漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之のブログ 女性詩、漢詩・建安六朝・唐詩・李白詩 1000首:李白集校注に基づき時系列に訳注解説

李白の詩を紹介。青年期の放浪時代。朝廷に上がった時期。失意して、再び放浪。李白の安史の乱。再び長江を下る。そして臨終の歌。李白1000という意味は、目安として1000首以上掲載し、その後、系統別、時系列に整理するということ。 古詩、謝霊運、三曹の詩は既掲載済。女性詩。六朝詩。文選、玉臺新詠など、李白詩に影響を与えた六朝詩のおもなものは既掲載している2015.7月から李白を再掲載開始、(掲載約3~4年の予定)。作品の作時期との関係なく掲載漏れの作品も掲載するつもり。李白詩は、時期設定は大まかにとらえる必要があるので、従来の整理と異なる場合もある。現在400首以上、掲載した。今、李白詩全詩訳注掲載中。

玉台新詠集

▼絶句・律詩など短詩をだけ読んでいたのではその詩人の良さは分からないもの。▼長詩、シリーズを割席しては理解は深まらない。▼漢詩は、諸々の決まりで作られている。日本人が読む漢詩の良さはそういう決まり事ではない中国人の自然に対する、人に対する、生きていくことに対する、愛することに対する理想を述べているのをくみ取ることにあると思う。▼詩人の長詩の中にその詩人の性格、技量が表れる。▼李白詩からよこみちにそれているが、途中で孟浩然を45首程度(掲載済)、謝霊運を80首程度(掲載済み)。そして、女性古詩。六朝、有名な賦、その後、李白詩全詩訳注を約4~5年かけて掲載する予定で整理している。
その後ブログ掲載予定順は、王維、白居易、の順で掲載予定。▼このほか同時に、Ⅲ杜甫詩のブログ3年の予定http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/、唐宋詩人のブログ(Ⅱ李商隠、韓愈グループ。)も掲載中である。http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/,Ⅴ晩唐五代宋詞・花間集・玉臺新詠http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/▼また漢詩理解のためにHPもいくつかサイトがある。≪ kanbuniinkai ≫[検索]で、「漢詩・唐詩」理解を深めるものになっている。
◎漢文委員会のHP http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/profile1.html
Author:漢文委員会 紀 頌之です。
大病を患い大手術の結果、半年ぶりに復帰しました。心機一転、ブログを開始します。(11/1)
ずいぶん回復してきました。(12/10)
訪問ありがとうございます。いつもありがとうございます。
リンクはフリーです。報告、承諾は無用です。
ただ、コメント頂いたても、こちらからの返礼対応ができません。というのも、
毎日、6 BLOG,20000字以上活字にしているからです。
漢詩、唐詩は、日本の詩人に大きな影響を残しました。
だからこそ、漢詩をできるだけ正確に、出来るだけ日本人の感覚で、解釈して,紹介しています。
体の続く限り、広げ、深めていきたいと思っています。掲載文について、いまのところ、すべて自由に使ってもらって結構ですが、節度あるものにして下さい。
どうぞよろしくお願いします。

浮萍篇 曹植 魏詩<63-#3> 女性詩727 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2183

曹植 浮萍篇<63-#3>


2013年4月7日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩浮萍篇 曹植 魏詩<63-#3> 女性詩727 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2183
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩九辯 第五段-#1 宋玉  <00-#11>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 640 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2184
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集絶句漫興九首 其五 成都浣花渓 杜甫 <449>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2190 杜甫詩1000-449-632/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集夜宿石門詩 謝霊運<37>kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2186 (04/07)
●森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性折楊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-128-56-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2187
 
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朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選 雑詩 上  http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

浮萍篇 曹植 魏詩<63-#3> 女性詩727 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2183



浮萍篇
浮萍寄清水,隨風東西流。
浮きくさは清らな水に、身をまかせ、風にその身を任せ東へ西へと流れる。
結髮辭嚴親,來為君子仇。
私は結髪の十五の年に、父母におわかれをつげ、ここへきて、あなたの妻になりました。
恪勤在朝夕,無端獲罪尤。
朝早くから夜おそくまで、身をつつしみはげみましたが、なんの理由もなく、だしぬけにあなたのおとがめを得てしまいました。
在昔蒙恩惠,和樂如瑟琴。
その昔は、恩愛のめぐみをうけて、妻子睦まじく、琴瑟が調律よく合奏し、家族が心から打ちとけたものでした。
#2
何意今摧頹,曠若商與參。
どういうわけか、今やうちくだかれました。遙かにへだたること、なかご星とからすき屋とのように東と西にわかれることになろう思もよらないことなのです。
茱萸自有芳,不若桂與蘭。
俗な茱萸にも、おのずとそなわる芳香をはなち、邪気をはらうのですが、高貴な肉柱や蘭の香には及ばないのかもしれません。
佳人雖成列,不若故所歡。
若い妻は、確かに次々と並べられるかもしれないのですが、その妻たちも若さを失えば喜びを過ごしたことも過去のものになってしまうのです。
行雲有反期,君恩儻中還。

男の人も空行く雲が、かえる時があるものです、あなたの愛情も、もしかしてこれから途中でかえってくることがあるでしょうか。
#3
慊慊仰天嘆,愁心將何訴。
心が満たされず、恋い慕う気持ちのままに天をあおぎみてためいきをつく。この悲しみ、どこへ訴えればよいのでしょうか。
日月不恆處,人生忽若寓。
太陽と月は、同じところにとどまることはない、人のいのちは、またたくうちで、この世はかりのやどりのようなものなのです。
悲風來入帷,淚下如垂露。
悲しい風は袖口から体に吹きこみ、涙はハラハラと、したたる露のようにおちるのです。
發篋造新衣,裁縫紈與素。
さあ、道具箱でもあけて、きものを作ろうと思いたったのです、ねり絹やしろ絹のきれを、裁断しまた縫うのです。


浮萍篇

浮萍 清水に寄り、風に随いて東西に流る。
結髪 厳親を辞し、来りて君子の仇と為る
恪勤して朝夕に在りしに、端無くも罪尤を獲たり。
在昔 恩恵を蒙り、和楽して瑟琴の如し。
#2
何んぞ意わん 今 摧頹し、曠かなること 商と参との若くならんとは。
茱萸 自から芳有れど、桂と蘭とには若かず。
新人 愛す可しと雖も、故の歓ぶ所に若くは無し。
行雲 反る期あり、君恩 儻しくは中ごろに還らん。
#3
bijo05慊慊【けんけん】として天を仰ぎて嘆じ、愁心 将に何くにか訴えんとする。
日月 恒には処らず、人生 忽として寓の若し。
悲風 來りで懐に入り、涙下って垂露の如し。
篋を発きて裳衣を造り、裁縫す 紈と素とを。


『浮萍篇』 現代語訳と訳註
 (本文)
#3
慊慊仰天嘆,愁心將何訴。
日月不恆處,人生忽若寓。
悲風來入帷,淚下如垂露。
發篋造新衣,裁縫紈與素。


(下し文) #3
慊慊【けんけん】として天を仰ぎて嘆じ、愁心 将に何くにか訴えんとする。
日月 恒には処らず、人生 忽として寓の若し。
悲風 來りで懐に入り、涙下って垂露の如し。
篋を発きて裳衣を造り、裁縫す 紈と素とを。


(現代語訳)
心が満たされず、恋い慕う気持ちのままに天をあおぎみてためいきをつく。この悲しみ、どこへ訴えればよいのでしょうか。
太陽と月は、同じところにとどまることはない、人のいのちは、またたくうちで、この世はかりのやどりのようなものなのです。
悲しい風は袖口から体に吹きこみ、涙はハラハラと、したたる露のようにおちるのです。
さあ、道具箱でもあけて、きものを作ろうと思いたったのです、ねり絹やしろ絹のきれを、裁断しまた縫うのです。


(訳注) #3
慊慊仰天嘆,愁心將何訴。
心が満たされず、恋い慕う気持ちのままに天をあおぎみてためいきをつく。この悲しみ、どこへ訴えればよいのでしょうか。
bijo01〇慊慊 あきたりぬさま。不満に思うさま。心が満たされぬまま、恋い慕うさま。
愁心將何訴 『古詩第十九首』
明月何皎皎,照我羅床緯。
憂愁不能寐,攬衣起徘徊。
客行雖雲樂,不如早旋歸。
出戶獨彷徨,愁思當告誰!
引領還入房,淚下沾裳衣。
そんなことを思いながら戸口を出てひとり彷徨い歩くだけなのだ。こんな心の愁いは誰につげたらよいものか。


日月不恆處,人生忽若寓。
太陽と月は、同じところにとどまることはない、人のいのちは、またたくうちで、この世はかりのやどりのようなものなのです。
○不恒処 きまったところにおることはない。時間がどんどんすぎさるのをいう。
〇人生忽若寓 寓はかりのやど。の意。

『古詩十九首之十三』

浩浩陰陽移,年命如朝露。
人生忽如寄,壽無金石固。
萬歲更相送,賢聖莫能度。
服食求神仙,多為藥所誤。
不如飲美酒,被服紈與素。


悲風來入帷,淚下如垂露。
悲しい風は袖口から体に吹きこみ、涙はハラハラと、したたる露のようにおちるのです。
○帷 垂れ幕。たれぎぬ。とばり。ここでは袖口から吹きこむ。


發篋造新衣,裁縫紈與素。
さあ、道具箱でもあけて、きものを作ろうと思いたったのです、ねり絹やしろ絹のきれを、裁断しまた縫うのです。

浮萍篇 曹植 魏詩<63-#2> 女性詩726 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2178

曹植 浮萍篇<63-#2>

2013年4月6日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

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孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

浮萍篇 曹植 魏詩<63-#2> 女性詩726 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2178



浮萍篇
浮萍寄清水,隨風東西流。
浮きくさは清らな水に、身をまかせ、風にその身を任せ東へ西へと流れる。
結髮辭嚴親,來為君子仇。
私は結髪の十五の年に、父母におわかれをつげ、ここへきて、あなたの妻になりました。
恪勤在朝夕,無端獲罪尤。
朝早くから夜おそくまで、身をつつしみはげみましたが、なんの理由もなく、だしぬけにあなたのおとがめを得てしまいました。
在昔蒙恩惠,和樂如瑟琴。
その昔は、恩愛のめぐみをうけて、妻子睦まじく、琴瑟が調律よく合奏し、家族が心から打ちとけたものでした。
#2
何意今摧頹,曠若商與參。
どういうわけか、今やうちくだかれました。遙かにへだたること、なかご星とからすき屋とのように東と西にわかれることになろう思もよらないことなのです。
茱萸自有芳,不若桂與蘭。
俗な茱萸にも、おのずとそなわる芳香をはなち、邪気をはらうのですが、高貴な肉柱や蘭の香には及ばないのかもしれません。
佳人雖成列,不若故所歡。
若い妻は、確かに次々と並べられるかもしれないのですが、その妻たちも若さを失えば喜びを過ごしたことも過去のものになってしまうのです。
行雲有反期,君恩儻中還。
男の人も空行く雲が、かえる時があるものです、あなたの愛情も、もしかしてこれから途中でかえってくることがあるでしょうか。
#3
慊慊仰天嘆,愁心將何訴。
日月不恆處,人生忽若寓。
悲風來入帷,淚下如垂露。
發篋造新衣,裁縫紈與素。

