曹植 浮萍篇<63-#3>
2013年4月7日 | 同じ日の紀頌之5つのブログ |
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浮萍篇 曹植 魏詩<63-#3> 女性詩727 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2183
浮萍篇
浮萍寄清水,隨風東西流。
浮きくさは清らな水に、身をまかせ、風にその身を任せ東へ西へと流れる。
結髮辭嚴親,來為君子仇。
私は結髪の十五の年に、父母におわかれをつげ、ここへきて、あなたの妻になりました。
恪勤在朝夕,無端獲罪尤。
朝早くから夜おそくまで、身をつつしみはげみましたが、なんの理由もなく、だしぬけにあなたのおとがめを得てしまいました。
在昔蒙恩惠,和樂如瑟琴。
その昔は、恩愛のめぐみをうけて、妻子睦まじく、琴瑟が調律よく合奏し、家族が心から打ちとけたものでした。
#2
何意今摧頹,曠若商與參。
どういうわけか、今やうちくだかれました。遙かにへだたること、なかご星とからすき屋とのように東と西にわかれることになろう思もよらないことなのです。
茱萸自有芳,不若桂與蘭。
俗な茱萸にも、おのずとそなわる芳香をはなち、邪気をはらうのですが、高貴な肉柱や蘭の香には及ばないのかもしれません。
佳人雖成列,不若故所歡。
若い妻は、確かに次々と並べられるかもしれないのですが、その妻たちも若さを失えば喜びを過ごしたことも過去のものになってしまうのです。
行雲有反期,君恩儻中還。
男の人も空行く雲が、かえる時があるものです、あなたの愛情も、もしかしてこれから途中でかえってくることがあるでしょうか。
#3
慊慊仰天嘆,愁心將何訴。
心が満たされず、恋い慕う気持ちのままに天をあおぎみてためいきをつく。この悲しみ、どこへ訴えればよいのでしょうか。
日月不恆處,人生忽若寓。
太陽と月は、同じところにとどまることはない、人のいのちは、またたくうちで、この世はかりのやどりのようなものなのです。
悲風來入帷,淚下如垂露。
悲しい風は袖口から体に吹きこみ、涙はハラハラと、したたる露のようにおちるのです。
發篋造新衣,裁縫紈與素。
さあ、道具箱でもあけて、きものを作ろうと思いたったのです、ねり絹やしろ絹のきれを、裁断しまた縫うのです。
浮萍篇
浮萍 清水に寄り、風に随いて東西に流る。
結髪 厳親を辞し、来りて君子の仇と為る
恪勤して朝夕に在りしに、端無くも罪尤を獲たり。
在昔 恩恵を蒙り、和楽して瑟琴の如し。
#2
何んぞ意わん 今 摧頹し、曠かなること 商と参との若くならんとは。
茱萸 自から芳有れど、桂と蘭とには若かず。
新人 愛す可しと雖も、故の歓ぶ所に若くは無し。
行雲 反る期あり、君恩 儻しくは中ごろに還らん。
#3
慊慊【けんけん】として天を仰ぎて嘆じ、愁心 将に何くにか訴えんとする。
日月 恒には処らず、人生 忽として寓の若し。
悲風 來りで懐に入り、涙下って垂露の如し。
篋を発きて裳衣を造り、裁縫す 紈と素とを。
『浮萍篇』 現代語訳と訳註
(本文) #3
慊慊仰天嘆,愁心將何訴。
日月不恆處,人生忽若寓。
悲風來入帷,淚下如垂露。
發篋造新衣,裁縫紈與素。
(下し文) #3
慊慊【けんけん】として天を仰ぎて嘆じ、愁心 将に何くにか訴えんとする。
日月 恒には処らず、人生 忽として寓の若し。
悲風 來りで懐に入り、涙下って垂露の如し。
篋を発きて裳衣を造り、裁縫す 紈と素とを。
(現代語訳)
心が満たされず、恋い慕う気持ちのままに天をあおぎみてためいきをつく。この悲しみ、どこへ訴えればよいのでしょうか。
太陽と月は、同じところにとどまることはない、人のいのちは、またたくうちで、この世はかりのやどりのようなものなのです。
悲しい風は袖口から体に吹きこみ、涙はハラハラと、したたる露のようにおちるのです。
さあ、道具箱でもあけて、きものを作ろうと思いたったのです、ねり絹やしろ絹のきれを、裁断しまた縫うのです。
(訳注) #3
慊慊仰天嘆,愁心將何訴。
心が満たされず、恋い慕う気持ちのままに天をあおぎみてためいきをつく。この悲しみ、どこへ訴えればよいのでしょうか。
〇慊慊 あきたりぬさま。不満に思うさま。心が満たされぬまま、恋い慕うさま。
○愁心將何訴 『古詩第十九首』
明月何皎皎,照我羅床緯。
憂愁不能寐,攬衣起徘徊。
客行雖雲樂,不如早旋歸。
出戶獨彷徨,愁思當告誰!
引領還入房,淚下沾裳衣。
そんなことを思いながら戸口を出てひとり彷徨い歩くだけなのだ。こんな心の愁いは誰につげたらよいものか。
日月不恆處,人生忽若寓。
太陽と月は、同じところにとどまることはない、人のいのちは、またたくうちで、この世はかりのやどりのようなものなのです。
○不恒処 きまったところにおることはない。時間がどんどんすぎさるのをいう。
〇人生忽若寓 寓はかりのやど。の意。
浩浩陰陽移,年命如朝露。
人生忽如寄,壽無金石固。
萬歲更相送,賢聖莫能度。
服食求神仙,多為藥所誤。
不如飲美酒,被服紈與素。
悲風來入帷,淚下如垂露。
悲しい風は袖口から体に吹きこみ、涙はハラハラと、したたる露のようにおちるのです。
○帷 垂れ幕。たれぎぬ。とばり。ここでは袖口から吹きこむ。
發篋造新衣,裁縫紈與素。
さあ、道具箱でもあけて、きものを作ろうと思いたったのです、ねり絹やしろ絹のきれを、裁断しまた縫うのです。