漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之のブログ 女性詩、漢詩・建安六朝・唐詩・李白詩 1000首:李白集校注に基づき時系列に訳注解説

李白の詩を紹介。青年期の放浪時代。朝廷に上がった時期。失意して、再び放浪。李白の安史の乱。再び長江を下る。そして臨終の歌。李白1000という意味は、目安として1000首以上掲載し、その後、系統別、時系列に整理するということ。 古詩、謝霊運、三曹の詩は既掲載済。女性詩。六朝詩。文選、玉臺新詠など、李白詩に影響を与えた六朝詩のおもなものは既掲載している2015.7月から李白を再掲載開始、(掲載約3~4年の予定)。作品の作時期との関係なく掲載漏れの作品も掲載するつもり。李白詩は、時期設定は大まかにとらえる必要があるので、従来の整理と異なる場合もある。現在400首以上、掲載した。今、李白詩全詩訳注掲載中。

▼絶句・律詩など短詩をだけ読んでいたのではその詩人の良さは分からないもの。▼長詩、シリーズを割席しては理解は深まらない。▼漢詩は、諸々の決まりで作られている。日本人が読む漢詩の良さはそういう決まり事ではない中国人の自然に対する、人に対する、生きていくことに対する、愛することに対する理想を述べているのをくみ取ることにあると思う。▼詩人の長詩の中にその詩人の性格、技量が表れる。▼李白詩からよこみちにそれているが、途中で孟浩然を45首程度(掲載済)、謝霊運を80首程度(掲載済み)。そして、女性古詩。六朝、有名な賦、その後、李白詩全詩訳注を約4~5年かけて掲載する予定で整理している。
その後ブログ掲載予定順は、王維、白居易、の順で掲載予定。▼このほか同時に、Ⅲ杜甫詩のブログ3年の予定http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/、唐宋詩人のブログ(Ⅱ李商隠、韓愈グループ。)も掲載中である。http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/,Ⅴ晩唐五代宋詞・花間集・玉臺新詠http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/▼また漢詩理解のためにHPもいくつかサイトがある。≪ kanbuniinkai ≫[検索]で、「漢詩・唐詩」理解を深めるものになっている。
◎漢文委員会のHP http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/profile1.html
Author:漢文委員会 紀 頌之です。
大病を患い大手術の結果、半年ぶりに復帰しました。心機一転、ブログを開始します。(11/1)
ずいぶん回復してきました。(12/10)
訪問ありがとうございます。いつもありがとうございます。
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ただ、コメント頂いたても、こちらからの返礼対応ができません。というのも、
毎日、6 BLOG,20000字以上活字にしているからです。
漢詩、唐詩は、日本の詩人に大きな影響を残しました。
だからこそ、漢詩をできるだけ正確に、出来るだけ日本人の感覚で、解釈して,紹介しています。
体の続く限り、広げ、深めていきたいと思っています。掲載文について、いまのところ、すべて自由に使ってもらって結構ですが、節度あるものにして下さい。
どうぞよろしくお願いします。

古詩

虞美人歌  秦末・虞美人 詩<118>古代 女性詩 555 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1482

      
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虞美人歌  秦末・虞美人 詩<118>古代 女性詩 555 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1482
            
秦末 虞美人


虞美人歌
漢兵已略地,四方楚歌聲。
漢の軍勢がすでに楚の国土を侵略してきたようだ。四方周りは敵の漢軍であるがその中に裏切りなのか故郷の楚の歌声が聞こえる。
大王意氣盡,賤妾何聊生。

落胆した覇王項羽大王の意気は尽き果てたのだ。この後、このわたくしは何を頼りに生きていけばいいのでしょうか。

虞美人歌
漢兵 已に地を略し,四方 楚の歌聲。
大王 意氣盡き,賤妾 何ぞ生を聊んぜん。

Flower1-001

現代語訳と訳註
(本文)
虞美人歌
漢兵已略地,四方楚歌聲。
大王意氣盡,賤妾何聊生。


(下し文) 虞美人歌
漢兵 已に地を略し,四方 楚の歌聲。
大王 意氣盡き,賤妾 何ぞ生を聊んぜん。


(現代語訳)
漢の軍勢がすでに楚の国土を侵略してきたようだ。四方周りは敵の漢軍であるがその中に裏切りなのか故郷の楚の歌声が聞こえる。
落胆した覇王項羽大王の意気は尽き果てたのだ。この後、このわたくしは何を頼りに生きていけばいいのでしょうか。 


(訳注)
虞美人歌

この詩は『史記正義』に出てくる楚の項羽(項籍)の女官である虞美人の作といわれる。項羽が、垓下で敗れたときに慷慨悲歌したときの詩
項羽『垓下歌
力拔山兮氣蓋世,時不利兮騅不逝。
騅不逝兮可奈何,虞兮虞兮奈若何!
であるが、それに対して虞美人が歌い舞った。
項羽と劉邦は戦いと和睦を繰り返しながら、垓下で雌雄を決する一戦を迎える。この時、項羽の少数の軍勢を大軍で取り囲んだ劉邦は、味方の兵士たちに項羽の祖国楚の歌を歌わせる。この歌を聞いた項羽は味方の兵が寝返ったのだと誤解して絶望する。その絶望の中で歌ったとされるのが、「垓下歌」である。
・西楚覇王・項羽の愛姫・虞姫の唱った歌。 
・この悲劇に基づき後世、同題の詩が作られる。 
・虞美人 項羽の女官。「美人」は位。
・実質上の妻。『史記・項羽本紀』虞姫は、どの戦闘にもついて行った。


漢兵已略地,四方楚歌聲。
漢の軍勢がすでに楚の国土を侵略してきたようだ。四方周りは敵の漢軍であるがその中に裏切りなのか故郷の楚の歌声が聞こえる。
漢兵 漢の劉邦の軍隊。 
 すでに。 
略地 略:侵略。地:領地が侵される。
・裏切られて漢の兵士に楚人がなってしまったということ。故国の楚は、敵・漢の手に落ちてしまったことをいう。四面楚歌のこと。


大王意氣盡,賤妾何聊生。
落胆した覇王項羽大王の意気は尽き果てたのだ。この後、このわたくしは何を頼りに生きていけばいいのでしょうか。 
大王 西楚覇王・項羽への虞美人からの呼称。
意氣盡 意気が尽きた。
賤妾 このわたくし。いやしき わたくしめ。女性が謙譲して使う自称。
 たよる。よりどころとする。やすんじる。

映水曲 沈満願(梁の征西記室范靖の妻) 女流<116>玉台新詠集 女性詩 553 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1476

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映水曲 沈満願(梁の征西記室范靖の妻) 女流<116>玉台新詠集 女性詩 553 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1476


王昭君歎二首 其一
早信丹青巧、重貨洛陽師。
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
千金買蟬鬢、百萬寫蛾眉。
千金で蟬鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。
早く丹青の巧なるを信ぜば、重く洛陽の師に貨す。
千金 蟬鬢を買い、百萬 蛾眉を寫さしめしに。


王昭君歎二首 其二
今朝猶漢地、明旦入胡關。
今朝、わたしはまだここ漢の国土にいる、明日の午前中には異民族の玉関門にいるだろう。
高堂歌吹遠、遊子夢中還。

漢の土地にある高楼の奥座敷では、歌や笙笛が遠く聞こえてくる、旅に出た身の上ではもう夢の中でしか買えることが出来ないだろう。
今朝は猶お 漢地、明旦【めいたん】は胡關に入らん。
高堂【こうどう】 歌吹【かすい】 遠し、遊子 夢中に還らん。


沈満願 映水曲 
輕鬢學浮雲、雙蛾擬初月。
軽やかな鬢は浮んでいる雲の形をまねたものである。二つ並んだ美しい眉は8月の初月と見まごうものである。
水澄正落釵、萍開理垂髪。
水の澄んでいるところでは落ちかかっている釵子を正しくなおし、浮草がひらけたところではまた垂れかかる髪を手入する。
輕鬢【けいびん】浮雲【ふうん】を學び、雙蛾【そうが】初月【はつづき】に擬す。
水澄みて落釵【らくさ】を正し、萍【へい】開きて垂髪【すいはつ】を理【おさ】む。


現代語訳と訳註
(本文)
映水曲 
輕鬢學浮雲、雙蛾擬初月。
水澄正落釵、萍開理垂髪。


(下し文) 映水曲 
輕鬢【けいびん】浮雲【ふうん】を學び、雙蛾【そうが】初月【はつづき】に擬す。
水澄みて落釵【らくさ】を正し、萍【へい】開きて垂髪【すいはつ】を理【おさ】む。


(現代語訳)
軽やかな鬢は浮んでいる雲の形をまねたものである。二つ並んだ美しい眉は8月の初月と見まごうものである。
水の澄んでいるところでは落ちかかっている釵子を正しくなおし、浮草がひらけたところではまた垂れかかる髪を手入する。