浮萍篇
浮萍 清水に寄り、風に随いて東西に流る。
結髪 厳親を辞し、来りて君子の仇と為る
恪勤して朝夕に在りしに、端無くも罪尤を獲たり。
在昔 恩恵を蒙り、和楽して瑟琴の如し。
#2
何んぞ意わん 今 摧頹し、曠かなること 商と参との若くならんとは。
茱萸 自から芳有れど、桂と蘭とには若かず。
新人 愛す可しと雖も、故の歓ぶ所に若くは無し。
行雲 反る期あり、君恩 儻しくは中ごろに還らん。

#3
慊慊として天を仰ぎて嘆じ、愁心 将に何くにか訴えんとする。
日月 恒には処らず、人生 忽として寓の若し。
悲風 來りで懐に入り、涙下って垂露の如し。
篋を発きて裳衣を造り、裁縫す 紈と素とを。


『浮萍篇』 現代語訳と訳註
aki02(本文)
#2
何意今摧頹,曠若商與參。
茱萸自有芳,不若桂與蘭。
佳人雖成列,不若故所歡。
行雲有反期,君恩儻中還。


(下し文) #2
何んぞ意わん 今 摧頹し、曠かなること 商と参との若くならんとは。
茱萸 自から芳有れど、桂と蘭とには若かず。
新人 愛す可しと雖も、故の歓ぶ所に若くは無し。
行雲 反る期あり、君恩 儻しくは中ごろに還らん。


(現代語訳)
どういうわけか、今やうちくだかれました。遙かにへだたること、なかご星とからすき屋とのように東と西にわかれることになろう思もよらないことなのです。
俗な茱萸にも、おのずとそなわる芳香をはなち、邪気をはらうのですが、高貴な肉柱や蘭の香には及ばないのかもしれません。
若い妻は、確かに次々と並べられるかもしれないのですが、その妻たちも若さを失えば喜びを過ごしたことも過去のものになってしまうのです。
男の人も空行く雲が、かえる時があるものです、あなたの愛情も、もしかしてこれから途中でかえってくることがあるでしょうか。


(訳注) #2
何意今摧頹,曠若商與參。
どういうわけか、今やうちくだかれました。遙かにへだたること、なかご星とからすき屋とのように東と西にわかれることになろう思もよらないことなのです。
○摧頹 くだける。時(盛んな時の意か)を失う意
○曠 はるか。むなしくとも読める。
○商参 商・参とも星の名。商星は辰星に同じ、なかごぼし。参宿(しんしゅく)、和名は唐鋤星(からすきぼし)、二十八宿の一つで西方白虎七宿の第7宿。オリオン座の中央に位置する。古来めったにあえぬことのたとえとして用いられ、また商星は東方、参星は西方に位遭するが故に、互に遠くへだたっていることにもたとえられる。


茱萸自有芳,不若桂與蘭。
俗な茱萸にも、おのずとそなわる芳香をはなち、邪気をはらうのですが、高貴な肉柱や蘭の香には及ばないのかもしれません。
○茱萸 和名ゴシ=(呉茱萸)、別名かわはじかみ。へンルーダ料の落葉小喬木。赤い実がなり、芳香をはなつ。邪気をはらうという。重陽節に髷に挿して高い所に登る。漢代、劉歆による『西京雑記』に、高祖の愛妾であった戚夫人が殺害された後、宮廷より放逐された侍女の賈佩蘭が、9月9日は宮廷では茱萸を肘に下げ、菊酒を飲み長寿を祈る習慣があったと人に話したことにより、民間でも祝われるようになったとある。
○桂與蘭 桂は肉桂、蘭とともに芳香で知られる。「楚辞」にはよく見える。


佳人雖成列,不若故所歡。
若い妻は、確かに次々と並べられるかもしれないのですが、その妻たちも若さを失えば喜びを過ごしたことも過去のものになってしまうのです。
○佳人 一夫多妻制の時代には若い女性を次々妻にし、次々棄てられた。その新しく妻となる者には結髪になった妓女であった。


行雲有反期,君恩儻中還。
男の人も空行く雲が、かえる時があるものです、あなたの愛情も、もしかしてこれから途中でかえってくることがあるでしょうか。
○行雲 雲は男を意味し、男性の思考、行動。
○反期 帰るやくそく。

棄婦篇 曹植 魏詩<56-#1> 女性詩707 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2083

棄婦篇 曹植 魏詩
子無くして棄てられた妻の心をよんだもの、君主に棄てられた家臣も同様と考えて作ったものである。

2013年3月18日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩棄婦篇 曹植 魏詩<56-#1> 女性詩707 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2083
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩原毀 韓愈(韓退之) <119-#3>Ⅱ中唐詩620 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2084
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朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選 雑詩 上  http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 


棄婦篇 曹植 魏詩<56-#1> 女性詩707 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2083


棄婦篇
石榴植前庭、綠葉搖縹青。
丹華灼烈烈、帷彩有光榮。
光好曄流離、可以戲淑靈。
有鳥飛來集、樹翼以悲鳴。
悲鳴復何為、丹華實不成。
拊心長歎息、無子當歸甯。
有子月經天、無子若流星。
天月相終始、流星沒無精。
棲遲失所宜、下與瓦石并。
憂懷從中來、歎息通鷄鳴。
反側不能寐、逍遙於前庭。
歭躇還入房、肅肅帷幕聲。
搴帷更攝帶、撫節彈素箏。
慷慨有餘音、要妙悲且清。
收淚長歎息、何以負神靈。
招搖待霜露、何必春夏成。
晚穫為良實、願君且安甯。


棄婦篇
石榴植前庭、綠葉搖縹青。
石榴の木を前庭に植えた。緑の葉がゆれて若葉の萌黄がはえる。(①嫁を娶った)
丹華灼烈烈、帷彩有光榮。
まっかな花が火の燃えるように輝き、きらきらと光って、とばりは五色にてりはえている。(②婚姻後の性交渉)
光好曄流離、可以戲淑靈。
その照栄えるさまの輝かしさは、まるで瑠璃の玉のようであり、これこそりっぱな神霊を宿らしめるにふさわしいものである。(③これほどに大事にしたので授かるはずである)
有鳥飛來集、樹翼以悲鳴。
そこへ鳥が飛んで来て木にとまり、羽ばたきをして、悲しげに鳴く。(④いくら待っても子ができない)
悲鳴復何為、丹華實不成。

その悲しげに鳴くのはなぜか。それはあかい花はりっばだが実がならないためなのだ。(⑤いくら待っても子ができない)

石榴【せきりゅう】を前庭に植う、緑葉【りょくよう】縹青【ひょうせい】を搖がす。
丹華灼【かしゃく】として烈烈、帷彩【いさい】として光榮有り。
光榮【こうえい】曄【よう】として流離【るり】、以て淑靈【しゅくれい】を戲らしむ可し。
鳥有り飛び乗り集まり、翼を樹って以て悲鳴す。
悲鳴夫れ何の爲めぞ、丹華は実成らず。


pla044『棄婦篇』 現代語訳と訳註
(本文)
石榴植前庭、綠葉搖縹青。
丹華灼烈烈、帷彩有光榮。
光好曄流離、可以戲淑靈。
有鳥飛來集、樹翼以悲鳴。
悲鳴復何為、丹華實不成。


(下し文)
(棄婦篇)
を前庭に植う、緑葉縹青を搖がす。
丹華灼として烈烈、帷彩として光榮有り。
光榮曄として流離、以て淑靈を戲らしむ可し。
鳥有り飛び乗り集まり、翼を樹って以て悲鳴す。
悲鳴夫れ何の爲めぞ、丹華は実成らず。


(現代語訳)
石榴の木を前庭に植えた。緑の葉がゆれて若葉の萌黄がはえる。(①嫁を娶った)
まっかな花が火の燃えるように輝き、きらきらと光って、とばりは五色にてりはえている。(②婚姻後の性交渉)
その照栄えるさまの輝かしさは、まるで瑠璃の玉のようであり、これこそりっぱな神霊を宿らしめるにふさわしいものである。(③これほどに大事にしたので授かるはずである)
そこへ鳥が飛んで来て木にとまり、羽ばたきをして、悲しげに鳴く。(④いくら待っても子ができない)
その悲しげに鳴くのはなぜか。それはあかい花はりっばだが実がならないためなのだ。(⑤いくら待っても子ができない)


haqro04(訳注)
棄婦篇

・棄婦篇 子無くして棄てられた妻の心をよんだもの、君主に棄てられた家臣も同様と考えて作ったものである。


石榴植前庭、綠葉搖縹青。
石榴の木を前庭に植えた。緑の葉がゆれて若葉の萌黄がはえる。(①嫁を娶った)
・石榴 漢の張鶱が西域の安石国(安息国。すなわち西アジアのパルティア王国。漢字はそのアルサケス朝を音訳したもの)から持ち帰ったと伝えられるので安石榴ともいう。女性の性器を卑猥なほど直接的な表現を使っている。石榴の種子を持ち帰ったことはそれとして評価するにしても、張鶱という人物を派遣して西王国を探しに行かせ、そこにある植物の種子を持ち帰るように命じた。不老長寿、回春のための浪費の一部である。王朝自慢の植物をできるだけ揶揄的にとらえて強調する。
・縹青 (浅青色)またもえぎ(青黄色)石榴(ざく、ろ)の葉にいうのであるから、もえぎ色とみる。


丹華灼烈烈、帷彩有光榮。
まっかな花が火の燃えるように輝き、きらきらと光って、とばりは五色にてりはえている。(②婚姻後の性交渉)
・曜珠 玉のかがやくさま。


光好曄流離、可以戲淑靈。
その照栄えるさまの輝かしさは、まるで瑠璃の玉のようであり、これこそりっぱな神霊を宿らしめるにふさわしいものである。(③これほどに大事にしたので授かるはずである)
・曄 光明のさま。
・流離 璧流離の略で、瑠璃の玉のこと。瑠璃は通常青色の宝玉を指すが、十種の光を放つというから丹色にも通じるものである。
・淑霊 善美な霊性の意。ここは性行為の比喩的語句である。


有鳥飛來集、樹翼以悲鳴。
そこへ鳥が飛んで来て木にとまり、羽ばたきをして、悲しげに鳴く。(④なかなか子ができないので心配する)


悲鳴復何為、丹華實不成。
その悲しげに鳴くのはなぜか。それはあかい花はりっばだが実がならないためなのだ。(⑤いくら待っても子ができない)

燕歌行二首 其二 曹丕(魏文帝) 魏詩<5>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 女性詩624 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1713

古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
燕歌行二首 其二 曹丕(魏文帝)


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燕歌行二首 其二 曹丕(魏文帝) 魏詩<5>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 女性詩624 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1713



