李白 白云歌送劉十六歸山
楚山秦山皆白云、白云處處長隨君。 長隨君。 君入楚山里。
云亦隨君渡湘水。湘水上。 女蘿衣。 白云堪臥君早歸。
(仙郷に漂う白雲、白雲を題にして、劉十六というものの故郷に帰るを送った詩である。)
君が故国とする楚山も、長安を見守ってきた秦山も、そこには皆白雲を帯びている。 白雲は、所所に於いて、君に随って居るので、君が長安の秦山に居ても、白雲が随って居か、故郷の楚山に居ても、矢張り白雲が随って居る。かくの如く、どこでも白雲が君に随って居る上は、同じ境涯あるから、何も都を棄てて、故郷へ帰る必要は無いように思われるが、故郷の白雲は、又格別なのであろう、だから、君は此度、故郷に帰られるのである。さうして、君が故郷へ帰られると、泰山の雲は、君に随って湘水を渡り、やがて楚山の雲となるのである。湘水のほとりなる楚山には、女蘿が叢生して居るから、これをとって衣となすことができる。かくて、君は薜茘の衣、女蘿の帯となし、白雲に高臥し、優辞、餘生を送られようというのであるから、早く御歸りに成った方が宜しからうと思われる。
李太白集巻十九18 |
白云歌送劉十六歸山 |
漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ7445 |
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Index-24 |
744年天寶三年44歳 |
56首-(1) |
415 <1000> |
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363-230卷六25白云歌送劉十六歸山 (楚山秦山多白雲,)
744年 |
天寶三年 |
44歳 |
56首-(1) |
卷別: |
卷一八四 |
文體: |
歌吟 樂府 |
李太白集230巻六25 |
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詩題: |
白云歌送劉十六歸山 |
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序文 |
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作地點: |
長安(京畿道 / 京兆府 / 長安) |
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及地點: |
楚山 |
湘水 |
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交遊人物/地點:劉某 |
長安 |
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詩文: |
230卷六25
白云歌送劉十六歸山
(仙郷に漂う白雲、白雲を題にして、劉十六というものの故郷に帰るを送った詩である。)
楚山秦山皆白云、白云處處長隨君。
君が故国とする楚山も、長安を見守ってきた秦山も、そこには皆白雲を帯びている。
長隨君。君入楚山里。云亦隨君渡湘水。
白雲は、所所に於いて、君に随って居るので、君が長安の秦山に居ても、白雲が随って居か、故郷の楚山に居ても、矢張り白雲が随って居る。かくの如く、どこでも白雲が君に随って居る上は、同じ境涯あるから、何も都を棄てて、故郷へ帰る必要は無いように思われるが、故郷の白雲は、又格別なのであろう、だから、君は此度、故郷に帰られるのである。
湘水上。女蘿衣。白云堪臥君早歸。
さうして、君が故郷へ帰られると、泰山の雲は、君に随って湘水を渡り、やがて楚山の雲となるのである。湘水のほとりなる楚山には、女蘿が叢生して居るから、これをとって衣となすことができる。かくて、君は薜茘の衣、女蘿の帯となし、白雲に高臥し、優辞、餘生を送られようというのであるから、早く御歸りに成った方が宜しからうと思われる。
(白云歌送劉十六歸山)
楚山秦山皆白云、白云處處長隨君。
長隨君。 君入楚山里。 云亦隨君渡湘水。
湘水上。 女蘿衣。 白云堪臥君早歸。
『白雲歌送劉十六歸山』 現代語訳と訳註解説
(本文)
