禽鳥の類は、宇宙の化育を受け、大は鵬より、下は斥鷃に至るまで、それ相応に、おのおの依託するところがある。ここに周周という鳥がいて、首は重く、尾が軽く、六翮をひらいてとぶことができないのはもともとに気の毒なことで、どんなに罪を犯して、このように生れついたのか。
57 《古風,五十九首之五十七》Index-39Ⅴ-2 760年上元元年60歳874江夏送倩公歸漢東彼美漢東國, <57> Ⅰ李白詩1220 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4648
制作年: 760年上元元年60歲
卷別: 卷一六一 文體: 五言古詩
詩題: 古風,五十九首之五十七
古風,五十九首之五十七
(この詩は、禽鳥に託して、賢人同志で朝にあるものは、適切に野にあるものを吸引すべきものであるのに、今の朝廷でそうしている者はいない慨嘆の極みであると詠う。)
羽族稟萬化,小大各有依。
禽鳥の類は、宇宙の化育を受け、大は鵬より、下は斥鷃に至るまで、それ相応に、おのおの依託するところがある。
周周亦何辜,六翮掩不揮。
ここに周周という鳥がいて、首は重く、尾が軽く、六翮をひらいてとぶことができないのはもともとに気の毒なことで、どんなに罪を犯して、このように生れついたのか。
願銜眾禽翼,一向黃河飛。
その周周が水を飲むときには羽を銜えてもらって、それから川に臨むというので、必ず力あるものによるものと見える。しかし、この力あるものが、多くの周周共が羽を銜えてくれろと願っている間に、一向にそんなことに頓着せずして、直ちに黄河に向って飛び去ったならば、どうであろうか。
飛者莫我顧,歎息將安歸。
かくて飛び去ったものは、我が方を振り向こうともせず、そこで残ったものは嘆息の極み、どうしたらよいのかと、さまざまに思い煩っているが、どうにも仕方がない。
古風,五十九首之五十七
羽族は萬化を稟【う】け,小大 各【おのお】の依る有り。
周周 亦た何の辜【つみ】,六翮【ろくかく】掩うて 揮【ふる】わず。
眾禽の翼を銜むを願いしに,一たび黃河に向って飛ぶ。
飛ぶもの 我を顧るなく,歎息 將に安にか歸らんとす。
『古風,五十九首之五十七』 現代語訳と訳註
(本文)
古風,五十九首之五十七
羽族稟萬化,小大各有依。
周周亦何辜,六翮掩不揮。
願銜眾禽翼,一向黃河飛。
飛者莫我顧,歎息將安歸。
(下し文)
古風,五十九首之五十七
羽族は萬化を稟【う】け,小大 各【おのお】の依る有り。
周周 亦た何の辜【つみ】,六翮【ろくかく】掩うて 揮【ふる】わず。
眾禽の翼を銜むを願いしに,一たび黃河に向って飛ぶ。
飛ぶもの 我を顧るなく,歎息 將に安にか歸らんとす。
(現代語訳)
(この詩は、禽鳥に託して、賢人同志で朝にあるものは、適切に野にあるものを吸引すべきものであるのに、今の朝廷でそうしている者はいない慨嘆の極みであると詠う。)
禽鳥の類は、宇宙の化育を受け、大は鵬より、下は斥鷃に至るまで、それ相応に、おのおの依託するところがある。
ここに周周という鳥がいて、首は重く、尾が軽く、六翮をひらいてとぶことができないのはもともとに気の毒なことで、どんなに罪を犯して、このように生れついたのか。
その周周が水を飲むときには羽を銜えてもらって、それから川に臨むというので、必ず力あるものによるものと見える。しかし、この力あるものが、多くの周周共が羽を銜えてくれろと願っている間に、一向にそんなことに頓着せずして、直ちに黄河に向って飛び去ったならば、どうであろうか。
かくて飛び去ったものは、我が方を振り向こうともせず、そこで残ったものは嘆息の極み、どうしたらよいのかと、さまざまに思い煩っているが、どうにも仕方がない。
(訳注)
古風,五十九首之五十七
(この詩は、禽鳥に託して、賢人同志で朝にあるものは、適切に野にあるものを吸引すべきものであるのに、今の朝廷でそうしている者はいない慨嘆の極みであると詠う。)
古風とは古体の詩というほどのことで、漢魏の間に完成した五言古詩の継承を目指すものである。諸篇は一時の作でなく、折にふれて作られた無題の詩を後から編集し、李白の生き方を述べたものである。
羽族稟萬化,小大各有依。
禽鳥の類は、宇宙の化育を受け、大は鵬より、下は斥鷃に至るまで、それ相応に、おのおの依託するところがある。
羽族 禽鳥の類。
稟萬化 宇宙の化育を受け、大は鵬より、下は斥鷃に至るまで。
周周亦何辜,六翮掩不揮。
ここに周周という鳥がいて、首は重く、尾が軽く、六翮をひらいてとぶことができないのはもともとに気の毒なことで、どんなに罪を犯して、このように生れついたのか。
周周 首は重く、尾が軽い鳥。
六翮 力羽、翼の中に固く強く骨の役割をする六枚の羽をいう。
願銜眾禽翼,一向黃河飛。
その周周が水を飲むときには羽を銜えてもらって、それから川に臨むというので、必ず力あるものによるものと見える。しかし、この力あるものが、多くの周周共が羽を銜えてくれろと願っている間に、一向にそんなことに頓着せずして、直ちに黄河に向って飛び去ったならば、銅であろうか。
飛者莫我顧,歎息將安歸。
かくて飛び去ったものは、我が方を振り向こうともせず、そこで残ったものは嘆息の極み、どうしたらよいのかと、さまざまに思い煩っているが、どうにも仕方がない。