(訳注)
映水曲 

すみきった水面に白く輝く月の影を映してさらに清らかにしてくれる。美人は水に映る自分の姿を、風に吹かれ、船が揺れて乱れた髪を直す。芸妓の舟遊びを詠ったものか、奥座敷で二人で過ごしたその夜遅く鏡を見て詠ったものか後世に影響を与えた詩である。


輕鬢學浮雲、雙蛾擬初月。
軽やかな鬢は浮んでいる雲の形をまねたものである。二つ並んだ美しい眉は8月の初月と見まごうものである。
雙蛾 蛾の触角のように細く弧を描いた美しいまゆ。転じて、美人。
初月(はつづき、しょげつ). 三日月。陰暦3日(ごろ)の、月で最初に見え始める月。特に、陰暦8月の初月。


水澄正落釵、萍開理垂髪。
水の澄んでいるところでは落ちかかっている釵子を正しくなおし、浮草がひらけたところではまた垂れかかる髪を手入する。


王昭君歎二首 其二 沈満願(梁の征西記室范靖の妻) 女流<115>玉台新詠集 女性詩 552 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1473

      
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王昭君歎二首 其二 沈満願(梁の征西記室范靖の妻) 女流<115>玉台新詠集 女性詩552 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1473


王昭君歎二首 其一
早信丹青巧、重貨洛陽師。
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
千金買蟬鬢、百萬寫蛾眉。
千金で蟬鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。
早く丹青の巧なるを信ぜば、重く洛陽の師に貨す。
千金 蟬鬢を買い、百萬 蛾眉を寫さしめしに。


王昭君歎二首 其二
今朝猶漢地、明旦入胡關。
今朝、わたしはまだここ漢の国土にいる、明日の午前中には異民族の玉関門にいるだろう。
高堂歌吹遠、遊子夢中還。

漢の土地にある高楼の奥座敷では、歌や笙笛が遠く聞こえてくる、旅に出た身の上ではもう夢の中でしか買えることが出来ないだろう。
今朝は猶お 漢地、明旦【めいたん】は胡關に入らん。
高堂【こうどう】 歌吹【かすい】 遠し、遊子 夢中に還らん。




現代語訳と訳註
(本文)
王昭君歎二首 其二
今朝猶漢地、明旦入胡關。
高堂歌吹遠、遊子夢中還。


(下し文) 王昭君歎二首 其二
今朝は猶お 漢地、明旦【めいたん】は胡關に入らん。
高堂【こうどう】 歌吹【かすい】 遠し、遊子 夢中に還らん。



(現代語訳)
今朝、わたしはまだここ漢の国土にいる、明日の午前中には異民族の玉関門にいるだろう。
漢の土地にある高楼の奥座敷では、歌や笙笛が遠く聞こえてくる、旅に出た身の上ではもう夢の中でしか買えることが出来ないだろう。



(訳注)
王昭君歎二首 其二
 玉台新詠集 巻六
沈滿願 :生卒年不詳。吳の武康の人。沈約の孫娘。征西記室范靖(靜)の妻。
王昭君の七十余年前に、烏孫公主の故事がある。烏孫公主は漢の皇室の一族、江都王・劉建の娘で、武帝の従孫になる劉細君のこと。彼女は、西域の伊犂地方に住んでいたトルコ系民族の国家・烏孫国に嫁した。ともに漢王朝の対西域政策と軍略を物語るものである。
悲愁歌 烏孫公主(劉細君) 女流<108>542 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1443



今朝猶漢地、明旦入胡關。
今朝、わたしはまだここ漢の国土にいる、明日の午前中には異民族の玉関門にいるだろう。
 匈奴。ウィグル異民族。
 漢の時代、西域の関所としては玉門関。



高堂歌吹遠、遊子夢中還。
漢の土地にある高楼の奥座敷では、歌や笙笛が遠く聞こえてくる、旅に出た身の上ではもう夢の中でしか買えることが出来ないだろう。
高堂 高は高楼、堂はその建物の中で最もよい座敷。
歌吹 歌は唄、吹は笙などの笛。
遊子 旅人。出征兵士。この場合、漢の土地を後にした王昭君のこと。

王昭君歎二首 其一 沈満願(梁の征西記室范靖の妻) <114-#1>玉台新詠集 女性詩 551 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1470

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王昭君歎二首 沈満願(梁の征西記室范靖<范静の妻>)
沈滿願 :生卒年不詳。吳の武康の人。沈約の孫娘。征西記室范靖(靜)の妻。
西暦540年ごろの梁武帝最盛期頃に評価を受けたようである。ただ、沈約(441年 - 513年)は学問に精励し学識を蓄え、宋・斉・梁の3朝に仕えた。南斉の竟陵王蕭子良の招きに応じ、その文学サロンで重きをなし、「竟陵八友」の一人に数えられた。その後蕭衍(後の梁の武帝)の挙兵に協力し、梁が建てられると尚書令に任ぜられ、建昌県侯に封ぜられた。晩年は武帝の不興をこうむり、憂愁のうちに死去したというので、身分地位についてはそれほど高いものではなかったのではなかろうか。ただ、女性の立場で、王昭君の悲劇を呼んでいるわけで、詩界に参列できるだけのものであったことは間違いない。


王昭君歎二首 其一
早信丹青巧、重貨洛陽師。
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
千金買蟬鬢、百萬寫蛾眉。

千金で蟬鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。

早く丹青の巧なるを信ぜば、
    重く洛陽の師に貨す。
千金 蟬鬢を買い、
    百萬 蛾眉を寫さしめしに。


宮島(3)

現代語訳と訳註
(本文)

王昭君歎二首 其一
早信丹青巧、重貨洛陽師。
千金買蟬鬢、百萬寫蛾眉。


(下し文)
早く丹青の巧なるを信ぜば、重く洛陽の師に貨す。
千金 蟬鬢を買い、百萬 蛾眉を寫さしめしに。


(現代語訳)
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
千金で蟬鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。


(訳注)
王昭君歎二首 其一
◎王昭君

前漢の元帝の宮女。紀元前33年(竟寧元年)、匈奴との和親のため、呼韓邪単于に嫁し、「寧胡閼氏」としてその地で没した。名は檣。昭君は字。明君、明妃は、「昭」字をさけたための晋以降の称。
『漢書・本紀・元帝紀』「竟寧元年春正月,匈奴 呼韓邪單于來朝。詔曰:「匈奴呼韓邪單于不忘恩德,鄕慕禮義,復修朝賀之禮,願保塞傳之無窮,邊垂長無兵革之事。其改元爲竟寧,賜單于待詔掖庭王檣爲閼氏。」
王檣 王昭君のこと。
閼氏 單于の正妻の称で皇后のこと。
『漢書・匈奴傳・下』「王昭君號寧胡閼氏,生一男伊屠智牙師,爲右日逐王。」
多くの子供をもうけ、夫の没後は、匈奴の習慣に従った再婚をし、父子二代の妻となり、更に子供を儲けている。子供達の名も記録されている。
辺疆安寧のための犠牲になったことで漢・匈奴友好使節の役を果たした。
李白33-35 王昭君を詠う 三首五言絶句『王昭君』、雑言古詩、『王昭君』、雑言古詩『于闐採花』、王昭君ものがたり、『王昭君 二首』 白楽天
李 白 楊貴妃を詠う
 ・ 李白 
王昭君 二首
  白楽天 楊貴妃を詠う
 ・
白楽天王昭君を詠う二首


聞歌
斂笑凝眸意欲歌,高雲不動碧嵯峨。
銅臺罷望歸何處,玉輦忘還事幾多。
靑冢路邊南雁盡,細腰宮裏北人過。
此聲腸斷非今日,香灺燈光奈爾何。
李商隠 3 聞歌


王昭君の七十余年前に、烏孫公主の故事がある。烏孫公主は漢の皇室の一族、江都王・劉建の娘で、武帝の従孫になる劉細君のこと。彼女は、西域の伊犂地方に住んでいたトルコ系民族の国家・烏孫国に嫁した。ともに漢王朝の対西域政策と軍略を物語るものである。
悲愁歌 烏孫公主(劉細君) 女流<108>542 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1443


早信丹青巧、重貨洛陽師。
あの絵師が、あんなに似顔絵をうまく書くと早くから信じていたなら、私はたくさんの貨幣を都洛陽の絵師に使っていたことだろう。
丹青 1 赤と青。丹碧。 2 絵の具。また、彩色。「―の妙を尽くす」 3 《「たんぜい」とも》絵画。また、絵の具で描くこと。
重貨 貨は貨幣、絵師への賄賂ということ。賄賂を多くわたすということ。
洛陽師 絵師のこと。直接的な名前をぼかすため、洛陽の都の絵師をいうのであるが、王昭君の絵を描いたのは毛延壽は長安の人である。この絵師は斬首刑となっているので、こういう詩においては長安より洛陽という方が「粋」というものであろう。