白云歌送劉十六歸山
楚山秦山皆白云、白云處處長隨君。
長隨君。 君入楚山里。 云亦隨君渡湘水。
湘水上。 女蘿衣。 白云堪臥君早歸。
(下し文)
(白云歌送劉十六歸山)
楚山 秦山 皆白云、白云 處處 長く君に隨う。
長く君に隨う。 君は入る 楚山の里。 云 亦た君に隨って 湘水を渡る。
湘水の上【ほと】り。 女蘿の衣。 白云 臥するに堪えたり 君 早く歸れ。
(現代語訳)
白云歌送劉十六歸山(仙郷に漂う白雲、白雲を題にして、劉十六というものの故郷に帰るを送った詩である。)
君が故国とする楚山も、長安を見守ってきた秦山も、そこには皆白雲を帯びている。
白雲は、所所に於いて、君に随って居るので、君が長安の秦山に居ても、白雲が随って居か、故郷の楚山に居ても、矢張り白雲が随って居る。かくの如く、どこでも白雲が君に随って居る上は、同じ境涯あるから、何も都を棄てて、故郷へ帰る必要は無いように思われるが、故郷の白雲は、又格別なのであろう、だから、君は此度、故郷に帰られるのである。
さうして、君が故郷へ帰られると、泰山の雲は、君に随って湘水を渡り、やがて楚山の雲となるのである。湘水のほとりなる楚山には、女蘿が叢生して居るから、これをとって衣となすことができる。かくて、君は薜茘の衣、女蘿の帯となし、白雲に高臥し、優辞、餘生を送られようというのであるから、早く御歸りに成った方が宜しからうと思われる。
白云歌送劉十六歸山
(仙郷に漂う白雲、白雲を題にして、劉十六というものの故郷に帰るを送った詩である。)1 劉十六は楚の人で、長安に遊びに来た。その彼が、山水に高臥隠遁していた故郷の山に帰るというのである。
2 白云 白雲について、
陶弘景
四十歳で山中に隠棲したが、梁の武帝から常に諮問をうけ、「山中宰相」と呼ばれた。斉の高帝からの詔にこたえる形で書かれた詩。
《詔問山中何所有賦詩以答》
山中何有所、嶺上多白雲。
只可自怡悦、不堪持寄君。
(山中に何の有る所ぞと詔問せられ、詩を賦して以って答う)
山中 何の有る所ぞ、嶺上 白雲多し。只だ 自ら怡【たのし】み悦ぶべし、持して 君に寄するに堪えず。
「山の中に何が有るのだ」との御下問ですが、嶺の上には白雲が多くただよっています。しかし、これは私が見て楽しむだけで、残念ながら陛下にお届けする訳にはまいりません。
王維
唐代随一の田園詩人。仏教に深く帰依し、書画音楽にも優れていた。長く官僚として生活し、相当の地位にのぼりますが、元来、芸術家肌で役人生活は向いていなかったようで、藍田の麓に輞川商荘を営み、半官半隠の生活を送った。ここで「空山不見人」や「獨座幽篁裏」輞川二十首、田園楽 七首などの有名な詩が詠んだ。脅迫されて安禄山にやむなく仕えたため、長安奪還後、処刑を命ぜられたが、これまでの功績により、特赦されたが、以降輞川荘にこもった。
李白の詩と同様に、、故郷に隠棲する友人を送る詩。
「送別」
下馬飲君酒、問君何所之。
君言不得意、歸臥南山陲。
但去莫復問、白雲無盡時。
馬より下りて君に酒を飲ましむ、君に問う 「何の之【ゆ】く所ぞ」と。
君は言う 「意を得ず、南山の陲【ほとり】に帰臥せん」と。
「但去れ。復た問うこと莫からん、白雲 尽きる時無し」と。
馬から下りて、まず一献。「これから、どうする?」「どうも世の中、思うようにはいかない。終南山の麓にでも引きこもるよ」「そうか、じゃ、行き給え。あの辺りでは、白雲が何時までも君の友達となってくれるだろう」
寒山
隠遁には、様々な形があった、自分の気配、存在そのものを消す、あるいは、自然と一体化するのが隠遁である。しかし、多くの詩人は半官半隱を理想とした。詩人は自己の詩を読んでもらいたいという願望があるからである。寒山は実在した証拠さえ消し去った、正真正銘の隠遁者といえるひとである。水墨画の「寒山拾得図」で知られる浙江省天台山(道教・仏教の霊地)に隠れ住んだ唐代末期ころの人だろうと云われる。
寒山の詩は他人に読ませようという意図が全くないため、三百首余り残存するが、すべて「無題」である。
登陟寒山道、寒山路不窮。
谿長石磊磊、澗濶草濛濛。
苔滑非関雨、松鳴不假風。
誰能超世累、共坐白雲中。
寒山の道を登陟れば、寒山 路 窮まらず。
谿は長くして石磊磊、澗は濶くして草濛濛。