楽府 燕歌行 二首
曹丕 魏文帝 
《魏文帝集》《玉臺新詠》文選 古詩源
其一
秋風蕭瑟天氣涼 草木搖落露為霜
群燕辭歸雁南翔 念君客遊多思腸
慊慊思歸戀故鄉 君何淹留寄他方
賤妾煢煢守空房 憂來思君不敢忘
不覺淚下沾衣裳 援琴鳴弦發清商
短歌微吟不能長 明月皎皎照我床
星漢西流夜未央 牽牛織女遙相望
爾獨何辜限河梁

其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
留連顧懷不能存。


玉臺新詠 楽府 燕歌行 二首
其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
別れの日が来て別れることはどうしてこんなに容易いことなのに、会える日が来ることはこんなにも難しいのです。山や川は遙かに遠く、道は長くて遠いものなのです。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
あなたを思うことは心がふさいで晴れないことではあるがいまだにあえて言葉に出して言えないし、はぐれぐもに言付けを寄せたいと思うのですが句も入ってしまって帰ってこないのです。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
悲しくて涙が零れ落ちて雨のように顔に垂れ、化粧は崩れてしまうのです、誰が能く愁いを思い歎かれずにおれないのです。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
詩詞を展げ読み、清々しい歌を唄い自分で気を紛らわせようとするのです。樂しく過ごした時は往き過ぎ、哀しみは來たままでこころもからだも摧けてしまいそうです。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
床についても浩々とした明かりに感じるほど頭が冴えてよく眠れないのです。衣を羽織って戸外へ出て東へ西へと歩き回るのです。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
仰ぎ見ると星や月でさえも雲間にかくれ、二人の夜のことに思えるのです。眠れない夜を過ごして朝が来る、マナヅルが飛び立って鳴く声を聴くとまた憐れな気持ちになるのです。
留連顧懷不能存。
このやるせない気持ちが連綿と続き、思いを振り返ってみると、このまま生きながらえてもよくはないと思うのです。

其の二
別日何んぞ易く會日難き,山や川 遙遠 路 漫漫。
鬱陶【うつとう】君を思うて未だ敢えて言わず,聲を浮雲に寄すれば往けども還らず。
涕零ちて面に雨ふり容顏を毀つ,誰か能く憂を懷いて獨り嘆ぜざらん。
詩を展べて清歌し聊【いささ】か自ら寬【ゆる】うし,樂しみ往き哀しみ來りて肺肝を摧【くだ】く。
耿耿【こうこう】として枕に伏すも眠に能わず,衣を披【ひら】き戶を出で東西に步す。
仰いで星月を看て雲間を觀る,飛鶬【ひそう】晨に鳴いて聲憐れむ可し。
留連【りゅうれん】顧懷【こかい】存する能わず。


『燕歌行 二首』其二 現代語訳と訳註
(本文)

別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
留連顧懷不能存。


(下し文)其の二
別日何んぞ易く會日難き,山や川 遙遠 路 漫漫。
鬱陶【うつとう】君を思うて未だ敢えて言わず,聲を浮雲に寄すれば往けども還らず。
涕零ちて面に雨ふり容顏を毀つ,誰か能く憂を懷いて獨り嘆ぜざらん。
詩を展べて清歌し聊【いささ】か自ら寬【ゆる】うし,樂しみ往き哀しみ來りて肺肝を摧【くだ】く。
耿耿【こうこう】として枕に伏すも眠に能わず,衣を披【ひら】き戶を出で東西に步す。
仰いで星月を看て雲間を觀る,飛鶬【ひそう】晨に鳴いて聲憐れむ可し。
留連【りゅうれん】顧懷【こかい】存する能わず。


(現代語訳)
別れの日が来て別れることはどうしてこんなに容易いことなのに、会える日が来ることはこんなにも難しいのです。山や川は遙かに遠く、道は長くて遠いものなのです。
あなたを思うことは心がふさいで晴れないことではあるがいまだにあえて言葉に出して言えないし、はぐれぐもに言付けを寄せたいと思うのですが句も入ってしまって帰ってこないのです。
悲しくて涙が零れ落ちて雨のように顔に垂れ、化粧は崩れてしまうのです、誰が能く愁いを思い歎かれずにおれないのです。
詩詞を展げ読み、清々しい歌を唄い自分で気を紛らわせようとするのです。樂しく過ごした時は往き過ぎ、哀しみは來たままでこころもからだも摧けてしまいそうです。
床についても浩々とした明かりに感じるほど頭が冴えてよく眠れないのです。衣を羽織って戸外へ出て東へ西へと歩き回るのです。
仰ぎ見ると星や月でさえも雲間にかくれ、二人の夜のことに思えるのです。眠れない夜を過ごして朝が来る、マナヅルが飛び立って鳴く声を聴くとまた憐れな気持ちになるのです。
このやるせない気持ちが連綿と続き、思いを振り返ってみると、このまま生きながらえてもよくはないと思うのです。


(訳注) 其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
別れの日が来て別れることはどうしてこんなに容易いことなのに、会える日が来ることはこんなにも難しいのです。山や川は遙かに遠く、道は長くて遠いものなのです。
・漫漫 ひろくはるかなさま。ながくとおいさま。雲がたなびくさま。


鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
あなたを思うことは心がふさいで晴れないことではあるがいまだにあえて言葉に出して言えないし、はぐれぐもに言付けを寄せたいと思うのですが句も入ってしまって帰ってこないのです。
・鬱陶 心がふさいで晴れないこと。


涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
悲しくて涙が零れ落ちて雨のように顔に垂れ、化粧は崩れてしまうのです、誰が能く愁いを思い歎かれずにおれないのです。


展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
詩詞を展げ読み、清々しい歌を唄い自分で気を紛らわせようとするのです。樂しく過ごした時は往き過ぎ、哀しみは來たままでこころもからだも摧けてしまいそうです。
・展詩 詩詞を展げ読むこと。
・肺肝 肺と肝臓であるが、日本語でいえば心も体もというところだろう。


耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
床についても浩々とした明かりに感じるほど頭が冴えてよく眠れないのです。衣を羽織って戸外へ出て東へ西へと歩き回るのです。


仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
仰ぎ見ると星や月でさえも雲間にかくれ、二人の夜のことに思えるのです。眠れない夜を過ごして朝が来る、マナヅルが飛び立って鳴く声を聴くとまた憐れな気持ちになるのです。
・星月 星は男性、月は女性。
・雲間 仰ぎ見て雲の間に月と星が見え隠れする。その動きが性行為を象徴するものであるために、あわれを誘うのである。。


留連顧懷不能存。
このやるせない気持ちが連綿と続き、思いを振り返ってみると、このまま生きながらえてもよくはないと思うのです。


燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#2>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 623 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1709

古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝)

◆◆◆2012年12月24日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆  
Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
 
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩 
燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#2>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 623 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1709
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Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
秋懐詩十一首(1)-#2 韓愈 韓退之(韓愈)詩<101>Ⅱ中唐詩536 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1710
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Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、全詩1/3を掲載済。 
”成都紀行(12)”  成都府 杜甫詩1000 <352>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1711 杜甫1500- 527
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Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#9> (12/24)
        http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-577.html
 
Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
『酒泉子』四首(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-22-3-#2 花間集 i紀頌之の漢詩ブログ1704
        http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21272994.html
 
謝靈運詩   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html


燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#2>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 623 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1709


楽府 燕歌行 二首
曹丕 魏文帝 
《魏文帝集》《玉臺新詠》文選 古詩源
其一
秋風蕭瑟天氣涼 草木搖落露為霜
群燕辭歸雁南翔 念君客遊多思腸
慊慊思歸戀故鄉 君何淹留寄他方
賤妾煢煢守空房 憂來思君不敢忘
不覺淚下沾衣裳 援琴鳴弦發清商
短歌微吟不能長 明月皎皎照我床
星漢西流夜未央 牽牛織女遙相望
爾獨何辜限河梁

]其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
留連顧懷不能存。



燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝)
#1
秋風蕭瑟天氣涼,草木搖落露為霜,群燕辭歸雁南翔。
物寂しく秋風が瑟を奏でるように吹きはじめると冷ややかで秋の気配になる。草木の葉も紅葉し落ちてきて、夜露はやがて霜へ変わっていく。ツバメは群れをなしてここから南へと去り、雁は北から南下して飛んでくる。
念君客遊多思腸,慊慊思歸戀故鄉,君何淹留寄他方!
あなたのことを思い続けているけれどあなたは旅の空のもとのままで私ははらわたに痛みを感じる日々が続いているのです。あなたは役目柄心に満足しない思いを持ったまま故郷のことを恋しくおもっでいることでしょう。それなのにあなたは長い間逗留し続けて他国によく居続けられますね。
賤妾煢煢守空房,憂來思君不敢忘。

本当に思い焦がれているわたくしはどんなにさみしく孤独であってもあなたのいない部屋でじっと貞操を守っているのです。心配事がたくさんあり、あなたのこと思うあまり片時たりとも忘れることはありません。
#2
不覺淚下沾衣裳。
だから、何時とはなしに涙が零れ落ち、衣裳もこの通り濡れています。
援琴鳴弦發清商,短歌微吟不能長。
時に琴を引き寄せて糸をたたいて鳴らします、琴と笛の和調で澄んだ音調で秋の清々しい風にもの悲しい声調を発するのです。悲しさと涙で、長い歌も短い歌に着れてしまい、頭声の響きも震えた声になってとても長く響かせないのです。
明月皎皎照我床,星漢西流夜未央。
折からの仲秋の名月はこうこうと私の閨の床を照らしています。天の川は西の空に流れて薄くなりましたがまだ夜明けになるには早すぎます。
牽牛織女遙相望,爾獨何辜限河梁?
牽牛と織女は川を遙かに隔てて互いにのぞみ見ている。この人たちはどんな罪があって、この河と橋をいつでも渡れないことに限られたのでしょうか。(彦星と織姫はまだ7月7日にあえるのですが、罪を犯していないこの私はもう逢えないのでしょうか。)

#1
秋風蕭瑟として天気涼し、草木揺落して露、霜となり、群燕辞し帰り、雁南に翔ける。
君が客遊を念ひて思い断腸、慊慊として帰るを思い故郷を恋(した)わん、何ぞ淹留(えんりゅう)して他方に寄る。
賎妾煢煢(けいけい)として空房を守り、憂い来たりて君を思い忘れず。
#2
覚えず涙下りて衣装を沾(うるお)す。
琴を援(ひ)き絃を鳴らせば清商を発し、短歌微吟を長うするあたはず。
明月皎皎(きょうきょう)として我が牀を照らし、星漢西に流れて夜未だ央(つ)きず。
牽牛織女遙かに相望み、爾独り何の辜(つみ)ありてか河梁に限らる。


『燕歌行 二首』其一 現代語訳と訳註
(本文) #2
不覺淚下沾衣裳。
援琴鳴弦發清商,短歌微吟不能長。
明月皎皎照我床,星漢西流夜未央。
牽牛織女遙相望,爾獨何辜限河梁?