千金買蟬鬢、百萬寫蛾眉。
千金で蟬鬢の美しさを買って、壱百萬金をかけて蛾眉の美しい姿を写させていたものを。
蟬鬢 蝉の羽のように美しい鬢。詩経で蟬を螓とする。
蛾眉  (1)(蛾の触角のような形の)細く美しい眉(まゆ)。 (2)美人。 (3)三日月。眉月。

『詩経、衛風、碩人』四章に美人の様子を詠っている。
「手如柔荑、膚如凝脂。領如蝤蠐、歯如瓠犀、螓首蛾眉。巧笑倩兮、美目盻兮。」(手は柔荑の如く、膚は凝脂の如し。領は蝤蠐の如く、歯は瓠犀の如し、螓首 蛾眉。巧笑 倩たり、美目 盻たり。)
“手は柔らかい「つばな」のよう、肌は白く凝った脂肪のようであり、領は蝤蠐の如く、歯は瓠犀の如し、蝉の羽のように薄く梳いた髪。「蛾眉」は、蛾の触覚のように弧をえがいた三日月形の眉、笑う口元のあでやかさ、ぱっちりとした美しい目。”




王昭君とは
前漢の元帝の時代、匈奴の呼韓邪単于が、漢の女性を閼氏(匈奴の言葉で君主の妻)にしたいと、元帝に依頼したところ(逆に漢王朝が持ちかけたという説もある)王昭君が選ばれた。『西京雑記』によると、元帝は匈奴へ贈る女性として後宮の中の一番醜い女性を選ぶため、宮女の似顔絵帳の中の一番醜い女性を選ぶことにした。宮女たちはそれぞれ自分の似顔絵を美しく描いてもらうため、似顔絵師の毛延寿に賄賂を贈っていたが、ただ一人賄賂を贈らなかった王昭君は一番醜く描かれていたため、王昭君が匈奴への嫁として選ばれた。皇帝に別れを告げるための式で王昭君を初めて見た元帝は王昭君の美しさに仰天したが、匈奴との関係悪化を恐れ、この段階になって撤回することも出来ないため渋々送り出した。その後の調査で、宮女たちから賄賂を取り立てていた毛延寿の不正が発覚し、激怒した元帝は毛延寿を斬首刑に処したという。

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妾身兮不令。嬰疾兮來歸。
私の体の調子はあまりよくありません。病にかかってしまったのでそちらに行きかけたのですが帰ってしまいました。
沉滯兮家門。歷時兮不差。
家に帰ってからずっと静かに寝ておりますが、時節がたってもよくなりません。
曠廢兮侍覲。情敬兮有違。
旅先のあなたのおそばに連れ立っていたいのですがお目にかかるのさえ怠り、愛情、敬愛、礼儀にたがえてしまいました。
君今兮奉命。遠適兮京師。
あなたは今、あらたな命令を承け賜られて、遠く京師に往かれるそうですね。
悠悠兮離別。無因兮敘懷。

はるばるとしたお別れになりそうです、暫くは私の思いをのべる方法もないのでしょうね。
#2
瞻望兮踴躍。佇立兮徘徊。
そちらの方を眺めてはちょっとおどってみます、そして立ちどまったりしてぶらぶらしてみます。
思君兮感結。夢想兮容輝。
あなたのことを思っての感情が結ばれるよう、夢の中であなたの姿を思い浮かべてみます。
君發兮引邁。去我兮日乖。
あなたはこれから出発され、私から日ごとに離れて乖ことになります。
恨無兮羽翼。高飛兮相追。
恨めしいのは、羽がなくて高く飛べないしあなたを折って行けないことです。
長吟兮永嘆。淚下兮沾裳。

ただできるのは、この詩を長吟してこえをながくすることですが、落ちる涙で着物のすそもぐっしょりと濡れています。


現代語訳と訳註
(本文)#2
瞻望兮踴躍。佇立兮徘徊。思君兮感結。夢想兮容輝。
君發兮引邁。去我兮日乖。恨無兮羽翼。高飛兮相追。
長吟兮永嘆。淚下兮沾裳。


(下し文) #2
瞻望【せんぼう】して踴躍【ゆうやく】し、佇立【ちょりつ】して徘徊【はいかい】す。
君を思いて 感 結ばれ。容輝【ようき】を夢想す。
君 發して引邁【いんまい】し、我を去り 日に乖【そむ】く。
恨む無くは 羽翼【うよく】し、高く飛びて相い追うを。
長吟して永嘆し、淚下りて裳を沾【うるお】す。


(現代語訳)
そちらの方を眺めてはちょっとおどってみます、そして立ちどまったりしてぶらぶらしてみます。
あなたのことを思っての感情が結ばれるよう、夢の中であなたの姿を思い浮かべてみます。
あなたはこれから出発され、私から日ごとに離れて乖ことになります。
恨めしいのは、羽がなくて高く飛べないしあなたを折って行けないことです。
ただできるのは、この詩を長吟してこえをながくすることですが、落ちる涙で着物のすそもぐっしょりと濡れています。


(訳注)
瞻望兮踴躍。佇立兮徘徊。

そちらの方を眺めてはちょっとおどってみます、そして立ちどまったりしてぶらぶらしてみます。
瞻望 遠く見渡すこと。仰ぎ見て慕う。「咨嗟」はため息をつく。高貴な人のすばらしさを敬慕しつつ、ため息をついてうらやむ意味。
踴躍 踊躍。喜んで、おどり上がること。とびはねること。
佇立 しばらくの間立ち止まっていること。たたずむこと。ちょりゅう。


思君兮感結。夢想兮容輝。
あなたのことを思っての感情が結ばれるよう、夢の中であなたの姿を思い浮かべてみます。


君發兮引邁。去我兮日乖。
あなたはこれから出発され、私から日ごとに離れて乖ことになります。


恨無兮羽翼。高飛兮相追。
恨めしいのは、羽がなくて高く飛べないしあなたを折って行けないことです。


長吟兮永嘆。淚下兮沾裳。
ただできるのは、この詩を長吟してこえをながくすることですが、落ちる涙で着物のすそもぐっしょりと濡れています。


答詩一首 秦嘉妻徐淑 女流<113-#1>玉台新詠集 女性詩 549 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1464

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答詩一首 秦嘉妻徐淑 女流<113-#1>玉台新詠集 女性詩 549 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1464

秦嘉 贈婦詩三首
其一
人生譬朝露,居世多屯蹇。憂艱常早至,歡會常苦晚。
念當奉時役,去爾日遙遠。遣車迎子還,空往復空返。
省書情悽愴,臨食不能飯。獨坐空房中,誰與相勸勉。
長夜不能眠,伏枕獨輾轉。憂來如迴圈,匪席不可卷。
其二
皇靈無私親,為善荷天祿。傷我與爾身,少小罹煢獨。
既得結大義,歡樂苦不足。念當遠離別,思念敘款曲。
河廣無舟梁,道近隔丘陸。臨路懷惆悵,中駕正躑躅。
浮雲起高山,悲風激深谷。良馬不回鞍,輕車不轉轂。
針藥可屢進,愁思難為數。貞士篤終始,恩義不可屬。

其三
肅肅僕夫征,鏘鏘揚和鈴。清晨當引邁,束帶待雞鳴。
顧看空室中,仿佛想姿形。一別懷萬恨,起坐為不寧。
何用敘我心,遺思致款誠。寶釵好耀首,明鏡可鑒形。
芳香去垢穢,素琴有清聲。詩人感木瓜,乃欲答瑤瓊。
愧彼贈我厚,慚此往物輕。雖知未足報,貴用敘我情。

この詩に対して徐淑が返した詩で兮をはさんだ五言の形式ではあるが雰囲気だけの五言詩である。


答詩一首 秦嘉妻徐淑
妾身兮不令。嬰疾兮來歸。
私の体の調子はあまりよくありません。病にかかってしまったのでそちらに行きかけたのですが帰ってしまいました。
沉滯兮家門。歷時兮不差。
家に帰ってからずっと静かに寝ておりますが、時節がたってもよくなりません。
曠廢兮侍覲。情敬兮有違。
旅先のあなたのおそばに連れ立っていたいのですがお目にかかるのさえ怠り、愛情、敬愛、礼儀にたがえてしまいました。
君今兮奉命。遠適兮京師。
あなたは今、あらたな命令を承け賜られて、遠く京師に往かれるそうですね。
悠悠兮離別。無因兮敘懷。

はるばるとしたお別れになりそうです、暫くは私の思いをのべる方法もないのでしょうね。
#2
瞻望兮踴躍。佇立兮徘徊。思君兮感結。夢想兮容輝。
君發兮引邁。去我兮日乖。恨無兮羽翼。高飛兮相追。
長吟兮永嘆。淚下兮沾裳。


現代語訳と訳註
(本文)