苔の滑らかなるは雨に関わるに非ず、松の鳴るは風を仮らず。
誰か能く世累を超えて、共に白雲の中に坐せん。
寒山の路を登って行く。その道はどこまでも尽きることはない。渓谷は長く、石がごろごろと散らばっており、谷川は広く、草がぼうぼうと生えている。苔がしっとりと滑らかなのは、雨のせいではなく幽邃な山気のためであり、松が鳴っているのは、風のせいではなく、自ずからの天籟なのだ。誰か世の煩いから逃れて、私と一緒に白雲の中に坐してくれないだろうか。
輞川集 20首 もうせんしゅう |
10南 陀 なんだ |
11欹 湖 いこ |
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13欒家瀬らんからい |
16北 陀 ほくだ |
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18辛夷塢 しんいお |
19漆 園 しつえん |
田園楽七首 1 千門 |
田園楽七首 2 再見 |
田園楽七首 3 採菱 |
田園楽七首 4 芳草 |
田園楽七首 5 山下 |
田園楽七首 6 桃紅 |
田園楽七首 7 酌酒 |
楚山秦山皆白云、白云處處長隨君。
君が故国とする楚山も、長安を見守ってきた秦山も、そこには皆白雲を帯びている。
楚山 杜甫《昔遊》「景晏楚山深,水鶴去低回。」(景晏れて 楚山 深し,水鶴 去って 低回す。)「唯甫漂泊楚山,終當為龐公高隱耳。」(唯甫漂泊楚山,終當為龐公高隱耳。)
李白詩における楚山
16巻一16古風五十九首其十六 |
吳水深萬丈。 楚山邈千重。 |
230卷六25白云歌送劉十六歸山 |
楚山秦山皆白云。 白云處處長隨君。 |
442巻十三07流夜郎至西塞驛寄裴隱 |
回巒引群峰。 橫蹙楚山斷。 |
841巻二十三15擬古十二首其十二 |
漢水既殊流。 楚山亦此分。 |
秦山 「楚」山に対して「秦」山といったのであり、長安をめぐる山々ということではあるが、通常は隠遁者が多く棲んだ終南山を意味するものである。
長隨君。 君入楚山里。 云亦隨君渡湘水。
白雲は、所所に於いて、君に随って居るので、君が長安の秦山に居ても、白雲が随って居か、故郷の楚山に居ても、矢張り白雲が随って居る。かくの如く、どこでも白雲が君に随って居る上は、同じ境涯あるから、何も都を棄てて、故郷へ帰る必要は無いように思われるが、故郷の白雲は、又格別なのであろう、だから、君は此度、故郷に帰られるのである。
湘水 湘江、あるいは湘水は、中華人民共和国を流れる大きな川の一つで、洞庭湖に注ぐ長江右岸の支流。湖南省最大の川であり、湖南省の別名・「湘」(しょう)はこの川に由来する。長さは856km。桃源郷の伝説もこの一帯から生まれ、屈原の『楚辞』「九歌」や「離騒」には、伝説上の皇帝堯の二人の娘湘君・湘妃の物語が幻想的に詠われている。
渡湘水
孟浩然《夜渡湘水》 |
(夜、湘水を渡る) |
客行貪利捗、夜裏渡湘川。 |
客行 利捗を貪り、夜裏 湘川を渡る。 |
露氣聞香杜、歌聲識採蓮。 |
露気に 香杜を聞き、歌声に 採蓮を識る。 |
榜人投岸火、漁子宿潭煙。 |
榜人は 岸火に投じ、漁子は 潭煙に宿る。 |
行旅時相問、潯陽何處邊。 |
行旅 時に相い問う、潯陽は 何処の辺りかと。 |
湘水上。 女蘿衣。 白云堪臥君早歸。
さうして、君が故郷へ帰られると、泰山の雲は、君に随って湘水を渡り、やがて楚山の雲となるのである。湘水のほとりなる楚山には、女蘿が叢生して居るから、これをとって衣となすことができる。かくて、君は薜茘の衣、女蘿の帯となし、白雲に高臥し、優辞、餘生を送られようというのであるから、早く御歸りに成った方が宜しからうと思われる。
女蘿衣 薜茘の衣、女蘿の帯。山鬼の衣帯。《楚辞、九歌、山鬼篇》に「若有人兮山之阿,被薜荔兮带女萝。」(ここに人山の阿に有りし薜茘を被り女蘿を帯にす)とある。
杜審言 《渡湘江》 |
(湘江を渡る) |
遲日園林悲昔遊、今春花鳥作邊愁。 |
遅日 園林 昔遊を悲かなしむ、今春 花鳥 辺愁を作なす。 |
獨憐京國人南竄、不似湘江水北流。 |
ひとり憐む 京国の人 南竄せられ、湘江の水の北流するに似ざるを。 |