(下し文) #2
覚えず涙下りて衣装を沾(うるお)す。
琴を援(ひ)き絃を鳴らせば清商を発し、短歌微吟を長うするあたはず。
明月皎皎(きょうきょう)として我が牀を照らし、星漢西に流れて夜未だ央(つ)きず。
牽牛織女遙かに相望み、爾独り何の辜(つみ)ありてか河梁に限らる。


(現代語訳)
だから、何時とはなしに涙が零れ落ち、衣裳もこの通り濡れています。
時に琴を引き寄せて糸をたたいて鳴らします、琴と笛の和調で澄んだ音調で秋の清々しい風にもの悲しい声調を発するのです。悲しさと涙で、長い歌も短い歌に着れてしまい、頭声の響きも震えた声になってとても長く響かせないのです。
折からの仲秋の名月はこうこうと私の閨の床を照らしています。天の川は西の空に流れて薄くなりましたがまだ夜明けになるには早すぎます。
牽牛と織女は川を遙かに隔てて互いにのぞみ見ている。この人たちはどんな罪があって、この河と橋をいつでも渡れないことに限られたのでしょうか。(彦星と織姫はまだ7月7日にあえるのですが、罪を犯していないこの私はもう逢えないのでしょうか。)


(訳注) #2
不覺淚下沾衣裳。
だから、何時とはなしに涙が零れ落ち、衣裳もこの通り濡れています。


援琴鳴弦發清商,短歌微吟不能長。
時に琴を引き寄せて糸をたたいて鳴らします、琴と笛の和調で澄んだ音調で秋の清々しい風にもの悲しい声調を発するのです。悲しさと涙で、長い歌も短い歌に着れてしまい、頭声の響きも震えた声になってとても長く響かせないのです。
・清商 宮・商・角・微・羽。の五音の第2音,琴と笛の和調で澄んだ音調で秋の清々しい風にもの悲しい声調をいう。『古詩十九首 第五首』第五首「西北有高樓,上與浮雲齊。交疏結綺窗,阿閣三重階。上有弦歌聲,音響一何悲。誰能為此曲?無乃杞梁妻!清商隨風發,中曲正徘徊。一彈再三嘆,慷慨有餘哀。不惜歌者苦,但傷知音希,願為雙鴻鵠,奮翅起高飛。
杜甫『秋笛』「 清商欲盡奏,奏苦血沾衣。他日傷心極,徵人白骨歸。 相逢恐恨過,故作發聲微。不見秋雲動,悲風稍稍飛。」
・微吟 頭の上から声を出す「頭声」のことで、大きく張り上げるわけではなく、口腔でよく響かせて出す声。


明月皎皎照我床,星漢西流夜未央。
折からの仲秋の名月はこうこうと私の閨の床を照らしています。天の川は西の空に流れて薄くなりましたがまだ夜明けになるには早すぎます。
・星漢 天の川。天河・銀河・経河・銀漢・雲漢・星漢・天津・漢津等はみなその異名である。杜甫『天河』。夏に明るくなっていた天の川も秋になると光度が落ちて來るので川を渡ることが出来ないとされるもの。


牽牛織女遙相望,爾獨何辜限河梁?
牽牛と織女は川を遙かに隔てて互いにのぞみ見ている。この人たちはどんな罪があって、この河と橋をいつでも渡れないことに限られたのでしょうか。(彦星と織姫はまだ7月7日にあえるのですが、罪を犯していないこの私はもう逢えないのでしょうか。)
牽牛織女 牽牛星、織女星、この二星は七月七日の夕、一年に一回逢い会するといわれる。織女星が烏鵠のわたした橋をわたって牽牛星の方へゆくというもの。 また、「漢武内伝」に見える漢の武帝劉徹(紀元前157-87)と西王母の逢瀬を指す。承華殿に閑居していた武帝の前に、青い鳥の化身の美女が現われ、妾は墉宮の王子登というもの、七月七日に道教西の理想郷の仙女西王母が来ることをお伝えにきましたと言った。武帝は延霊台に登って待ったところ、果して七夕の夜に西王母がやって来たという。

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燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝) 魏詩<4-#1>玉台新詠・文選楽府 古詩源 巻三 622 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1705

古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝)




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楽府 燕歌行 二首
曹丕 魏文帝 
《魏文帝集》《玉臺新詠》文選 古詩源
其一
秋風蕭瑟天氣涼 草木搖落露為霜
群燕辭歸雁南翔 念君客遊多思腸
慊慊思歸戀故鄉 君何淹留寄他方
賤妾煢煢守空房 憂來思君不敢忘
不覺淚下沾衣裳 援琴鳴弦發清商
短歌微吟不能長 明月皎皎照我床
星漢西流夜未央 牽牛織女遙相望
爾獨何辜限河梁

]其二
別日何易會日難,山川遙遠路漫漫。
鬱陶思君未敢言,寄聲浮雲往不還。
涕零雨面毀容顏,誰能懷憂獨不嘆。
展詩清歌聊自寬,樂往哀來摧肺肝。
耿耿伏枕不能眠,披衣出戶步東西。
仰看星月觀雲間,飛鶬晨鳴聲可憐。
留連顧懷不能存。



燕歌行二首 其一 曹丕(魏文帝)
#1
秋風蕭瑟天氣涼,草木搖落露為霜,群燕辭歸雁南翔。
物寂しく秋風が瑟を奏でるように吹きはじめると冷ややかで秋の気配になる。草木の葉も紅葉し落ちてきて、夜露はやがて霜へ変わっていく。ツバメは群れをなしてここから南へと去り、雁は北から南下して飛んでくる。
念君客遊多思腸,慊慊思歸戀故鄉,君何淹留寄他方!
あなたのことを思い続けているけれどあなたは旅の空のもとのままで私ははらわたに痛みを感じる日々が続いているのです。あなたは役目柄心に満足しない思いを持ったまま故郷のことを恋しくおもっでいることでしょう。それなのにあなたは長い間逗留し続けて他国によく居続けられますね。
賤妾煢煢守空房,憂來思君不敢忘。
本当に思い焦がれているわたくしはどんなにさみしく孤独であってもあなたのいない部屋でじっと貞操を守っているのです。心配事がたくさんあり、あなたの子と思うあまり片時たりとも忘れることはありません。
#2
不覺淚下沾衣裳。
援琴鳴弦發清商,短歌微吟不能長。
明月皎皎照我床,星漢西流夜未央。
牽牛織女遙相望,爾獨何辜限河梁?

#1
秋風蕭瑟として天気涼し、草木揺落して露、霜となり、群燕辞し帰り、雁南に翔ける。
君が客遊を念ひて思い断腸、慊慊として帰るを思い故郷を恋(した)わん、何ぞ淹留(えんりゅう)して他方に寄る。
賎妾煢煢(けいけい)として空房を守り、憂い来たりて君を思い忘れず。

#2
覚えず涙下りて衣装を沾(うるお)す。
琴を援(ひ)き絃を鳴らせば清商を発し、短歌微吟を長うするあたはず。
明月皎皎(きょうきょう)として我が牀を照らし、星漢西に流れて夜未だ央(つ)きず。
牽牛織女遙かに相望み、爾独り何の辜(つみ)ありてか河梁に限らる。


『燕歌行 二首』其一 現代語訳と訳註
(本文)
#1
秋風蕭瑟天氣涼,草木搖落露為霜,群燕辭歸雁南翔。念君客遊多思腸,慊慊思歸戀故鄉,君何淹留寄他方!
賤妾煢煢守空房,憂來思君不敢忘。


(下し文) #1
秋風蕭瑟として天気涼し、草木揺落して露、霜となり、群燕辞し帰り、雁南に翔ける。
君が客遊を念ひて思い断腸、慊慊として帰るを思い故郷を恋(した)わん、何ぞ淹留(えんりゅう)して他方に寄る。
賎妾煢煢(けいけい)として空房を守り、憂い来たりて君を思い忘れず。


(現代語訳)
物寂しく秋風が瑟を奏でるように吹きはじめると冷ややかで秋の気配になる。草木の葉も紅葉し落ちてきて、夜露はやがて霜へ変わっていく。ツバメは群れをなしてここから南へと去り、雁は北から南下して飛んでくる。
あなたのことを思い続けているけれどあなたは旅の空のもとのままで私ははらわたに痛みを感じる日々が続いているのです。あなたは役目柄心に満足しない思いを持ったまま故郷のことを恋しくおもっでいることでしょう。それなのにあなたは長い間逗留し続けて他国によく居続けられますね。
本当に思い焦がれているわたくしはどんなにさみしく孤独であってもあなたのいない部屋でじっと貞操を守っているのです。心配事がたくさんあり、あなたの子と思うあまり片時たりとも忘れることはありません。


(訳注)
燕歌行二首
 其一 曹丕(魏文帝)この作により、兮、而による七言ではない七言詩が出現したことにあるが、詩としては初期の稚拙感と借用感は免れない。


#1
秋風蕭瑟天氣涼,草木搖落露為霜,群燕辭歸雁南翔。

物寂しく秋風が瑟を奏でるように吹きはじめて、冷ややかで秋の気配になりました。草木の葉も紅葉し落ちてきて、夜露はやがて霜へ変わっていきます。ツバメは群れをなしてここから南へと去り、雁は北から南下して飛んでくるのです。
・蕭瑟 物寂しく秋風の吹くさま。宋玉『九辨』「悲哉秋之為氣也!蕭瑟兮草木搖落而變衰」、魏 武帝『苦寒行』「北上太行山,艱哉何巍巍! 羊腸阪詰屈,車輪為之摧。 樹木何蕭瑟,北風聲正悲!」とある。これ以降、蕭瑟、悲愁、惆悵がセットのように使われる。特に宋玉『九辨』は「悲秋」感情のバイブルのようなものである。


念君客遊多思腸,慊慊思歸戀故鄉,君何淹留寄他方!
あなたのことを思い続けているけれどあなたは旅の空のもとのままで私ははらわたに痛みを感じる日々が続いているのです。あなたは役目柄心に満足しない思いを持ったまま故郷のことを恋しくおもっでいることでしょう。それなのにあなたは長い間逗留し続けて他国によく居続けられますね。
・思腸 男とのセックスの思い。
慊慊 心に満足しない思い。
・淹留 久しくとどまり続けること。


賤妾煢煢守空房,憂來思君不敢忘。
本当に思い焦がれているわたくしはどんなにさみしく孤独であってもあなたのいない部屋でじっと貞操を守っているのです。心配事がたくさんあり、あなたの子と思うあまり片時たりとも忘れることはありません。
賤妾 自分を謙譲して云う女性の語。身分が高いほどよくみられるが、男性が好んだもの。
・煢煢 どんなにかさみしく孤独であること。
・守 女として貞操を守っている。
・空房 一人ぼっちの女の部屋。

又清河作一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<4> 女性詩621 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1701

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又清河作一首 曹丕(魏文帝)

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又清河作一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<4> 女性詩621 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1701


