ばれる龍神の一種。ここでは、三皇五帝の舜の賢臣。

48. 蹩 施行の貌、びっこをひく。莊子:《馬蹄篇》蹩して仁を爲し、踶跂して義を爲し。「廣韻」に:蹩は、旋り行く貌、一に曰う跛なり。」

49. 風塵 𤣥禮記の註:桎梏今械也。 在足曰桎在手曰梏。 巢、由以隱居自樂爲志、夔龍以行道濟/時爲志。若使巢、由羈身於軒冕之中、與夔龍廢棄於風塵之内無異。是皆不適其志願也。