妾身兮不令。嬰疾兮來歸。沉滯兮家門。歷時兮不差。
曠廢兮侍覲。情敬兮有違。君今兮奉命。遠適兮京師。
悠悠兮離別。無因兮敘懷。


(下し文)
妾が身 令【よ】からず、疾に嬰【かか】りて 來りて歸る。
家門に沉滯して、時を歷【ふ】るを 差【い】えず。
侍覲【じきん】を曠廢【こうはい】し、情敬【じょうけい】違【たが】うあり。
君 今 命を奉じ、遠く京師に適【ゆ】く。
悠悠たる離別、懷を敘するに因【よし】無し。


(現代語訳)
私の体の調子はあまりよくありません。病にかかってしまったのでそちらに行きかけたのですが帰ってしまいました。
家に帰ってからずっと静かに寝ておりますが、時節がたってもよくなりません。
旅先のあなたのおそばに連れ立っていたいのですがお目にかかるのさえ怠り、愛情、敬愛、礼儀にたがえてしまいました。
あなたは今、あらたな命令を承け賜られて、遠く京師に往かれるそうですね。
はるばるとしたお別れになりそうです、暫くは私の思いをのべる方法もないのでしょうね。


(訳注)
妾身兮不令。嬰疾兮來歸。
私の体の調子はあまりよくありません。病にかかってしまったのでそちらに行きかけたのですが帰ってしまいました。
妾身 古代女子对自己的谦称。・不令 不善。ふだんの状態とは違うこと。特に、貴人の病気についていう。婦人病。
嬰疾 病気にかかる。・嬰生まれたばかりの子、生まれたばかりの女の子、加える、首にかける、繞らせる、取り囲む、(攖と通じて)触れる、罪を犯す、(罌と通じて)土器、(瓔と通じて)首飾り、(纓と通じて)冠の紐、という意味がある。


沉滯兮家門。歷時兮不差。
家に帰ってからずっと静かに寝ておりますが、時節がたってもよくなりません。
沉滯 廟熱などで動けない状態にあること。月経不順、生理痛などで動けない状態。
家門 一門、一族。血統、系譜によって結び付けられた血縁集団のこと。ここでは自宅の門というところか。
不差 変わりばえがしない。同じようなもの。


曠廢兮侍覲。情敬兮有違。
旅先のあなたのおそばに連れ立っていたいのですがお目にかかるのさえ怠り、愛情、敬愛、礼儀にたがえてしまいました。
曠廢 すてる。なげやりにする。おこたる。・侍覲 面会して一緒にいる。おそばに連れ立っている。・情敬 情愛。敬愛。


君今兮奉命。遠適兮京師。
あなたは今、あらたな命令を承け賜られて、遠く京師に往かれるそうですね。
京師 みやこ。前漢(西漢)は長安。後漢(東漢)時代なので、洛陽。


悠悠兮離別。無因兮敘懷。
はるばるとしたお別れになりそうです、暫くは私の思いをのべる方法もないのでしょうね。
 しゃべる,話す叙家常世間話をする.(1) 述べる,陳述する.(2) 順序,等級を付ける铨叙《旧》官吏を評定する.(3) 序( xu )と通用.叙别 xubie[動]別れの語らいをする,別れのあいさつを交わす.

歸風送遠操 趙飛燕 女流<112>玉台新詠集 女性詩 548 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1461

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第一回李商隠 1 錦瑟
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趙 飛燕(ちょう ひえん、? - 紀元前1年)は前漢成帝の皇后。元名を宜主と称した。
正史である『漢書』での趙飛燕に関する記述は非常に簡単なものであるが、稗史においては美貌を以って記述されており、優れた容姿を表現する環肥燕瘦の燕痩が示すのが趙飛燕である(環とは楊貴妃の事、幼名・玉環による)。
その出生は卑賤であり、幼少時に長安にたどり着き、号を「飛燕」とし歌舞の研鑽を積み、その美貌が成帝の目にとまり妹「合徳」と一緒に後宮に迎えられた。後宮では成帝の寵愛を受け、更に妹の趙合徳を昭儀として寵愛を受けている。成帝は趙飛燕を皇后とすることを計画する。太后の強い反対を受けるが前18年12月に許皇后を廃立し、前16年に遂に立皇后が実現した。 
前7年、成帝が崩御すると事態が一変する。成帝が急死したことよりその死因を趙姉妹に嫌疑がかけられ、妹の趙合徳が自殺に追い込まれた。趙飛燕には、自ら子がなかったため哀帝の即位を支持、これにより哀帝が即位すると皇太后としての地位が与えられた。しかし6年後、前1年に哀帝が崩御し平帝が即位すると支持基盤を失った趙飛燕は、王莽により宗室を乱したと断罪され皇太后から孝成皇后へ降格が行われ、更に庶人に落とされ間もなく自殺した。


姉は「細腰」、妹はぽっちゃりと対照的な姉妹だったが、姉は皇后に妹は昭儀にそれぞれ立てられた。
趙姉妹は交代で皇帝の寵愛を受けたのである。


細腰
楚の霊王が細い腰を好んだという。
・『漢書・馬寥傳』「呉王好劍客,百姓多瘡瘢。楚王好細腰,宮中多餓死。」
・『荀子・君道』「楚莊王好細腰,故朝有餓人。」
・『韓非子』「越王好勇,而民多輕死。楚靈王好細腰,而國中多餓人。」「楚の霊王は細腰を好み、国中餓する人多し」。

李商隠『燕臺詩四首 其四 』
當時歡向掌中銷,桃葉桃根雙姊妹。

≪あの頃の歓びというものは王の趣向に迎合して、この掌中で消えていくか細さを求め餓死者さえ出たのだ。あまたの王、富貴が姉妹を妾家として迎えた、あの王獻之の妾家に「桃葉復た桃葉、桃樹は桃根に連なる」といって桃葉・桃根姉妹と同時に歓びを求めた。≫
○歡向 漢・成帝の寵愛を受けた趙飛燕は体が軽く、「掌上に舞う」ことができたという(『自民六帖』など)。また梁の羊侃の妓女張浄琬は腰周りがわずか一尺六寸(四十cm弱)、「掌中の舞い」ができたという(『梁書』羊侃伝)。○桃葉桃根 桃葉は東晋・王献之の愛人。「桃葉歌二首」其二「桃葉復た桃葉、桃樹は桃根に連なる。相憐れむは兩楽事なるに、獨我をして慇懃ならしむ」(『王台新詠』巻十)。そこから後人が桃菓・桃根を姉妹とする附会の説が生まれたと漏浩はいう。『土花漠漠として頽垣を囲み、中にあり桃葉桃根の魂、夜深く踏むことあまねし階下の月、憐れなり羅襪の終に痕なきを。』
「楚王細腰を好み朝に餓人有り」
 お上の好む所に下の者が迎合するたとえで、そのために弊害が生じやすいこと。春秋時代に、楚王が腰の細い美女を好んだので、迎合する官僚、宮女たちは痩せようとして食事をとらなくなり、餓死する者が多く出たという話から。「楚王細腰を好みて宮中餓死多し」ともいう。なお、楚王については、荘王とする説と霊王とする説がある。

燕臺詩四首 其四 冬#2 李商隠135 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 134-2



趙飛燕 作 『歸風送遠操』

涼風起兮天隕霜。
涼風は秋風を起し吹きさらしてくると、天は純白の霜を降らせる季節に変わる。
懷君子兮渺難望。
我が夫(今は亡き哀帝)のことを思いうかべるけれども、遠く隔たっても望むこともできはしない。

感予心兮多慨慷。

私の心にあるのは悲しいことだけであり、それはいたずらに嘆くだけなのだ。

帰風送遠操【きふうそうえんそう】
涼風【りょうふう】起【おこ】って、天は霜を隕【おと】す。
君子を懐【おも】えども、渺【びょう】として望み難し。
予【わ】が心を感ぜしめ、慨慷【がいこう】多し。


現代語訳と訳註
(本文)

涼風起兮天隕霜。
懷君子兮渺難望。
感予心兮多慨慷。


(下し文)
涼風【りょうふう】起【おこ】って、天は霜を隕【おと】す。
君子を懐【おも】えども、渺【びょう】として望み難し。
予【わ】が心を感ぜしめ、慨慷【がいこう】多し。


(現代語訳)
涼風は秋風を起し吹きさらしてくると、天は純白の霜を降らせる季節に変わる。
我が夫(今は亡き哀帝)のことを思いうかべるけれども、遠く隔たっても望むこともできはしない。

私の心にあるのは悲しいことだけであり、それはいたずらに嘆くだけなのだ。

(訳注)
歸風送遠操

西京雜記(第五巻)に「趙皇后には宝琴があって、よくこの歌をなした。」とあり、この詩はそこにはなく、古詩紀「二巻」にある。紀元前1年に哀帝が崩御し平帝が即位して後、王莽の策謀により皇后、平民に貶められるまでの間の作であろう。


涼風起兮天隕霜。
涼風は秋風を起し吹きさらしてくると、天は純白の霜を降らせる季節に変わる。(王莽の陰湿な策謀でだれも見向きもしなくなる様子をいう)
・涼風 立秋の頃の涼しい風のこと。この時の風が突風ではないが、それが秋風を起す。そして悲愁を起す。
・隕 おちる おとす空から地上に落ちる。「隕石」