又清河作一首
清河にきてまた一首作る。
方舟戲長水,湛淡自浮沈。
あの男のひき船が長い川をただよっている。水は漫々と湛えて、船はひとりでに上下に動いている。
弦歌發中流,悲響有餘音。
長い川の中ほどにくると琴の音とそれに合わせて歌声が聞こえてくる。悲しい響きであり、その響きは辺りに余韻を残している。
音聲入君懷,淒愴傷人心。
そしてその余韻はあなたの胸の中にきっと入ってくる。本当にそれは傷ついた心に更に深く傷つけるものなのだ。
心傷安所念,但願恩情深。
この痛めた心をどこへ持っていけばよいのだろうか、ただ、思い願うことはあなたの恩や情けがいつまでも深いものであってほしいと思うのである。
願為晨風鳥,雙飛翔北林。

そして、わたしはこの人のためにハヤブサになってあげたいと思うのだ、そうすれば二人して遠く北の果ての林の中に飛び、翔いくことが出来るというものだ。

又 清河の作 一首
方舟 長水に戲【たわむ】れ,湛淡【たんたん】として自ら浮沈す。
弦歌【げんか】中流に發し,悲響【ひきょう】餘音【よいん】有り。
音聲【おんせい】君が懷【ふところ】に入り,淒愴【せいそう】人心を傷ましむ。
心傷安【いずく】に念う所ぞ,但 願う恩情【おんじょう】の深らんことを。
願はくば晨風【しんぷう】の鳥と為りて,雙飛して北林に翔ばん。


『又清河作一首』 現代語訳と訳註
(本文)
方舟戲長水,湛淡自浮沈。
弦歌發中流,悲響有餘音。
音聲入君懷,淒愴傷人心。
心傷安所念,但願恩情深。
願為晨風鳥,雙飛翔北林。


(下し文)
又 清河の作 一首
方舟 長水に戲【たわむ】れ,湛淡【たんたん】として自ら浮沈す。
弦歌【げんか】中流に發し,悲響【ひきょう】餘音【よいん】有り。
音聲【おんせい】君が懷【ふところ】に入り,淒愴【せいそう】人心を傷ましむ。
心傷安【いずく】に念う所ぞ,但 願う恩情【おんじょう】の深らんことを。
願はくば晨風【しんぷう】の鳥と為りて,雙飛して北林に翔ばん。


(現代語訳)
清河にきてまた一首作る。
あの男のひき船が長い川をただよっている。水は漫々と湛えて、船はひとりでに上下に動いている。
長い川の中ほどにくると琴の音とそれに合わせて歌声が聞こえてくる。悲しい響きであり、その響きは辺りに余韻を残している。
そしてその余韻はあなたの胸の中にきっと入ってくる。本当にそれは傷ついた心に更に深く傷つけるものなのだ。
この痛めた心をどこへ持っていけばよいのだろうか、ただ、思い願うことはあなたの恩や情けがいつまでも深いものであってほしいと思うのである。
そして、わたしはこの人のためにハヤブサになってあげたいと思うのだ、そうすれば二人して遠く北の果ての林の中に飛び、翔いくことが出来るというものだ。


(訳注)
又清河作一首

清河にきてまた一首作る。
『於清河見輓船士新婚與妻別一首』の言葉足らずを云うか、時間的に経過した後に改めて作ったものであろう。同じように寡婦の心情をのべたもので、この当時の権力者にとって、この女性をこの詩を以て口説くために作るのである。


方舟戲長水,湛淡自浮沈。
あの男のひき船が長い川をただよっている。水は漫々と湛えて、船はひとりでに上下に動いている。
・方舟 はこぶね。船頭も輓男もいない様子を云う。


弦歌發中流,悲響有餘音。
長い川の中ほどにくると琴の音とそれに合わせて歌声が聞こえてくる。悲しい響きであり、その響きは辺りに余韻を残している。
弦歌 琴の引き語り。あるいは琴に合わせて歌う。
悲響 聞き手が居なくて空しく響き渡ることを云う。


音聲入君懷,淒愴傷人心。
そしてその余韻はあなたの胸の中にきっと入ってくる。本当にそれは傷ついた心に更に深く傷つけるものなのだ。
音聲入君懷 この句は口説き文句である。


心傷安所念,但願恩情深。
この痛めた心をどこへ持っていけばよいのだろうか、ただ、思い願うことはあなたの恩や情けがいつまでも深いものであってほしいと思うのである。


願為晨風鳥,雙飛翔北林。
そして、わたしはこの人のためにハヤブサになってあげたいと思うのだ、そうすれば二人して遠く北の果ての林の中に飛び、翔いくことが出来るというものだ。
晨風鳥 はやぶさ。『於清河見輓船士新婚與妻別一首』では黃鵠であった。黄色は皇帝をあらわすことでもあり、曹丕自信をあらわし、この詩の晨風鳥も曹丕を示すものといえる。


この時代、文帝曹丕が声をかけると拒否はできない。特に曹丕は人妻、寡婦が好きであった。ただ手を付けるだけでなくその後の面倒もきちんと看たのであろうことは、こうした詩を残すことで残された女性の生活は完全に確保されるのである。

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◎漢文委員会のHP http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/
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古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<3>玉台新詠集 女性詩620 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1697


魏文帝
於清河見輓船士新婚與妻別一首
清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
與君結新婚  宿昔當別離
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。
涼風動秋草  蟋蟀鳴相隨
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。
冽冽寒蟬吟  蟬吟抱枯枝
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
枯枝時飛揚  身體忽遷移
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。
不悲身遷移  但惜歲月馳
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。
歲月無窮極  會合安可知
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。願為雙黃鵠  比翼戲清池
せめてお願いだから、つがいの黄鶴になりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。


清河に於て船を輓【ひ】くの士、新らたに婚し、妻に別るるに見う一首

君と新婚を結び、宿昔 當に別離すべし。
涼風 秋草を動かし、蟋蟀【しつしゅつ】鳴いて相い隨う。
冽冽【れつれつ】寒蟬吟じ、蟬 吟じて枯枝を抱く。
枯枝 時に飛揚し、身體 忽ち遷移す。
身の遷移するを悲しまず、但 歲月の馳するを惜む。
歲月窮極無し、會合 安んぞ知る可けん。
願はくば雙黃鵠と為りて、翼を比べて清池に戲れんことを。


『於清河見輓船士新婚與妻別一首』 現代語訳と訳註
(本文)
於清河見輓船士新婚與妻別一首
與君結新婚 宿昔當別離
涼風動秋草 蟋蟀鳴相隨
冽冽寒蟬吟 蟬吟抱枯枝
枯枝時飛揚 身體忽遷移
不悲身遷移 但惜歲月馳
歲月無窮極 會合安可知
願為雙黃鵠 比翼戲清池


(下し文)
清河に於て船を輓【ひ】くの士、新らたに婚し、妻に別るるに見う一首

君と新婚を結び、宿昔 當に別離すべし。
涼風 秋草を動かし、蟋蟀【しつしゅつ】鳴いて相い隨う。
冽冽【れつれつ】寒蟬吟じ、蟬 吟じて枯枝を抱く。
枯枝 時に飛揚し、身體 忽ち遷移す。
身の遷移するを悲しまず、但 歲月の馳するを惜む。
歲月窮極無し、會合 安んぞ知る可けん。
願はくば雙黃鵠と為りて、翼を比べて清池に戲れんことを。


(現代語訳)
清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。せめてお願いだから、つがいの黄鶴になりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。


(訳注)
於清河見輓船士新婚與妻別一首

清河の町の運河で船ひきをしている男が結婚をして間もないのに新妻と別れなければならなくなったのを見て作った詩である。
・清河 河北省東南部の都市
・輓船士 魯や帆が使えない比較的狭い場所でひき船をして移動させる。
・新婚與妻別 若い男には兵役による別れである。


與君結新婚 宿昔當別離
君と新しく結婚しましたが、暫くの間にわかれねばならないのです。


涼風動秋草 蟋蟀鳴相隨
涼風が秋の草むらにそよいで揺らいでいる。こおろろぎが鳴き雌雄が付き従ってうごく。


冽冽寒蟬吟 蟬吟抱枯枝
ひえびえしてくるとひぐらしゼミが鳴き声で吟じている。蝉は枯れ木にまとわりついて吟じている。
・冽冽 ひえびえしてきたこと。
・寒蟬 ひぐらしぜみ。


枯枝時飛揚 身體忽遷移
枯れ枝は時として秋風が吹きあげ飛ばされる。まとわりついていた蝉の体もたちまち遠くへ飛ばされてしまう。


不悲身遷移 但惜歲月馳
遠くへ飛ばされ移動されるのは悲しいとは思わないが、ただそのため歳月が無駄に流されてしまうのは惜しくてならないことなのです。


歲月無窮極 會合安可知
歳月がとめどなく無駄に流されてしまうことは、あなたに会えるのがいつになるのかわからなくなることなのです。


願為雙黃鵠 比翼戲清池
せめてお願いだから、つがいの黄いコウノトリになりたいものです。そうすればその翼で水の澄んだ清らかな池で一緒にたわむれることが出来るのです。
・黃鵠 白い鳥。高潔な鳥。子を授かる鳥。仙人子安(しあん)が黄鶴に乗ってこの地を過ぎた。また、三国時代の蜀の仙人費緯が黄鶴に乗って飛来してこの楼上で休んだ。
神話傳說中の雁より大きい鳥,一日、らくに一舉千里を飛ぶ。楚辭˙屈原˙卜居:「寧與黃鵠比翼乎?將與雞鶩爭食乎?此孰吉孰凶,何去何從?」

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寡婦    曹丕
友人阮元瑜早亡。傷其妻寡居、爲作是詩

友人の阮元瑜が早世し、その妻が独り暮らしをしているのを傷んで、この詩を作る。

霜露紛兮交下,木葉落兮淒淒。
霜と露とがかわるがわる降って落ちて混ざっています、秋も深まり木の葉は落ちつくしてしまい、さむざむとした季節となったようです。
候鴈叫兮雲中,歸燕翩兮徘徊。
侯鳥の雁は雲の中にさけびもう渡来しています、南に帰る燕は帰り仕度でひらひらと飛びまわっています。
妾心感兮惆悵,白日忽兮西頽。

雁を看たり、ツバメを見るにつけあなたの心はせつなくなることでしょう。秋の日は短く、真昼の太陽もたちまち西に傾くというものです。(秋の夜長に少しでもお助けが出来れば幸いです。)
守長夜兮思君,魂一夕兮九乖。
今、あなたは死んだ夫の後を追ってあの世に行こうとしている。いつまでもこのような愁いをいだいたままでいることが出来ようか、こんな想いはひさしく永らえるものではないのです。
秋の夜長に立派に節奏を守り、寝れないとあなたは死んだ夫のことを思っているのでしょうが、わたしの魂だけは一夜に九度もこの身を離れあなたのもとに行くのです。
悵延佇兮仰視,星月隨兮天廻。
憂いに沈んで暫し佇んで、仰いで空を見ることでしょうが、そこには星と月とが互いを互いにしたがって天空を廻っています。
徒引領兮入房,竊自憐兮孤栖。
いたずらに頸をのばして待ち侘びても帰ってほしいと望みつつ、あなたは部屋に戻るでしょう。ひそかに自分自身を哀れんでみたって一人で暮らして行くことには違いがあるません。
願從君兮終沒,愁何可兮久懷。


