盛唐詩 下贛石 孟浩然 「峴山懐古」関連 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集350 -331
孟浩然は目で捉えたものをそのものの奥にある心のなかを詠うことはしない、事物の置かれている環境、事物そのものの動きを描く。随って事物を、自然界をできるだけ自然の動きの中で詠おうとしている。他の詩人にはない感覚である。『宿建徳江』(建徳の江に宿す)では同じ銭塘江の中流の人影もない荒野の岸辺に一夜を過ごしてものであった。
卷160_157 「下贛石」孟浩然
下贛石
贛水の難所を下る
贛石三百里,沿洄千嶂間。
贛江の岩場の航行の難所は三百里もある、江はその間に曲がり、多くある険しい峰に沿っている。
沸聲常活活,洊勢亦潺潺。
両岸の崖がせまり急カーブが続き、湧き上がるような音を立てて、常にごうごうと音を立て、その流れの勢いが激しく流れる。
跳沫魚龍沸,垂藤猿狖攀。
船頭も崖が崩れ落ちそうな岸に悪戦苦闘している。そのように私は見入ってしまって、自分自身が険難の場所にいることさえ忘れるほどである。
榜人苦奔峭,而我忘險艱。
進みゆく船は流れに乗っている、わたしの心情もますます心地良く満足している。
放溜情彌愜,登艫目自閑。
船の船首に登ってながめてみると、風を切り水しぶきで自然に目を閉じてしまう。
暝帆何處宿,遙指落星灣。
やがて帆も暗くなってきたどこかで泊まることになる。見上げるとはるか遠くに星が瞬きその影を静かな水面に湾に映している。
贛【かん】の石【いわお】を下る
贛【かん】の石【いわお】 三百里なり、沿洄す千嶂の間。
沸聲【ふつせい】 常に活活【かつかつ】たり、洊勢【せんせい】 亦た潺潺【せんせん】たり。
跳沫【ちょうばつ】 魚龍沸き、垂藤【すいとう】 猿狖【えんゆう】攀【はん】ず。
榜人【ぼうじん】 奔峭【ほんしょう】に苦しみ、而るに我は険艱【けんかん】を忘る。
放溜【ほうりゅう】情 彌【いよいよ】愜【かな】う、登艦【とうかん】 目 自ら閑なり。
瞑帆【めいほ】 何処にか宿する、遥かに指す星 湾に落つ。
現代語訳と訳註
(本文)
下贛石
贛石三百里,沿洄千嶂間。
沸聲常活活,洊勢亦潺潺。
跳沫魚龍沸,垂藤猿狖攀。
榜人苦奔峭,而我忘險艱。
放溜情彌愜,登艫目自閑。
暝帆何處宿,遙指落星灣。
(下し文) 贛【かん】の石【いわお】を下る
贛【かん】の石【いわお】 三百里なり、沿洄す千嶂の間。
沸聲【ふつせい】 常に活活【かつかつ】たり、洊勢【せんせい】 亦た潺潺【せんせん】たり。
跳沫【ちょうばつ】 魚龍沸き、垂藤【すいとう】 猿狖【えんゆう】攀【はん】ず。
榜人【ぼうじん】 奔峭【ほんしょう】に苦しみ、而るに我は険艱【けんかん】を忘る。
放溜【ほうりゅう】情 彌【いよいよ】愜【かな】う、登艦【とうかん】 目 自ら閑なり。
瞑帆【めいほ】 何処にか宿する、遥かに指す星 湾に落つ。
(現代語訳)
贛水の難所を下る
贛江の岩場の航行の難所は三百里もある、江はその間に曲がり、多くある険しい峰に沿っている。
両岸の崖がせまり急カーブが続き、湧き上がるような音を立てて、常にごうごうと音を立て、その流れの勢いが激しく流れる。
船頭も崖が崩れ落ちそうな岸に悪戦苦闘している。そのように私は見入ってしまって、自分自身が険難の場所にいることさえ忘れるほどである。
進みゆく船は流れに乗っている、わたしの心情もますます心地良く満足している。船の船首に登ってながめてみると、風を切り水しぶきで自然に目を閉じてしまう。
やがて帆も暗くなってきたどこかで泊まることになる。見上げるとはるか遠くに星が瞬きその影を静かな水面に湾に映している。
(訳注)
下贛石
贛【かん】の石【いわお】を下る
贛水の岩石急流の難所を下る
贛石三百里,沿洄千嶂間。
贛【かん】の石【いわお】 三百里なり、沿洄す千嶂の間。
贛江の岩場の航行の難所は三百里もある、江はその間に曲がり、多くある険しい峰に沿っている。
○贛石 贛江(かんこう、拼音: gan jiāng )、あるいは贛水(かんすい)は、中華人民共和国を流れる川の一つで、鄱陽湖に流入している長江右岸の支流。江西省を南北に貫く江西最大の川である。江西省の別名・「贛」(かん)はこの川に由来する。長さは751km(支流の源流まで合わせた長さは991km)。現在の江西省贛水のうち、贛県から万安県に至るまでの十八灘のこと。難所として知られていた。○三百里 1里は576mだから173kmである。○千嶂 険しい峰が多いこと。
沸聲常活活,洊勢亦潺潺。
沸聲【ふつせい】 常に活活【かつかつ】たり、洊勢【せんせい】 亦た潺潺【せんせん】たり。
両岸の崖がせまり急カーブが続き、湧き上がるような音を立てて、常にごうごうと音を立て、その流れの勢いが激しく流れる。
○洊 いたる、水いたる(水が自然に流れてくる)。 2 しきりに、ひきつづき。○潺潺 水がさらさらと流れるさま。
跳沫魚龍沸,垂藤猿狖攀。
跳沫【ちょうばつ】 魚龍沸き、垂藤【すいとう】 猿狖【えんゆう】攀【はん】ず。
江川の龍も魚も水しぶきを揚げて跳ね上がり、岸では藤のつるにおなが猿がよじのぼる。
○猿狖 黒い尾長ざる。
榜人苦奔峭,而我忘險艱。
榜人【ぼうじん】 奔峭【ほんしょう】に苦しみ、而るに我は険艱【けんかん】を忘る。
船頭も崖が崩れ落ちそうな岸に悪戦苦闘している。そのように私は見入ってしまって、自分自身が険難の場所にいることさえ忘れるほどである。
○榜人 漁師。○奔峭 騒がしく、厳しい様子がさらに高く嶮しいさまをいう。
放溜情彌愜,登艫目自閑。
放溜【ほうりゅう】情 彌【いよいよ】愜【かな】う、登艦【とうかん】 目 自ら閑なり。
進みゆく船は流れに乗っている、わたしの心情もますます心地良く満足している。船の船首に登ってながめてみると、風を切り水しぶきで自然に目を閉じてしまう。
○愜 ○登艫 船の船首に登ってながめてみると
暝帆何處宿,遙指落星灣。
瞑帆【めいほ】 何処にか宿する、遥かに指す星 湾に落つ。
やがて帆も暗くなってきたどこかで泊まることになる。見上げるとはるか遠くに星が瞬きその影を静かな水面に湾に映している。
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