李白 自遣(みずからの鬱屈の思いを晴らす。)酒に向かっていたら、日の暮れるのさえ気づかない、おりしも春の終わり、紛々として散ってくる花の花びらが、わたしの衣服にみちている。
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217 《(改訂版) 巻22-34 自遣》Index-13 Ⅱ― 8-733年開元二十一年33歳 <217> Ⅰ李白詩1453 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5813
年:733年開元二十一年33歳
卷別: 卷一八二 李太白集巻22 文體:五言絕句
詩題: 自遣
作地點: 安陸(淮南道 / 安州 / 安陸)
自遣
(みずからの鬱屈の思いを晴らす。)
對酒不覺暝,落花盈我衣。
酒に向かっていたら、日の暮れるのさえ気づかない、おりしも春の終わり、紛々として散ってくる花の花びらが、わたしの衣服にみちている。
醉起步溪月,鳥還人亦稀。
酔いつぶれて眠っていたが、酔いから醒めて、起き上がり、月明かりの谷川を散策すれば。鳥は、皆ねぐらに帰り、遊人もまた、稀で、さすがに寂しい景色になっている。
(自ら遣る)
酒に對して、暝【めい】を 覺えず,落花 我が衣に 盈【み】つ。
醉起 溪月に 歩し,鳥 還【かへ】って 人も亦た 稀なり。
『自遣』 現代語訳と訳註解説
(本文)
自遣
對酒不覺暝,落花盈我衣。
醉起步溪月,鳥還人亦稀。
(下し文)
(自ら遣る)
酒に對して、暝【めい】を 覺えず,落花 我が衣に 盈【み】つ。
醉起 溪月に 歩し,鳥 還【かへ】って 人も亦た 稀なり。
(現代語訳)
(みずからの鬱屈の思いを晴らす。)
酒に向かっていたら、日の暮れるのさえ気づかない、おりしも春の終わり、紛々として散ってくる花の花びらが、わたしの衣服にみちている。
酔いつぶれて眠っていたが、酔いから醒めて、起き上がり、月明かりの谷川を散策すれば。鳥は、皆ねぐらに帰り、遊人もまた、稀で、さすがに寂しい景色になっている。
(訳注)
自遣
(みずからの鬱屈の思いを晴らす。)
みずからを慰める。みずからやる。のどかな詩である。しかし、詩題から考えれば、以下のようにもとれる:情況は「不覺」であり、「暝」であり、作者に向かってくるものは「落(花)」で、それのみが作者に「盈」ちてくる。周りは「鳥還」であり、作者を訪ねてくる「人」も、鳥が還ってしまったのと同様に人も亦、「稀」になっている、という心象風景である。
・遣 うさをはらす。はらす。
對酒不覺暝,落花盈我衣。
酒に向かっていたら、日の暮れるのさえ気づかない、おりしも春の終わり、紛々として散ってくる花の花びらが、わたしの衣服にみちている。
・對酒 酒に向かう。
・不覺 悟らない。気づかなかい。思わなかった。分からなかった。いつの間にか。
・暝 暮れる。日が暮れる。
・落花 散ってくる花。花びらの意になる。
・盈 次第に多くなってみちる。だんだんみちてくる。みたす。
・我衣 わたしの衣服。李白の衣服になる。88「下終南山過斛斯山人宿置酒」綠竹入幽徑。 青蘿拂行衣。同じように使う。
醉起歩溪月,鳥還人亦稀。
酔いつぶれて眠っていたが、酔いから醒めて、起き上がり、月明かりの谷川を散策すれば。鳥は、皆ねぐらに帰り、遊人もまた、稀で、さすがに寂しい景色になっている。
・醉起 酔いから醒める。
・歩 散歩をする。あゆむ。「踏月」の「踏」でもある。月影を踏む。月明かりの中を散歩する。
・溪月 けいげつ 谷川に出た月。月明かりの谷川。
・還 かえる。でかけていったところからもどる。
・亦 …もまた。「鳥がねぐらに帰って、あたりが静かになる」ということに「人がだれも往来しなくなって静かである」を付け加えて言う。「鳥還」と「人稀」を繋ぐ時にリズムを整えるためにも「亦」を使う。
・稀 まれ。まれである。
李白93「春日酔起言志」覺來盼庭前,一鳥花間鳴。
同じように使う。