懷君子兮渺難望。
我が夫(今は亡き哀帝)のことを思いうかべるけれども、遠く隔たっても望むこともできはしない。
 水面などが限りなく広がっているさま。はるかにかすんでいるさま。


感予心兮多慨慷。
私の心にあるのは悲しいことだけであり、それはいたずらに嘆くだけなのだ。
慨慷 慷慨:1 世間の悪しき風潮や社会の不正などを、怒り嘆くこと。2 意気が盛んなこと。また、そのさま。



漢の成帝の寵妃であった班婕妤が寵を失い長信宮に移ってからのやるせない思いを王昌齢が詩にしたもの
王昌齢
怨歌行(秋扇賦)

芙蓉不及美人粧、水殿風来珠翠香。
却恨含情掩秋扇、空懸明月待君主。
芙蓉も及ばず 美人の粧い
水殿 風来って 珠翠香ばし
却って怨む 情を含んで秋扇を掩い
空しく明月を懸けて 君王の待ちしを
芙蓉の美しさも、美人の粧いに及ばない。
水殿に風が吹いて来て、珠翠が香しい。
却って恨む、情を含んで秋扇を掩い。
空しく名月を懸けて、君主の寵愛が戻るを待っている。



李白が楊貴妃を趙飛燕と比して詠った
まだ楊太真であった頃のものである。


宮中行樂詞八首 其二
柳色黃金嫩、梨花白雪香。
玉樓巢翡翠、珠殿鎖鴛鴦。
選妓隨雕輦、徵歌出洞房。
宮中誰第一、飛燕在昭陽。
宮中行楽詞 其の二
柳色(りゅうしょく)  黄金にして嫩(やわら)か、梨花(りか)  白雪(はくせつ)にして香(かんば)し。
玉楼(ぎょくろう)には翡翠(ひすい)巣くい、珠殿(しゅでん)には鴛鴦(えんおう)を鎖(とざ)す。
妓(ぎ)を選んで雕輦(ちょうれん)に随わしめ、歌を徴(め)して洞房(どうぼう)を出(い)でしむ。
宮中(きゅうちゅう)  誰か第一なる、飛燕(ひえん)  昭陽(しょうよう)に在り。

宮中行樂詞八首 其二 李白 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白143



清平調詞 三首 其二
一枝紅艷露凝香、云雨巫山枉斷腸。
借問漢宮誰得似、可憐飛燕倚新妝。
其の二
一枝の紅艶 露香を凝らす、雲雨 巫山 枉しく断腸。
借問す 漢宮 誰か似るを得たる、可憐なり 飛燕 新妝に倚る。

清平調詞 三首 其二 李白 :Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白161


怨歌行 班婕妤(倢伃) 漢詩<111>玉台新詠集 ・古詩源・文選 女性詩547 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1458

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怨歌行  
新裂齊紈素,皎潔如霜雪。
新たらしい斉の国産の白練り絹を裂いている、それは純白、潔白で穢れない清い白さは、霜や雪のようだ。
裁爲合歡扇,團團似明月。
裁断して、両面から張り合わせの扇を作っている。丸くしてまるで満月のようです。
出入君懷袖,動搖微風發。
この扇はわが君の胸ふところや袖に出たり入ったりして、搖動かすたびに、そよ風を起していくでしょう。
常恐秋節至,涼風奪炎熱。
でもいつもこころに恐れていることがあるのは秋の季節が来ることなのです。秋の清々しい風は、わが君の情熱を奪って涼しくしてしまうのです。
棄捐篋笥中,恩情中道絶。
そうすると、屑籠の中に投げ捨てられてしまうことになります。わが君、帝王の寵愛が途中で絶えてしまうことになるのです。


怨歌行
新たに 齊の 紈素を 裂けば,皎潔にして  霜雪の 如し。
裁ちて 合歡の扇と 爲せば,團團として  明月に 似たり。
君が懷袖に  出入し,動搖すれば  微風 發す。
常に恐らくは  秋節の至りて,涼風  炎熱を 奪ひ。
篋笥の中に  棄捐せられ,恩情  中道に 絶えんことを。




怨歌行
『古詩源』では『怨歌行』、『玉台新詠』で『怨詩』とする。相和歌辞・楚調曲。
同様の趣に 、
謝玄暉 (謝朓)
『玉階怨』
  「夕殿下珠簾,流螢飛復息。長夜縫羅衣,思君此何極。」(夕殿 珠簾を下し,流螢 飛び 復(また) 息(とま)る。長夜 羅衣を 縫ひ,君を思うこと 此に なんぞ 極(きわ)まらん。)
『金谷聚』 「渠碗送佳人,玉杯邀上客。車馬一東西,別後思今夕。」(渠碗(きょわん) 佳人を 送り,玉杯 上客を 邀(むか)ふ。車馬 一(ひとたび) 東西にせられ,別後 今夕を 思はん。)
李白   『怨情』    「美人捲珠簾,深坐嚬蛾眉。但見涙痕濕,不知心恨誰。」
美人 珠簾(しゅれん)を捲き、深く坐して蛾眉を顰(ひそ)む。但(ただ)見る 涙痕の湿(うるおえる)を、知らず 心に誰をか恨む。  
班婕妤 王維
怪來妝閣閉,朝下不相迎。
總向春園裏,花間笑語聲。

怪しむらくは妝閣【さうかく】の 閉づることを,朝より下りて  相ひ迎へず。
總て春園の裏に 向いて,花間 笑語の聲。

李白  紫藤樹
紫藤掛雲木、花蔓宜陽春。
密葉隠歌島、香風留美人。
李白  客中行 
蘭陵美酒鬱金香,玉碗盛來琥珀光。
但使主人能醉客,不知何處是他鄕。


 
班婕妤(倢伃) (はん しょうよ、生没年不詳)は中国前漢の成帝の愛人。班況の娘で、班固や班超の従祖母に当たる女性。成帝の寵愛を得たが、後に趙飛燕に愛顧を奪われ、大后を長信宮に供養することを理由に退いた。長信宮に世を避けた倢伃は、悲しんで「怨歌行」を作る。その詩は『文選』『玉台新詠』『楽府詩集』『古詩源』などに載せられる。失寵した女性の象徴として、詩の主題にあつかわれることが多い。晋の陸機や唐の王維、王昌齢「西宮春怨・長信秋詞」などがそれである。




現代語訳と訳註
(本文)
怨詩  
新裂齊紈素,皎潔如霜雪。
裁爲合歡扇,團團似明月。
出入君懷袖,動搖微風發。
常恐秋節至,涼風奪炎熱。
棄捐篋笥中,恩情中道絶。


(下し文) 怨詩
新たに 齊の 紈素を 裂けば,皎潔にして  霜雪の 如し。
裁ちて 合歡の扇と 爲せば,團團として  明月に 似たり。
君が懷袖に  出入し,動搖すれば  微風 發す。
常に恐らくは  秋節の至りて,涼風  炎熱を 奪ひ。
篋笥の中に  棄捐せられ,恩情  中道に 絶えんことを。


(現代語訳)
新たらしい斉の国産の白練り絹を裂いている、それは純白、潔白で穢れない清い白さは、霜や雪のようだ。
裁断して、両面から張り合わせの扇を作っている。丸くしてまるで満月のようです。
この扇はわが君の胸ふところや袖に出たり入ったりして、搖動かすたびに、そよ風を起していくでしょう。
でもいつもこころに恐れていることがあるのは秋の季節が来ることなのです。秋の清々しい風は、わが君の情熱を奪って涼しくしてしまうのです。
そうすると、屑籠の中に投げ捨てられてしまうことになります。わが君、帝王の寵愛が途中で絶えてしまうことになるのです。


(訳注)
怨歌行

『古詩源』、『文選』では『怨歌行』、『玉台新詠』で『怨詩』とする。同様の趣に 、謝朓の『玉階怨』「夕殿下珠簾,流螢飛復息。長夜縫羅衣,思君此何極。」や、 李白の『怨情』「美人捲珠簾,深坐嚬蛾眉。但見涙痕濕,不知心恨誰。」などがある。


新裂齊紈素、皎潔如霜雪。
新たらしい斉の国産の白練り絹を裂いている、それは純白、潔白で穢れない清い白さは、霜や雪のよう。
新裂 あらたに、さきやぶる。
齊紈素 斉の国に産する白い練り絹。 
皎潔 白くて穢れなく清いさま。純潔。純白。「皎潔」を「鮮潔」ともする。
霜雪 霜や雪のように潔白な喩え。


