(殷末周初・箕子)《麥秀歌》 麦の穂は、ずんずんのびている。稲や黍はみずみずしくそだっている。ああ、これがわが祖国の都のあとなのか。
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麥秀歌 (殷末周初・箕子)
(麥秀の歌)
麥秀漸漸兮,禾黍油油。
麦の穂はずんずんのびている。稲や黍はみずみずしくそだっている。ああ、これがわが祖国の都のあとなのか。
彼狡僮兮,不與我好兮。
この荒廃のなんとはなはだしいことよ。これというのもあの生意気な紂のやつが、わしと仲悪く、わしの諌めを聞いてくれなかったからだ。
麥秀の歌
麥 秀でで 漸漸たり,禾黍 油油たり。
彼の狡僮,我と 好からざりき。
『麥秀歌』 現代語訳と訳註
(本文)
麥秀歌
麥秀漸漸兮,禾黍油油。
彼狡僮兮,不與我好兮。
(下し文)
麥秀の歌
麥 秀でで 漸漸たり,禾黍 油油たり。
彼の狡僮,我と 好からざりき。
(現代語訳)
(麥秀の歌)
麦の穂はずんずんのびている。稲や黍はみずみずしくそだっている。ああ、これがわが祖国の都のあとなのか。
この荒廃のなんとはなはだしいことよ。これというのもあの生意気な紂のやつが、わしと仲悪く、わしの諌めを聞いてくれなかったからだ。
(訳注)
麥秀歌
・麦秀歌 『史記・宋微子世家第八』に、周の武王が笑子を朝鮮に封じた。箕子は紂王の親戚で、かつて紂の暴虐を諌めたが、聴かれなかった。後周に朝する時、殷の廃墟を過ぎ、禾黍の生ぜるを傷んだが、今は周の代であるから声をあげて泣くこともできず、麦秀の歌を作ったとある。尚書大伝には、これを紂の庶兄微子の作としてある。
『史記・宋微子世家第八』に、歌とともに載っている。「其後箕子朝周,過故殷虚(墟),感宮室毀壞,生禾黍,箕子傷之,欲哭則不可,欲泣爲其近婦人,乃作麥秀之詩以歌詠之。…殷民聞之,皆爲流涕。」となっている。最古の歌の一。なお、これと同じモチーフのものに、『詩經』王風『黍離』がある。「彼黍離離,彼稷之苗。行邁靡靡,中心搖搖。知我者謂我心憂,不知我者謂我何求。悠悠蒼天,此何人哉。」 『黍離』は、西周の武王の都であった鎬京が、廃墟となってキビが生い茂るさまを見て、亡国の悲嘆に耽っている詩。こちらは有名で、豪放詞でしばしば引用されている。なお、この第三句に似た詩が『詩經・鄭風』の『狡童』に「彼狡童兮,不與我言兮。維子之故,使我不能餐兮。 彼狡童兮,不與我食兮。維子之故,使我不能息兮。」とある。
・箕子:殷の紂王の同母の庶兄になる。殷が滅んだ後、周の武王に赦されて、周に仕えた。
麥秀漸漸兮,禾黍油油。
麦の穂はずんずんのびている。稲や黍はみずみずしくそだっている。ああ、これがわが祖国の都のあとなのか。
・麥秀:麦の穂。麦の穂がみのる。普通、後者にとるが、後の句との続き具合から見ると、前者の意ではないのか。・秀:動詞:しげる。(花やイネが)咲く。
・漸漸:麦ののぎのさま。麦の秀でるさま。・兮:語調を整える虚辞。取り立てた意味はない。上句の末尾や、一句のなかの節奏に附くことが多い。「…て、」。上代詩によく見られる。
・禾黍:イネとキビ。イネやキビ。ここは後者。
・油油:うるわしく盛んに生えてる。つやつやした。生き生きした。
彼狡僮兮,不與我好兮。
この荒廃のなんとはなはだしいことよ。これというのもあの生意気な紂のやつが、わしと仲悪く、わしの諌めを聞いてくれなかったからだ。
・彼:あの。かの。
・狡僮:悪童。ずるがしこいやつ。殷の紂王のことをいう。『史記・宋微子世家第八』本文の記述で「所謂狡童者,紂也。」とある。・狡:わるがしこい。ずるい。はしこい。・僮:こども。わらは。
・不與:…と。…と…いっしょに…する。 ・我:わたし(と)。・好:よい。