寡婦
友人の阮元瑜早く亡す。其の妻寡居せるを傷んで、爲に是の詩を作る。

霜露 紛として交【こもご】も 下り,木葉落ちて  淒淒たり。
候鴈 雲中に叫び,歸燕 翩【へん】として 徘徊す。
妾【しょう】が心感じて惆悵【ちょちょう】として,
白日忽【こつ】として 西に頽【くづ】る。
長夜を守りて君を思い,魂一夕に九たび 乖【はな】る。
悵として延佇【えんちょ】して仰ぎ視れば,星 月に隨いて天に廻る。
徒【いたづ】らに領を引きて房に入り,竊【ひそ】かに自ら孤栖を憐む。
願くは君に從ひて終【つひ】に 沒せん,愁ひは何ぞ  久しく懷【いだ】くべけん。


『寡婦』 現代語訳と訳註
(本文)
#2
守長夜兮思君,魂一夕兮九乖。
悵延佇兮仰視,星月隨兮天廻。
徒引領兮入房,竊自憐兮孤栖。
願從君兮終沒,愁何可兮久懷。


(下し文)
長夜を守りて君を思い,魂一夕に九たび 乖【はな】る。
悵として延佇【えんちょ】して仰ぎ視れば,星 月に隨いて天に廻る。
徒【いたづ】らに領を引きて房に入り,竊【ひそ】かに自ら孤栖を憐む。
願くは君に從ひて終【つひ】に 沒せん,愁ひは何ぞ  久しく懷【いだ】くべけん。


(現代語訳)
秋の夜長に立派に節奏を守り、寝れないとあなたは死んだ夫のことを思っているのでしょうが、わたしの魂だけは一夜に九度もこの身を離れあなたのもとに行くのです。
憂いに沈んで暫し佇んで、仰いで空を見ることでしょうが、そこには星と月とが互いを互いにしたがって天空を廻っています。
いたずらに頸をのばして待ち侘びても帰ってほしいと望みつつ、あなたは部屋に戻るでしょう。ひそかに自分自身を哀れんでみたって一人で暮らして行くことには違いがあるません。
今、あなたは死んだ夫の後を追ってあの世に行こうとしている。いつまでもこのような愁いをいだいたままでいることが出来ようか、こんな想いはひさしく永らえるものではないのです。


(訳注)
守長夜兮思君,魂一夕兮九乖。
秋の夜長に立派に節奏を守り、寝れないとあなたは死んだ夫のことを思っているのでしょうが、わたしの魂だけは一夜に九度もこの身を離れあなたのもとに行くのです。
・守 節奏を守る。
・魂一夕兮九乖 魂は、一夜に何度も離れ(愛しいあなたの許へ行く)。屈原の『楚辞・九章・抽思』の一節を使うことで、『抽思』にある求愛の情を以て、阮元瑜の寡婦にその思いを伝えたのである。「望孟夏之短夜兮,何晦明之若歳。惟郢路之遼遠兮,魂一夕而九逝。曾不知路之曲直兮,南指月與列星。願徑逝而未得兮,魂識路之營營。何靈魂之信直兮,人之心不與吾心同。理弱而媒不通兮,尚不知余之從容。」に基づいている。寡婦への熱烈なラブコールは有名な話である。・魂 生きている人間の精神活動。心。 ・一夕 一夜。・九乖 九回離れる。何度も(肉体から)離れてゆく。


悵延佇兮仰視,星月隨兮天廻。
憂いに沈んで暫し佇んで、仰いで空を見ることでしょうが、そこには星と月とが互いを互いにしたがって天空を廻っています。
延佇 長びいて(ひとり)たたずむ。・仰視見上げる。


徒引領兮入房,竊自憐兮孤栖。
いたずらに頸をのばして待ち侘びても帰ってほしいと望みつつ、あなたは部屋に戻るでしょう。ひそかに自分自身を哀れんでみたって一人で暮らして行くことには違いがあるません。
・徒 いたずらに。 
・引領 首を伸ばして(待ち望む)。首を長くして待つ。首を長くして待ち望む。
・入房 部屋に入る。家に入る。
・竊 ひそかに。そっと。こっそり。人知れず。
・自憐 自分を憐れむ。 
・孤栖 ひとりぼっちで(寂しく)住む。一人住まい。寡婦として、ひとりだけで生活している。


願從君兮終沒,愁何可兮久懷。
今、あなたは死んだ夫の後を追ってあの世に行こうとしている。いつまでもこのような愁いをいだいたままでいることが出来ようか、こんな想いはひさしく永らえるものではないのです。
 ねがわくば。以下が、願望の内容になる。 
從君 あなたにしたがう。ここでは、死んだ夫の後を追って。 
終沒 ついに死没する。そうして最期は死んでいきたい。
何 なんぞ。反語。反問。
久懷 ひさしい間の思い。長い物思い。さびしい、侘しいと夫の後を追いたいと思う心で長くいること。こんな生活を長く続けてはいけません。私が力になりますよというほどの意味になる。

寡婦 曹丕(魏文帝) 魏詩<1-#1>古詩源 巻三 女性詩618 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1689

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寡婦 曹丕(魏文帝) 魏詩<1-#1>古詩源 巻三 女性詩618 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1689



寡婦    曹丕
友人阮元瑜早亡。傷其妻寡居、爲作是詩。

友人の阮元瑜が早世し、その妻が独り暮らしをしているのを傷んで、この詩を作る。

霜露紛兮交下,木葉落兮淒淒。
霜と露とがかわるがわる降って落ちて混ざっています、秋も深まり木の葉は落ちつくしてしまい、さむざむとした季節となったようです。
候鴈叫兮雲中,歸燕翩兮徘徊。
侯鳥の雁は雲の中にさけびもう渡来しています、南に帰る燕は帰り仕度でひらひらと飛びまわっています。
妾心感兮惆悵,白日忽兮西頽。
雁を看たり、ツバメを見るにつけあなたの心はせつなくなることでしょう。秋の日は短く、真昼の太陽もたちまち西に傾くというものです。(秋の夜長に少しでもお助けが出来れば幸いです。)
守長夜兮思君,魂一夕兮九乖。
悵延佇兮仰視,星月隨兮天廻。
徒引領兮入房,竊自憐兮孤栖。
願從君兮終沒,愁何可兮久懷。

寡婦
友人の阮元瑜早く亡す。其の妻寡居せるを傷んで、爲に是の詩を作る。

霜露 紛として交【こもご】も 下り,木葉落ちて  淒淒たり。
候鴈 雲中に叫び,歸燕 翩【へん】として 徘徊す。
妾【しょう】が心感じて惆悵【ちょちょう】として,
白日忽【こつ】として 西に頽【くづ】る。

長夜を守りて君を思い,魂一夕に九たび 乖【はな】る。
悵として延佇【えんちょ】して仰ぎ視れば,星 月に隨いて天に廻る。
徒【いたづ】らに領を引きて房に入り,竊【ひそ】かに自ら孤栖を憐む。
願くは君に從ひて終【つひ】に 沒せん,愁ひは何ぞ  久しく懷【いだ】くべけん。


『寡婦』 現代語訳と訳註
(本文)
寡婦    曹丕
友人阮元瑜早亡。傷其妻寡居、爲作是詩。

霜露紛兮交下,木葉落兮淒淒。
候鴈叫兮雲中,歸燕翩兮徘徊。
妾心感兮惆悵,白日忽兮西頽。


(下し文) 寡婦
霜露 紛として交【こもご】も 下り,木葉落ちて  淒淒たり。
候鴈 雲中に叫び,歸燕 翩【へん】として 徘徊す。
妾【しょう】が心感じて惆悵【ちょちょう】として,
白日忽【こつ】として 西に頽【くづ】る。


(現代語訳)
友人の阮元瑜が早世し、その妻が独り暮らしをしているのを傷んで、この詩を作る。
霜と露とがかわるがわる降って落ちて混ざっています、秋も深まり木の葉は落ちつくしてしまい、さむざむとした季節となったようです。
侯鳥の雁は雲の中にさけびもう渡来しています、南に帰る燕は帰り仕度でひらひらと飛びまわっています。
雁を看たり、ツバメを見るにつけあなたの心はせつなくなることでしょう。秋の日は短く、真昼の太陽もたちまち西に傾くというものです。(秋の夜長に少しでもお助けが出来れば幸いです。)


(訳注)
・曹丕 曹操の子。諡は文帝。三国時代の魏の初代皇帝。在位220~226。曹操の長子。字(あざな)は子桓(しかん)。諡号(しごう)、文帝。廟号は世祖。父を継いで魏王となり、後漢の献帝の禅譲によって帝位につき、洛陽を都と定め、国号を魏と号した。九品中正法を施行。詩文を好み、楽府にすぐれた。著「典論」など。
三曹(曹操、曹丕、曹植)の一で、建安七子の庇護者でもある。
・寡婦 未亡人。夫に死別して、再婚しないでいる婦人。


友人阮元瑜早亡。傷其妻寡居、爲作是詩。
友人の阮元瑜が早世し、その妻が独り暮らしをしているのを傷んで、この詩を作る。
・阮元瑜 建安七子の一、阮瑀のこと。一夫多妻の時代、求愛の詩である。特に、屈原の『楚辞・九章・抽思』との関聯ではっきり感じさせられるのである。


霜露紛兮交下,木葉落兮淒淒。
霜と露とがかわるがわる降って落ちて混ざっています、秋も深まり木の葉は落ちつくしてしまい、さむざむとした季節となったようです。
霜露紛兮交下 (季節が移り変わってきて)露が降りる状態から、霜が降りる時が入り乱れて(だんだんと秋も深くなってきた)。 ・紛 乱れる。入り乱れる。入り交じって乱れる。以下、晩秋の季節を詠う。 ・兮:『楚辞』などの上代詩歌に使われる、リズムを取るためのことば。普通語調を整えるという謂われ方をするが、音楽的な效果をねらっている。 ・交:こもごも。交互に。 ・下:おりる。降(ふ)る。
木葉落兮淒淒 木の葉も散ってしまい、寒々しくわびしい様子である。 ・木葉 木の葉。・淒淒 寒く冷ややかなさま。寂しくいたましいさま。わびしく悲しいさま。


候鴈叫兮雲中,歸燕翩兮徘徊。
侯鳥の雁は雲の中にさけびもう渡来しています、南に帰る燕は帰り仕度でひらひらと飛びまわっています。
候鴈叫兮雲中 (冬鳥の)渡り鳥であるガンが(はやもうやって来て、)雲の中で鳴いている。・候鴈 渡り鳥のガン。「候鳥」は、渡り鳥。旅鳥。
歸燕翩兮徘徊 (夏鳥で、南の方へ)渡って帰るツバメは、ひるがえって軽くとびながら、(まだ)行ったり来たりしている。・徘徊 うろつく。ぶらぶら歩きまわる。行ったり来たりする。


