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燕歌行
孟冬初寒節氣成,悲風入閨霜依庭,
10月初旬に初めての寒気団が到来して、「立冬」という始めて冬の氣配が現れて來る、夫のことは悲しみでもいい、私の閨にまで風が運び入ってくるけれど霜は庭に降りてほしい。
秋蟬噪栁燕辭楹,念君行役怨邊城,
秋蟬は柳の木で騒いで泣いていた、ツバメも軒の柱からいなくなっている。
君何崎嶇乆徂征,豈無膏沐感鸛鳴,
夫の役目として辺境の城塞勤めについて恨みの思いでいっぱいなのである。
對君不樂淚沾纓,闢窗開幌弄秦箏,
夫に対して留守宅を守るわたしは自分が楽しいことなどはしないし、いつも涙にくれ嫁入りに付けた紐は湿り続けている。閨の窓を開き、とばりを挙げるのであるが、そして秦箏を引いて慰めているのである。
調絃促柱多哀聲,遙夜明月鑒帷屏,
琴の絃を調整し、琴柱を促すのである、悲しみの声を多くするのである。夜になるとはるか出征先を思い、名月が出ると思っている、とばりも多いも明月が照らすのである。
誰知河漢淺且清,展轉思服悲明星。
誰か知っているだろうか、天の川は浅いのだろうか、清流なのだろうか。寝返りを打ちながら、覚めているときはもちろん、寝ている時でも常に心に思っている、今日もかなしい星空を見るのです。
現代語訳と訳註
(本文)
對君不樂淚沾纓,闢窗開幌弄秦箏,
調絃促柱多哀聲,遙夜明月鑒帷屏,
誰知河漢淺且清,展轉思服悲明星。
(下し文)
君に對し樂しまず 淚 纓【えい】を沾【うる】おす,窗を闢【あ】け幌を開いて秦箏【しんそう】を弄ぶ,
調絃し柱を促し哀聲多く,遙なる夜の明月 帷屏【いへい】を鑒【て】らす,
誰か知らん河漢【かかん】は淺く且つ清きを,展轉【てんてん】思服し明星を悲しむ。
(現代語訳)
夫に対して留守宅を守るわたしは自分が楽しいことなどはしないし、いつも涙にくれ嫁入りに付けた紐は湿り続けている。閨の窓を開き、とばりを挙げるのであるが、そして秦箏を引いて慰めているのである。
琴の絃を調整し、琴柱を促すのである、悲しみの声を多くするのである。夜になるとはるか出征先を思い、名月が出ると思っている、とばりも多いも明月が照らすのである。
誰か知っているだろうか、天の川は浅いのだろうか、清流なのだろうか。寝返りを打ちながら、覚めているときはもちろん、寝ている時でも常に心に思っている、今日もかなしい星空を見るのです。
(訳注)
對君不樂淚沾纓,闢窗開幌弄秦箏,
君に對し樂しまず 淚 纓【えい】を沾【うる】おす,窗を闢【あ】け幌を開いて秦箏【しんそう】を弄ぶ,,
夫に対して留守宅を守るわたしは自分が楽しいことなどはしないし、いつも涙にくれ嫁入りに付けた紐は湿り続けている。閨の窓を開き、とばりを挙げるのであるが、そして秦箏を引いて慰めているのである。
・纓【えい】1 冠の付属具で、背後の中央に垂らす部分。古くは、髻(もとどり)を入れて巾子(こじ)の根を引き締めたひもの余りを後ろに垂らした。のちには、幅広く長い形に作って巾子の背面の纓壺(えつぼ)に差し込んでつけた。女性が婚約をした時身につける飾りひも。・秦箏 箏では柱(じ)と呼ばれる可動式の支柱で弦の音程を調節するのに対し、琴(きん)では柱が無いことである。秦箏」は「十二弦の琴」で、「斉瑟は二十五弦の大きな琴」である。
調絃促柱多哀聲,遙夜明月鑒帷屏,
調絃し柱を促し哀聲多く,遙なる夜の明月 帷屏【いへい】を鑒【て】らす,
琴の絃を調整し、琴柱を促すのである、悲しみの声を多くするのである。夜になるとはるか出征先を思い、名月が出ると思っている、とばりも多いも明月が照らすのである。
・帷屏 屏: 1 中を隠すために設けるもの。ついたてや垣根。2 閉じて外に出さない。ついたて。おおって防ぐ。
誰知河漢淺且清,展轉思服悲明星。
誰か知らん河漢【かかん】は淺く且つ清きを,展轉【てんてん】思服し明星を悲しむ。
誰か知っているだろうか、天の川は浅いのだろうか、清流なのだろうか。寝返りを打ちながら、覚めているときはもちろん、寝ている時でも常に心に思っている、今日もかなしい星空を見るのです。
・展轉 (1)ころがること。回転すること。 (2)寝返りを打つこと。 「―して眠れぬ夜」 (3)巡り移ること。・思服 寤寐思服. 「寤寐思服(ごびしふく)」目覚めているときはもちろん、寝ている時でも常に心に思っていること。 切実に人を思うこと。 「寤寐」は目覚めることと寝る事。
参考(1)
古詩十九首其十七
孟冬寒氣至,北風何慘慄?愁多知夜長,仰觀眾星列。 三五明月滿,四五詹兔缺。客從遠方來,遺我一書札。 上言長相思,下言久別離。置書懷袖中,三歲字不滅。 一心抱區區,懼君不識察。
孟冬 寒氣至り、北風 何ぞ慘栗たる。
愁ひ多くして夜の長きを知り、仰いで衆星の列なるを觀る。
三五 明月滿ち、四五 蟾兔缺く。
客 遠方より來り、我に一書札を遺る。
上には長く相思ふと言ひ、下には久しく離別すと言ふ。
書を懷袖の中に置き、三歳なるも字滅せず。
一心に區區を抱き、君の識察せざらんことを懼る。
参考(2)
曹丕(曹子桓/魏文帝)の詩 『燕歌行』
燕歌行
秋風蕭瑟天気涼、草木搖落露為霜、
羣燕辭帰雁南翔。
念君客遊思断腸、慊慊思帰戀故郷、
何為淹留寄他方。』
賤妾煢煢守空房、憂来思君不敢忘。
不覚涙下霑衣裳。
援琴鳴絃發清商、短歌微吟不能長。』
明月皎皎照我牀、星漢西流夜未央。
牽牛織女遥相望、爾獨何辜限河梁。』
(燕歌行)
秋風 蕭瑟として天気涼し、草木 搖落して 露 霜となり、羣燕 辭し帰りて 雁 南に翔る。
君が 客遊を念いて 思い腸を断ち、慊慊【けんけん】として帰るを思い故郷を戀【した】わん、何為れぞ淹留してか他方に寄る。
妾 煢々【けいけい】として空房を守り、憂い来りて君を思い 敢えて忘れず、覚えずも涙下りて衣裳を霑【うるお】す。
琴を援き絃を鳴らして清商【せいかん】を發し、短歌 微吟【びぎん】長くするを能わず。
明月 皎皎として我が牀を照らす、星漢【せいかん】西に流れ夜未だ央きず。
牽牛 織女 遥かに相望む、爾 独り何の辜【つみ】ありてか河梁【かりょう】に限らる。
燕歌行 玉台新詠 蕭子顯 「風光遅舞出青蘋、蘭條翠鳥鳴發春。」