裁爲合歡扇、團團似明月。
裁断して、両面から張り合わせの扇を作っている。丸くしてまるで満月のようです。
裁爲 裁断して…とする。
合歡扇 あわせおうぎ。細い絹で作ったもので、両面から張り合わせているもの。ここでは、自分を円くて潔白な扇におきかえたい、という願いでもある。・合歡:喜びをともにする。夫婦の情交。
團團 丸いさま。「団円」で家族や夫婦の憩いの集いをも暗示する。
・明月 清らかに澄んだ月。仲秋の月。満月。


出入君懷袖、動搖微風發。
この扇はわが君の胸ふところや袖に出たり入ったりして、搖動かすたびに、そよ風を起していくでしょう。
出入 出たり入ったりする。 
君懷袖 わが君の胸ふところや袖に出たり入ったりして。
動搖 ゆりうごかす。・微風 そよ風。・ 起きる。


常恐秋節至、涼風奪炎熱。
でもいつもこころに恐れていることがあるのは秋の季節が来ることなのです。秋の清々しい風は、わが君の情熱を奪って涼しくしてしまうのです。
・常恐 いつも(…を)おそれる。
・秋節至 秋の季節が来てしまうこと。
・涼風 秋の清々しい風が扇のいらない涼しい状態にする。
・奪炎熱 きびしい夏の暑さ。わが君の私に対する情熱が奪われること。


棄捐篋笥中、恩情中道絶。
そうすると、屑籠の中に投げ捨てられてしまうことになります。わが君、帝王の寵愛が途中で絶えてしまうことになるのです。
棄捐 すてる。すてられる。 
篋笥 はこ。小箱。竹で編んだ小箱や竹・葦で編んだ方形の籠。ここでは、屑籠のような物。
恩情 わが君、帝王の寵愛。 
中道絶 途中で絶える。






班倢伃三首 李白
班倢伃三首(其一)
玉窗螢影度  玉窗螢影たり
金殿人声絶  金殿人声絶ゆ
秋夜守羅幃  秋夜羅幃を守る
孤燈耿明滅  孤燈耿として明滅

班倢伃三首(其二)
宮殿生秋草  宮殿に秋草は生じ
君王恩幸疏  君王の恩幸は疏なり
那堪聞鳳吹  なんぞ鳳吹聞くを堪えん
門外度金輿  門外に金輿たり

班倢伃三首(其三)
怪来妝閣閉  怪しむらくは妝閣の閉ずるを
朝下不相迎  朝より下りて相迎えず
総向春園裏  総て向かう春園の裏
花間笑語声  花間に笑語の声
 


班婕妤 王維
怪來妝閣閉,朝下不相迎。
總向春園裏,花間笑語聲。


班婕妤
怪しむらくは妝閣【さうかく】の 閉づることを,朝より下りて  相ひ迎へず。
總て春園の裏に 向いて,花間 笑語の聲。



西宮秋怨  王昌齢

芙蓉不及美人粧、殿風来珠翠香。
却恨含情掩秋扇、空懸明月待君主。

芙蓉も及ばず 美人の粧い、水殿 風来って 珠翠香ばし。
却って怨む 情を含んで秋扇を掩い、空しく明月を懸けて 君王の待ちしを。

  

漢の成帝の寵妃であった班婕妤が寵を失い長信宮に移ってからのやるせない思いを王昌齢が詩にしたもの(「西宮春怨」という春の歌や長信秋詞というものもある)また唐詩選には彼女のことを歌った詩に、王維の「班婕妤」や崔国輔の「長信草」なども収められている。秋扇を掩いとは班婕妤自身がわが身を嘆いた詩(怨歌行)に秋になって不要になった扇を自らが隠すという風に使っている。ここでの芙蓉は蓮の花のことだそうです。


怨詩 王昭君  漢詩<110-#2>玉台新詠集 女性詩 546 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1455

怨詩 王昭君  漢詩<110-#2>玉台新詠集 女性詩 546 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1455


     
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 李商隠詩李商隠/韓愈韓退之(韓愈)・柳宗元・李煜・王安石・蘇東坡 
   2011/7/11李商隠 1 錦瑟 
      2011/7/11 ~ 2012/1/11 まで毎日掲載 全130首(187回) 
   2012/1/11 唐宋 Ⅰ李商隠187 行次西郊作一百韻  白文/現代語訳 (全文) 
     
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怨詩
秋木萋萋,其葉萎黄。
秋になって樹木がなお茂っているけれど、やがてその葉はしおれて黄ばんでいくことになる。
有鳥處山,集于苞桑。
鳥はそこここの山に棲んでいて、クワの木の根元に集まってくるものだ。
養育毛羽,形容生光。
養い育ててきた羽を育てて、容貌は光り輝いている。
既得升雲,上遊曲房。
雲の上のような宮殿に昇ることとなったばかりか、曲がりくねった女官の後宮に過ごす身となった。 
離宮絶曠,身體摧藏。
離宮は極めて広くわたしの体は、気力さえも衰えくじかれてきた。
志念抑沈,不得頡頏。
わたしの心は、沈鬱になってしまって、鳥のように大空に飛び上がったり、舞い下りたりすることがまったくできないのです。

雖得委食,心有徊徨。
食べることは至れり尽くせり養っていただいているとはいうものの、心の中だけでも、自由にさまようことを思うのです。
我獨伊何,來往變常。
わたしは、このようにひとりだけでどうしているのでしょう。人の行き来というものが世の常と異なっているのではないでしょうか。
翩翩之燕,遠集西羌。
燕がひらりひらりと身軽く飛んで、はるか西の方のチベット系の民族の許にあつまりとどまっている。
高山峨峨,河水泱泱。
此処と故郷を隔てる高山は、けわしく高大なものであるし、黄河の流れは、立派で大きくさかんにながれている。(大自然は何も変わらない)
父兮母兮,道里悠長。
父よ、母よ、故郷までの道程は、遙かに遠いものです。
嗚呼哀哉,憂心惻傷。
ああ、かなしいことです。表情や態度に表せないのですが憂えた心で、憐れみいたんでいるのです。

 
怨詩
秋木 萋萋【せいせい】として,其の葉 萎黄【いこう】す。
鳥有り 山に處【を】り,苞桑【ほうそう】に集【むらが】る。
毛羽を養育し,形容 光を生ず。
既に雲に升【のぼ】るを得て,上のかた 曲房に遊ぶ。
離宮 絶【はなは】だ 曠【ひろ】くして,身體 摧藏【さいぞう】す。
志念 抑沈【よくちん】して,頡頏【けつこう】するを得ず。

委食を得【う】と 雖も,心に 徊徨【かいこう】する有り。
我 獨り 伊【こ】れ 何ぞ,來往【らいおう】常を變ず。
翩翩【へんぺん】たる燕,遠く西羌【せいきょう)に集【いた】る。
高山峨峨【がが】たり,河水泱泱【おうおう】たり。
父や母や,道里 悠長なり。
嗚呼【ああ】 哀しい哉,憂心惻傷【そくしょう】す。


oushokun05
現代語訳と訳註
(本文)

雖得委食,心有徊徨。
我獨伊何,來往變常。
翩翩之燕,遠集西羌。
高山峨峨,河水泱泱。
父兮母兮,道里悠長。
嗚呼哀哉,憂心惻傷。


(下し文)
委食を得【う】と 雖も,心に 徊徨【かいこう】する有り。
我 獨り 伊【こ】れ 何ぞ,來往【らいおう】常を變ず。
翩翩【へんぺん】たる燕,遠く西羌【せいきょう)に集【いた】る。
高山峨峨【がが】たり,河水泱泱【おうおう】たり。
父や母や,道里 悠長なり。
嗚呼【ああ】 哀しい哉,憂心惻傷【そくしょう】す。


(現代語訳)
食べることは至れり尽くせり養っていただいているとはいうものの、心の中だけでも、自由にさまようことを思うのです。
わたしは、このようにひとりだけでどうしているのでしょう。人の行き来というものが世の常と異なっているのではないでしょうか。
燕がひらりひらりと身軽く飛んで、はるか西の方のチベット系の民族の許にあつまりとどまっている。
此処と故郷を隔てる高山は、けわしく高大なものであるし、黄河の流れは、立派で大きくさかんにながれている。(大自然は何も変わらない)
父よ、母よ、故郷までの道程は、遙かに遠いものです。
ああ、かなしいことです。表情や態度に表せないのですが憂えた心で、憐れみいたんでいるのです。


(訳注)
雖得委食,心有徊徨。

食べることは至れり尽くせり養っていただいているとはいうものの、心の中だけでも、自由にさまようことを思うのです。
委食 委ねやしなう。まかせくわせる。
心有 心の中では、…を思う。 
徊徨 さまよう。


我獨伊何,來往變常。
わたしは、このようにひとりだけでどうしているのでしょう。人の行き来というものが世の常と異なっているのではないでしょうか。
伊何 そもそもどうして。・伊:口調を整えリズムをとるために用いる。格別の意はない。
來往:往ったり来たりする。・變常:人とは異なる。通常の状態を変えて変則的になっている。