妾心感兮惆悵,白日忽兮西頽。
雁を看たり、ツバメを見るにつけあなたの心はせつなくなることでしょう。秋の日は短く、真昼の太陽もたちまち西に傾くというものです。(秋の夜長に少しでもお助けが出来れば幸いです。)
妾心感兮惆悵 わたし(女性側)の心は、恨めしい思いでいっぱいで。・妾心 女性の思い。・惆悵 うらみなげくさま。失意のさま。うれえ悲しむさま。うらめしい。うらみがましい。
宋玉『九辨』「惆悵兮而私自憐。」で悲愁という語に絡んで使用され、後に多く使われている。温庭筠、韋荘の閨情詞などには特にみられる。

杜甫.『自京赴奉先縣詠懷五百字詩』「榮枯咫尺異,惆悵難再述。」

杜甫『立秋後題』「平生独往願、惆悵年半百。」

杜甫『乾元中寓居同谷縣作歌七首之二』「嗚呼二歌兮歌始放,閭里為我色惆悵。

李白『單父東樓秋夜送族弟沈之秦』「明日斗酒別。 惆悵清路塵。

韓愈『從仕』「黄昏歸私室,惆悵起歎音。」

蘇東坡の「和孔密州五言絶句 東欄梨花」にある柳絮が加わる。
梨花淡白柳深靑,柳絮飛時花滿城。
惆悵東欄一株雪,人生看得幾淸明。

韓愈『鄭羣贈簟』「日暮歸來獨惆悵,有賣直欲傾家資。」

 



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詠鐙 范靖婦沈満願 宋詩<122>玉台新詠集巻四 女性詩559 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1494


詠鐙
綺筵日已暮、羅幃月未歸。
美しいむしろに日が暮れてきた。うすぎぬの帳にはまだ月かげは映らない。
開花散鶴彩、含光出九徴。
燈火の花が開く、そこには鮮やかな色の鶴の影が散っている。こうした光を含んでいる景色は西王母を迎える漢の武帝が灯した九徴の鐙のひかりがでているのだ。
風軒動丹焰、氷宇澹凊暉。
この鐙は風の吹く軒に丹い焔をうごかす。そして氷を思わせるほどすんだ空に青いひかりをうすく挙げている。
不吝輕蛾繞、唯恐曉蠅飛。

蛾や虫が軽やかに飛びまわるは惜しいとも何とも思わないのだけれど、ただ、待ち続ける夜が明けて蠅が飛びわるのだけは怖いことなのだ。(このような花の宴を設置するのなら来てほしい。その中で私は待っているのよ。)

綺筵【きえん】日 已に暮る、羅幃【らい】月 未だ歸らず。
開花 鶴彩【かくさい】を散じ、含光【がんこう】九徴よりも出づ。
風軒に 丹焰【たんえん】を動かし、氷宇に凊暉【せいき】澹たり。
吝【おし】まず輕蛾【けいが】の繞【めぐ】り、唯 恐る曉蠅【ぎょうぼう】の飛ばんことを。


現代語訳と訳註
(本文)
詠鐙
綺筵日已暮、羅幃月未歸。
開花散鶴彩、含光出九徴。
風軒動丹焰、氷宇澹凊暉。
不吝輕蛾繞、唯恐曉蠅飛。


(下し文) 詠鐙
綺筵【きえん】日 已に暮る、羅幃【らい】月 未だ歸らず。
開花 鶴彩【かくさい】を散じ、含光【がんこう】九徴よりも出づ。
風軒に 丹焰【たんえん】を動かし、氷宇に凊暉【せいき】澹たり。
吝【おし】まず輕蛾【けいが】の繞【めぐ】り、唯 恐る曉蠅【ぎょうぼう】の飛ばんことを。


(現代語訳)
美しいむしろに日が暮れてきた。うすぎぬの帳にはまだ月かげは映らない。
燈火の花が開く、そこには鮮やかな色の鶴の影が散っている。こうした光を含んでいる景色は西王母を迎える漢の武帝が灯した九徴の鐙のひかりがでているのだ。
この鐙は風の吹く軒に丹い焔をうごかす。そして氷を思わせるほどすんだ空に青いひかりをうすく挙げている。
蛾や虫が軽やかに飛びまわるは惜しいとも何とも思わないのだけれど、ただ、待ち続ける夜が明けて蠅が飛びわるのだけは怖いことなのだ。(このような花の宴を設置するのなら来てほしい。その中で私は待っているのよ。)


(訳注)
詠鐙

燈火について、夜を愛し、夜明けが来るのを恐れる女の気持ちを詠うのであるが、今日こそは自分を尋ねてくれ、一夜を過ごしたいと思って楽しみにしていた女性、待てども来ない夜、以前は楽しい中での燈火であったのである。朝が来るまでに来てほしいと女性は思うのである。それが最近続くので朝が怖いというものである。別の女性の所に行っていることへの嫉妬心はこの詩からは見えない。数多く詠った李商隠の女性を詠う詩の原型の詩である。


綺筵日已暮、羅幃月未歸。
美しいむしろに日が暮れてきた。うすぎぬの帳にはまだ月かげは映らない。
月未歸 歸は回、去って又帰って來る。


開花散鶴彩、含光出九徴。
燈火の花が開く、そこには鮮やかな色の鶴の影が散っている。こうした光を含んでいる景色は西王母を迎える漢の武帝が灯した九徴の鐙のひかりがでているのだ。
開花 燈火の花が開く。
九徴 九徴の鐙のひかり。西育時代の張華によって纏められたとされる『 博物志』に要約して次のように次のように書かれている。
西王母は'九華殿において武帝の請いに応じて元始天王から傳えられた長生の秘術を語る。語り終えた西王母はそのまま去ろうとするが'武帝は慇懃に九徴燈を設けて引き留める。そこで西王母はもう一 人の女仙上元夫人を招く。西王母と上元夫人をまじえた席で'武帝は西王母から「 五嶽眞形圖」と呼ばれるおふだの一種を'上元夫人から六甲靈飛など十二篇の紳雲を招く方を授かる。明旦に至って二人の女神は歸ってゆく。その後、武帝は西王母たちの戒めを守らなかったため'天火が下って授けられた経典は失なわれてしまう。


風軒動丹焰、氷宇澹凊暉。
この鐙は風の吹く軒に丹い焔をうごかす。そして氷を思わせるほどすんだ空に青いひかりをうすく挙げている。


不吝輕蛾繞、唯恐曉蠅飛。
蛾や虫が軽やかに飛びまわるは惜しいとも何とも思わないのだけれど、ただ、待ち続ける夜が明けて蠅が飛びわるのだけは怖いことなのだ。(このような花の宴を設置するのなら来てほしい。その中で私は待っているのよ。)

詠五彩竹火籠 范靖婦沈満願 宋詩<121>玉台新詠集巻四 女性詩558 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1491

      
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詠五彩竹火籠 范靖婦沈満願 宋詩<121>玉台新詠集巻四 女性詩558 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1491


詠五彩竹火籠
可憐潤霜質、繊剖復毫分。
愛らしいのは若竹の時の竹の表面の白粉をつけた時の潤のある竹質である、その竹を細かく裂き、そして、毛のように割かれるのである。
織作囘風苣、製爲縈綺文。
その裂かれた竹は燻製の煙がよく回るように丸い腰尻のように織り込まれ、めぐる綺麗な彩の綵絹をはりつけてできあがるのである。
含芳出珠被、曜彩接緗裙。
芳しい香りを含み、そして珠の付いた被服に出してくる、輝く彩と女性の下半身に着ける萌黄のはかまにかおりが接合している。
徒嗟金麗飾、豈念昔凌雲。
竹にとっては嘆かわしいことであろう、こんな風に黄金でもってきれいに飾られていることが、昔はあのように立派に雲を凌いで高く聳えていたというのにそんなことは今は思いもしないことだ。

(五彩の竹火籠を詠う)
可憐なる潤霜【じゅんそう】の質、繊剖【せんぼう】して復た毫分【ごうふん】す。
織りて囘風の苣【きょ】と作し、製して縈綺【けいき】の文と爲す。
含芳【がんほう】珠被【しゅひ】より出でて、曜彩【とうさい】緗裙【しょうくん】に接す。
徒【いたずら】に嗟して金麗の飾、豈念【おも】わんや昔 雲を凌ぎしを。


現代語訳と訳註
(本文)
詠五彩竹火籠
可憐潤霜質、繊剖復毫分。
織作囘風苣、製爲縈綺文。
含芳出珠被、曜彩接緗裙。
徒嗟金麗飾、豈念昔凌雲。


(下し文)
(五彩の竹火籠を詠う)
可憐なる潤霜【じゅんそう】の質、繊剖【せんぼう】して復た毫分【ごうふん】す。
織りて囘風の苣【きょ】と作し、製して縈綺【けいき】の文と爲す。
含芳【がんほう】珠被【しゅひ】より出でて、曜彩【とうさい】緗裙【しょうくん】に接す。
徒【いたずら】に嗟して金麗の飾、豈念【おも】わんや昔 雲を凌ぎしを。


(現代語訳)
愛らしいのは若竹の時の竹の表面の白粉をつけた時の潤のある竹質である、その竹を細かく裂き、そして、毛のように割かれるのである。
その裂かれた竹は燻製の煙がよく回るように丸い腰尻のように織り込まれ、めぐる綺麗な彩の綵絹をはりつけてできあがるのである。
芳しい香りを含み、そして珠の付いた被服に出してくる、輝く彩と女性の下半身に着ける萌黄のはかまにかおりが接合している。
竹にとっては嘆かわしいことであろう、こんな風に黄金でもってきれいに飾られていることが、昔はあのように立派に雲を凌いで高く聳えていたというのにそんなことは今は思いもしないことだ。


(訳注)
詠五彩竹火籠
(五彩の竹火籠を詠う)
五彩 竹の籠に張った絹の模様が五色である、五色糸で織られていれば錦となるが、五色に輝くでもよい。
竹火籠 火籠は内部で香を焚き上部に竹の籠を置いて衣服に香をしみこませるものである。竹製の燻籠のことをいう。女性の比喩としている。


可憐潤霜質、繊剖復毫分。
愛らしいのは若竹の時の竹の表面の白粉をつけた時の潤のある竹質である、その竹を細かく裂き、そして、毛のように割かれるのである。
潤霜 若竹の時の竹の表面の白粉をつけた時の事を云い、女の処女、乙女をいう。


織作囘風苣、製爲縈綺文。
その裂かれた竹は燻製の煙がよく回るように丸い腰尻のように織り込まれ、めぐる綺麗な彩の綵絹をはりつけてできあがるのである。
織作 竹細工で織り込んでいく。
囘風苣 ラッキョウのような丸い腰尻形をいう。
・縈綺文 めぐる綺麗な彩の綵絹


