李白《(改訂版) 巻24-20春夜洛城聞笛 (誰家玉笛暗飛聲)》(春の夜に洛陽の街で「折楊柳」の笛曲を奏でるのをきく。)この夜、流れてくる数曲中に、別れの曲「折楊柳」の曲が聞こえてきたけれど、誰が故郷を思う気持ちを起こさずにおれようか、きっと、起こしてしまうのは自分一人だけではないだろう。
206 《(改訂版) 巻24-20春夜洛城聞笛 (誰家玉笛暗飛聲)》Index-12 Ⅱ―7 -732年開元二十年32歳 12首 <206> Ⅰ李白詩1437 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5733
年:732年開元二十年32歳
卷別: 卷一八四 文體: 七言絕句
詩題: 春夜洛城聞笛
作地點: 洛陽(都畿道 / 河南府 / 洛陽)
及地點:
洛陽 (都畿道 河南府 洛陽) 別名:洛城、洛、東洛、洛邑、京洛、河洛、洛下
春夜洛城聞笛
(春の夜に洛陽の街で「折楊柳」の笛曲を奏でるのをきく。)
誰家玉笛暗飛聲,散入春風滿洛城。
誰が家で笛を吹いているのかしらないが、宵闇に玉笛の聲だけが聞こえてくるが、嚠喨の音は、飄散して春風に乗って洛陽城中にひびきわたった。
此夜曲中聞折柳,何人不起故園情。
この夜、流れてくる数曲中に、別れの曲「折楊柳」の曲が聞こえてきたけれど、誰が故郷を思う気持ちを起こさずにおれようか、きっと、起こしてしまうのは自分一人だけではないだろう。
(春夜 洛城に 笛を聞く)
誰が家の玉笛か 暗に 聲を飛ばす,散じて 春風に 入って 洛城に 滿つ。
此の夜 曲中 「折柳」を聞く,何人か 故園の情を 起こさざらん
『春夜洛城聞笛』 現代語訳と訳註解説
(本文)
春夜洛城聞笛
誰家玉笛暗飛聲,散入春風滿洛城。
此夜曲中聞折柳,何人不起故園情。
(下し文)
(春夜 洛城に 笛を聞く)
誰が家の玉笛か 暗に 聲を飛ばす,散じて 春風に入って 洛城に 滿つ。
此の夜 曲中 「折柳」を聞く,何人か 故園の情を 起こさざらん。
(現代語訳)
(春の夜に洛陽の街で「折楊柳」の笛曲を奏でるのをきく。)
誰が家で笛を吹いているのかしらないが、宵闇に玉笛の聲だけが聞こえてくるが、嚠喨の音は、飄散して春風に乗って洛陽城中にひびきわたった。
この夜、流れてくる数曲中に、別れの曲「折楊柳」の曲が聞こえてきたけれど、誰が故郷を思う気持ちを起こさずにおれようか、きっと、起こしてしまうのは自分一人だけではないだろう。
(訳注)
七言絶句 春夜洛城聞笛
(春の夜に洛陽の街で「折楊柳」の笛曲を奏でるのをきく。)
同様のモチーフのものに、王翰の『涼州詞』「秦中花鳥已應闌,塞外風沙猶自寒。夜聽胡笳折楊柳,敎人意氣憶長安。」や、王昌齢 『出塞』「秦時明月漢時關、萬里長征人未還。但使龍城飛將在、不敎胡馬渡陰山。」がある。漢文委員会総合サイト漢文委員会 漢詩総合サイト 辺塞/塞下/塞上/涼州
誰家玉笛暗飛聲,散入春風滿洛城。
誰が家で笛を吹いているのかしらないが、宵闇に玉笛の聲だけが聞こえてくるが、嚠喨の音は、飄散して春風に乗って洛陽城中にひびきわたった。
・誰家:どこ。だれ。 *かならずしも「だれの家」と、住処を尋ねていない。
・玉笛:宝玉でできた笛。立派な笛。 ・暗:暗闇に。宵闇に。或いは、密やかに。
・飛聲:笛の音を飛ばす。笛の音を流す。 ・聲:ひびき。おと。ふし。
・散入:散らばって(春風に)乗って。
・洛城:洛陽城。東都洛陽の都。洛陽の街。
・城:都市。城市。都会。街。
此夜曲中聞折柳,何人不起故園情。
この夜、流れてくる数曲中に、別れの曲「折楊柳」の曲が聞こえてきたけれど、誰が故郷を思う気持ちを起こさずにおれようか、きっと、起こしてしまうのは自分一人だけではないだろう。
・曲中:玉笛の聲裏ということ。
・折柳:折楊柳のこと。横吹曲の一。別れの情をうたった曲名。別離の折り、水の畔まで見送り、柳の枝を折って贈った故事に基づくもの。前出、『涼州詞』「夜聽胡笳折楊柳,敎人意氣憶長安。」の影響を受けていよう。
・何人不起:誰が起こさないだろうか。いや、起こす。(反語反問の気勢の語形。) ・何人:〔なんびと〕誰。 ・不起:起こさない。
・故園情:故郷を思う気持ち。郷愁。・故園:故郷。 ・情:想い。
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春夜洛城聞笛
誰家玉笛暗飛聲,散入春風滿洛城。
此夜曲中聞折柳,何人不起故園情。
(春夜 洛城に 笛を聞く)
誰が家の玉笛か 暗に 聲を飛ばす,散じて 春風に 入って 洛城に 滿つ。
此の夜 曲中 「折柳」を聞く,何人か 故園の情を 起こさざらん
杜甫 《秋笛》
清商欲盡奏,奏苦血沾衣。
他日傷心極,徵人白骨歸。
相逢恐恨過,故作發聲微。
不見秋雲動,悲風稍稍飛。
(秋笛)
清商 奏を盡さんと欲す,奏苦して血 衣を沾す。
他日 傷心 極り,徵人 白骨 歸る。
相逢いて恨過を恐れ,故に聲微を發するを作す。
秋雲の動きを見えず,悲風 稍稍として飛ぶ。
秦州抒情詩(19) 秋笛 杜甫 <304> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1379 杜甫詩 700- 424
杜甫 《1712 吹笛》
吹笛秋山風月清,誰家巧作斷腸聲。
風飄律呂相和切,月傍關山幾處明。
胡騎中宵堪北走,武陵一曲想南征。
故園楊柳今搖落,何得愁中曲盡生。
(吹笛)
笛を吹く秋山の風月の清きに,誰が家か 巧に斷腸の聲を作す。
風は律呂を飄して相い和すること切に,月は關山に傍うて幾處か 明なる。
胡騎 中宵に北走するに堪へたり,武陵 一曲 南征を想う。
故園の楊柳は 今 搖落す,何ぞ 愁中に 曲 盡く生ずることを得んや。