翩翩之燕,遠集西羌。
燕がひらりひらりと身軽く飛んで、はるか西の方のチベット系の民族の許にあつまりとどまっている。
翩翩 燕がひらりひらりと身軽く飛ぶさま。すばやいさま。宋玉『九辨』、「燕翩翩其辭歸兮,蝉寂漠而無聲。」(燕は翩翩として其れ辭し歸えり,蝉は寂漠として聲無し。)
遠集 遠く…にとどまる。・集:とどまる。鳥が木にあつまる。本来鳥が木につどうさまを表す。 
西羌 西の方のえびす。チベット系の民族。


高山峨峨,河水泱泱。
此処と故郷を隔てる高山は、けわしく高大なものであるし、黄河の流れは、立派で大きくさかんにながれている。(大自然は何も変わらない)
峨峨 山の高くけわしいさま。山の高大なさま。姿の立派なさま。
河水 黄河の流れ。 
泱泱 水の深く広いさま。立派で大きいさま。ながれのさかんなるさ。『詩経小雅・瞻彼洛矣』「瞻彼洛矣、維水泱泱」(彼の洛を瞻れば、維れ水の泱泱たり。)


父兮母兮,道里悠長。
父よ、母よ、故郷までの道程は、遙かに遠いものです。 
道里 道のり。道程。 
悠長 遙かにながい。


嗚呼哀哉,憂心惻傷。
ああ、かなしいことです。表情や態度に表せないのですが憂えた心で、憐れみいたんでいるのです。
嗚呼 ああ。ため息するときの言葉。 ・哀哉 かなしいなあ。
憂心 憂え。心配。 ・惻傷 憐れみいたましくおもう。表情や態度に表さない、心の中での歎きをいう。
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怨詩 王昭君  漢詩<110-#1>玉台新詠集 女性詩 545 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1452

怨詩 王昭君  漢詩<110-#1>玉台新詠集 女性詩 545 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1452


     
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怨詩
秋木萋萋,其葉萎黄。
秋になって樹木がなお茂っているけれど、やがてその葉はしおれて黄ばんでいくことになる。
有鳥處山,集于苞桑。
鳥はそこここの山に棲んでいて、クワの木の根元に集まってくるものだ。
養育毛羽,形容生光。
養い育ててきた羽を育てて、容貌は光り輝いている。
既得升雲,上遊曲房。
雲の上のような宮殿に昇ることとなったばかりか、曲がりくねった女官の後宮に過ごす身となった。 
離宮絶曠,身體摧藏。
離宮は極めて広くわたしの体は、気力さえも衰えくじかれてきた。
志念抑沈,不得頡頏。

わたしの心は、沈鬱になってしまって、鳥のように大空に飛び上がったり、舞い下りたりすることがまったくできないのです。

雖得委食,心有徊徨。
我獨伊何,來往變常。
翩翩之燕,遠集西羌。
高山峨峨,河水泱泱。
父兮母兮,道里悠長。
嗚呼哀哉,憂心惻傷。

 
怨詩
秋木 萋萋【せいせい】として,其の葉 萎黄【いこう】す。
鳥有り 山に處【を】り,苞桑【ほうそう】に集【むらが】る。
毛羽を養育し,形容 光を生ず。
既に雲に升【のぼ】るを得て,上のかた 曲房に遊ぶ。
離宮 絶【はなは】だ 曠【ひろ】くして,身體 摧藏【さいぞう】す。
志念 抑沈【よくちん】して,頡頏【けつこう】するを得ず。

委食を得【う】と 雖も,心に 徊徨【かいこう】する有り。
我 獨り 伊【こ】れ 何ぞ,來往【らいおう】常を變ず。
翩翩【へんぺん】たる燕,遠く西羌【せいきょう)に集【いた】る。
高山峨峨【がが】たり,河水泱泱【おうおう】たり。
父や母や,道里 悠長なり。
嗚呼【ああ】 哀しい哉,憂心惻傷【そくしょう】す。


現代語訳と訳註
(本文)
怨詩
秋木萋萋,其葉萎黄。
有鳥處山,集于苞桑。
養育毛羽,形容生光。
既得升雲,上遊曲房。
離宮絶曠,身體摧藏。
志念抑沈,不得頡頏。


(下し文)
怨詩
秋木 萋萋【せいせい】として,其の葉 萎黄【いこう】す。
鳥有り 山に處【を】り,苞桑【ほうそう】に集【むらが】る。
毛羽を養育し,形容 光を生ず。
既に雲に升【のぼ】るを得て,上のかた 曲房に遊ぶ。
離宮 絶【はなは】だ 曠【ひろ】くして,身體 摧藏【さいぞう】す。
志念 抑沈【よくちん】して,頡頏【けつこう】するを得ず。


(現代語訳)
秋になって樹木がなお茂っているけれど、やがてその葉はしおれて黄ばんでいくことになる。
鳥はそこここの山に棲んでいて、クワの木の根元に集まってくるものだ。
養い育ててきた羽を育てて、容貌は光り輝いている。
雲の上のような宮殿に昇ることとなったばかりか、曲がりくねった女官の後宮に過ごす身となった。 
離宮は極めて広くわたしの体は、気力さえも衰えくじかれてきた。
わたしの心は、沈鬱になってしまって、鳥のように大空に飛び上がったり、舞い下りたりすることがまったくできないのです。


(訳注)
◎王昭君

前漢の元帝の宮女。紀元前33年(竟寧元年)、匈奴との和親のため、呼韓邪単于に嫁し、「寧胡閼氏」としてその地で没した。名は檣。昭君は字。明君、明妃は、「昭」字をさけたための晋以降の称。
『漢書・本紀・元帝紀』「竟寧元年春正月,匈奴 呼韓邪單于來朝。詔曰:「匈奴呼韓邪單于不忘恩德,鄕慕禮義,復修朝賀之禮,願保塞傳之無窮,邊垂長無兵革之事。其改元爲竟寧,賜單于待詔掖庭王檣爲閼氏。」
王檣 王昭君のこと。
閼氏 單于の正妻の称で皇后のこと。
『漢書・匈奴傳・下』「王昭君號寧胡閼氏,生一男伊屠智牙師,爲右日逐王。」
多くの子供をもうけ、夫の没後は、匈奴の習慣に従った再婚をし、父子二代の妻となり、更に子供を儲けている。子供達の名も記録されている。
辺疆安寧のための犠牲になったことで漢・匈奴友好使節の役を果たした。
李白33-35 王昭君を詠う 三首、五言絶句『王昭君』、雑言古詩、『王昭君』、雑言古詩『于闐採花』、王昭君ものがたり『王昭君 二首』 白楽天
聞歌
斂笑凝眸意欲歌,高雲不動碧嵯峨。
銅臺罷望歸何處,玉輦忘還事幾多。
靑冢路邊南雁盡,細腰宮裏北人過。
此聲腸斷非今日,香灺燈光奈爾何。

李商隠 3 聞歌

王昭君の七十余年前に、烏孫公主の故事がある。烏孫公主は漢の皇室の一族、江都王・劉建の娘で、武帝の従孫になる劉細君のこと。彼女は、西域の伊犂地方に住んでいたトルコ系民族の国家・烏孫国に嫁した。ともに漢王朝の対西域政策と軍略を物語るものである。
悲愁歌 烏孫公主(劉細君) 女流<108>542 漢文委員会kannuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1443

oushokun03

◎『怨詩』
空高く飛ぶ鳥のさまから己の身を想い、遙かに離れ去ることとなってしまった境遇を詠う。『樂府詩集』に基づく。『昭君怨』『怨曠思惟歌』ともする。


秋木萋萋,其葉萎黄。
秋になって樹木がなお茂っているけれど、やがてその葉はしおれて黄ばんでいくことになる。  
秋木 秋の樹木。 ・萋萋 草が茂っているさま。
萎黄 しおれて黄ばむ。


有鳥處山,集于苞桑。
鳥はそこここの山に棲んでいて、クワの木の根元に集まってくるものだ。
處山 山に居る。・處おる。いる。とまっている。おちつく。
集于 鳥が木にあつまる。(鳥が)とまる。とどまる。本来鳥が木につどうさまを表す。  
苞桑 クワの木の根。根本のしっかりしたもの。ものごとの根本のかたいこと、虫が多くいる。


養育毛羽,形容生光。
養い育ててきた羽を育てて、容貌は光り輝いている。  
養育 はぐくむ。養い育てる。 ・毛羽:鳥の羽。獣の毛と鳥の羽。羽毛。
形容 顔かたち。容貌。また、有様。形状。
生光 光を放つ。輝きを放つ。


既得升雲,上遊曲房。
雲の上のような宮殿に昇ることとなったばかりか、曲がりくねった女官の後宮に過ごす身となった。 
既得 ~をえて~となったばかりか。「升雲」となったばかりか「上遊曲房」となった。
升雲 立身出世する。雲居に昇る。
遊曲房 曲がりくねった女官のへや、屈曲した御殿、後宮において遊ぶ、過ごす。