含芳出珠被、曜彩接緗裙。
芳しい香りを含み、そして珠の付いた被服に出してくる、輝く彩と女性の下半身に着ける萌黄のはかまにかおりが接合している。
含芳 竹かごに架けた被服に香燻が含まれる。
緗裙 女性の下半身に着ける萌黄のはかま。腰巻のような役割のもの。


徒嗟金麗飾、豈念昔凌雲。
竹にとっては嘆かわしいことであろう、こんな風に黄金でもってきれいに飾られていることが、昔はあのように立派に雲を凌いで高く聳えていたというのにそんなことは今は思いもしないことだ。
金麗飾 テクストによっては金を「今」に作るが芸妓の比喩であることからは、黄金の方がよい。
凌雲 青竹が高く聳えて生えていたこと。

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戯蕭娘
明珠翠羽帳、金薄綠綃帷。
ねやの奥座敷に輝いている真珠を鏤めた翡翠のとばり、その内側に金箔を飾った緑のうす絹のとばりがある。
因風時蹔擧、想像見芳姿
風に吹かれて時にはしばらくまくれ上がってしまう。きっとその中に(蕭娘さん)あなたの綺麗なお姿があると思います。
凊晨插歩揺、向晩解羅衣。
清々しい朝を迎えると外していた簪を髪に挿すのでしょう。それから晩方になればその奥座敷でうすぎぬの肌着をとくことでしょう。
意風流子、佳情詎肯私。

あなたはあの風雅なあの人(范靖)に心を寄せていますね。そういう男女の愛情について私は独り占めにしようなんて思ってもいませんから。


(蕭娘を戯むる)
明珠【めいしゅ】翠羽【すいう】の帳【とばり】、金薄【きんぱく】綠綃【りょくしょう】の帷【い】。
風に因りて時に暫く擧がる、想像して芳姿を見る。
凊晨【せいしん】に歩揺を插【さしはさ】み、晩に向いて羅衣【らい】を解く。
意を託すは風流の子、佳情 詎【なん】ぞ肯えて私にせん。


現代語訳と訳註
(本文)
戯蕭娘
明珠翠羽帳、金薄綠綃帷。
因風時蹔擧、想像見芳姿
凊晨插歩揺、向晩解羅衣。
託意風流子、佳情詎肯私。


(下し文) (蕭娘を戯むる)
明珠【めいしゅ】翠羽【すいう】の帳【とばり】、金薄【きんぱく】綠綃【りょくしょう】の帷【い】。
風に因りて時に暫く擧がる、想像して芳姿を見る。
凊晨【せいしん】に歩揺を插【さしはさ】み、晩に向いて羅衣【らい】を解く。
意を託すは風流の子、佳情 詎【なん】ぞ肯えて私にせん。


(現代語訳)
ねやの奥座敷に輝いている真珠を鏤めた翡翠のとばり、その内側に金箔を飾った緑のうす絹のとばりがある。
風に吹かれて時にはしばらくまくれ上がってしまう。きっとその中に(蕭娘さん)あなたの綺麗なお姿があると思います。
清々しい朝を迎えると外していた簪を髪に挿すのでしょう。それから晩方になればその奥座敷でうすぎぬの肌着をとくことでしょう。
あなたはあの風雅なあの人(范靖)に心を寄せていますね。そういう男女の愛情について私は独り占めにしようなんて思ってもいませんから。


(訳注)
戯蕭娘

蕭娘: 沈満願の夫の范靖、梁の征西記室范靖の愛人、第二夫人、家妓とおもわれる。戯れるは「因風」「想像」「凊晨」「向晩」末の二句にあらわしている。
沈滿願 :生卒年不詳。吳の武康の人。沈約の孫娘。征西記室范靖(靜)の妻。
西暦540年ごろの梁武帝最盛期頃に評価を受けたようである。ただ、沈約(441年 - 513年)は学問に精励し学識を蓄え、宋・斉・梁の3朝に仕えた。南斉の竟陵王蕭子良の招きに応じ、その文学サロンで重きをなし、「竟陵八友」の一人に数えられた。その後蕭衍(後の梁の武帝)の挙兵に協力し、梁が建てられると尚書令に任ぜられ、建昌県侯に封ぜられた。晩年は武帝の不興をこうむり、憂愁のうちに死去したというので、身分地位についてはそれほど高いものではなかったのではなかろうか。ただ、女性の立場で、王昭君の悲劇を呼んでいるわけで、詩界に参列できるだけのものであったことは間違いない。


明珠翠羽帳、金薄綠綃帷。
ねやの奥座敷に輝いている真珠を鏤めた翡翠のとばり、その内側に金箔を飾った緑のうす絹のとばりがある。
・翠羽 翡翠の羽毛。
綃帷 うす絹のとばり


因風時暫擧、想像見芳姿
風に吹かれて時にはしばらくまくれ上がってしまう。きっとその中に(蕭娘さん)あなたの綺麗なお姿があると思います。


凊晨插歩揺、向晩解羅衣。
清々しい朝を迎えると外していた簪を髪に挿すのでしょう。それから晩方になればその奥座敷でうすぎぬの肌着をとくことでしょう。
・凊晨 情交の後の夜明けをいう。
歩揺 かんざし。
羅衣 閨の女性の衣服。うす絹の肌着。


託意風流子、佳情詎肯私。
あなたはあの風雅なあの人(范靖)に心を寄せていますね。そういう男女の愛情について私は独り占めにしようなんて思ってもいませんから。
託意 こころをよせる。・風流子 范靖をさす。一夫多妻制の時代で、第二夫人以降は美人で素養がある女性ほど男性の株は上がったのである。
佳情 男女の愛情。・私 独り占めをするという意。


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沈約の孫娘
梁の征西記室范靖の妻
沈滿願 :生卒年不詳。吳の武康の人。沈約の孫娘。征西記室范靖(靜)の妻。
西暦540年ごろの梁武帝最盛期頃に評価を受けたようである。ただ、沈約(441年 - 513年)は学問に精励し学識を蓄え、宋・斉・梁の3朝に仕えた。南斉の竟陵王蕭子良の招きに応じ、その文学サロンで重きをなし、「竟陵八友」の一人に数えられた。その後蕭衍(後の梁の武帝)の挙兵に協力し、梁が建てられると尚書令に任ぜられ、建昌県侯に封ぜられた。晩年は武帝の不興をこうむり、憂愁のうちに死去したというので、身分地位についてはそれほど高いものではなかったのではなかろうか。ただ、女性の立場で、趙飛燕と班婕妤、王昭君の悲劇を呼んでいるわけで、詩界に参列できるだけのものであったことは間違いない。


詠歩揺花
珠華縈翡翠、寶葉間金瓊。
宝玉でかざった華が翡翠の羽毛をめぐらせている。美しい葉に金玉がまじりあっている。
剪荷不似製、爲花如自生。
切って作った蓮の葉なのだがとても作り物とは見えない、造花であるが天然に生えたもののようだ。
低枝拂繍領、徴歩動瑤瑛。
低く下がった枝は刺繍の襟元を払っていて、わずか体を動かすだけでも飾り瑛は揺れ動くのである。
但令雲髻插、蛾眉本易成。
とはいっても、雲型の黒髪の髻にこのかんざしを挿したらいいのだ、蛾の眉などを画くことなどは容易にできることなのだから。
珠華【しゅか】縈翡翠【ひすい】を【めぐ】り、寶葉【ほうよう】金瓊【きんけい】間【まじ】はる。
剪荷【せんか】製するに似ず、花と爲りて自生するが如し。
低枝【ていし】繍領【しゅうれい】を拂う、徴歩すれば瑤瑛【ようえい】動く。
但 令雲髻【うんけい】に插しましめん、蛾眉【がび】本【もと】成し易し。


現代語訳と訳註
(本文)
詠歩揺花
珠華縈翡翠、寶葉間金瓊。
剪荷不似製、爲花如自生。
低枝拂繍領、徴歩動瑤瑛。
但令雲髻插、蛾眉本易成。


(下し文) 歩揺花を詠う)
珠華【しゅか】縈翡翠【ひすい】を【めぐ】り、寶葉【ほうよう】金瓊【きんけい】間【まじ】はる。
剪荷【せんか】製するに似ず、花と爲りて自生するが如し。
低枝【ていし】繍領【しゅうれい】を拂う、徴歩すれば瑤瑛【ようえい】動く。
但 令雲髻【うんけい】に插しましめん、蛾眉【がび】本【もと】成し易し。


(現代語訳)
宝玉でかざった華が翡翠の羽毛をめぐらせている。美しい葉に金玉がまじりあっている。
切って作った蓮の葉なのだがとても作り物とは見えない、造花であるが天然に生えたもののようだ。
低く下がった枝は刺繍の襟元を払っていて、わずか体を動かすだけでも飾り瑛は揺れ動くのである。
とはいっても、雲型の黒髪の髻にこのかんざしを挿したらいいのだ、蛾の眉などを画くことなどは容易にできることなのだから。


(訳注)
詠歩揺花

・歩 かんざし。歩揺花:かんざしに花をつけている。
王樞 『徐尚書坐賦得可憐』(徐尚書の坐にて「可憐」を得て賦する)
紅蓮披早露、玉貌映朝霞。
飛燕啼妝罷、顧挿歩揺花。
溘匝金鈿滿、參差繍領斜。
暮還垂瑤帳、香鐙照九華。
紅蓮【こうれん】早露に披【ひら】き、玉貌【ぎょくぼう】朝霞【ちょうか】に映ず。
飛燕【ひえん】啼妝【ていそう】罷【や】み、顧みて歩揺【ほよう】の花を挿しはさむ。
溘匝【こうそう】金鈿【きんてん】滿ち、參差【しんし】繍領【しゅうれい】斜なり。
暮に還りて瑤帳【えいちょう】を垂る、香鐙【こうとう】九華【きゅうか】照る。


珠華縈翡翠、寶葉間金瓊。
宝玉でかざった華が翡翠の羽毛をめぐらせている。美しい葉に金玉がまじりあっている。
珠華 宝玉でかざった華。
翡翠 翡翠の羽毛。
寶葉 美しい葉。蓮の葉。
金瓊 金玉。瓊は玉。


剪荷不似製、爲花如自生。
切って作った蓮の葉なのだがとても作り物とは見えない、造花であるが天然に生えたもののようだ。


低枝拂繍領、徴歩動瑤瑛。
低く下がった枝は刺繍の襟元を払っていて、わずか体を動かすだけでも飾り瑛は揺れ動くのである。
繍領 襟元に刺繍模様がある着物。
徴歩 わずかに動くこと。


但令雲髻插、蛾眉本易成。
とはいっても、雲型の黒髪の髻にこのかんざしを挿したらいいのだ、蛾の眉などを画くことなどは容易にできることなのだから。
雲髻 高く結んだ、美しい婦人の髪。曹植『洛神賦』「雲髻峩峩、脩眉聯娟。」(雲髻 峩峩として、脩眉 聯娟たり。)漫成三首 其三 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集-82 「参考」として曹植『洛神賦』とこの詩に関するものがたりを参照されたい。

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