離宮絶曠,身體摧藏。
離宮は極めて広くわたしの体は、気力さえも衰えくじかれてきた。
離宮 皇宮以外、別の場所に設けられた皇帝の宮殿。 
絶曠 はなはだ広い。・絶:はなはだ。きわめて。・曠:広い。大きい。遮るものが無く明かである。
摧藏 くじけひそむ。おとろえかくれる


志念抑沈,不得頡頏。
わたしの心は、沈鬱になってしまって、鳥のように大空に飛び上がったり、舞い下りたりすることがまったくできないのです。
志念 こころざし。こころざし思うこと。 
抑沈 おさえしずめる。抑制する。おさえつける。
不得 獲得できない。 
頡頏 鳥が飛び上がったり、飛んで下りたりすること。

白頭吟 卓文君 <109-#2>玉台新詠集 女性詩 544 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1449

白頭吟 卓文君 <109-#2>玉台新詠集 女性詩 544 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1449


     
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白頭吟 
皚如山上雪,皎若雲間月。
わたしの心はこれだけ真っ白で、山上の雪のようです、そして女としても、雲間に輝く清らかで澄んだ白い月光で、立派に貞操を守っている女なのです。
聞君有兩意,故來相決絶。
あなたが、心情を他人に遣るということが聞こえてきます。わたしはほとほと愛想が尽きたので、わざわざあなたと別れるためにやって来たのです。 
今日斗酒會,明旦溝水頭。
今日は二人にとっての最後のお酒を飲む機会だし、明日になれば堀端のほとりを歩くだけなのです。
躞蹀御溝上,溝水東西流。
お堀の畔をとぼとぼ歩くでしょう、すると掘割の水は西から東へ別れ、当たり前のように流れていくことでしょう。

淒淒復淒淒,嫁娶不須啼。
寒く冷ややかな上にも寒く冷ややかであっても、嫁入りは、必ずしも啼き悲しむものではない。
願得一心人,白頭不相離。
願うことなら嘘をつかないで愛し続けてくれる男夫を見つけて。白髪頭になるまで添い遂げたいのである。
竹竿何嫋嫋,魚尾何簁簁。
釣り竿は何としなやかなことではないか。夫は妻のことを思うべきである。女性は、こんなにも生き生きとしてすばらしいのに、どうして妻のすばらしさに気づかないのか。
男兒重意氣,何用錢刀爲。
男とは、金銭ではなくて情義を重んずるものだろうにどうして、銭金などがどうして用いようとするのだろうか。

白頭吟
皚【がい】たること山上の雪の 如く,皎【こう】たること雲間の月の 若【ごと】し。
聞く君 兩意有りと,故【ことさら】に來たりて相い決絶す。
今日斗酒の會,明旦溝水の頭【ほとり】。
御溝の上に躞蹀【しょうちょう】すれば,溝水は東西に流る。

淒淒【せいせい】復た 淒淒たり,嫁娶【かしゅ】に啼【な】くを須【もち】いず。
願はくは一心の人を得て,白頭まで相い離れざらん。
竹竿何ぞ嫋嫋【じょうじょう】たる,魚尾何ぞ簁簁【しし】たる。
男兒は意氣を重んず,何ぞ錢刀を用いるを爲さん。


現代語訳と訳註
(本文)

淒淒復淒淒,嫁娶不須啼。
願得一心人,白頭不相離。
竹竿何嫋嫋,魚尾何簁簁。
男兒重意氣,何用錢刀爲。

(下し文)
淒淒【せいせい】復た 淒淒たり,嫁娶【かしゅ】に啼【な】くを須【もち】いず。
願はくは一心の人を得て,白頭まで相い離れざらん。
竹竿何ぞ嫋嫋【じょうじょう】たる,魚尾何ぞ簁簁【しし】たる。
男兒は意氣を重んず,何ぞ錢刀を用いるを爲さん。


(現代語訳)
寒く冷ややかな上にも寒く冷ややかであっても、嫁入りは、必ずしも啼き悲しむものではない。
願うことなら嘘をつかないで愛し続けてくれる男夫を見つけて。白髪頭になるまで添い遂げたいのである。
釣り竿は何としなやかなことではないか。夫は妻のことを思うべきである。女性は、こんなにも生き生きとしてすばらしいのに、どうして妻のすばらしさに気づかないのか。
男とは、金銭ではなくて情義を重んずるものだろうにどうして、銭金などがどうして用いようとするのだろうか。


(訳注)
淒淒復淒淒,嫁娶不須啼。
寒く冷ややかな上にも寒く冷ややかであっても、嫁入りは、必ずしも啼き悲しむものではない。
淒淒 寒く冷ややかなさま。寒く厳しいさま。ぞっとする。ここの「淒淒」は、別れた後の女の心の形容。 
 また。ふたたび。その上。
嫁娶 嫁入り。縁談。結婚。 
不須 必要はない。もちいず。 
 声に出して泣く。

願得一心人,白頭不相離。
願うことなら嘘をつかないで愛し続けてくれる男夫を見つけて。白髪頭になるまで添い遂げたいのである。
 ねがうことなら。願望「得一心人,白頭不相離」をいう。 ・得:える。 
一心人 嘘をつかない男性。愛し続けてくれる人。一つ心の人。
白頭 白髪頭。老齢、老人をいう。 
不相離 離れてはいかない。離れはしない。 
 対象に向かって…てはいか(ない)。「相互に」の意では使われていない。


竹竿何嫋嫋,魚尾何簁簁。
釣り竿は何としなやかなことではないか。夫は妻のことを思うべきである。女性は、こんなにも生き生きとしてすばらしいのに、どうして妻のすばらしさに気づかないのか。
*『詩經・衛風』『竹竿』「籊籊竹竿,以釣于淇。豈不爾思,遠莫致之。」(籊籊たる竹竿,以って淇に釣る。豈爾を思わざらんや,遠くして之を致す莫し。)に基づく。『詩經・衛風』『竹竿』は、女子は嫁ぐものが道であり、兄弟親子で遊んだ故郷から、離れて行くのが定めであるというもの。
竹竿 昔仲良く遊んだ釣り竿のこと。 
 何と。疑問、感嘆を表す。 
嫋嫋 しなやかでゆれるさま。
・魚尾 魚。また、魚のシッポ。 
簁簁 動くさま。ピチピチとしている。


男兒重意氣,何用錢刀爲。
男とは、金銭ではなくて情義を重んずるものだろうにどうして、銭金などがどうして用いようとするのだろうか。。
意氣 心意気。気概。ここでは、真実の愛情の意で使われている。 *後世、唐の魏徴の『述懷』尾聯「人生感意氣,功名誰復論。」と使われている。
何用 どうして用いるのか。 
錢刀 ぜに。かね。銭貨。



卓文君
蜀卓氏之先,趙人也,用鐵冶富。秦破趙,遷卓氏。
致之臨,即鐵山鼓鑄,富至僮千人。田池射獵之樂,擬於人君。


『史記・司馬相如列傳』
會梁孝王卒,相如歸,而家貧,無以自業。素與臨令王吉相善,吉曰:『長卿(司馬相如の字)久宦遊不遂,而來過我。』於是相如往,舍都亭。臨令繆爲恭敬,日往朝相如。相如初尚見之,後稱病,使從者謝吉,吉愈益謹肅。臨中多富人,而卓王孫家僮八百人,程鄭亦數百人,二人乃相謂曰:『令有貴客,爲具召之。』并召令。令既至,卓氏客以百數。至日中,謁司馬長卿(司馬相如の字),長卿謝病不能往,臨令不敢嘗食,自往迎相如。相如不得已,彊往,一坐盡傾。酒酣,臨令前奏琴曰:「竊聞長卿(司馬相如の字)好之,願以自娯。」相如辭謝,爲鼓一再行。是時卓王孫有女(卓)文君新寡,好音,故相如繆與令相重,而以琴心挑之。相如之臨,從車騎,雍容閒雅甚都;及飮卓氏,弄琴,(卓)文君竊從戸窺之,心悅而好之,恐不得當也。既罷,相如乃使人重賜文君侍者通殷勤。文君夜亡奔相如,相如乃與馳歸成都。家居徒四壁立。卓王孫大怒曰:『女至不材,我不忍殺,不分一錢也。』人或謂王孫,王孫終不聽。文君久之不樂,曰:『長卿第倶如臨,從昆弟假貸猶足爲生,何至自苦如此!』相如與倶之臨,盡賣其車騎,買一酒舍酒,而令文君當鑪。相如身自著犢鼻褌,與保庸雜作,滌器於市中。卓王孫聞而恥之,爲杜門不出。昆弟諸公更謂王孫曰:『有一男兩女,所不足者非財也。今文君已失身於司馬長卿,長卿故倦游,雖貧,其人材足依也,且又令客,獨奈何相辱如此!』卓王孫不得已,分予文君僮百人,錢百萬,及其嫁時衣被財物。文君乃與相如歸成都,買田宅,爲富人。

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紀 頌之

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